※この作品はR-18です。

暁の情痴   作:蓬莱玉の三難門

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前回の更新から1年以上開いてしまった……本当にすみません……。

というところで宣伝です!
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2日目8/12(月)、東ト51a「月来香」にて暁の情痴の同人誌を頒布するのでぜひともよろしくお願いします!
同人誌限定の短編はこころ、津美、あかりの海旅行です~!


明かされる秘密(中編)

「──この神社の『神』ですから」

 その衝撃的な言葉を聞いて、俺はすぐに理解することができなかった。

 神……? 神というと、あの、神話とかに出てくる神っていうことか? 何を言っているんだこころは……?

 曲がりなりにも江戸が終わって一五〇年が経つ現代だ。神秘は科学に討ち滅ぼされ、神も妖怪も超常現象も否定される時代。最愛な少女にそんな疑いはかけたくなかったが、その素性の怪しさからすれば、信じて崇拝するよりも新興宗教を警戒する方が先に来るだろう。

 外灯に照らされたこころがちらと振り返る。俺の顔を一目見るとすぐに、不満そうな顔で一歩二歩三歩と詰め寄ってくる。

「あーっ! その顔、信じていませんね!? もう、思い切って告白したというのにー!」

「あっ、いやっ、その……すまん」

「見損ないましたよ敬一さん!! もう嫌いですっ……なんて、冗談です。敬一さんも今の人ですから、いきなり言われても信じにくいですよね」

 ぷんすかした怒り顔から一転、微笑みが浮かべられる。かわいい……じゃなくて。いつも通りの笑顔に見えるそれだが、信じてもらえない哀愁を含んでいるのがすぐにわかった。

 とりあえず、こころが言っていることは本気なんだ。冗談で俺をからかうために神を名乗ったわけではないんだ。だけどじゃあ、こころが神だって信じろというのか?

 ……確かにこころは神だ。陰鬱な気分で発した欲望を受け止め、夢を叶えさせてくれた存在。それでいながらあれだけかわいくて愛らしいとなれば、それは俺にとって神以外の何者でもない。

 でもそうじゃない。神秘的な存在としての神と認めるには……やはり「常識」が邪魔してやまなかった。

「か、神っていうのは……なんだ、神様ってことだよな?」

 とにかくなにか話を繋げなければ。そう思って質問をしたはいいが、我ながらなんてアホな質問なんだ。

 だけど、単語を繰り返しただけのそれを聞いても、こころは真面目な顔つきで答えてくれた。

「はい。比喩でもなんでもなく、正真正銘この神社に祀られている神ですよ」

 その回答は想定の通りだった。

「そう、か……。すまん、こころが嘘をついていると疑っているわけじゃないんだ。ただ……神様が実在してるっていうのは、どうしても信じられなくって」

「うーん、そうですねぇ……敬一さんは初詣は行きますか?」

 口の下に指をあて、少し悩む様を見せるこころ。

 確かに正月は一年で最も神が身近にいる時期だろう。俺も毎年参拝している……けれども。

「行くは行くよ。でも神様に挨拶に行くというよりは、なんとなく慣習だからって感じかな。友達と会ったり、屋台だったりの方が目当てかもしれん」

「うっふふ……神様、怒っちゃいますよ?」

「えっ! いや、すまん!」

「大丈夫です。神社に来てる人がどんなことを考えているか、なんとなくわかりますから。現代人はだいたいみんなそんなものですよ。それに、来ると来ないとでは雲泥の差がありますからね。理由がなんであれ」

 さらりと答えてのけるその姿は見てきたかのような、自分がさも“神様”側に立っているかのような発言だった。

 あまりにも平然と話すこころを見ていると、本当に神様なんじゃないか、と心が揺れ動く。神様はいないだなんて誰が決めたんだ? 普段気づかないからって、いないと決めつけるのは間違いなんじゃないか? そんな気さえしてくる……が、同時に「騙されるな」という気分もより一層増してくる。

 それより、とこころが俺の顔を覗き込んできた。

「敬一さんにとってはむしろ願ったり叶ったりな気がするんですけどね~? だってぇ、自分よりも何歳も年下に見える女の子とエッチなことしちゃったなんて、バレたら社会的に死でしょ?」

「ちょっ、おまっ!」

「でもそれが神様でした、っていったら法には触れないじゃないですか。ね? 形だけでも信じた方がお得じゃないですかぁ?」

「……っ」

 眼前の少女はにまにまと笑みを浮かべる。煽るようなその仕草だが……全くもってその通りだった。

 冷汗が頬を伝う。

「わ、わかった。信じよう、信じるぞ! だから頼む、それだけは……!」

「うふふ、すみません。敬一さんが気にしているのをわかって逆手に取っちゃいました。……だから、とりあえず形だけでも信じて、私の話を聞いていただけませんか?」

「……わかった」

 なんだかさっきから心の内が読まれているような感覚がするのは気のせいだろうか。それはこころの観察眼が鋭いからか、それとも……境内に入ってから考えていること全て“把握”されているからなのか。

 俺が頷いたのを確認して、おもむろに居直るこころ。いたずら好きの妖精みたいな笑顔は鳴りを潜め、今度こそ真面目な顔をして話し始めた。




後編は土曜の夜21時に投稿します。
コミケ、来ていただけると嬉しいです!2日目ト51a、なにとぞなにとぞ……。
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