※この作品はR-18です。

9-nine- にじいろ「九天、春雪」   作:氷桜

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■31.磨り減って。~32.その先に。より。


希み給う-Yuki Noa01-
そっと、触れて。


シーツの下に見えたのは。

いつだったか。

初めて見た時と変わらない、腕で抱き締めれば折れてしまいそうな肢体だった。

見下ろして。

見上げられて。

その距離が、縮まって。

重なって。

数秒、十数秒。

 

ぷは、とどちらともなく息をした。

 

「……なんだか、久しぶり。」

「そうだな……随分と、久しぶりな気がする。」

 

つつ、と白く透明な糸が互いの口元から伸びていて。

それを切らないように。

二度三度と、啄むように。

浅く、深くと粘膜接触(キス)を繰り返す。

 

「なんで、だろうね?」

「初(・)め(・)て(・)の(・)筈(・)、なのにな。」

 

重ねる度にもっと、もっとと。

その気持ちは強く、深く。

多分、それは俺だけの感情でなくて。

目の前の少女自身も同じ感情で。

そして、互いの状況は互いが一番理解していた。

 

白い雪のような肌は熱を持ち始めて赤く染まり。

気にしなかったはずの俺自身も、少しずつ直立していって。

熱を、互いへと分け与えるように肌へと触れ合う。

 

両腕で、彼女を抱き締めて。

ふと浮かんだのは、腕を失いながらも。

最期までを、互いで繋ぎ続けていた巻き戻る前の枝。

失われていく熱を。

消え行く意識を。

俺(・)は、最期まで見届けたあの時。

だからこそ、その力は自然と強くなって。

 

「……翔。」

「……何だ?」

「何処にも、行かないから。 大丈夫だよ。」

 

幼子を見守るように、希亜はそう呟いて。

下へと手を伸ばし、熱を持ったその部分を上下へと擦り始める。

手慣れているとはとてもいい難く。

けれど、その分気持ちが伝わるようなその行為。

いつしか、両腕の力は抜け落ちて。

 

左腕で、彼女を支えながら。

右腕を、彼女の下腹部。

そして、更に下へと伸ばす。

少しばかり感じる湿り気と。

あ、と漏れる小さい声に。

何方ともなく、笑みを浮かべ合う。

 

「……何度目、だっけ?」

「忘れちまったな、毎度毎度が濃厚だったし。」

「もう。 ……でも、私も同じ。」

「なら――――これが初めてだな。」

 

うん、と再度重なる唇。

舌を伸ばし合って。

ぴちゃり、と水音が跳ねる音がして。

早朝だと言うのに、時間を気にしないように。

眠気など何処かに行ってしまったように、互いを求め合う。

 

痛いほどに熱が下半身を支配して。

気付けば、少しだけ痺れるように彼女の肢体が跳ねて。

それに重ねるように、白い液体が彼女の肌を染める。

 

けれど、何方も熱が引くことはなくて。

 

「……良いか?」

「……うん。」

 

目と目が、互いしか映していなかった。

シーツは既に完全に剥げ落ちて。

気付けば脱ぎ捨てていた下着の残り香が、汗と。

それ以外の液体の存在を示し続けて。

 

手と手を、握り合った。

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