※この作品はR-18です。

9-nine- にじいろ「九天、春雪」   作:氷桜

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そう囁く声色は、甘く。


「……ねえ、知ってる?」

 

少しだけ感じた匂いの元。

俺の家のシャンプーとかリンスとか。

そういったものとは当然違って。

けれど、確かに都の匂いだって感じるのに。

普(・)段(・)の(・)も(・)の(・)と(・)違(・)う(・)、と。

先程思ったことと、逆に。

感じるほどに、彼女を受け入れる度に。

そう思い、問い掛ける。

 

「なあ、都。」

「なぁに?」

 

糸が伸びる。

舌で巻き取る。

甘い、と感じるのはきっと気の所為。

気分でしか無いはずなのに。

ずっと前から、そう思っている。

 

「……何か、変えたか?」

 

そんな言葉を、ほんの十数センチの距離で問い掛ける。

目と目が触れる、と。

そんな表現をされるほどの距離で。

小さい吐息を、肌に感じる。

 

「……分かるの?」

「分かるさ。」

「……なんでだろ。 変かな、とも思うんだけど。」

「ああ。」

「嬉しい、って思っちゃった。」

 

はにかむ彼女の首元に、もう一度唇で触れて。

それを受け入れながら、彼女は耳元で囁き返す。

 

「……花言葉、って信じる?」

 

女の子らしいな、とも。

彼女らしくはないな、とも。

そんな風に思いながら。

 

「信じるかどうかって言われれば……どうかな。」

「だよ、ね。 女の子でも……知ってるかは、わかんないもん。」

 

胸元の、彼女の服を縛る部分を緩め。

はらり、と舞い落ち。

いつも着込んでいる上着と、彼女の特徴的なワンピースが顕になって。

上目遣いと、下目遣い。

彼女と、俺の視線が交差する。

 

「薔薇って……花言葉が、違うんだって。」

「違う?」

「一本、二本。 本数と……色と。」

「へえ……。」

 

耳から耳へ抜けていく。

彼女の、聞いていると落ち着く声が言葉を紡ぎ続けながら。

互いの服装を、脱がし合って。

 

「なら……。」

 

そんな会話と、身体中への口付けと。

互いが互いのものだと示す、周囲に言うためのように。

けれど、彼女の肌に痕を付けたくはなくて。

そんな、中途半端な感情で。

 

「どんな、意味なんだ?」

 

でも。

少しずつ、熱と。

そんな色んな行為を経て、赤くなっていく彼女を見て。

脳裏に浮かんだのは、赤というよりは。

少しだけ赤い、淡いピンクの花。

 

「……笑わない?」

「笑うかよ。」

「そう、だよね。」

 

さっきも聞いたのにね。

そうだよ。

 

声にならない声で、二人で共に抱きしめあって。

その言葉を切っ掛けに、大事な一線を踏み越えようとするように。

互いに、それを理解しているように。

都の言葉を待ちながら、下半身を擦り合わせ。

受け入れるように、行き先を彼女が導きながら。

 

「私の、名字。 九本の、薔薇でね。」

「……ああ。」

「いつでも、貴方を思っています――――って。」

 

唇と、言葉と、彼女と。

それらを、俺が受け入れるように。

俺と、君と、二人と。

何があっても、離れないように。

それは世界が変わっても、同じだよと。

 

そうして。

影は、重なって。

 

少しだけ、甘い声色と。

甘い、匂いが部屋を支配した。




甘ったるぅい……
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