※この作品はR-18です。

9-nine- にじいろ「九天、春雪」   作:氷桜

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外に出れば「兄と妹」。
けれど、今だけは。


天空の彼方。

 

湯気が立ち込める空間に、水音が響く。

俺と、もう一人しかいないそんな場所。

本来は一人が当たり前の場所に混じる、ある種の異物。

それがどちらにとってのものなのかは扠置いて。

 

「ん……ッ」

 

ぴちゃり、ぴちゃりと。

液体が落ちるのではなく。

何かが降り注ぐだけではなく。

一人と一人が触れ合うからこそ立つ水音。

 

「…………。」

「……どうしたの、死んだ魚みたいな目ーして。」

「いや、何だろうな……。」

 

流されるにも程があると言うか。

本来は自制して然るべきっつーか。

色々とマイナスな感情だけが積み重なっていく。

 

此奴の願いを断るのを諦(・)め(・)た(・)とはいえ。

過去に、同じことをしてしまった枝があるとはいえ。

「兄と妹」なのだから。

「男と女」ではなく。

――――それらを知ってこそ、禁忌と呼ぶのだというのを否が応でも理解している。

 

「気持ちよくない?」

「そういうストレートなこと言うのやめてくれません?」

「だってー。」

 

未だに位置は変わらずに。

俺の上に乗る天は、その体勢だからこそ視線を逸らすことを許さない。

時折前後し、自身の秘部と俺のモノを擦り合わせては声を漏らす。

そんなことを繰り返し、どれだけの時間が経ったのか。

数分――――ではない、と思うのだが。

 

「お兄ちゃん。」

「……何だよ。」

「嫌なら、良いよ?」

 

不安そうに見る目は、結局の所。

互いにイ(・)ケ(・)ナ(・)イ(・)ことだと理解しているからこその感情。

 

「……ぁー。 悪い……いや、謝るのも何か変なんだが。」

「こうしてられるだけでも、幸せなのは分かってるから。」

 

少し腰を浮かせれば、此奴の任意のタイミングで最後まで行ってしまえる。

けれど、それは此奴自身が望まない。

 

根底にあるのは、結局。

俺へ抱く感情が故だからこそ、自分本位のみで行動を起こさない。

受け入れられないと諦観を重ねていたからこそ、諦める選択肢を選ぶ手は軽く。

 

「そうじゃない。」

「……? え、じゃあ何?」

「お前がそんな苦しそうな顔する必要も無いってことだ。」

 

それら全てを諦めると、一度決めた以上。

こうして迷い続けるのも――――言ってしまえば、無駄な時間なのだ。

 

目の前の、女(いもうと)を抱き締める。

柔らかい肌が、腕を通して温度を伝える。

わ、と小さく漏れた声を無視して。

 

「天。」

「…………なぁに?」

「もう遅いからな。」

 

もう少し、方法はあったのだろうし。

もう少し、抱いていた理想はあったのだろう。

けれど、俺がしてやれると――――したいと思うのは、今ここで。

 

湯の浮力で、少女(いもうと)を持ち上げた。

抱き合うように、彼女(いもうと)を降ろした。

大切な相手(いもうと)は、自分の指で自分の秘部へと導いて。

少しばかりの抵抗の後に、何かを貫いた感覚があった。

 

――――たった二人になってしまった、ありえない枝の果てを思(・)い(・)出(・)し(・)。

――――少しばかりの痛みと。 大多数の幸福を浮かべながら。

 

男と女(あにといもうと)は、一つになった。

それが、どんな意味を持つのかは。

二人(つがい)が、一番強く知っていた。




唯一他人に関係を言えないヒロイン、「新海天」。
「天」だけならば、どれだけ良かったんでしょうね。
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