本編よりも此方希望者が多いのは笑う。
*83.知り得る先で。 の中での話。
みゃーこ(病み)成分だらけなのでキニシナイデネ!
夢現か、現夢。
静かに聞こえ始めた吐息と言うか、寝息の音に。
それを邪魔しないように、私はゆっくりと頭を横へ傾けた。
そんな今の/前の記憶が、私の中の「彼」を想う。
少し照れ屋で、人に対して気を使って。
「友人」というのも余り多くはないけれど、それでも。
彼のことを深く知る人間は、嫌おうとは思わないんだろう。
そんな当たり前のことを思いながら、そっと手を伸ばす。
髪に、顔に。
幾度か触れて、当たり前のように近くにあったようにも思えて。
けれど簡単に失ってしまうものだと、私は知っている。
知ってしまっている。
それは、私自身の罪でもあって。
それは、私自身が負うべき罰のようでもあった。
(……どうなんだろうね。)
私は最初に「仲良くなりたい」と思って。
ふとした切っ掛けで、「仲良くなっていた」事を思い出して。
その記憶が全てとは、決して私は言わないし。
言いたくもないけれど――――それでも、「今の私」はどうなのだろう。
(引っ張られてるのかな、それとも。)
頬を、額を。
時折変わる顔色を眺めながら。
指先で触れて、熱を感じるだけで……
(今の私には、分からない。)
昨日見てしまった過去。
無かったことにはならない、別の
彼を悲しませた。
私が悲しんだ。
共に歩んだ。
永劫に別れた。
本来の私では知るはずもなかったそれらは、彼の言う「相棒」に依って齎されたモノなのだろうか。
或いは、悪意ある誰かの干渉によって送り込まれた
……昨日から、その境目が薄れてしまっている。
手を、彼から離した。
少しだけ起き上がる。
かさり、と布団が服から落ちて。
彼の匂いから、少しだけ離れた気がして。
「ね、翔君。」
彼には決して聞こえないように。
彼を決して起こさないように、囁くよりも小さな声でそれを呟く。
「絶対、いなくならないでね。」
そうしてしまえば。
私達はどうなってしまうか分からない。
そんな、確信にも似た言葉で彼を想う。
彼は答えるはずもなく。
私もそれを告げる気もなく。
歪な私達の関係は、歪なままで進むのだろうか。
――――多分、それは違う。
今の私達は、歪だからこそ成り立っているのだから。
だから。
だからこそ。
「大好き。」
額に、頬に、首筋に。
触れる程度に唇を重ねる。
それこそが、私の思いを伝える方法なのだと。
言葉には出来ない、ココロの中にある黒い何かを伝える方法なのだと。
彼の中にある、背負わざるを得なかったモノを引き取る方法なのだと。
そんな錯覚を、自分に思わせながら。
私はまた、彼に口付けた。