ベッドの手前まで来ると、アベルは優しくあたしの身体をシーツの上に横たえた。硬めの敷布団に軽く身体が沈む。脚と肩を使ってベッドの中央に移動して、セットしておいた枕にちゃんと頭を乗せた。
アベルも服を脱ぎ始めた。荒々しくシャツを脱ぎ捨てると、鍛え抜かれた上半身が暖炉の火に照らされた。彫刻のように深く刻まれた筋肉が濃い陰影を作る。それを見ていると、あたしの身体が芯から火照ってくる。
アベルの分厚い胸板が激しいリズムで上下する。胸が収縮するたびに熱い息を吐き出す。
アベルは興奮している。それが伝染するように、あたしの鼓動もどんどん高まっていった。
アベルも同じようにあたしの全身をを舐め回すように見る。さっきアベルに身体を弄られたときにはだけた胸元と股はそのままだ。内腿の柔肌とパンティを晒し出している。その無防備に開いた脚の間と股に、アベルの野獣のような視線が集中していた。
そこを凝視されるのは恥ずかしかったが、ここに来て隠そうとするのも野暮な話だ。黙ってその視線を受け続けることにした。
アベルはズボンも脱ぎ、喉を大きく鳴らせた。トランクス一枚だけの格好で、ベッドの脇に突っ立ってあたしを凝視している。
「あっ……」
気が付けばその股間部の布が内側から大きく押し上げられていた。男が見せるわかり易い興奮のサイン。もちろん初めて見るわけではないが、その不思議な光景に驚いて、つい声をあげてしまった。
アベルは身を乗り出して、ベッドに横たわるあたしの帯に指をかけた。もともと緩く結んであった帯はあっさりと解かれる。続いて襟を掴むアベルに促され、あたしはナイトローブの袖から腕を抜いた。
あたしは、愛を誓い合った男のために服を脱ぐことに、不思議な幸福を感じていた。
辛うじてあたしの背中に敷かれるだけになったナイトローブをアベルは剥ぎ取り、あたしに手渡した。
それを枕元の横に丸めて置き、アベルに向き直ろうとしたとき、ベッドがみしりと鳴った。アベルがベッドに膝を乗せ、あたしに向かって這って来る。
「綺麗だよ。デイジィ……」
アベルの眼は大きく見開かれ、普段の優しい雰囲気は消え失せていた。その眼は、ついさっきまでナイトローブで隠されていた胸の谷間を凝視している。まるであたしのことを単なる物として見るような冷たい視線。それでも炎のような熱を感じさせる不思議なものだった。
あたしは恐怖を感じていた。これからどういう風に扱われるのか不安だった。身体中を弄られ、大切なところも見られる。乱暴な扱いも受けるかもしれない。でもそれは男と女の間では当たり前のこと。意を決して両腕を拡げ、アベルを迎え入れた。
「アベル……」
自分の声が震えているのがわかった。
伸ばした左腕を首に、右腕を腰に回して抱き付いた。頬がくっつき、身体が密着する。脚の間にアベルの右大腿がねじ込まれた。陰部に太ももが押し付けられる。そこは男を受け入れる大切な機関。淡い快感が走った。
同様にあたしの腰には、アベルの怒張した陰茎が押し付けられている。まるで独立した生物のように、苦しそうにビクビクと脈動している。快楽を求めて蠢く、凶暴な生物のようだった。この欲望は、あたしの膣の中で精を放たない限りは、決して鎮まることがない。
もうすぐこれで突き刺されて、二人は一つになるんだ。
考えを巡らせている間に、アベルはブラの上から乳房を鷲掴みにした。膨れ上がる欲望に突き動かされてそうしているようだった。
「んん……」
あたしは必死に湧き上がる恐怖に耐えた。
あれだけ尖って生きてきたあたしが、年下の男にいいように扱われている。それを喜んでいる自分が不思議だった。あれほど男どもの色欲に満ちた眼を嫌悪していたのに……アベルのためにだったら、この肉体を捧げることができる。むしろあたしの肉体を欲しがっていることが嬉しくてたまらなかった。
アベルの手は止まらない。ブラの隙間に指を滑り込ませ、生で乳房を鷲掴みにした。太い指が乳首に触れた。鋭いくすぐったさを感じ、動かないように力を入れていた身体が痙攣した。
「あうっ!」
あたしは身体をのけ反らせながら、高い喘ぎ声をあげていた。
さっき揉み足りなかったのだろう、アベルは何度も柔肉に指を食い込ませる。何度も揉まれて水風船のように形を変える乳房を、アベルは楽しそうに凝視している。あたしは喜びを噛みしめながら耐えた。段々とくすぐったさは薄れ、ただ肉を揉まれ、肌を摩られる心地よさだけが残った。
「デイジィ……」
あたしの肉体はもうほぐれきっている。恐怖心が消え、乱暴なアベルの愛撫に快楽さえ感じ始めていた。もっと強い刺激が欲しい。
「ん……アベル。これじゃ触りづらいだろ。今外すから」
あたしは左手でアベルの胸を押して、行為を中断させた。あたしがブラを指差すと、アベルは身体を離した。
「ああ……早く外してくれ」
立ち膝になって待つアベルの横で、あたしは背中のホックを外してブラを取った。両掌で乳首を隠して、仰向けになる。
「やっぱり……恥ずかしいな」
笑顔を作りながら言ったあたしの声にアベルは反応しなかった。ブラを取った胸を凝視し、更に目を血走らさせる。
アベルはあたしの両手首を掴んだ。そして裸の乳房の間に顔を埋めた。
「いやっ! そんないきなり!」
アベルが女の胸を好きなことは把握していたが、いざ自分がその餌食となると、さすがに怖かった。
すぐ目の前。胸の谷間に沿って熱い舌が這わされる。真剣な顔で犬のように舌を出して舐める姿が、可愛らしかった。
アベルは、あたしの手首を掴んだ両手に力を込めた。当然隠れた部分にも興味があるだろう。あたしが手の力を抜くと、ゆっくりと引き剥がされた。そして乳房全体が露わになった。
恥ずかしい……。
そうは思ったがアベルが喜ぶなら見せてあげたい。もうあたしは身も心もこの男に捧げているのだから。
それに我ながら決して悪いバストだとは思っていない。やはり長年剣を振り続けたからだろうか、大胸筋は発達し、無駄な贅肉もない。適度に大きくて弾力もあり、上を向いたいい形。アベルも気にいるだろう。
アベルは乳房の横から上下を挟むように指で摘む。突き出された桃色の乳輪を凶暴に凝視する。一度唾を飲み込むと、早速乳首へ舌を這わせた。
「あ……」
敏感な部分に舌が絡みつく。連続して耐えがたい快感が押し寄せる。その度に身体が痙攣するが、あたしは身体を強張らせて、なんとかアベルの邪魔をしないようにじっとしていた。でもアベルはそんなあたしの我慢などお構いなしに舐め続けた。
大量の唾液に濡れた舌が這いずり回る。唾を啜る音を立てながら、乳房が吸引される。
ようやく乳輪から口が離れた。唾液まみれになった乳首が硬く屹立していた。アベルはそこをじっと見つめると、今度は口を尖らせて吸い付いた。
「あうっ! ア、アベル……」
乳首がすっぽりと口に含まれ、強く吸引された。その吸引は断続的に何度も繰り返され、未だかつて感じたことのない刺激に身体が痙攣した。
元来男というものは女の乳房を舐めたり吸ったりするのが好きなのだとは知っていたが、アベルも例外ではないようだった。パフパフ娘を前に鼻の下を伸ばしていたこともあったことだし、今こそその欲望を解放するときなのかもしれない。
「あっ!」
アベルが乳首を吸いながら口を離した。鋭い刺激に身体が仰け反り、引っ張り上げられていた乳房が急に支えを失って、肋の上でバウンドするように弾んだ。
それを見届けたアベルは身を起こすと、膝で這ってあたしの下半身の方に移動した。
アベルの欲望が、とうとうあたしの秘部に向けられる。
下腹部の内側から何かがジワリと湧き起こる感覚があった。