クラス召喚されて、何の能力もないと思われ、いじめられていたらプレイしていたエロゲのキャラを呼び出せるようになった件~メイド・クリエイター~ 作:KeI77777
「---ふうううううう。・・・ふうううううう。・・・ふ、ふうううう。ふうううううう・・・・。」
『マスター。呼吸の仕方が気持ち悪いです』
あまりに取り乱してしまったからか、何回も深呼吸していて、
不審者のような息の継ぎ方になってしまっている自分のマスターに対して、
辛辣な言葉を投げるルゥ。
いつもなら反論する隆も、それどころじゃないのか、
壁に右手を当てて、気持ちが沈んでるのかうなだれていた。
「・・・意識のない女子の胸を・・・体を・・・触っちまった・・・。」
『・・・生娘の体をちょっと触ってくらいでなんですか。私とは見抜きエッチしているくせに。』
「それとこれとは別なんだよあほぉ!!オナニーとエッチじゃ全然違うだろぉ!!?」
両腕で頭を抱えてごろごろと転がる。
自身の従者相手であれば、気兼ねなくそういうことはできるものの、
さすがに単なるクラスメイトの娘相手に対して触ってしまうことについては、
罪悪感を覚えていた。
服を脱がせて、小屋の中にあった毛布をかぶせて寝かせているから体を隠せているものの、御堂が目が覚めたら自分が痴漢扱いされるのではないかと隆は怯えるのであった。
「---うし!!この話はいったんやめ!!やめやめやめ!!!」
『---まあ、これ以上追求しないでおきましょうか。』
自分の裸を見た時以上に取り乱しているマスターに対して、ジト目を向け、
はあ、とため息をつく隆に対して気を取り直すようにルゥは話題を切り替える。
『--それにしても、やたらきれいに整えられてますね。この小屋。』
「・・ああ。それは俺も思った。人が生活しているような跡はないのに、
なぜか毛布とか、着替えとか、後、使えそうな道具がしまわれているしな。」
そういって、隆が部屋の隅に置いてあった四角形の木箱の中をのぞくと、
ランプ、ロープ、着替え、毛布、そしてなんだか缶詰っぽいものがいくつかは言っていたり、水筒みたいな金属の筒がしまわれていた。
「人の気配はしないんだけど、まるで、誰かが定期的に掃除でもしているような感じだよなぁ・・・・。」
『・・・・こんなダンジョンの奥底に?一体だれが?』
「・・・・わからん。あと、あの慰霊碑みたいなやつも・・・・。
あれは何なんだ?」
隆が言っているのは、小屋の隣に立てられている石造りの慰霊碑に関してである。
この世界の文字に詳しくない彼にとってはまだ読めない代物であるが、
上から順に名前のような文字が10個書かれているのだけはわかった。
小屋の外に出て、石をじっと見るも、やはり何かがわかるわけでもなく、
謎は深まるばかりである。
「・・・・ま、それはいいとして、後はこれについてだよなぁ・・・。」
隆がそう言ってみた先には、1mほどの青い球体がふよふよ、と浮いていた。
何か動くわけでもなく、ただただ空中に漂っているだけなのだが、
見ているだけでぴりぴりと肌に刺すような痛みを感じていた。
指先で触れようとするも、寸前でぴたりと伸ばした手を止め、
自身の従者に尋ねる。
「・・・これ、触れても大丈夫か??」
『・・・おそらく。・・・それに、何かここから脱出する手掛かりになるかもしれませんし・・・。』
「・・・・・・・・・うし!!!おらぁっ!!!」
ええい、ままよと目をつむりながら、隆は止めていた手を再び球体に伸ばし、
その手で触れる。
すると、碧い球体が光だし、辺りを照らし始めた。
「うおっ!!?やべぇ爆発する!!?」
慌てて小屋の中まで逃げ、そーっと首だけのぞかせながら外の様子を隆がうかがうと、
そこには、碧い人のような影が球体から投射されているのが見えた。
最初はざざざ、とノイズ混じりであり、碧いだけの人影もだんだんと輪郭がはっきりしてきて、徐々にその形がはっきりと浮かび上がる。
『・・・・・。』
「・・・・?男・・・?」
『・・どうやら、記録映像らしいみたいですが・・・。』
白衣を身にまとい、碧いナイフを左腰につけている坊主頭の青年が、
何かをつぶやくようにその口をパクパクと開いていた。
何を言っているのか最初はわからなかったが、次第にノイズが収まり、
記録映像らしき人物が話している言葉が隆とルゥに聴こえるようになっていく。
『---ねんながら、"破壊神"と"魔人"に加担していた奴を取り逃がしてしまった。
"破壊神"と"魔人"の撃退には成功したが、奴はいまだにこの大陸のどこかに潜伏し、力を蓄えていることだろう。』
「・・・・なんのこっちゃ?」
『・・・いえ、お待ちください。マスター。』
隆にとってはよくわからないことであったが、王城の人間から自分のマスターが講義を受けている時に一通りの歴史について情報をインプット、記録していたルゥは、記録映像が話している単語について思い当たる節があった。
『・・・・おそらく、2000年前に勃発したと言われる"神話大戦"・・・・。
世界を滅ぼさんとした"破壊神"、それに従う"魔人"。そして、世界を護らんとした"創造神"、"十王"・・。おそらく、それらのことかと・・。』
「はー・・・・。・・・ん?でも、それって2000年前のことだよな??」
『記録によれば、そのはずです。』
「・・・じゃあ、この映像って、2000年前の・・・?」
隆が再び記録映像の方を見ると、男は一方的に自身が持っている情報をしゃべり続けており、とても2000年前のものとは思えない相手であった。
「世界は平和になったんだろ?奴って誰だよ?」
『・・・・残念ながら、私はそう長くはない。友よ。
ゆえに、ここを知る君がやってきたときには、おそらく死んでいる事だろう。』
隆の質問にも答えず、映像は一方的にまくしたてる。
そして、それまで話していた男が、ごほごほ、と突然せき込み始め、
手で口を押える。
「お、おい!?」
『--だから、最後の頼みがある。奴は死んだと思われているが、私にはわかる・・・・。アレを作ったのは私なのだから・・・・。あの戦争を再び起こし、世界を手中に収めんとするであろう奴を、どうか止めてほしい。』
ごほごほ、とさらにせき込み、手で押さえている指の隙間からは血が流れ始めている。
手で血だらけの口をぬぐい、彼はふらつく体をしっかりと抑えながら、
それでも目だけは死んでおらず、しっかりと前を見据えている。
自分が目の前の人物に見られているわけでもないのに、
隆はその目から視線を外すこともできずに、合わせ続けた。
そして、その青年は件の人物の名前を述べた。
『---奴の名前は、マルク。・・・きっと、どこか人間が集まる場所で魔力を集め続けているはずだ・・・・。・・・後は頼む。・・・・ここに記録を残しておく。・・・"レイ・ザルドルフ"より』
それだけ言って、ぷつり、と記録映像は止まった。
「・・・・・・・・・・・・。」
何が何だかわからない、といった顔で隆は両手で顔を覆い
混乱する頭を整理しようとする。
「‥‥世界の危機?止めてくれ???・・・ザッケンナコラー!!」
--そして、先ほどまで映像を投射していた球体に対して右足で蹴りを叩き込む。
何度もげし、げしげしげし、と執拗に、怒りで紅くなった顔のまま、
叫びながら蹴りを放ち続ける。
「召喚されて!!ただでさえ混乱していて!!その上ダンジョンで死にかけて!!
・・・・なのに、次は世界の危機を救ってくれだぁ!!?ふざけんなぁ!!!」
『・・・・。』
あまりの理不尽さに切れる隆。
ただの男子高校生だというのに、召喚されて、
闘いに巻き込まれ、巨大な蛇に追い掛け回され、
川に飛び込んで死にかけ、男だと思っていた相手は女で、
その上これである。
ついに爆発した。
「---はあ、はあ・・・。」
『・・・・マスター。先ほどの映像の話ですが・・・。』
「・・・なんだよ。」
ひとしきり怒ったことによって少しは気が晴れたのか、
蹴りを放つのをやめ、肩で息をしながらはあはあ、と呼吸を乱す
自身の主人に対してルゥが、気づいたことを話そうとしたとき、
小屋の方から甲高い叫び声が聴こえた。
「----きゃあああああ!!!?」
「・・・・あ。」
そういえば、御堂が寝ているんだった・・・と彼は彼女の存在を思い出す。
あんだけ大声出せば起きるよな・・・・と両手で顔をまた抑えつつ、
隆はルゥに対してぼそりと告げる。
「---服、脱がしたのバレた・・・?」
『・・・・ご主人様。死なない程度に殴られてきてください。』
「・・・・俺のヒロインはどこぉ・・・。」
--結局、裸を見られて取り乱した御堂を落ち着けるのに30分ほどかかり、
隆はさらに疲れ、死んだようにテーブルに突っ伏して、
ふて寝するのだった。
????「何その球体。知人に売りさばくから俺にくれ」
??「(あれ・・・"十王"って・・・・?)」