クラス召喚されて、何の能力もないと思われ、いじめられていたらプレイしていたエロゲのキャラを呼び出せるようになった件~メイド・クリエイター~ 作:KeI77777
「・・・・。」
「--おらぁっ!!」
ダンジョンの階層を下がり続け、下に潜り続ける二人と一体のAI。
近づいてきたスケルトンに対して、杏が矢の形を成した炎を叩き込み、
武装を燃やしたところを隆が右ストレートを骸骨の頭の上からたたき込み、
しゃれこうべを落とす。
これで3体目となる対面であったが、
まだまだいるかもしれない状態に対して、
隆は疲れたような声を出しながら、両膝に両手をついて、肩で息をする。
「はあっ・・はあっ・・・。・・・ああ・・マジで疲れる・・・。
しかも俺らよりレベル上だから初手全力で行かねーとやべーだろうし・・・。」
「大丈夫?・・・ちょっとやすもっか。」
「おう。」
周りにモンスターがいないかどうか警戒しつつも、通路の端っこで
二人とも座り、袋から水が入った水筒を取り出す。
ふう、と息を吐き、隆は壁に体をもたれかかせながら、
目をつむる。
その横では、手慣れた様子で杏が水が入った水筒を隆の前にとん、と置いた。
「----しかし、やっぱり広いな・・・ここ・・・。」
「ずっと進むつもり計画だったけど・・・・。最悪は撤退したほうがいいかな・・・?」
「ああ。・・あの小屋は、何の力が働いているかはわからないが、食べ物と水には困らないしな。」
二人の言う湖近くにある小屋について。
彼らはそこで過ごしているうちに、レイ・ザルドルフなる人物が残した
遺物の効果に思わず絶句した。
まず、何か生き物避けの結界でも張られているのか、
モンスターがあの湖地帯には寄ってこらず、
安全が確保されているということ。
小屋の近くに浮いていた球体がその役割を担っているのか。
想像はできるが、確信に至る情報はなく、
ただ、有用であることは間違いないので、
二人は安心して寝ることができていた。
そして、四角い木箱の中には一定時間たつとなぜか食料と水が
自動で配給されていること。
当初、ビスケットらしきものと水の入った水筒が入っていることに気が付いた二人は、それを食べ、いくつかはとっておいた。
次の日の朝、二人が再び木箱を除くと、最初に見た時と同じだけの物資が再び積められており、減った様子も見えなかった。
全く持って謎の力であるが、それを気にしつつも、
彼らはその力をとりあえず利用することにした。
『---ご主人様。この世界におけるデータをまとめました。レイ・ザルドルフと名乗る人物が残していた資料を解読したものとなります。』
「お。マジか。センキュー。」
創造神、女神アクライアの名前を取って作られた大陸。
アクライア大陸にて人々は生活をしている。
国は五大国に別れている。
極寒の地、傭兵国家の、北のリルド王国。
灼熱の砂漠が続く、交易地、西のアルス王国。
樹海が人の営みを隠す、南のローグ連合国。
100年の鎖国を続ける、東の軍事国家、アルバーツ連邦。
そして拡張主義にして、中央の最強国家、リーダス帝国。
2000年前に、エル・マルグスとその仲間たち、"十王"は
世界を滅ぼさんとした"破壊神"、アルバスを打倒し、平和をもたらした。
この戦争は"神話大戦"と呼ばれており
伝説として語り継がれている。
破壊神の置き土産、人間を超越した力を持つ尖兵、
"魔人"が大陸のどこかにいまだいるという噂がある。
その後、"覇王"と呼ばれていた彼は、アクライア大陸の中央にて
最初の国となるリーダス帝国を建国する。
地理的位置としては、丸型の大陸に対して、
中央にリーダス帝国が。
山岳地帯や、湖、森林、砂漠地帯と違いはあるものの、
帝国を囲むように三方に北にリルド王国、
西にアルス王国、南にローグ連合国が位置している。
東の浮島にはアルバーツ連邦が存在している。
これが、どの国でも同様に語られている歴史である。
そして、レイ・ザルドルフと名乗る人物が、
その神話大戦にて、"十王"の一人として闘い、
今も存在している"機械人"を作った"機械王"と知り、
思わず持っていたスマホを隆は落としそうになった。
「・・・あのレイっておっさん、そんなすごい人だったのか・・・・。」
『---"機械王"レイ・ザルドルフ。神話大戦にて"覇王"に協力し、
"破壊神"、アルバスをともに倒した人物ですね。』
「・・・でも、おかしいよな、それ。・・・倒したんだろ?
"魔人"ってやつらも、"破壊神"ってやつも。」
『はい。歴史通りであればそのようかと。』
「----そんな、人間が、自分が死以上に気になっていた相手、"マルク"・・・。いやな予感がするんだが・・・。」
苦い顔をしながら水をんぐ、んぐと飲み込む隆。
そして、この世界に来たばかりの時に、王国の人間が言っていたことが
頭をかすめる。
『----"敵"と戦っていただきたいのです。』
(・・・・"敵"、ねぇ・・・。俺たちが呼び出された理由・・・・。
世界を救ったレイ・ザルドルフが危惧していたこと・・・・。
ええい、わからん・・・・。なんだ・・・?なんか引っ掛かる・・・。)
「・・・・・・・・・・えい。」
難しいことを考えていたからか、眉間にしわがよった隆の顔を、
人差し指でぷに、と彼の頬をつっつく杏。
自分が何をされたのか一瞬わからなかった隆は口を開いて一瞬呆け、
そして当然の疑問を口にする。
「・・・何しとるん??」
「えへへ・・・。隆君・・・・けわしい顔つきになってたよ?」
「ん・・・。」
言われるまで気が付かなかったのか、
ばつが悪そうに視線を杏から反らす隆。
杏はそんな彼の様子を見て、またふふ、と笑いかける。
「大丈夫だよ。・・・・ルゥさんがいるし。・・・わ
私もいるし・・・・。」
「・・・・・・・・・」
『----ちょっとお待ちなさい。それは私の役目です。
・・・というか、私はマスターに触れたいのにいまだに触れられなくって、
気が気じゃないというか、早く交わりたいというか、いえ、でも私は決して安い女ではありませんし、でも、あなたのためなら肌を脱いだっていいと思っております、ええ』
隣で怪文書じみたことを述べるルゥを無視し、
くく、と笑いをこぼす隆。
自分が同年代の女子に気を遣われていると知り、
ぱん、と両手で頬を叩いて気を取り直す。
「・・・・さんきゅ。考えてもわからないことはわからねーよな。・・・今はこの場所を抜けることだけ考えるわ。」
「うん。・・・・そろそろ行く?」
『----なのでマスターの好みの服を着て、寵愛を受けることも視野に入れておりますが、その際にはやはり生涯契約書にサインをしてもらわないといけないのです。』
「そうだな。・・・・とりあえず、また壊れているルゥは置いておくとして。」
すくり、と立ち上がり、そして同じく立ち上がろうとする杏に手を差し出す隆。
その手を杏は握りしめ、隆に引き上げられて立ち上がる。
「・・・・さて。ついにこの先だな・・・・。」
「・・・・・。」
「怖いか?」
今までいた場所は、まだ知っている場所だった。
時折知らないモンスターが出ることはあっても、この数週間は
同じような場所をぐるぐると周り、レベルアップと、
時間がたつことで何かダンジョン内が変わることがないかを確認していた。
無言の杏を頭に隆は手を置く。
こうして、ここに飛ばされることがなければ決して話すこともなかったであろう二人は、背中を預け合うことがきっかけか、相手の気持ちを察し、
自然とその身に触れるようになっていた。
「・・・・うん。・・・・あの蛇みたいなのが、また来たらどうしようって・・・。」
「・・・・・そん時は逃げる!!・・・・だって、敵わねぇし。」
「・・・そこは、俺が守ってやる、とかじゃないの?」
「・・・一緒に逃げる、って言ってんだよ。」
「・・・・あう・・・。」
ちゃかすように言う杏に対して、隆は耳を若干紅くしながらも、
仕返しとばかりにセリフを吐く。
杏は、異性からこうしたことを言われなれていないからか、
両手で顔を抑え、自分の表情が見えないように俯く。
今、二人の目の前には、大きな扉がある。
二人がまだくぐったことのない、何が起きるかわからない部屋に続く扉だ。
それまでとは明らかに違う形のそれに対して、
二人は最後までその扉を開けるのを後回しにし、
他の場所をめぐっていた。
互いに、もう一人のことを案じていたのかはわからない。
だが、不思議と彼らは笑っていた。
きっと、何とかなる、と思えていた。
「・・・ほれ。手、出せ。」
「・・無理。今、こんな顔見られたくない。」
「・・・互いの泣き顔を知ってんだから今更だろ。」
「・・・あう・・・・。」
『・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・。』
「ルゥ。お前も一緒だ。・・・サポート、頼むぞ。」
『!!!はい、マスター・・・。』
隆の右手を杏子は左手でしっかりと握りしめる。
空いた左手で隆は扉に手を掛け、体重をかけて押そうとすると、
途端に扉が横に自動で開いていった。
手をつないだまま、二人は中へと入る。
---そして、心臓が止まりかけた、いや、ほんの一瞬だが止まり、
目の前にある巨大なそれに目を奪われる。
「---グゴオオオオオォ・・・・。・・・・・グォォォォ・・・・」
---そこには、あの"レッド・スネーク"がとぐろを巻きながら、
向こう側の通路をふさぐかのように眠りこけている姿があった。
????「ラブコメってんじゃねええええ!!!!俺にもちょうだい!!!そういうのちょうだい!!!」
??「(草食系女子・・・いいなぁ)」