ユニークスキルのせいでモテない俺は、酔っ払った勢いで奴隷を買いました。 作:☆あきつしま☆
俺とシエナがいくつもの段階を飛び越えていきなり夫と妻という関係になった後。
俺たちは今まで我慢してきた分を全て吐き出すように結局十回戦くらいまでヤッていた。
ナカには出さず、しっかりと外に出して、きちんと液を拭き取ってから再度入れる、というように配慮はしているが……このままだと出来てしまうかも知れない。
まあ、避妊効果のある『ピピルルル』という薬を街の診療所でこっそりともらってきていたので、あとからシエナにはそれを飲んでもらうとするか。
話を戻そう。俺とシエナは十回戦くらいしたわけだが、S級ランクの息子でもこの次元まで出したのは初めてで、終わった頃には完全にしおれてしまっていた。
俺の方も賢者タイムを通り越して悟りを開いた、みたいな心境になっていた。
シエナはどうなったのか、というと……ベッドで大の字で寝転がっている俺とは対象的にお茶を入れてきてくれたり、後片付けをしたりと元気一杯だった。
……おかしい。シエナも動いていた、というか五回戦くらいからは彼女が主に動いていたのに……ヤル前よりも元気になっているとはどういうことだ……?
「シエナ……なんでそんなに元気なんだ?」
顔だけシエナの方に向けてベッドに座って一息ついているシエナに話しかける。
「……大好きな人と一つになれたんです。嬉しさで疲れなんて感じませんよ」
ニッコリ笑顔でそう返してきた。
……可愛すぎですよ、シエナさん。
シエナの返しで一つ、彼女が『抱いて下さい』と言ってきてから気になっていたことを思い出したので聞いてみることにした。
「なあ、シエナ。俺の事をいつ好きになったんだ? まだ出会って数日なのに……」
どの口が言うんだ? と言われそうなことだが……
俺の方はと言うと、朝起きて、シエナが視界に入ってきたときに一目惚れをした。
記憶がないが、普段は節約家の俺が奴隷市場でシエナを金貨三千枚で買っていることから、酔っ払っていた時の自分もおそらくシエナに一目惚れをしていたのだ。
だが、シエナの場合はどうだろうか?
一目惚れ?
しかし、奴隷として売られていたシエナにそこまで心の余裕があったのだろうか?
余裕があったとしても、酔っ払って頭のおかしくなった俺を好きになるのだろうか?
それ以降に俺を好きになった?
でも、俺に惚れるようなことがあっただろうか?
いや、自分では思いつかない。
いつ、どこで好きになったのだろうか、と人によっては『無駄な考えだ』と言われそうなことを頭の中で考えていると、シエナが恥ずかしそうに、でも嬉しそうな顔で話してくれた。
「……人を好きになるのに時間なんて関係ないですよ。ただ、私の場合は……エリック様に買っていただいた日、厳密に言えば……たぶんこのお家に入れていただいたときでしょうか。そのときにエリック様の事を……好き……になったと思います」
……記憶がないから何があったのか全く分からない。
シエナの話に耳を傾ける。
「私は奴隷として買われたので、これから何をされるのかと怯えていました。エリック様に強姦されるのか、人体実験をされるのか……悪いことばかり考えて……泣きはしませんでしたが、それだって泣き声を聞いたエリック様が叩いてくると思っていたので必死に我慢していただけでした」
その時感じていた恐怖を思い出したのかシエナが両手をギュッと握る。
……確かにシエナの考えはある意味正しい。
冒険者に買われたのであれば、ほとんどそういう事は起きない。なにせ同じパーティーで戦ってもらう戦友となるのだ。それはもう大切に、丁重に自分のところへ迎い入れる。
ただし、それ以外の人、例えばどこかの土地を持っているお金持ちの人、ここでは貴族と呼ばれているが、そういう人であれば話が変わってくるらしい。
風の噂ではあるが、金持ちの貴族に買われた奴隷は性処理をさせる性奴隷というものになるらしい。それはもうひどい仕打ちばかりうけ、心は壊れて人形のようになってしまうらしいのだ。もしかしたら、彼女もそういう噂を聞いていたのかも知れない。
シエナのその時の心情を思って心を痛めていると、彼女が体をこちらに向けて近寄ってきた。
ギシ、ギシ、とベッドが軋む音がする。
「でも、この家の玄関の前でエリック様が予想だにしなかったことをおっしゃってくださったのです」
俺の元へ来て、未だに大の字で燃え尽きている俺の手を握ってきた。
「エリック様は優しい表情をしながら私に『シエナはもう奴隷じゃない。今、この時から俺の家族だから、遠慮せずに過ごしてくれ。遠慮したら怒るからな?』という言葉をかけてくださったのです。今まで感じていた恐怖がすっと消えて……その……凄く温かい気持ちになったのです。今まで怖い人だと思っていたエリック様のことが、なぜか急に愛おしくなってきて……たぶん、そこで……好きになったのだと思います。……変ですよね。頭がおかしいですよね。惚れやすい女ですよね。でも……なぜか胸が高まって、顔が熱くなって……こんな経験は初めてで……そのときは顔をまともに見れなくなって……。エリック様とクエストを受けたり、お買い物に行ったりしていくうちにその思いや胸の高まりは消えるどころかどんどんと強くなっていって……」
話すシエナの顔が真っ赤になり、俺の手を握る力が強くなる。
俺の顔も真っ赤になる。自分の過去の発言が恥ずかしくて。
――いや、酒に酔っていたとはいえ、セリフが恥ずかしすぎるだろ!
絶対優しい顔とかじゃなくて『シエナはもう奴隷じゃない。今からは俺の家族だから、遠慮せずに過ごしてくれ。遠慮したら怒るからな?(キメ顔)』みたいなそんな感じで言ったに違いないぞ!
シエナがそれを見て、聞いて惚れてくれたから良かったものの、下手をしたらとんでもなく痛い奴になっていたかも知れない……本当にそれで俺の事を好きになってくれて良かった……
でも、まあ……ベロンベロンに酔っ払っていたとはいえ、シラフのときの俺と考えていることに大した違いがないことに関しては、誇るべきことだろう。セリフが痛すぎるが。
「そ、そうか……」
「……はい……」
なんか分からんが気まずい雰囲気になってしまった。
まあ、いつ、どこで好きになったのかなんて聞いたらこういう感じになるのかもしれない。
照れ隠しでシエナの手を優しくニギニギとしていると、
「エリック様は、いつ私のことを好きになってくださったのですか?」
お返しとばかりに彼女が俺の目をじっと見つめて聞いてきた。
「……一目惚れだ」
「一目惚れ……?」
恥ずかしくてシエナの目を見れないので、明後日の方向を向きながらさっき考えていたことを話す。
「朝起きて、目を開けて、シエナが目に写ったときに惚れた。記憶がないけど、奴隷市場でも同じように一目惚れをした……と思う。今までの行動がアレだから想像がつかないかもしれないが、普段は節約家なんだ。そんな奴が金貨三千枚を叩いたり、シエナの服、防具、武器を一切妥協せず最高級のものを買え揃えたんだぞ? 金額で愛を語るなんておかしいかもしれないが、俺がどれだけシエナのことを思っているか、分かってほしい。例え一目惚れということが信じられなくても、俺がシエナのことを愛しているというのは事実だ」
最初は恥ずかしかったが、途中から吹っ切れてシエナの目を見て、言わなくてもいいことまでペラペラと話してしまった。
言い終わって『また恥ずかしいことを……』と頭を抱えそうになっていると、シエナが俺の体に上から抱きついてきた。
彼女の柔らかい感触が脳を刺激してくる。
「……エリック様の言うことを疑うなんてことはしません。嬉しいです。そんなに愛していただいていたなんて……本当に……嬉しいです……」
シエナが目を閉じて、嬉しそうに顔をスリスリと俺の胸にこすり付けてくる。
彼女のサラサラな髪と肌が俺を悟りタイムから引き上げてくれる。
……安らかな気持ちになるぅ……というか……疲れからか眠気が……
しばらくの間、じゃれてくるシエナの頭をゆっくり撫でていると……いよいよ睡魔が本格的に俺を襲ってきて……俺はシエナと重なり合いながら夢の世界へと旅立っていった。