ユニークスキルのせいでモテない俺は、酔っ払った勢いで奴隷を買いました。 作:☆あきつしま☆
シエナから過去の話を聞いた後。
彼女の望んだ通りいつもどおりの俺たちに戻り、色々と準備をした後二人でクエストを受けるためにギルドへと向かった。
本当は昨日受けるつもりだったのだが、ヤりすぎて丸一日寝てしまって……というような感じだ。
まあ、『大事に大事をとって様子を見ていました』と言えば怪しがられないだろう。
ギルドの建物の中に入って受付場のソフィアの元へと行く。
今日も今日とて掲示板の前では殴り合いなどが起きている。
俺も昔はその戦場で戦っていたのだが……S級ランクの特権として、ギルド長からクエストを斡旋してもらえるので、掲示板でクエストを命がけで取る、という行為はしなくてよくなったのだ。
「おはよう、ソフィア。早速で悪いがミラさんが用意してくれていると思うクエストを受けたいんだが」
「エリックさん、シエナさん、おはようございます! ええ、ミラさんからは確かにクエストを受け取っていますよ。はい、これです」
ソフィアがクエスト用紙を渡してきた。
内容を読んでみると……ふむ。小型モンスターであるウサッギの討伐か。動きが早いから中々攻撃が当たらないが、ウサッギは攻撃力がほとんど無いに等しい。
もしもダメージを負ったとしても全く問題がないレベルだな。簡単なクエストだからシエナには『ダメージ無効化』が付与されていない服を着させていたが……これなら大丈夫そうだ。
「よし、じゃあこのクエストを受注するよ」
「まいどありー!」
ということで、受付場でもろもろ記入して俺たちはクエストへと出発した。
「さあ、シエナ。今回は冒険者になってから初めてのクエストだが……討伐対象のモンスターは弱い。正直言ってユニークスキルの使用なんてしなくても簡単に討伐できる」
街のすぐ近くの森を歩きながらウサッギを探すついでにシエナに今回のクエストについての話をする。
「そうなんですね。確かに討伐難易度は『簡単』と書いていました」
「そう。モンスターの討伐難易度は上から『死』、『高難易度』、『中難易度』、『低難易度』、『簡単』の五つだ。今回はその『簡単』に当たる。ただ、前にも言ったかも知れないが、イレギュラーというものが発生する可能性がはある。『簡単』だからといって『高難易度』レベルのモンスターが出てこないとは限らないんだ」
俺も何度もそんな状況に遭遇したことがある。
一番ひどかったのは『中難易度』モンスターを討伐するクエストを受けていた時に『死』レベルのモンスターが出てきたことだろう。
あの時は全速力で逃げて……なんとか生き延びたが……もうあんな経験は二度とゴメンだ。
「ちなみに討伐難易度『死』というのは、具体的にどんなモンスターになるのですか?」
まあ……気になるよな。
俺は歩きながら説明をする。
「そうだな……例えばドラゴンとか、突然変異してとてつもなく巨大化した『高難易度』モンスターとか色々あるぞ。ただ、モンスターの種類というよりかは新種のモンスターとか、そういうのに討伐難易度『死』というものが振り分けられるかな。モンスターの情報が無いから文字通り『死』の覚悟を持ってクエストを受けろ、みたいな」
「なるほど……」
ドラゴンとかはよく絵本などに出てくるからシエナも知っていたのだろう。特にモンスターの種類に対して質問をしてこなかったからな。
「まあ、『死』レベルのクエストなんて滅多に出てこないし、俺達とは無関係な話だよ」
「そうなんですね。ちょっと安心しました……」
後ろに少し視線を向けてみるとシエナは安堵した表情をしていた。
……可愛い……
その後もクエストについて色々シエナの質問に答えていると……ウサッギを発見した。
俺たちは近くの茂みに隠れて様子を見る。
(エリック様。なんで隠れているのですか?)
シエナが小声で質問をしてくる。
疑問に思ったことはすぐに聞いてくる。良い心がけだ。
ウサッギからは視線を外さずに彼女の疑問に答える。
(あのモンスターの動きが早いことはさっき言った思う。それともう一つ特徴があってな。物凄く警戒心が強いんだ。俺達の姿を見た途端、目にも留まらぬ速さで逃げていってしまう。そうなれば流石に追えないからな。というわけで茂みに隠れて遠距離から……ブスリ、というわけだ)
(なるほど。ウサッギは動物のうさぎと見た目、大きさ、警戒心の強さなどほとんど同じなのですね)
(そうだな。まあ、うさぎより何倍もめんどくさいモンスターだが)
話を終え、俺は腰に下げていた巾着袋の中から状態異常回復ポーションを取り出す。
(エリック様、それは?)
(これは体の状態異常を回復してくれる薬だ。今から俺がユニークスキルを使う。シエナもそれと同時にスキルを使ってほしいんだが、シエナのスキルの副作用で自分が『発情』してしまうからな。それを防ぐためにスキルを使ったのと同時にこれを飲むんだ。分かったか?)
(分かりました)
シエナが状態異常回復ポーションを受け取る。
これで発情することは無いはずだ。まあ、最悪収まらなかったらあの黒い液体も持ってきているから……それを飲まそう。
シエナにユニークスキル発動の合図を知らせて……俺は全身の筋力強化をする。
シエナも俺と同時に発動し……ポーションを一気に飲む。
少し彼女の様子を見ていたが……発情はしていないようだ。やはり、状態回復ポーションの効果によってシエナは発情しなくなるらしいな。
大丈夫なことを確認したので、俺は上着の裏にぶら下げていたナイフを一本右手に取って……勢いよく投げた。
ウサッギと俺達の距離は三十メートル。普通なら届かないし命中もしない距離だが、筋力強化した俺は……見事命中させてウサッギ一匹を絶命させた。
(凄いです! この距離から当てるなんて……!)
(まあ、何度もやっているからな)
シエナがめちゃくちゃ褒めてくるから恥ずかしい。
俺は顔を若干赤くしながら立ち上がって、ウサッギの元まで行く。
スキルは茂みから出てくる時にシエナ共々解除している。
ずっと発動することも出来るが、副作用の他に体への負担があり疲れやすくなるので常時発動することはめったに無いのだ。
俺はウサッギを確実に仕留めたことを確認してから、モンスターに刺さったナイフを抜き取り……血をふき取ってから上着の内ポケットに仕舞う。
「こんな感じでウサッギは討伐していくんだ。シエナにも次やってもらうからな」
「え!? そんな急に出来るものなのですか!? エリック様みたいなことを出来る気がしないのですが……」
「いや、俺と同じ手段では無理だな。シエナにはシエナ、ヒーラーにはヒーラーのやり方がある。それを教えるから……んしょっ。次のウサッギを探すぞ」
絶命して地面に横たわっているウサッギを背中に背負っていたカゴに放り込む。
今回のクエストはウサッギの討伐。ただし、このモンスターの肉はめちゃくちゃ美味いことで有名なのだ。
シエナにその事を言ったら最初は『可愛そうです……』と言っていたのだが、美味さを力説していたら『食べてみたいです!』と乗り気になってくれた。
シエナ、なにげに食に関しても興味津々だもんな。
俺とシエナは次のウサッギを見つけるために再度森の中を歩き始めた。