ユニークスキルのせいでモテない俺は、酔っ払った勢いで奴隷を買いました。 作:☆あきつしま☆
ギルドの受付場に行き、ソフィアにクエストの完了を伝えて報酬を貰う。
「えーっと、今回は銅貨十枚ですね。……っと、ご確認下さい」
ソフィアがカウンターに置いた袋からジャリ、という軽い音が聞こえる。
中を確認すると……十枚きっちりとあった。
「……少ないなぁ……もうちょっとくれないの?」
「仕方ないじゃないですか。クエスト内容はシエナさんに合わせた初心者用のものですし。でも、その代わり! 今日は……この四匹のウサッギをミラさんが料理してくれるらしいですよ! 楽しみですね!」
ソフィアがよだれを垂らしながら話してくる。
……?
「何の話だ?」
「……エリックさん。クエスト用紙をちゃんと見ましたか? ……ほら、ここ。ここを見てください」
ソフィアが指をコンコンとしているところに視線を向けると……そこにはミラさんの字で『今日の晩は予定を開けておくこと! 四の五の言わずにギルドの受付場で待ってなさい!』と書いていた。
「エリックさん。まさかS級ランクの冒険者である人がクエストの内容を隅々まで確認していない、なんてことはないですよね……?」
ジト目でソフィアが俺を見てくる。
「……今度からは気をつける」
「まあ、良いでしょう。シエナさん。エリックさんって結構雑な所あるので気をつけてくださいね?」
「は、はい!」
シエナが任されました、みたいな顔で返事をする。
……まあ、雑というか抜けているところはあるかも知れないが……
なんとも釈然としないような気持ちでいると、ミラさんが俺達のもとにやってきた。
「クエストは終わったの?」
「はい、今エリックさん達が帰ってきたところです。どうしますか?」
「……じゃあソフィアは早退していいからエリックの家に先に行ってて頂戴。今日は人も少ないし。私は残りの仕事を片付けてからすぐに行くから」
「あのー、俺の家を使う許可は出してーー」
「じゃあ、そういうことだからまた後でね」
ミラさんはピューというふうにギルド長室に戻っていってしまった。
……いや、別にいいんだけど……もうちょっと前に教えてもらいたかったと言うか……まあいいか。
しばらく後。ソフィアが受付嬢の服から私服に着替えて受付場周辺で待機していた俺達と合流し、ウサッギを持って俺の家へと向かった。
「おじゃましまーす!」
ソフィアが先陣を切って俺の家に上がる。
「……お前なぁ……いや、良いんだけどさ。俺以外の人のところではもうちょっと遠慮しろよ?」
俺は若干の小言を挟む。しかし、ソフィアは『あーい』と言うだけで勝手にズカズカと先に行ってしまう。
彼女は何度も俺の家に遊びに来ている常連客だ。
まあ、大抵は酒に酔っ払ったソフィアが俺の家に転がり込んでくる、というような感じなのだが。
俺達も家に上がって彼女の後を追う。
「ぶはぁっ! いやー、早退した後のお酒は格別に美味しいですね! ほらエリックさん、見ていて下さい! 瓶を二本持ちしてからの〜一気飲み! グボボボボボオボボボボ……おぇっ……ごほっ……ごほっ……や゛ばい゛……き゛がん゛に゛ばい゛っだ……」
ソフィアは俺達の家のダイニングに行って椅子に座るなり、帰宅途中に買ってきた大量の酒を一人で飲み始めた。
宴会芸みたいなことをして失敗するわ、床は酒でびちょびちょにするわ、で家を汚すの早すぎだろ。
ソフィアの背中を擦ってやりながら落ち着かせる。
「おい、大丈夫か? 特に頭が大丈夫か?」
「エリックさん。失礼ですよ! いつもいつもこんな感じじゃないですか!」
「いや、それじゃ俺の言葉を否定できていないが。まあ、はしゃぐのは分かるが……ミラさんが来ていないのに酒なんて飲んでたら怒られるかもしれないぞ?」
「大丈夫です! ミラさんには『お酒飲んで待ってます!』って言ってきましたから!」
「返事は?」
「聞いていません!」
こめかみを押さえる。
まあ、こんなことで怒るミラさんではないが……こいつは酔っ払うと色々と面倒くさいからなぁ……まあ、酒には強いので中々酔っ払わないんだけど。
酒を再び飲み始めたソフィアは放置することにして、キッチンにいるシエナの元に行く。
彼女はウサッギの血抜きをしていた。
「あ、エリック様! 勝手に処理をしているのですが、大丈夫でしょうか?」
俺に目を向けながら職人のような手さばきでウサッギの前準備をしている。
……一人で生活していたころに身に着けた技能なのだろう。
俺は感心した声を上げる。
「料理自体はミラさんがするけど、血抜きくらいだったら何も言わないはずだ。というか凄いな。料理人でもここまでの手さばきが出来る人は中々いないと思うぞ?」
「ありがとうございます。こういうのは慣れているんです。ただ……料理の腕はエリック様には敵いません。あんなに美味しい料理は今の私には作れませんから」
優しい笑顔で俺の料理を褒めてきてくれる。
……あ……やばい……股間がムクムクとしてきた。
ソフィアがいるけど……抱きつくくらいだったら大丈夫だよな? ダイニングからだと俺達の姿は見えないし、ここでヤリはしないから……
俺はシエナをじっと見つめる。
シエナも俺の目線に気がついて、手を止めて俺のことを見てくる。
彼女は手をパパっと洗ってから……笑顔で俺にギュッと抱きついてきた。
シエナ……お前……なんて空気の読めるやつなんだ……マジで可愛いんだが。
俺もシエナを抱き返そうとして自分の手を彼女の背中に回しているとーー
「エリックさん、おつまみが欲しいんですけーー」
「《サンダーボルト》!」
「うぎゃぁぁぁっっぁぁぁぁ…………ぁ」
「ソフィア様!?」
いきなりソフィアが現れたから勢い余って結構強めな魔術をぶちかましてしまった。
バタン、とソフィアが床に倒れたのを見てシエナが彼女に駆け寄る。
「エリック様! ソフィア様は大丈夫なのでしょうか!?」
「心配ない。一時的に気を失っているだけだ。まあ、このままじゃご飯を食べる前に泥酔しそうだったし、ちょうど良かっただろう」
「それなら……良かったのですが……次からは……人がいないところで……そういうことはしましょうね」
めっ! というような顔をする。
……いや、その顔と言い方も股間に悪いっす、シエナさん。