ユニークスキルのせいでモテない俺は、酔っ払った勢いで奴隷を買いました。 作:☆あきつしま☆
ミラさんが作ってくれた料理を堪能した後。
彼女がお酒のおつまみをキッチンから持ってきてくれた。
「ミラさん、気が利くじゃないですか〜! 流石、ギルド長ですね!」
「ソフィアにそう言われると、パシリに使われているのようで嫌だわ」
ミラさんが若干しかめっ面をしながらおつまみを置いて俺の隣に座る。
それからすぐにソフィアがおつまみをポポイと口の中に運んでいるのを見て、俺も頂くことにした。
「……うん、おつまみも美味しいですね。少し濃い目の味付けで、お酒に合うように作っているのが分かります」
「ですね! 凄く美味しいです」
シエナもパクパクとおつまみを食べながら俺の意見に賛同してくる。
……シエナ、見た目の割に沢山ご飯食べるよな。
いや、笑顔で食べるから物凄く見てるこっちは幸せな気持ちになるんだけど……おつまみはそんなにパクパク食べるものじゃないぞ……?
シエナに『おつまみはお酒を一緒に味わうのが一番美味しい食べ方なんだ』と言って彼女の食べるスピードを押さえる。
それからは俺とシエナ、ソフィアの三人がお酒をグビグビと飲んで、ミラさんはジュースなどを飲む、といった流れになった。
二時間後。
ソフィアは『お酒でお腹もタプタプになりましたし、今日はもう寝ますね』と言って俺の寝室へと行き、シエナも『じゃあ私も寝ますね』と言って俺の部屋へと入っていった。
……二人共ツッコミ待ちなのか? 『そこは俺の部屋だぞ』と言えばいいのか?
まあ……見られて困るような物は置いてないし、今日のところは好きなようにさせてやろう。
俺はダイニングへと戻り、ミラさんと二人きりで晩酌をする。
「ミラさん。二人共いなくなりましたし、お酒飲んだらどうですか?」
最初は大量に置いてあった酒瓶も、今はほとんどが空き瓶になって机の上に置かれていた。
彼女はあるお酒に目を留めていたが……飲もうとはしない。
「この家の中にはソフィアとシエナさんがいるじゃない。私がお酒を飲んだらどうなるか、知っているでしょ?」
ミラさんが『絶対に飲まないから』と言うような感じであいも変わらずジュースを飲む。
彼女は酒に弱い。そして、酔うと……とんでもないくらい甘えん坊さんになる。
ただし、甘えていた時の記憶は残るらしく、酔いが覚めるといつも自己嫌悪に陥るらしい。
といっても、ミラさんがお酒を飲むのは俺と二人きりのときだけで、それ以外の時は絶対にお酒は飲まないという話だ。
今日も二人きりになってから甘えん坊モードの彼女を楽しもうかと思っていたのだが……
「……まあ、そこまで固い意思なら無理強いはしません。お酒は楽しく飲むものですし」
「そういうこと。というか、お酒は一人の時にしか飲まないってついこの間決めたのよ」
ミラさんはそう言いながらも机の端っこにあるお酒を凝視している。
……ふむ。これは飲みたいが、俺がいるのとソフィアやシエナが部屋から出てくるかも知れないという不安で飲めないとなっている感じか。
「ミラさん。二人共俺と別れるなりすぐに寝息立てて寝始めたので起きてこないと思いますよ? それに俺もそろそろ寝ようかと思ってまして。なので、俺がダイニングを出たら気兼ねなく一人でお酒を飲んでーー」
「ちょ、ちょっと! せっかくエリックと二人きりになれて楽しくなってきたのに、そんな私を置いて自分は寝るっていうの!?」
ミラさんが立ち上がろうとする俺の腕をぎゅっと掴んできた。
な、なんて可愛いーーっていだだだだだだっ! 力強すぎっ! 折れる折れる!
「わ、分かりました。ここにもう少しここに居ますから手を離して下さい!」
「……少しじゃ嫌」
くそっ! 可愛いが腕が痛くてミラさんの可愛さを堪能できん!
「じゃあミラさんの気が済むまでここに居ますから!」
「…………本当?」
「本当です」
ミラさんがようやく手を離してくれた。
……掴まれた場所が内出血したが……まあ、いいや。
というか、酒が入っていないのにえらく甘えてきたな。可愛い。
俺は浮かせた腰を再度椅子に下ろし、無言でお酒を煽る。
ミラさんもジュースをちびちび飲みはするが無言だ。
何か話題を振ったほうが良さそうだな。
「……そうえいばシエナですけど、将来有望な冒険者になりそうですよ。飲み込みが早いですし、スキルも非常に貴重なものです。この様子だったらすぐにA級あたりまでは上り詰めてきそうです」
「それはいい話ね。強い冒険者が増えることは良いことだし。というか、エリックが直接面倒を見るんだから彼女は必ず強くなるわ」
ミラさんはなぜか誇らしげだ。まあ、俺もそう言われて悪い気などしないが。
『ですね』と言いながらお酒をコップに注ごうとしたのだが、切らしてしまったみたいだ。
残るお酒は……ミラさん見ていた酒瓶のみ。
まあ、ある程度残しておいたら後から持ち帰って飲むだろう。
というわけで、席を立ってその酒瓶を取り……自分のコップに注いで飲む。
……美味いな。なんというか女性が好きそうな感じのお酒だ。ミラさんの目はなかなかのものだったらしい。下戸なのに。
しかし……酒を飲む俺を凝視してくるのは止めていただきたいが。
しばらくその目線を無視して飲んでいると……ミラさんが無言でコップを俺に差し出してきた。
ミラさんの方を見ると……あごでクイッと『注げ』と言ってくる。