ユニークスキルのせいでモテない俺は、酔っ払った勢いで奴隷を買いました。 作:☆あきつしま☆
帰宅後。
「あの……わたくしはどこで寝たら……」
俺達が各々の部屋に向かおうとしたらメリッサがそんなことを言ってきた。
……そう言えばそうだ。彼女の部屋を決めないとだな。
「あー、俺の部屋の右隣が空いているからそこにしようかな。ただ、そこの部屋に寝るためのベッドとかそういうのは今はないから……うーん、寝具が届くまでは俺の部屋でーー」
「――私の部屋を使ってください。そちらのほうが安心して寝られるでしょうし。メリッサ様、今日は私の部屋で寝てくださいませんか?」
普段見ない気迫を見せながらメリッサに迫る。
……こういうシエナは初めて見たな。どうしても我を通したいことでもあるんだろうか?
メリッサは俺とは違って、彼女から何かを感じ取ったらしく、
「分かりました。エリック、お風呂を頂いた後は、今日は疲れたのでシエナさんのお部屋ですぐに寝させていただきますわ」
と言ってきた。
妙に物分りが良いな。まあ、いいか。
「おう、分かった。あと、今日からここはお前の家なんだから『お風呂を頂く』なんてそんな他人行儀なことは言わなくていい。すぐに風呂を沸かしてやるから入ってこい」
「……あぁ……こういうところも……好きですわぁ……」
またもや惚けたような顔をして好き好きモードに入ったので『俺は準備してくるから』と言ってこの場から逃げた。
まあ、シエナと二人きりにしても大丈夫だろう。というか、大丈夫になってもらわないと困る。
三十分後。お風呂が沸いたのでメリッサには一番風呂に入ってもらい、ラフな格好に着替えた俺とシエナは居間でゆっくりとくつろぐ。
しばらくはシエナの隣に座って無言で彼女との時間を楽しんでいたのだが、ふとある疑問が頭をよぎったので彼女に聞いてみることにした。
「そういえば、さっきはなんで俺の言葉を遮ってまでシエナの部屋でメリッサを寝させようとしたんだ?」
すると……シエナは頬を膨らませて、少し怒っていますよ、というアピールをしてきた。
「何かシエナの嫌がることを知らない間にしてしまったか……?」
「……しました。エリック様は私に何かをしました。それはなんだと思いますか?」
おっと出てしまった。女性の『なんで怒っているか分かる?』という質問。
選択肢を間違えると怒りが爆発してしばらく口を利いてもらえなくなるやつだ。
ミラさんの時は『こういう質問苦手なもんで、いつもよく間違えるんですよ、あははは』と茶化したら失敗した。
つまりは、今回はそれ以外の回答をしなければいけないということになる。
何故怒っているか……か……
「メリッサが俺の部屋で寝るのが嫌だったとか……?」
「…………それも少しはありますが、それでは不正解です。あと二回までは不正解でも怒りません」
珍しく強気だな……こういうシエナもいいものだが、やはりいつもの彼女に戻って欲しい。
というわけで二回目の回答を考える。
うーん……
「……男臭い俺の部屋にメリッサを放り込むことがーー」
「違います。あと、男臭くなんてありません。落ち着くいい匂いです。あと一回ですよ?」
……いや、照れますなぁ……じゃなくて。シエナがあと一回でプツンと切れてしまう!
くそっ、何も思いつかん! さっきのシエナの褒め言葉で息子が反応してしまって……ん? 息子……?
そういえば、ワイアットのお店でシエナにキスをした時に『続きは家に帰ってから』とか言われたな……
もしかして……それか……?
一か八かでそれを言ってみることにする。
「えーっと……今日は……そのー……夜に……あー……ふ、二人で……」
「夜に、二人で?」
「なんと言いますか……うー……ひ、ひひ久しぶりに……」
「久しぶりに……?」
シエナが俺の右手を両手で握ってくる。あ……ああ……ああああ……
「え、エッチ……したかったから……とか……?」
いや、これで外れたら俺ただの変態じゃん! まずい、非常にまずいことを言ってしまったかもーー
「……正解です。もう……忘れていたんですか? あんなにあの時は私を求めてきてくださったのに……それに、初夜以降一度も私を抱いていただけませんでしたし……私は毎晩でもしたいくらいなのに……」
手を離し、彼女は俺の太ももを下から上へと撫でてくる。
……なんか……エロい仕草というか……男を興奮させるの上手くね?
体をビクビクとさせながら彼女に言葉を返す。
「い、いや……それは……あまり求めすぎると嫌がると思って……それに……本当に毎晩毎晩シテたら、抑えが効かなくなりそうで……」
「……抑えなくてもいいんですよ……? 私は求められたら絶対に答えますから……エリック様がどうしてもって仰るなら、人前でだって……いいんですよ?」
息子に触るか触らないかという絶妙な感じで俺の股間付近を撫でてくる。
くっ……今はメリッサがお風呂に入っているんだ。ここで欲望を開放するのはまだ早すぎる。せめて、彼女がシエナの部屋に入ってからじゃないと……
「な、なあ……こういう……行為って……どこで覚えたんだ?」
なんとか理性を保つために彼女とお喋りをする。
「……ナイショです」
はぐらかされてしまって、会話が途切れてしまう。
やばい……シエナがどんどんエッチな顔になってきているし……触る箇所は際どくて息子はビンビンに反応しているし……このままだと本当に……
手が出る……! と思った瞬間、
「寝間着は脱衣所に用意されていた服をお借りしま……した……わ……」
「あ……」
居間に俺の服を着た風呂上がりのメリッサが入ってきて、俺の息子とメリッサの視線がかち合う。
シエナはと言うと、さっきまで股間あたりを触っていた手は自分のところに戻し、顔もいつもどおりの彼女の顔へと戻っていた。
切り替え早すぎないですか……? 俺の息子もそういう風にすぐに小さくなるとか出来ないかな……
そんなことを思って現実逃避を始めようとしていた俺の脳だったが、これでは不味いと現実に無理やり引き戻し、メリッサに声をかける。
「……意外と早かったな」
「…………は、はい。でも三十分は入ってますし……しっかりと体も洗いましたし……ゆっくりと……お風呂には入られたかなと……思います……」
あぁ……! メリッサが敬語モードに……! しかも、彼女の目線が自己主張の激しい息子に釘付けになってるし……!
「その……これはそういう理由ではなくてな? 生理現象と言うか、なんというか。事故みたいなもので、決して俺がこうしたくてこうしているわけではなくてだな」
「…………」
口をパクパクしながら凝視するだけで、何も反応を返してこない。
……おいおい、どういう気持ちで俺の息子を見ていると言うんだい?
お互い無言で固まっていると、シエナが助け舟を出してきた。
「メリッサ様。今日はもう遅いですし、疲れていらっしゃると思うので、私達のことは気にせずに私の部屋でお休みになられて下さい。ベッドはふかふかなので、それはもうぐっすりと安眠していただけるかと」
「えっ……あっ……そうですわね! わたくしはクタクタに疲れていますし、もうそろそろ寝るとしますわ! 朝まで何が起きても絶対に起きないと思うので、その……お、お先に失礼します! ですの!」
ペコッ、とものすごい勢いで頭を下げて、シエナの部屋へと駆け込んでいった。
残された俺とシエナの間に沈黙が流れる。
気まずい……非常に、気まずい……
メリッサから実質的な『私に気にせずヤってください』というような言葉を言われたから、変に意識してしまって……言葉が出てこない……
男なのにモジモジしているとシエナが立ち上がって俺の手を引っ張ってきた。
「エリック様。まずはお風呂に入りましょう」
……確かに、それもそうだな。ヤル前に、まずはお風呂に入って体を綺麗にしないと。
俺は頷き、風呂場へと向かった。