ユニークスキルのせいでモテない俺は、酔っ払った勢いで奴隷を買いました。 作:☆あきつしま☆
「……なあ、お前達。俺は目が覚めたばかりで意味が分からないんだが、この状況はなんなんだ?」
なんだか全身から柔らかい感触を感じると思いつつ目を開けると、シエナ、メリッサ、そしてスズナまでもが素っ裸で俺に抱きついてきていたのだ。気絶して初めて目に入ってきた光景がこれだからな? 俺の第一声の困惑具合がわかると思う。いや、分かってくれ。
「……おはようございます、エリック様。これは決してやましいことをしていたわけではなくてですね……いえ、何もしていないというのは嘘になると言いますか……少しお体を使わせてもらったのですが……」
「……シエナ。それ以上は何も言うな。俺が聞いてはいけないことのような気がする。その部分は省いて、何をしていたのか言ってくれ」
「エリックは中々難しいことを言うんですのね。では、わたくしから簡潔に言って差し上げますわ。落ち着いて聞くんですのよ? エリック、あなたの体には……呪いがかけられているんですの」
メリッサが深刻そうな顔でそう告げてくる。
……呪い? なんだそれ? いや、呪いという単語の意味は分かるが……
「どういう呪いなんだ?」
「……その……一ヶ月後に死ぬ……という……」
ほう、それはそれは凄い呪いだな。流石はドラゴン。ただでは帰してくれなかったらしい。
まあ、俺は冒険者として常に死ぬ覚悟というか危険性は理解しているつもりだから、こういうことを言われてもショックはさほどない。
冷静な頭のまま、気になっていることを聞いていく。
「いつどこでそんな呪いをかけられたんだ? 大方予想はついているが……お前たちの意見が知りたい」
「多分やけど、あのドラゴンブレスをもろに食らった時やと思うで。あれはただの高温な炎ではなく、呪いも混じっていたんとちゃうか? ほんま……厄介な敵やで」
……そうか。やはりそうなるか。
まあ、それは分かった。分かったが……
「……ところで、なんでお前達は全裸なんだ? というか、俺もよく見たら全裸だし……」
「私達はご主人様の呪いをなんとか解呪しようとしていたのです。運が良いことにメリッサ様が呪いに詳しかったので、色々試してみたのですが……」
「でも、わたくしが知っている一番強力な解呪方法である『うら若き女性が三日三晩、呪われている人と肌を重ねて、神に祈る』ということを三人がかりでしても呪いは消えませんでしたの……。まあ、この状況はその解呪を実践していたというところですわね」
なんだか解呪方法がおかしいとは思ったが……俺のために色々してくれていたみたいだ。ちゃんと感謝しないとな。
「俺を助けようとしてくれてありがとうな。呪いは消えていないんだろうが、あと一ヶ月あるんだろ? ならなんとかなるさ。というか、呪いについて全く知識はないが、どうせ『呪いを付与したドラゴンを倒したら勝手に解呪される』とかそんな感じだろ?」
「よ、よく分かりましたわね……。そのとおりですわ。ドラゴンを倒せば呪いは消えるはず。ですが……」
メリッサが暗い顔をする。
まあ……言うほど簡単じゃないよなー。この前はドラゴンから逃げていただけだったが、仮にまともに戦ったとしても勝てる気がしない。というか、勝ち目が無いと思ったから逃げていたんだし。
今のままだと、この世界にいるS級ランクの冒険者を全員集めても……どうなんだろう、というような感じだ。
「……今はそこを気にしても仕方がない。どのみち、あのドラゴンを倒さないと俺達の未来はないんだ。まずはミラさんにドラゴンの居場所について報告する! きっとあの人だったらなんとかしてくれるさ。な?」
シエナとメリッサは涙目になりながらもコクコクと頷いてくれる。愛する彼女たちがいる限り、俺は死ぬわけにはいかないのだ。
俺の体を挟むように抱きついてきている二人の頭を撫でながら、お次に微笑ましいものを見るような目を向けてきていたスズナに話を向けることにする。というか……まじで胸でかいな。彼女、俺の体に上から覆いかぶさるような感じで抱きついてきているんだが……見た目と感触が本当に凄まじいわ。
「で、スズナ。シエナとメリッサは俺の嫁だから解呪のために肌を重ねるのも分かるが……お前は出会ったばっかりだろ? 無理して付き合わなくても誰も文句は言わなかったと思うんだが?」
「……ウチを助けようとしたせいで、エリックはドラゴンに目を付けられて呪いをうけたんやで? この中でウチが一番責任を感じているんや。それに……ウチも君に死なれたら嫌というか悲しいと言うか……とにかく! ウチが自分で考えてエリックと肌を重ねたんや! やから気にせんでええの! ……というか……あまり……追求せんといて……恥ずかしいねん……」
スズナは俺の胸に真っ赤になった顔を埋めながら、なんとも意味ありげ? な発言をしてくる。
俺はこれになんと反応していいのか分からなくなって頬をポリポリと掻くが……すぐに彼女に言うべきことがあるのを思い出したので、その話をすることにした。
「……まあ、なんだ。お前が気にする必要はない。俺が勝手にスズナを助けて勝手に怪我して呪われただけだ。だから俺のことは気にせずに、自分が元いたパーティーとか街に帰ってくれていいからな? おそらく仲間とかかなり心配しているだろうし……早く会いに行ってあげたほうが良い。馬車を借りるお金が無いなら俺が不足分を出すから。な? 善は急げだ。明日にはここを出立して――」
「え!? 今の流れでそんな話になるんかいな!? おかしない!? ウチ、あんたの傍を離れる雰囲気一切出していなかったんやけど! むしろ、傍にいますよアピールしていたんやけど! もしかして、ウチ……エリックに厄介者って思われてたん!?」
「エリック様、今のは無いです。流石の私もこれには擁護できません」
「……エリックのたまに見せるこのポンコツ具合、これも一種の『呪い』かもですわね。まあ、悪気が無いというのは分かるのですが……」
スズナは涙目、シエナとメリッサは俺にジト目を向けてくるという四面楚歌状態に陥る。
……俺はただ、スズナのためを思ってあの提案をしただけなんだが……