ユニークスキルのせいでモテない俺は、酔っ払った勢いで奴隷を買いました。 作:☆あきつしま☆
「ウチ……勇者なのにモンスターに攻撃が出来ひんらしいねん」
スズナが体を縮こませながらそう言ってくる。
……モンスターに攻撃が出来ない……?
「あー……それはあれか? モンスターが可愛そうだから攻撃できないとか、さっきからちょくちょく出てきている女神様から直接力を貰わないと攻撃できないとか、そういうことか?」
「違うねん。えーっと、ウチがこの世界に転移する時に、女神様から何か一つすごい能力を授けてもらえることになったんやけどな? そこでウチは『不死身』という能力を選んだんや。この能力のおかげでウチは絶対に死なない体を手に入れられたっちゅうわけやな。まあ、怪我とかはするけど、ものすごい回復力ですぐに治るらしい、というか治ったし問題はないで。あと、この世界にはユニークスキルとそれの副作用みたいのがあるんやろ? そういうものの影響を一切受けないという能力もおまけで授けてくれたで」
ほえー、なんかすごいなぁー。
というか、自分であれがいい、これがいいって選べるのめちゃくちゃいいじゃん。俺もそんなことが出来るんだったら『ありとあらゆる敵を薙ぎ払うことが出来る能力』みたいなものを選ぶのに。
まあ、ないものねだりをするのは無駄だということは知っているので、『なるほどなるほど』と言って相槌を打つのに留めておく。
「でな? その能力を授かった後に、女神様から『そういえば、伝え忘れてたけど……』とか言われてな? 『不死身』の代償みたいなことを伝えられたんや。その内容が『どんな攻撃を受けても死なない代わり、モンスターには一切攻撃出来ない。ダメージを与えることが出来ない』というものやったんや。伝えんの遅いと思わん? ウチ、能力を受け取っちゃった後やったんやで? 返品不可能とか言われて発狂しそうになったわ」
スズナが愚痴をこぼす。
たしかに遅いな。とんでもない代償なのに、それを『忘れてたけど』で済ますのはどうかと思う。でも、その代償をもってしても破格の能力ではあるだろう。だって死なないんだから。いや、死ねないとも言えるかもだが……
しかし、スズナは何を思って『不死身』という能力を選んだのだろうか? 少し気になるな……。
というわけで、彼女の気持ちを尊重しながら『嫌なら言わなくて良いんだけど、なんでその能力を選んだんだ?』と聞いてみる。すると、スズナは少し恥ずかしそうに顔を赤らめたが……その『理由』とやらを教えてきてくれた。
「その……ウチの世界にはラノベというものがあってな? 色々なタイプの主人公が色々なことをして物語が展開されていくんやけど……ウチ、主人公が無双する物語が好きやったんや」
……無双……なるほど……。
「で、女神様に異世界転移するのにあたって何か一つだけ能力を授けてあげます、とか言われたら、そりゃもう無双できる能力を選ぶやろ!? 自分が物語の主人公になれるんやで!? というか、ラノベのシチュエーションのまんまやったし、無双以外ありえんって感じ!」
先程の恥ずかしそうにしていたスズナとは一変。どんどん興奮して俺に詰め寄ってくる。
俺は彼女の勢いに若干腰が引けながらも『そ、そうか……』と相づちを打つ。
スズナは『そういうもんなんや!』と言いながら話を続ける。
「まあ、そういうわけで女神様から提案された能力を色々と精査して、最終的に『不死身』の能力を選んだわけや。実を言うと、もっと無双するのに相応しい能力もあったんやけど……どの能力も『死ぬリスク』がつきまとってたから……やめたんや。死んだら元も子も無いから……。せやけど『不死身』やったら死なんし、死なんということはゲームみたいな無茶をしての練度上げとかレベル上げが出来るやん! って思ったし、実際そうするつもりやったんやけど……女神様の遅い忠告、というか注意で……夢は儚く散ったってわけやな。……ほんまあの女神……次会ったらまじではっ倒したるわ……」
『話が色々ずれたけど、これが『不死身』を選んだ理由やで』と言ってスズナは話を終えた。
ふむ。中々に面白い話だった。要約すると『無双をしたかったからその能力を選んだけど、代償のせいで夢のまた夢となった』ということだろう。
俺がスズナだったら『次会ったらはっ倒す』ではなくて、『今すぐなんとしてでも会いに行って殴りかかる』と思うが。彼女は優しい心を持っているのだろう。
しかし、こんなテキトウな人が『女神様』とか……色々と大丈夫なのだろうか……?
『女神様』がどういう存在なのかいまいち分かっていなかったが、少し不安になる俺であった。
その後。俺とスズナの話が一区切りついたところで、黙って聞いていたシエナとメリッサが彼女に『異世界とはどういうところなのか?』ということを聞きまくり……三人は異常な盛り上がりを見せた。
まあ、最初は俺も彼女たちの話に耳を傾けて楽しんでいたのだが……どっかのタイミングで変な方向に行ってしまったのだろう。どんどん彼女たちの会話が猥談じみたものへと変わっていき……ついに俺は耳を塞ぐ羽目になった。
彼女たちがするエッチな話に興味がないわけではないのだ。でも……そんなの聞いたら耐えられなくなるだろ!
結局、彼女たちは俺が強制的に話を終わらせるまで三時間以上エチエチな会話をし続けていた。
なんでそんなに話が続くのか謎である。というか、そういう話をしているときに、チラチラと俺をエッチな目つきで見てくるのは止めていただきたいんですけど! 息子に悪いからさ!
色々アプアプになっていた俺であったが、明日にはこの街を出立したいと考えていたので、この後は街に繰り出して必要な物資を買い、四人でいい感じのお店に入って夕飯を食べたりして一日を終えた。