ユニークスキルのせいでモテない俺は、酔っ払った勢いで奴隷を買いました。 作:☆あきつしま☆
クエストに出発したのが十時頃で、モンスターを討伐するまで全く時間がかからなかったので、ちょうどご飯時に帰ってくることが出来た。
まあ、食べるのはクエストの報告をしに行ってからだが。
街は今からご飯を食べようと店を物色する人で賑わっていた。
このアルメルドには強者の冒険者が多い。つまり……ある程度懐が潤っている人が多いわけで。いい体を作るのに欠かせない食べ物に関してはかなりうるさい人が結構たくさんいる。
まあ、何が言いたいかと言うと、この街の食事処は値段が高いが、その代わり値段以上の料理が出てきて、めちゃくちゃ美味いというわけだ。
俺もこの街へ来てから舌が肥えてしまって、もう他の街の食べ物は食べられないと思うほどである。
シエナも、きっと満足してくれることだろう。
ギルドに向かう途中、いつものごとく厳しい目線を女性冒険者から受けたが、今の状況もいいのかも知れない。
いや、良くはないんだが……なんというか、とても美人なシエナと一緒に俺が歩いているのを周りが見て嫉妬している、みたいな構図じゃない? え? ポジティブすぎ?
数分後。ギルドに到着して、建物の中に入ると……人が全くおらず、ガランガランだった。
まあ、お昼時だということと、みんながクエストに出発したというダブルパンチが原因だろう。
受付場に行くと……ソフィアがご飯を食べていた。受付カウンターで。
「……なあ、流石にそれはまずいんじゃないか? 奥の休憩場に引っ込んで食べるとか、人が来ると思ってそうしているんだったら、少しは遠慮がちに食べるとかさぁ……」
『ごめんなさい』みたいな感じで食べているのではなく、彼女はもうそれはガツガツと食べていた。まるで、『ご飯を食べている私を見て!』と言っているようだ。
「えひっくさん。……んぐ。すみません。ご飯が口の中に残っていたので」
「いや、いいけどさ」
「リテイクをば。……エリックさん。私はですね。皆さんに匂い、そしてこのご飯の美味しさを少しでも分けて差し上げようとしてこのような行為をしているわけですよ。私だって皆さんに見られながら食べるのは恥ずかしいです。ええ、恥ずかしいですとも。ですが! 腹ペコになっている皆様に、少しでも満足していただけるようにですねーー」
「分かった。ソフィアの言い訳と気持ちは分かった。あと、お前に『羞恥心』というものがあるというのも分かった。まあ、俺には煽りにしか聞こえないし、見えないし、いつか冒険者に殴りかかられるとは思うが、まあ、頑張れ」
「別に煽ってなんかいないですよ? というか、乙女には誰だって羞恥心があるものなんです! いくら私が普段だらしない顔で受付場で寝ていたとしても、お酒を飲んで半裸状態になったとしても!」
……いや、俺の知らない情報まで出てきて、すっごいそれが気になるけど、そこに触れるととんでもないものも出てきそうなので止めておこう。
『そうかそうか』と話を終わらせて、本題に入る。
「クエスト完了したから報酬をくれ」
モンスターを倒した証として、オオカミ型モンスターの毛を数本差し出した。
クエストの報酬を受け取るには、討伐対象の例えば毛とか毛皮をギルドに提示する必要があるのだ。
「……はい。確認しました。では、これが……んしょ! 報酬です! 合計で……金貨五十枚ですね」
ドサッとカウンターに金貨が入った袋が置かれる。
いやー、低難易度高報酬のクエストはおいしいわー! もっと斡旋してくれていいんですよ? ミラさん。
ホクホク顔になっていると、シエナが袋の中身を見たそうにしていたので『中を見ていいぞ』と言って、見せてあげることにした。
彼女が慎重な手付きで袋を開けると……中には黄金に光り輝く金貨が詰まっていた。
「……こんなにたくさんの金貨を見たのは初めてです……」
シエナは感動したような声を出しながら金貨を眺める。
彼女の顔を見ると……なんか、あれだな。憧れのおもちゃをショーケースから見ているような、そんな感じがする。あぁー癒やされるぅー……
「凄いですよねー。今回の報酬額も低難易度としては中々のものなんですけど、高難易度クエストになってくると、金貨五百枚とか一回で稼いでしまう人もいるんですよ。まあ、命をかけて戦ってくれているので、それくらいの報酬は当然といえば当然なんですけど、羨ましいです」
「そうなんですね」
「ハハハハ! ソフィアよ、もっと羨ましがっても良いのだぞ?」
「……そういえば、エリックさんもこの前三百枚くらい貰っていましたね。でも、その顔はうざいです」
ジト目でソフィアが俺を見てきた。
朝の仕返しは出来たみたいだな。
しばらく後。シエナが『ありがとうございました』と言って金貨が入った袋を両手で大事そうに持って俺に渡してきた。
あぁー、金貨の重みと、彼女の尊敬の眼差しが相まって……何倍もこの報酬の価値が上がるのを感じる……
報酬も貰ったし、お腹も減ったのでそろそろご飯を食べに行くことにした。
「また明後日くらいにクエストを受けに来るよ」
「お待ちしてますね!」
「ありがとうございました」
ソフィアは俺たちに向けて手を振り、シエナはソフィアに対してお辞儀をしてから俺の後ろを付いてくる。
なんか、どっかの貴族とかそういう感じだな、今の一連の光景。
うん、なんか凄い幸せな気分になったわ。いいね!