ユニークスキルのせいでモテない俺は、酔っ払った勢いで奴隷を買いました。 作:☆あきつしま☆
俺はスズナに対して色々考えていたのだ。
誰とでも寝る人だったらこれからどう接していけば良いのか、意識がなかったとはいえ抱いてしまったことには変わりない彼女を今後どうしたらいいのか、そういうことを考えていたのだ。
大事なことを考えていたのだ。俺は真剣に考えていたのだ。
しかしながら、俺のこの思考は中断することになる。
シエナ、メリッサ、スズナが色々と話しちゃったせいでなにやらプルプルしだしたミラさんが席を突然お立ちになり、驚きの速さで俺の目の前に現れたと思ったらドラゴンを倒せると思うほど強力な腹パンをかましてきて、俺がものの見事にふっとばされたからだ。
さっきのビンタよりも飛距離があったんじゃないかな。だって、俺、ギルド長室の壁を突き破って廊下に排出されたからね。うん。
てか、まじで呪いにかかっているって分かっていても容赦ないんだな。まあ、俺的にはご褒美なので良いんですがね。
ただ、この後の展開は読める。ミラさんが我に返って『ごめんなさい! 私、つい手が出てしまって……エリック……大丈夫?』みたいな感じで頭とか腹を優しくナデナデしてくれるに違いない。いつもそんな感じだし。
俺は瓦礫の山の上に腰掛けている、みたいな体勢になったままミラさんが俺の元へと来るのを待つ。
一分後。
「そうなると、ドラゴンを倒すしかあのバカの命は救えないわ」
「やはりそれしかないのですね……。厳しい戦いになりそうです……」
五分後。
「この世界の冒険者を総動員してドラゴンを退治するってことは出来ひんの?」
「……無理ね。そもそも量で押せる相手じゃないし、冒険者もわざわざ死ぬのが分かっているのに嬉々として行くはずがないわ。よほどのことがない限りね」
十分後。
「まあ、他の街のギルド長とも話してみて、S級冒険者をドラゴン退治のクエストに動員してもらえないか取り合ってみるわ。だから、今はあなた達はゆっくり休んでおきなさい。あまり張り詰めるのも良くないわ」
「そ、そうですわね……。本番で全力を出せなかったら元も子もないですし……」
二十分後。
「じゃあ今からあの変態の家に行ってシエナさんとメリッサさんの帰還祝いと、スズナさんの歓迎会をするわよ。食材の買い出しもついでに今からするのが良いわね。付き合ってくれるかしら?」
「もちろんです!」
「もちろんですわ!」
「もちのろんやで!」
話が終わったのか女性陣がギルド長室から退出し、楽しくおしゃべりをしながら俺の傍を通り過ぎて……消えていった。ミラさんはガン無視。シエナ達は少し心配そうな顔をしていたが……ミラさんに『行くわよ!』って言われてそのまま行ってしまった。
「…………」
俺は瓦礫の山から立ち上がり、ギルド長室に入る。
「…………」
もぬけの殻だ。ついでに大量の金貨が入った荷物袋も消えていた。まあ、ミラさんが背負っていたのを見たから分かってはいたんですけどね。
俺はさっきまで座っていた椅子に腰掛け、胸ポケットから回復ポーションを取り出しごくごくと飲む。
「ふぅ。……ん?」
謎の一服をしていた俺だったが、ミラさんの机の上になにやら置き手紙があるのを見つけたので見てみることにした。
「なになに……『エリックへ。瓦礫処理をしてから来ること。片付いていなかったら明日八つ裂きね』。……なるほどー」
まあ、壊れた壁を直せと言わないだけ優しいと言うべきだろうな。俺が原因でこの瓦礫の山が出来たわけじゃないけど。
一時間後。綺麗サッパリ瓦礫の山を人力で片付けた俺は、腰をゴキゴキと鳴らしながらギルドを後にし、帰路につく。
いやー、魔術を使うなってシエナ達に言われてたから己の肉体を使って片付けたんだけど……中々の重労働だった。最近あんまり筋肉使ってなかったから少し衰えてきているのかもしれないけど、なんせしんどかった。魔術を使えたら一瞬なんだけどね。
あと、肉体以外にもしんどい要素があった。それは……
「エリックさん。またミラさんを怒らせて殴り飛ばされてたんですか? ある意味天才ですね。人を怒らせる天才ですよ。でも仕方ないですよね。ミラさんから聞きましたよ。エリックさんが自分に掛けられた呪いを解呪しようとシエナさん、メリッサさん、そしてスズナさんを強姦したんですよね。ミラさんが怒るのも仕方のないことです。いくら死にたくないからって強姦は不味いですよ。でも私はそういうシチュエーションも大好きなので、エリックさん、強姦してくれて構いませんよ? あー、でも、輪姦されるのは好きじゃないです。私、好きでもない男のち○ことか咥えたくないですし挿れられたくないですからね。おっと、これはもう告白同然みたいな感じですね。でもエリックさんはあと一ヶ月で死ぬので、私的には早く子種が欲しいところなんですよね。もうそろそろ生理が来ますし。どうです? 今からラ○ホに行ってしっぽりずっぽりしちゃいます?」
ソフィアがニヤニヤしながらトボトボと歩いている俺の隣をぴったりキープしてくる。
瓦礫を片付けていたところをソフィアに見られて、「いやー、派手に壊しましたねー」とか話しかけられた後からはずっとこんな感じだ。まじで鬱陶しい。
ただ、無視をするのはいけないということで、俺はイヤーな顔をしながらもソフィアと会話のキャッチボールをする。
「まず一つ。俺がミラさんを怒らせたわけじゃない。どちらかと言うと火元はシエナ達だ」
「でも間接的にはエリックさんが悪いんじゃないんですか?」
「……二つ。俺はシエナ達を強姦したりしていない。むしろ、俺が強姦されたようなもんだ」
「まあそれは知っていました。さっきのは冗談ですよ冗談。というかエリックさんがそんなことするわけないですし。色々な意味で」
「…………三つ。俺はお前の性的趣向について一切聞いていない。それと興味も……ない」
「今の間は興味あるって言っているようなもんですけどね。ちなみに私はグイグイと責められるのが好きです。ただ、だからといって責めるのが嫌いというわけでもないです。まあ、そこらへんはエリックさんにおまかせしますね」
「………………四つ。勝手に俺が死ぬ前提で話を進めるな」
「あれも冗談ですよ。まあ、普通こういう状況になったら縁起でもない冗談は言わないのですが、そこはエリックさんですし。どうにかこうにかして解呪するって信じてますから!」
ソフィアが笑顔を俺に向けてくる。
……謎の自信だな。正直、過去何度も言っているが俺はS級冒険者としての実力はない。あと、別に危ない橋を何度も渡って歴戦の冒険者になりました、とかそんな話も経験もない。完全にないというのは嘘になるが……生き延びられたのは運が良かっただけに過ぎない。
ただ……それを分かった上でソフィアは『なんとかなる』と言っているのだろう。女の勘ってやつなのかもしれない。まあ、そう言ってもらえて悪い気はしないよな。
「……最後に。ホテルには行きません。しっぽりずっぽりもしません。てかミラさん主催のパーティーにお前も俺も呼ばれてるだろうが」
「それは残念です。もしかしてあれですか? 私が『エリックさんが死ぬなんてヤダヤダヤダ!』とか泣きわめいて、その後に『せめて思い出としてエリックさんの子供が欲しいです』とか言えば抱いてくれたんですか? ちょっと選択肢をミスったかもですね……」
「なに真面目な顔して頭悪いこと考えてんだよ。例えお前がそう言ったとしても行かないし抱かないからな。冗談は真に受けない。これ大事」
「そんなぁ〜」
残念そうな声を出しながらも、ソフィアは嬉しそうに俺の隣を歩く。
なにが嬉しいのか良く分からないが……いつもどおり俺と話すことが出来て嬉しかったのかな? まあ、知らんけど。