ユニークスキルのせいでモテない俺は、酔っ払った勢いで奴隷を買いました。 作:☆あきつしま☆
「ミラさん! 今助けますからね!」
化け物みたいな攻撃力を内包した俺は、大声を出してトイレの中にいるミラさんに声を掛けてから、左足を前に踏み出して腰を深く落とし、右の拳を後ろに思いっきり引き下げて力の溜めを作る。
「ふぅ…………」
静寂がトイレの前を支配する。
まるで時が止まったようだ。それくらい物音がしなかった。
俺は集中する。アイギスという最強の障壁を突破するために意識を集中させる。
俺は深呼吸をして呼吸を整える。アイギスという最強の障壁をなんとか食い破るために呼吸を整える。
そして……全てのコンディションが整ったと判断した俺は、目を血走らせ、咆哮を聞き紛うほどの大きな声を上げながら右拳をアイギスに向けて思いっきり繰り出した。
「…………ぉぉおおおおおおおおおおおおおおらりゃぁああああああああああああ!」
刹那。ドラゴンも倒せそう(希望的観測)なほどの威力を秘めた俺の拳がアイギスとぶつかり合い――粉砕した。俺の右拳と右腕の骨全てが。
「――――うぉおおおおおおおおおお痛っってぇえええええええええええ!?」
あまりの痛さにこれまた咆哮と聞き紛うほど大きな声を上げながら叫ぶ。
今の雰囲気的に粉砕するのはアイギスのほうじゃねえの!? なんで俺!?
いや、待て! アイギスの方も結構なヒビが入っているぞ!? もう一回さっきと同じ威力をぶつけたら粉砕できるんじゃね!? イヤッッホォォォオオォオウ!
俺は痛みでテンションがおかしくなる。しかし、これは好都合だとこのテンションのまま今度は右足を前に踏み出して腰を深く降ろし、左の拳を思いっきり後ろに引き下げて力の溜めを作る。
「ふぅ…………」
静寂がトイレの前を支配する。
まるで時が止まったようだ。それくらい物音がしなかった。
俺は集中する。アイギスという(以下略
そして……全てのコンディションが整ったと判断した俺は(以下略
「…………ええい! 左ももってけぇえええええええええええええええ!」
瞬間。ドラゴンも倒せそう(多分無理)なほどの威力を秘めた俺の拳がアイギスとぶつかり合い――粉砕した。アイギスと俺の左拳と左腕の骨全てが。
「――――ンンンんぁアアアアアアああアアアアああアアあ!」
喜びと痛さで訳のわからない声を挙げる俺。
しかし、最強の障壁を破ることが出来た。これでミラさんが大丈夫かどうか確認できるぞ!
俺は両腕の拳と腕の骨が粉砕して使い物にならなくなっていたので、口を使ってドアノブを回し……ドアを開ける。
「ミラさん! 大丈夫ですか!?」
俺は予想していた。ミラさんがどのような感じでトイレの中にいるのか予想していた。
トイレの便器に顔を突っ込んで口から噴水のようにものを出しながらユニークスキルの副作用のせいで自慰をしているミラさん。もしくは普通にトイレをしながら自慰をしているミラさん。俺はこの二つの状況を予想していた。
どの自慰も手を使って乙女な感じでしていると予想していた。俺は女性のそういう場面を見たことがない。いや、シエナとメリッサが玩具を使ってそういうことヤッていたであろう場面に遭遇したことはあったが、ちらりと一瞬見えただけでまじまじとは見ていなかったのだ。
なぜ俺の思考が自慰の話にすり替わっているのか、お教えしよう。
なぜなら、口でドアを開けた俺の眼前には……
「ああんッ! んんんぁあ゛あ゛あ゛あ゛あ゛! エリックゥ! エリックぅうううううう!」
ミラさんが便器に座って女性が出しちゃいけないくらいの声を出しながら、俺の腕の太さはあるだろうと思われる棒状の何かを〇〇○に突っ込んで激しくピストン。つまりは自慰をしていたミラさんがいたからだ。
ぷしぃいいいいいいいい!
丁度いい感じのところだったのだろう。ミラさんの〇〇○から光り輝く透明な液体が俺の方に飛んできて……それを頭からびっしょり丸かぶりしてしまう。
避けられた攻撃? だった。S級冒険者の俺であれば、即座に後ろに下がるなりして避けられたものだった。しかし、今の俺は手負いだった。両拳と両腕の骨が粉砕しており、今も相当な痛みが体を駆け巡っていた。
そして、何より……目の前の光景が衝撃的すぎて動けなかった。完全に俺は固まってしまった。目はミラさんの股ぐらに、体は直立で、ナニはアイギスを突き破れるほど硬くなって固まっていた。
謎の液体を俺にぶっかけてきたミラさんは、余韻に浸るように恍惚そうな表情で唇からよだれを垂らしながらトイレの天井を見ていた。
「……エリックぅ……好きぃ……」
極太の棒状の何かを先ほどとは違ってゆっくりゆっくり動かす。
どうやら俺のユニークスキルの副作用と酒が相互作用を起こして色々と凄いことになっているようだった。というか、おそらくは俺がユニークスキルを使う前から自慰をしているっぽかった。
確固たる証拠は無かった。しかし、ミラさんの体のほてり具合から考えて、ずっと前から自慰をしていないと今の状況にはならないと思ったのだ。
あと、なんでアイギスとかいうバカみたいに強力な障壁をトイレに張ったのか分かった気がする。きっと、こういう行為をするから誰にも邪魔されないようにということで張ったのだろう。
俺は頷く。何度も何度も頷いて……考える。
(……これ、どうしたものかな?)
股間を大きく膨らませたまま、俺はこの後の後処理を考えた。
◇
ミラさんは、目の前に俺が立っているのにも関わらず自家発電を続けいている。おそらく俺に気がついていないのだ。酒と副作用のせいで。
一番いい方法は、このまま黙ってドアを閉めて何も見なかったことにすることだ。ただ、この方法はつい今しがた実行不可能になってしまった。
なぜなら……運がいいのか悪いのか、俺とミラさんの目が会ったからだ。ミラさんはとろけた目で俺を見てくる。
ミラさんは『エリックぅ……』と俺の名前を呼びながら手招きをして来た。こっちに来いということだろうか?
幸いなことは、酒とユニークスキルの副作用のせいでミラさんの意識が朦朧としていることだろう。
ただ……ミラさんの顔の赤さからいうとかなり悪酔いしているような感じだった。ちょっと異常なくらい顔が赤い。もしかしたら、すぐにでも倒れてしまうかもしれない。
それは困る。今からお話をしようとしているときに倒れられては困る。というか、正気に戻ってくれないとまともに話が出来ない。
てなわけで、手招きをして来るミラさんの元に行って、彼女に『俺の服の内ポケットに入っている真っ黒な瓶を取り出してくれませんか?』とお願いする。
すると……ミラさんは極太の棒を握っていない方の手で俺の服を弄り始め……注文通り、真っ黒な瓶を取り出してくれた。
俺はこれ以上興奮しないように、トイレに充満しているミラさんのフェロモンをなるべく嗅がないようにしながら、『その瓶の蓋を取って下さい』とお願いする。
ミラさんはおとなしく俺の言うことに従って瓶の蓋を開けて、俺に差し出してきた。
「……あー、ミラさん。それを飲んでくれませんか?」
「…………エリックぅ、はいぃどうぞぉ〜」
純粋な笑顔でミラさんは真っ黒な瓶を俺の口元まで持ってきた。
「い、いや、それは俺が飲むやつじゃなくてですね……」
「私のぉ〜、差し出した物がぁ〜飲めないっていうのぉ〜?」
ぷくぅ、とミラさんがほっぺをふくらませる。
……これを拒否したら、せっかく自慰でガス抜きをして機嫌が良くなったミラさんがまたヒステリックモードになってしまう。それは避けなければならない。
……まあ、俺が口に含んでからミラさんに口移しで飲ませればいいか。
この黒い瓶に入っている液体は、この街名物の酔い醒ましアイテムである。とにかく苦い食材をこれでもかというくらいぶち込み、水で煮込んで出てきた汁を凝縮して作った激マズ液体だ。シエナが発情したときに一回飲ませたことがあったやつだな。
これを口に含むのは正直嫌だったのだが……これもミラさんのためだ。それに、両腕の激痛で、例えシラフ状態でこの真っ黒な液体を飲んでも正気を保っていられるだろう。
俺は気合いを入れる。そして……ミラさんが笑顔で差し出してきている瓶の中に入っている液体を……全て口に含んだ。
「……ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛ン゛!」
俺はあまりの不味さに声にならない声を挙げる。
しかし……耐える。耐えて耐えて……ミラさんに一歩一歩近づいていく。全てはミラさんにこの液体を飲ませて正気に戻ってもらうため。
ミラさんはトロけた目をしながら『?』と首を傾げていた。しかし、俺が真剣な目で近づいてくることに何かを感じ取ったのだろうか? 目を閉じて、キス待ち顔をしてくる。
……これはラッキーだ。まあ、キスはキスでも、超絶不味い液体を飲ませるためのキスだけど。
俺は使えなくなっている両腕をだらんとさせながら彼女の前まで歩く。そして……『ええいままよ!』と思いながら彼女とキスをし、口の中に含んでいた液体をミラさんに流し込む。
瞬間。彼女の体が痙攣し始める。『んぐぐぐぐぐ!』という声も漏らしていたが、それでも俺とのキスは止めなかった。
数十秒後。黒い液体を全て流し込み、任務が完了した俺はキスを止めようとしたのだが、ミラさんが俺の顔を両手でガッチリとホールドして物理的に離れられないようにしてきていたので、キスをし続ける羽目になる。
一分後。
「んちゅっ……んちゅっ……」
五分後。
「くちゅ……くちゅ……」
十分後。
「じゅるるるるるるるる!」
二十分後。
ミラさんは俺の唾液を全て吸い尽くしてから、ようやく口を離してくれた。
彼女の顔を見ると、真っ赤も真っ赤。触れたらやけどするくらいに真っ赤にしてた。ただ、目が正気に戻っているので、どうやら酔いが醒めてユニークスキルの副作用も収まったらしい。
……いや、正気でさっきのことをしていたのだとすればそれはそれでおかしいとは思うが、まあ……何も言わないでおこう。こちらもごちそうさまだし。
俺は口の中をミラさんの味でいっぱいにしながら、彼女に声を掛ける。
「大丈夫ですか?」
「……ええ、大丈夫よ。エリック、ありがとう。下手をすればトイレでぶっ倒れていたところだったわ。それとごめんなさい。どうしても抑えきれなくて。でも、受け入れてくれて嬉しかったわ」
ミラさんはにっこり笑顔を俺に見せてくる。
……なら良かった。ただ……違うところが大丈夫じゃなさそうなんだよなぁ……。いや、言わなければいいのか? でも、どうせすぐに気がつくだろうし……。
俺は冷や汗を流して痛みに耐えながらも、もう一度彼女に声を掛ける。
「ミラさん、その……アソコに棒が入ったままといいますか……アソコが俺から丸見えといいますか……服もはだけているといいますか……」
「……あら。ちょっと待ってて」
ミラさんは『ブボボボ』と〇〇○から音を出しながら極太の棒を抜いてトイレに設置している棚にコトンと置く。そして、床に放り投げていたグチョグチョのパンツを履き、服の乱れを整えて、便器から立ち上がった。
「おまたせ」
「……あ、はい」
ミラさんは普段どおりの顔である。
……メンタル凄いな……。俺だったら泣き出しているところだぞ。
ただ、ミラさんが意図的に何も触れていないことに気づいた俺は、彼女のお気持ちどおりに振る舞うことにした。
というか、痛みに耐え続けるのもきついし、早く本題に入りたかったというのもある。
そういうことで、俺は何食わぬ顔をしているミラさんに本題を切り出すことにした。
「ミラさん、少しお話いいですか?」
「ええ、いいわよ。でも、ここだとなんだから少し外にいきましょ」
ミラさんは俺の手を握りながらトイレから出る。
――痛い痛いッ! その手の骨粉砕されているから! あまり強く握らないで! というかなんなら握らないで!
俺は視界をチカチカさせながらも、ミラさんの後についていった。