※この作品はR-18です。

催眠モノと言うには微妙な能力でがんばってみる   作:アウグスティンティン

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遅れてすみません。
長期休暇が終わったので、前より投稿頻度はかなり下がると思いますが、投稿を再開します。


11話

 いい感じに座れそうな瓦礫を探して、そこに腰かける。

 さてと、オペラに何を話すか考えないとだな。

 今のところ俺主体でやったことが、警察署に被害が出たか聞いただけで、結果は問題なしだったわけだし、ほんと何を話そうか。

 

 というか今回、ここに至るまでに結構喋ってるからなぁ。

 今から重要なファクターを一個追加するのはかなり大変な気がする。じゃあ今あるもので、なになら話題にできるのか、なんだけど。

 そこでふと、トランプを何枚か回収していたことを思い出した。

 

「どのポケットに入れたっけ? ……ええと……あぁ、あったあった」

 

 これ単品だと話題性が薄めだから、地図を探さないとな。本屋はどこだったっけ。

 

「やぁ、光さん」

「え?」

 

 誰の声かと考えるまでもなく、俺に話しかけてきたのはオペラなわけだけど。

 

「なにか見つかったかな」

 

 早い、早いってオペラ。こう、重要なファクターをメンバーが見つけたけど気づいてない、ってタイミングで現れるんじゃないの。俺まだ地図を持ってないんだけど。

 

「あぁ、ええと。署の隣で爆破なんて、なにかあるかも? と思ってG4の平乃に聞いてみたんだけど、見ての通り損壊なし。内部は調査中らしいけど、外部に被害はなかったってこと、とかかな?」

 

 仕方ない。思い付いたことを、思い付いた端から話すしかないな。

 

「あとはこのトランプ」

「最初の事件現場、六王ビルの周辺に散らばっていたトランプだね。僕も持っているよ」

「見るからに怪しいしね」

 

 裏面が見えるようにひっくり返して、オペラに見せる。

 

「こんな風に穴がマークの形に空いてちゃ、ひっくり返してたって意味がない。それに」

 

 適当に拾い集めたカードを全部束ねる。きれいに角を合わせれば、ずらして開けられた穴が整って、そこから地面を見ることができた。

 

「マークが違っても穴の場所は一緒だ。だからなんか意味があるんじゃないかって持ってきたんだ」

「意味……意味か。トランプの数字はすべて四だ。それにマークの位置も微妙にずれている。確かになにか意味が込められていそうだね」

「で、怪盗がこんなものをばらまく意味なんだけど、これ材質は普通のトランプなんだよね。だからトリックじゃない。トリックじゃないなら、まあ、予告状かなって」

 

 このトランプ、地味にプラスチック製なんだよな。やっぱりその方が加工しやすいのかな。

 熟考モードになったオペラに任せて、俺はトランプで遊ぶことにする。何度も折り曲げてみたり、千切れないか試してみたり、あとはトゥエンティ製である可能性にかけて、投げてみたり。

 トランプ投げには失敗したが、オペラは推理に成功したようで「なんで四なんだ……まさか!」と言って、自前のPDAでなにか作業を始めた。

 

「この近辺の地図は……あぁ、あったあった。縮尺を合わせて」

 

 画面を覗いてみると、それは横浜中華街を中心とした観光マップだった。

 今まで起きた三つの事件の現場が入るようにサイズを合わせたマップと、トランプとを横に並べてオペラは比較しているようだった。

 

「六王ビルはここで……王子ビルはここ。五王ビルはここだから、あと一つはこの辺か。四つ目はだいたい……この辺り。それでここには…………っ!」

 

 画面を拡大してその場所の名前を映し出す。

 オペラはガバッと顔をあげて、俺に言った。

 

「光さん! みんなに連絡を、至急王偉ビルに集まるように言ってくれ!」

「オーケー、任された」

 

 よしよしっと。これで事件は解決したも同然だな。

 俺もオペラと一緒に王偉ビルに向かって走りつつ、コーデリアたちに電話して呼び集めた。

 

 ■◆■

 

「おーい!」

 

 位置的に離れぎみだったネロが遅れてやってくる。

 

「あ、ネロがきました」

 

 ココロちゃんとじゃれあっていたシャロが伝えた。そう、ココロちゃんだ。

 なんというか、ついさっき協力しようと言った手前、王偉ビル集合の話を平乃にしないわけにもいかなかったのだ。

 神津警視含むG4も集合で、王偉ビル前は大渋滞である。

 

「はぁ、はぁ、はぁ。なんだよ、大至急集合って。てか、G4もいるし」

 

 走ってきたネロが息を乱して聞く。

 いつも通り喧嘩腰なネロの言葉には当然、ココロちゃんが過剰反応を返した。

 

「いちゃ悪い! ふん、こっちも平乃がなにかに気づいたらしいのよ」

「あはは」

 

 そうココロちゃんが言って、平乃が困っていた。

 俺もオペラから推理の内容は聞いていないので、平乃にも集まれとオペラが命じたことしか伝えていない。

 つまりはこっちの推理担当がなんかに気づいた、ってことしか俺は話していないわけで。話を振られても困る平乃は、ちらちらと助けを求めるように俺のほうを見てきた。

 

「ま、ここに集められたってことは、ここが次の爆破現場ってことだろうよ」

「あぁ、恐らくは。それでコーデリア。今調べてもらったことに、間違いはないんだね」

「はい。オーナーのオフィスはこのビルの一階にあります」

「よし」

 

 と、オペラがうなずいた。

 話をそらすことには成功、平乃に片目を瞑って合図を送る。ちょこんと頭を下げて、平乃が礼を返してきた。

 

「あの、どういうことなんですか?」

「詳しく聞かせてください……」

 

 シャロとエリーがオペラに尋ねた。しかしオペラはその疑問を解消することはなく、オーナーに聞いた方が早いと、ビル内へ歩を進めた。

 

「ゴーゴー、ほら行け行け」

「ちょ、ちょっと危なくないの? 次はここが爆破されるんでしょ?」

「大丈夫大丈夫。まだやられないはずだから」

 

 俺もビルに入る。オペラの姿を探して、その後ろを追いかけた。

 コーデリアたちも後から続いてくる。まだラットはここに直接予告状は出していないので、ビルにはいくらか人が残っていた。

 オーナー部屋に直行するオペラたちから少し離れて、ビルの受付を訪ねる。

 

「受付さん。ちょっと頼みがあるんですけど」

「はい。ええと、なんでしょうか?」

 

 俺と一緒にいた目立つ格好の人たちのことが気になるようで、受付さんの視線は時々オペラたちのほうに向いていた。

 

「何時間か前からビルが立て続けに爆破されてますよね。実はこちらに予告状が届きまして、次はここが標的らしいんです」

「ええっ!? そ、それは本当ですか」

 

 驚いた声をあげてはいたが、まだ若干疑いを持っているようだった。

 まあ俺は高校生なんだから、仕方ないと言えば仕方ない。なので神津警視を手招きして呼び寄せ、続きを任せることにする。

 警視は警察手帳を取り出して、さらっと俺の嘘に乗っかって避難指示を出すよう命じていた。

 

「やるじゃ~ん」

「お褒めにあずかり光栄です、遠山さん」

 

 やー、やっぱ褒められるっていいね。特に美少女が相手だと。

 避難のアナウンスが流れて、ビル内もあわただしくなり始めた。あとはもしものためにビル近辺も退避させないとだから。咲にも覇気のない声で褒められたことだし。

 

「俺はこっちで避難誘導したほうがいいかな」

「お仲間のとこにはいかないのかい?」

 

 次子が訊ねてくる。

 

「あー、オーナーに話を聞きにいったみたいですし、そんな大人数はいらないでしょう。こっちが落ち着いたらで」

 

 ココロちゃんにぶつくさ言われながら、呼びかけを行うこと数分。応援に駆けつけた警察官も増えて、民間人の姿も消えていく。

 

「さーてと。そろそろ戻るかな」

 

 避難誘導のほうはもう任せてしまおう。特に面白くないしな。あとちゃんと探偵らしい行動しなくちゃいけないし。

 こっそりとビルに戻り、探索する。突入前にコーデリアの調べてくれたオーナー・王偉の部屋にはもう誰もいなかった。

 

 確かこの後は、屋上に行くんだったっけ。

 ラットが爆弾に火をつけて、コーデリアがそれを見つけて、ネロが快速エレベーターで屋上まで運んで、エリーが空に投げる。そんな流れだったはず。

 

 このまま屋上に直で行って大丈夫かな。一階にいなかったから、屋上探すって飛ばしすぎな気が。

 軽く見て回りながら階段で上がるか。

 

 ■◆■

 

 事件は解決した。というかしていた。

 結局俺はラットに出会うことなく、屋上までたどり着いた時にはミルキィのみんなと、ラットが残した大型爆弾しかなかった。

 

 アニメ版とは違って、ゲームのラットの爆弾は高性能で、空気に触れることでも起爆する火薬を、ガラスで覆い、中にはぐるっと一周する導火線がある。

 トイズで火をつけることで、起爆までの時間を調整できるとかなんとか。

 そんな危険なものを処理するような器具も技術も──オペラがどうかは知らないが──なく、後処理は警察に頼むことになった。

 

 経緯としてはゲーム通り、オーナーの部屋でいろいろとオペラやネロに推理されて暴露されたラットは逃走。屋上に追い詰められたラットは爆弾を盾にする。

 そこに現れた怪盗帝国の首魁・アルセーヌが謎のトイズでラットの姿を消し、彼を連れて逃げ去った。

 

「みんなお疲れ様~」

 

 屋上で事情を聞き終えた俺は、ミルキィのみんなに向かってそう言った。

 

「お疲れ様~、じゃないってまったく。ずっと見なかったけど、光はどこにいたのさ」

「外で避難誘導だけど……やー、ごめんね? 参加できなくて」

 

 片手を顔の前まで持ち上げて軽く謝る。そうしたらコーデリアがちょっとビックリしたような顔をした。

 

「あら、一応活動してたのね」

「当たり前じゃん。さすがに怪盗事件の最中にサボったりしないって」

「ふふ、それはそうよね」

 

 事件の感想というか愚痴というか、グダグダと駄弁っていると爆弾処理班がやってきて、俺たちは追い出された。

 カードの穴の数から無いだろうとオペラは予想し、原作知識からないことを知っているのだが、念のため中華街の各所に爆弾がないか調査も行われるらしい。

 

「あ」

「どうかしましたか?」

 

 思わず漏れてしまった声に、シャロが反応した。頬をかきながら、目を反らして答える。

 

「いやぁ、その……朝飯食いそびれたなって」

「そう……いえば……」

「あたしもお腹空きました」

「もうお昼だものね」

「じゃあどっかで食べてく?」

「はーい、賛成でーす!」

 

 元気よくシャロが手をあげる。コーデリアがくすくすと穏やかに笑った。

 

「じゃあどこか入りましょうか」

「開いてるとこあるかな?」

 

 ラットが暴れたせいで、現場付近の店は閉まっている。追加の爆弾の捜査をやるってことは、中華街全域に一時閉鎖の波は広がるってことだろう。

 

「この辺には無さそうね」

「じゃ、開いてるとこ探して買い食いだね。お代は解決祝いに小林持ちってことで」

「え!?」

 

 そんなこんなでラットの事件は終わりを迎えた。

 今回はまじでなんもしてないな俺。

 

 ■◆■

 

 後日聞いたところによると、やっぱり予告された場所以外には爆弾はなかったようで、中華街には人が戻った。肉まんも買いにいき放題だ。

 王偉はラットを騙して、要らないビルを爆破させ、保険金詐欺を働こうとした件で法廷に立ったらしいが、なんか執行猶予がついたらしい。

 彼の所有していた黄金鏡は警察に預けられ、しっかりと保管されているとのこと。

 

 そして本日。やることもないので事務所の大掃除をしていた。

 マスクをつけて、はたきで上からホコリを落としていく。シャロは時々失敗しながら小物の整理、エリーは雑巾がけ。コーデリアはあくびをしているネロを叱っていた。

 

「なんで掃除なんかやらなきゃならないのさ~?」

「ここは私たちの事務所なのよ? 掃除ぐらいあたりまえのことでしょう!?」

「はいはい……」

 

 ネロも掃除に加わるため、器具を手にする。

 

「う……お、重い……。う~ん」

 

 見るとシャロがソファーの端を持って、動かそうとしていた。

 

「エリーさ~ん……このソファーを運んでほしいんですけど~?」

「え……?」

「あ、やっぱり恥ずかしいですか?」

「う……うん」

「ですよね。ごめんなさい」

「俺が手伝うよ」

「あ……! やっぱり私が……!」

 

 俺が立候補するとエリーがそう言った。

 

「わ、本当ですか?」

「みんなの前でくらい……平気にならないと……」

「エリーさん! 前向きです! 素敵です!」

「どこまで……運べばいいの?」

「あ、少しの間持ち上げててください。下を掃除したかっただけですから」

「うん……わかった……」

 

 トイズを発動したエリーが、重たそうなソファーをひょいっと持ち上げる。シャロがその下に入って床の掃除を始めた。

 

「お~さすが~」

「ほらほら、さっさと掃除して」

「いちいちうるさいな~。シワが増えるよ?」

「な、なんですって!?」

 

 コーデリアとネロはまたイチャイチャしているが、なんにせようまくいったようでよかった。

 力仕事なのに男手が頼られないのは気になるが、まあ仕方ない。ひっそりと落ち込んでおこう。

 

 と、そんなところに扉がノックされてアンリが入室した。

 

「なにをゴソゴソやっているのかしら?」

 

 そう言ってアンリは部屋を見渡す。エリーは真っ赤になる。

 

「ああ、お掃除中だったの」

「きゃぁぁぁぁぁぁ~っ!! 見ないでぇぇぇぇぇぇ~っ!!」

 

 おっと、懐かしい悲鳴。

 いつかのように暴走したエリーがソファーをぶん投げ、事務所の棚を粉砕して壁に刺さった。

 

「ありゃま」

「ごめんなさい! ごめんなさい!!」

「え……えと、私が……悪かったのかしら?」

 

 どっちの味方をしていいのかわからなかった俺は、とりあえず黙っておくことにした。




オペラ「さあ、聞かせてくれ! ……(がやがや)……光さん! ……あれ、光さん?」
光「爆弾ですよ、爆弾~」(旗をフリフリ)


ラット「アルセーヌ様の言ってた浅見光がいねぇ」
光「みなさん、避難してくださいね~」(旗をヒラヒラ)

とか、ビルの中はたぶんこんな感じですね。
そして平乃経由で王偉ビルにやってきた神津視点。

神津「(俺は謎を解けていない。王偉への尋問は小林に任せるとしよう。人が大勢いるということは、まだ直接ここへ予告状は送られていないはず)」

それで光の始めた避難誘導に付き合って、全員出遅れました。


■◆■

「うぉぉぉぉぉ! 目覚めたまえ、俺の秘めたるパワーっ!!」

 グッと拳を強く握りしめ、上に突き出しながら叫んだ。

「ふぉぉぉぉぉぉ!!」

 トイズ。それは選ばれし者の心に膨らむ奇跡のつぼみ。
 爆発や雷によって喪失したり、友情パワーで強化復活したりする不可思議パワーである。
 原作においてミルキィホームズの四人や怪盗アルセーヌのトイズなんかは、こう、精神的なあれこれによって本来以上の力を発揮することに成功していた。

 ならば俺にもできるのではないだろうか。
 意思の力一つで、自らのトイズを更なる高みへと強制的に引っ張りあげることができるのではないだろうか。
 思い付いたのならば試すべきだ。

「俺はエロいことがしたいんだ────っ!!」

 グッとチンコを硬くして、上におっ勃てながら叫んだ。
 俺は中学生という多感な時期に長期の禁欲を行い、膨大なエロ妄想でトイズの拡張を試みた。
 かくして俺のトイズはより強力なものへと変化したのだった。やったぜ。

■◆■

見返すとこんなの書いて放置してたのがあったんですよね。
どうも私、普通にMC書くの苦手みたいで。
誰か書いてくれないかな?
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