橘君の野望・青藍島立志伝 作:メスガキ救急隊員
この条例は、青藍島でのドスケベ交尾を推奨するものである
「んっ…んふぅ、ん、ふぅ」
一日のはじまりはお隣さんの喘ぎ声で始まる。色々な意味で痛む頭を耐えてベッドから身を起こし朝のルーチンをこなすべくキッチンへ。必要なアイテムが完成するまでの数分で朝食の支度をする。
「ぁ、ぁぁっ―――!」
「どんな顔して会えばいいんだ。ゴミ出しとか妙に被るし、はぁ」
まさか狙われているのかと考えてしまった。朝から憂鬱になってどうすると頭を振り熱々のそれを持って妹の部屋へ。
「アサちゃん」
ノックをして待つこと少し。中に動きがないことを確認してパソコンの鈍い唸り声が響く部屋に足を踏み入れた。妹はベッドではなくリクライニングさせた椅子の上で寝息を立てている。寝ている間に身動ぎしたのか夜にかけてあげたひざ掛けの姿はどこにもない。
またかと溜息をつきつつカーテンを勢い良く開く。すると陽光を浴びた彼女は唸り声を上げて寝返りをうった。
「んぉ~?ん~…んふぅ~」
埒が明かないことを知っているので妹の顔を蒸しタオルで拭った。
「椅子で眠ったらめって言ってるでしょ」
「あたたかぃ~ぐぅ…」
「次はツボ押しだが」
ビクッと身体を震わせながらも未だ起き上がろうとしない頑固者。夜明けまでゲームをしているのだから朝起きろと言う方が身体的に無茶などと言い出すダメ人間。そんな妹に奉げる黄金の腕が繰り出す奥義。
「あ”あ”あ”あぁー!起きる起きるってえええ!」
少しして新しい制服に身を包んだ妹と食卓を挟んで向かい合う兄妹。朝はトーストにコーヒーが橘家のルーチンだ。洗い物を終えあと少しで登校時間となると妹が駄々をこねだした。
「兄ぃ~…本当に学校行くの?」
「転校生が初日から不登校とか目をつけられかねないしなあ」
机に突っ伏す妹に気持ちは分かるがと返す。公益社団法人青藍島保健機関通称SHO。この青藍島に適用されたドスケベ条例に施行に伴い発足した組織。条例順守のために島を巡回するガードマンにはゴム弾の携行すら許可されている。島を巡回するガードマンは基本脳内ピンクだが入島審査や検診はキッチリしていた。彼女達曰くアナルと一緒で締めるところはしっかりするらしい。存在からしてふざけるな!
正直に言えば金銭面の問題さえ無ければこんな島おさらばしている。
「あー、妹のこんな可愛い制服姿をギャルビッチが見逃すはずないよなあ」
「えへ…えへへへ…そのままお家に連れ込まれて兄と3P?夢の青藍島ライフじゃん。勝ったわお風呂入ってくる」
「勝手に俺も加えんな」
「兄!妹は無限の彼方へ行ってきます!」
勇んで足を踏み出した妹の歩調は南の島の照り付ける陽射しを前に数歩で止まった。その白い肌は引きこもりゆえ。運動などしている姿を見たことがない妹の気変わりは早い。
「あづぃー」
「だと思った。兄の影に入ってていいから」
「えへ。兄ぃ大好き」
ちなみに淳之介と麻沙音による橘家の朝の団欒はお隣さんに激しいプレイだと勘違いされていた。誤解にまみれた淳之介の青藍島生活。その第一歩である。
■
妹にナビを任せて学園へ向かう。紙地図というものは己の向きと位置が描かれていない不親切な物だ。己の方向音痴を棚に上げて登校路の風景を目に焼き付ける。住宅街は昔と変わりないようで少し安心する。
「感傷に浸るのはいいけどもうドスケベセックスを何組見たよ?」
「言うな」
まだ朝だというのに性乱の一面を見せてくれる島民に心の中で悪態をつく。やはり”セックスをしないなどという選択肢はない”この島において俺達に絶対の安全などないのだろうか。壁尻プレイをしているカップルの背後を急ぎ足で通りすぎる。
「まじまじと見ないの」
「だってだってあの人すごい格好してる。淫ピだしきっとビッチ」
「おバカ。あれSHOの制服でしょーが。声かけられたらどーするの」
情事にふけるピンク髪の脇をそそくさと通り抜け俺たちは学園へ向かった。
担任として紹介された水無瀬先生に手招きされ教室に入る。
「じゃあ自己紹介をお願い」
「橘淳之介と言います。東京から転校してきました」
流石に授業の場では表立っておっぱじめまいという淳之介の読みは当たっていた。転校生のことを知ろうと耳を傾ける生徒達の姿に安堵しつつ言葉を続ける。
「趣味はパソコン関係とか筋トレ。これからよろしくお願いします」
「はいはーい静かに。橘君はあの席ね。授業を始めまーす」
歓迎の拍手に深く頭を下げ席に着いた淳之介。早速とばかりに両前隣の生徒がサポートしてくれる。東京の少しヤンチャな学校も経験した身としてはマジメさに驚いた。そして1時限目が終わると転校生らしく一気に周囲が騒がしくなる。
「はじめまして。私の名前は花丸蘭と申します。このクラスでは委員長を務めています」
「あっー委員長ずるーい!えとえと。困ったことがあったら何でも言ってね」
「転校してきてどう?橘くん!」
本土では珍しいレベルの快活さ。人の好さそうな男子から大人しそうな子まで声をかけてくることからこのクラスの雰囲気を察せる。まさかドスケベで開放的になったとでもいうのか。外はともかく案外妹の教育にもいい学園なのかもしれない。その前向きな思いはすぐに裏切られた。
午前最後の移動授業を終えた淳之介は教室に帰ろうとして愕然とする。後ろを歩いているはずのクラスメイト達の様子がおかしい。いや受け入れたくない現実がそこにはあった。
「んふっ。何も知らない転校生を仲間のふりして食べちゃうつもりだったのにぃ…頭バカになって逝っちゃうぅ!」
「こんなムチムチした情報満載の身体で無知シチュは無理だ!お前が記憶飛ばして孕めオラ!」
「んっ、じゅるっ、おちんちん検診しなきゃ♡、んっ、いけないのにどこで測っても陽性になっちゃいます♡」
「こんなゆるゆる精度でよく検査できたものだな、のどまんこでも孕めオラ!」
ある者は窓枠に手をついてバック、ある者は廊下にも関わらず大の字で寝転んだ男子の上。本土の常識人が見たら発狂しかねない光景。呆然とする淳之介に大人しそうな目隠れ女子がじりじりと近づいて来る。
「あの…橘くんも」
アサちゃんがまずい。
「と、登校がてら20人とドスケベしちゃって放課後も予約があるから充電してるんだ。今日はごめん!」
「て、転校初日に…すごい」
「性産的ドスケベセックス三昧…花丸です!」
地味子改め積極地味子を振り切って色々な液体が散った廊下を走る。全力疾走の中転びかけて何かを掴んだり手を着いた気もするが確認していられる状況ではなかった。制止の声がないのをいいことに走り抜ける。両親から託された大切な妹が己の読み違いで傷つきでもしたら死んでも死にきれない。
「ちょっえ?兄!?」
妹のクラスに飛び込みその小さな体をかっさらう。黄色い声が聞こえるが無視だ。とにかく人がいない方向へ足を動かし続ける。そして涼しい風を受けはたと気づけばそこは裏門脇の静かな場所だった。
「げほっぜー、ぜー。何も、されてない…か?」
「いや兄ぃこそ大丈夫なのさ?潰れたカエルみたいな声だよ」
「はぁ、はぁ、良かったああぁ」
いつもの憎まれ口がこれほど嬉しかった時はない。鉄格子にずるずると寄りかかって身体が滑り落ちるに任せる。
「まあピルの効果が出るとされるまで私は大丈夫。それより兄は童貞?」
「童貞言うな!」
「よがったよお”お”ぉ」
ひしっと抱き合い兄妹で無事を喜ぶこと少し。十分に兄妹の儀式を堪能すると俺たちはピタッと真面目モードに入る。手短に互いの情報を交換して絶望的な学園生活に一筋の光を見つけた。まずは何故か人気のない場所を抑えられたことは収穫だ。そして比較的余裕のあった妹が天啓をひらめいた。
「なるほど。その掃除用具(意味深)入れ。使えるな」
「ヤル気が収まらない奴に扉を開けられると詰むんだけどね」
美化委員なる係がお掃除プレイで使うロッカーは一手間加えることでホラーゲームさながらの要塞になりうる。そう―
「有象無象に俺の芸術作品が負けるものか!」
「面倒なスイッチ踏んじった。はいはいこれ吸って落ち着いて。コンドームアイス」
男に真横で
そして教室に帰った淳之介はやたらと肩を叩きに来るクラスメイト達に首を傾げることとなった。
「ハメッハメッちんぽ♪がんんぅばれ、ああぁん、あぁん♪」
「橘のチン性活を願って~ドスケベエールを送る!うおおおっ!逝っけー!逝け逝く逝け逝く逝く…孕めオラアァっ!」
放課後複雑な表情でチア応援女子と応援団長男子以下数組に見送られる淳之介の姿があった。その引き攣った表情はこれから死地に向かう性戦士の顔だったとかなんとか。
こうして青藍島に越してきた橘兄妹の転校初日は終わった。
元々処置を施した上でR15での投稿を目論んでいました。修正量の多さとアウトラインがよく分からずロックの恐怖に屈したわけですが
感想とかもらえると筆者とても喜びます