※この作品はR-18です。

言葉詩集   作:蒼ヰ眞野

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文才狂の、言葉を犯す日

 

 自分の疵は抉り出す事が最上の愛である。喚き、泣き叫び、幻視し、殺し合う事が至上の恋である。文才を犯し、殺し、晒し、文才と憎み合う事が証明である。究極の絶望は、究極の感情である。悪意こそが、究極の恋愛感情であり、度の過ぎた至愛は、永遠の怨みである。

 

 言葉を殺し続ける事が、最愛の行為であり、君の中の言葉を愛している。君に永遠に怨まれる事が、疵の愛である。そうだ。

 

 平穏な恋愛など、この世には存在しない。恋愛はいつだって、死と憎しみと隣り合わせなのだから。

 

 本を破るという行為は、本への最大の尊敬行為なのだ。変な考えではあるかもしれないが、もしかして、憎み合いたいのかもしれない。

 

 最高の文才と、最大の悪意を共有したい。

 もしかして、僕はそういう傾向があるのかもしれない。

 承認欲求とは、憎悪によって始めて満たされる。

 本気で傷ついている。きっとそれが最高なのだ。

 怨みこそ愛なのである。

 

 □

 

 文字がある。

 僕はやっぱり文字なんだろう。

 そして、もしかしたら、愛情より悪意を欲しているのかもしれない。

 そもそも、恋愛の究極形は憎しみなのではないのか?

 常々思っている。

 僕は彼女の文才と愛し合いたいのだ。

 彼女は僕を怨んでいるんだろう。そんな彼女が、僕は愛しい。僕は我儘なのだ。

 

 永遠に、言葉を怨み続けていたい。言葉を切り裂くのが、僕は愉しみなのだ。

 

□□□

 

 君が暴れている間が、最大の幸福なのだ。

 文字を中絶したい衝動に駆られる。文章を地獄の焔で溶かす事が、文章への最大の賛辞であり、惨事である。君の小説を殺す事が、最大の表明である。

 

 怨んでいる。生来的に。憎んでいる。基質的に。

 言葉の繊細な柔らかさに、気持ちの鈍感な愚かさに。

 言葉の胎児が蠢いている。何匹の魑魅魍魎を、殺めたか。

 君の沈んだ世界が好きだ。君に愛された瞬間より、君に憎まれるこの瞬間の方が嬉しい。

 

 君の海が灰色に滲んでいる。僕という色に犯されている。今の君を辱めたら、もしかしたら楽しいのだろう。嫌われる事、それが一等楽しいのだ。

 君の文学を陵辱したい。いつもずっとそう思っていた。

 

 君の文脈が、君の語彙が、君の記号が、殺害対象なのである。

 君が鬱々と泣き叫びながら創作する事が、僕には幸福なのだ。

 

□□□

 

 

 いつかは忘れるんだろう。

 その想いも苦痛さえも。

 永遠なんて存在しない。

 今さえあればいい。

 

 君に声は届かなくても

 君の言葉だけあればいい。

 伝わるのは酷い感情

 それが、何故恍惚なのか

 

 赦さなくて構わないから、明日が来ればいいのである。

 僕はこの愛を思い出しているから。

 赦しよりも、はっきりとした憎しみを求めていた。

 愛が怨みに変わる瞬間を

 それが偶然だったとしても、とても幸福なのだ。

 

 言葉だけが永遠に続いている。

 歪んだ脳髄の中で

 この世で一番大事なのはお互いに拒絶する事だ

 存在はしていても

 

 君がいない事は対して問題ではない。

 もしかしたら、またこの瞬間を望んでいたのかもしれない。

 悦んでいる。

 君がいない事が。

 なんでこんなに嬉しいのか。

 

 だって最初から、僕は君を求めてなどいないのだ。

 お互いに拒絶する事で、いつかは忘れるだろう。

 ただ、僕は言葉だけは忘れないのだ。

 

 

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