ふうま災禍さん!? 邪眼の使い方間違ってますよそれ! 作:ごきまる
わずかに回想のネタバレがあるのでご注意を。
エロシーン多めにしたいとか思ったりしてます。
01 ふうま災禍、なやみもだえる
対魔忍の里――五車町山中にあるふうま家別邸。
その地下にある書庫にてふうま災禍は文献の整理や古書の修繕作業をしていた。
だが、どうにも身が入らない。
それならば別邸の庭でトレーニングでもしようかと外に出た。
左目の邪眼を隠している髪がふわりと風に揺れる。
最前線の任務につくことはあまりないが、それでも災禍は現役の対魔忍だ。
日々の日常が鍛錬。常に対魔忍スーツを着込んでいる。
普段の身のこなしや歩き方にも一分の隙が無い。
常に不測の事態に備えている災禍にウォーミングアップなどは必要なかった。
過去に魔族との戦闘で失った両足は、膝から下が全て機械化されている。
戦闘用のサイボーグレッグである。
その
災禍の対魔忍スーツは肩や脇腹、そして太腿から尻にかけてが素肌丸出しになっている。
いま真正面から見れば・・・真正面であるのに太ももの裏側、尻たぶ、足の付け根の肉のねじれ・・・・・・。
それらが丸見えになる。
もし男が見ていたなら間違いなく生唾ものの絶景だった。
ゆっくりとかかと落としの動きをしたかと思うと、次の瞬間、様々な角度からの鋭い連続蹴りを放つ。
「ハッ!」
災禍はサイボーグレッグを完璧に制御していた。
手甲を装着した腕は防御やフェイントを常に意識してなめらかに動きつつ、鋼鉄の蹴りを繰り出しても体幹は一切ブレない。
五分・・・十分と時間が経過してもそれは変わらず、息も切らしていなかった。
ただただ無心に鍛錬に集中しようとする災禍。
だが――
「っ!」
次の蹴りを放とうと腹筋に力を込めた瞬間、腰の奥底がわなないた。
先ほどまでの隙の無い様子が一変する。
構えを解き、災禍は遠い目をしながら心ここにあらずといった表情で立ち尽くす。
災禍の脳裏には数週間前のある出来事が浮かんでいた。
何度も何度も思い出すあの日のことだ。
「若様・・・・・・」
災禍はずっとふうま宗家に仕えてきた。
今も若きふうま当主・ふうま小太郎に、命果てるまで忠誠を捧げる覚悟である。
そんな自分が数週間前、書庫で小太郎に抱かれた。
『抱かれた』という表現は少し優しすぎるか。
荒縄で緊縛され、秘所に媚薬を塗られ、若き主は半ば強引に・・・・・・そう自分を犯したといっていいだろう。
・・・・・・拒めなかった。
それでも最初は家来として仕えるべき自分が、主と情交を結ぶなど許されないと懸命に諫めた。
だが途中からは結局、肉欲に溺れてしまった。
あっさりと自分の“女”の部分が籠絡させられた。
否、自ら受け入れたのだ。心を開いてしまった。
よくあることではあった。
現在は日本の公的機関となり、一般社会には『魔と戦う正義の味方』というイメージで認知されているが、対魔忍は元々、裏社会で活動していた秘密組織だ。
中でもふうま一族は中世から続く血統であり、他の門派より保守的でありながらも自らの利益や我欲を優先する享楽的な思潮がずっと根づいていた。
故にふうま一族は現代の新体制に反発し、十数年前に反乱を起こしもしたのだ。
それは敗北に終わった。
討たれた先代ふうま頭領・ふうま弾正は戦国時代の大名のように、正妻の他にも何人もの妾を囲っていた。
それはふうま宗家に限ったことではないが・・・・・・。
(ふうま宗家の奔放で欲望に正直な気質が若様にも受け継がれていたということか)
執事であり小太郎の腹違いの姉であるふうま時子よりも、一歩引いた立場からではあるが、小太郎が幼い頃からずっと彼を見守ってきた災禍である。
その小太郎とまぐわっていた時、混乱すると同時に、媚薬のせいで倒錯的興奮を感じていたとはいえ、最初は「若様、いけません!」などと言っておきながら次第にすっかり欲情してしまい、昂ぶった勢いで――。
「ふうま当主が万が一自分を求めてきても準備ができているように膣内を鍛えていた」などということも、うっかり告白してしまったことを思い出し、思わず顔が熱くなる。
否、熱くなったのは顔だけではなかった。
もう鍛錬どころではなくなった災禍は、足早に家の中へ入る。
戦闘用から日常用のサイボーグレッグに換装した災禍はバスルームの脱衣場に入った。
まず手甲を外す。
続いて露出度の高い対魔忍スーツを脱ぐ。そして胸をはだけた後に下へ一気にずらす。
腰をかがめたとき、長い黒髪がサラサラと垂れて災禍の顔を隠す。
「ん・・・」
スーツの股間の部分は熱く湿っていた。
全裸となった災禍は洗濯かごに対魔忍スーツを投げ込むと浴室に入った。
そして、鏡に映る自分の肢体を見つめる。
継ぎ目こそわずかに見えるが日常用サイボーグレッグはすらりとした生の素足そのものに見える。
災禍は、自らの容姿を悪くはないと評価する。
実際は『悪くはない』どころではない。
長く細い眉。切れ長の目。
紅い瞳と艶やかな長い黒髪。
細面ながらも怜悧さと精悍さを漂わせる美貌だった。
さらには歴戦の対魔忍であるにもかかわらず滑らかなきめ細かい肌・・・・・・。
激しい鍛錬に加え、ふうまの書庫でみつけた美容法を実践している効果もあるだろう。
鍛え上げられた体の中でもまず目を惹くのは腹回りと臀部だ。
たるんだ肉は一切無く、うっすらと割れた腹筋は実に美しい。
それでいて豊かな乳房は見事なものだ。
そしてやはり・・・・・・特に艶めかしいのは、引き締まっているのに柔らかそうな下腹と尻・・・・・・。
だが、現役のふうま一族の女対魔忍の中では最年長であることにかわりはない。
若きふうま宗家当主・ふうま小太郎との年の差は倍ほどもあるのだ。
手で乳房を持ち上げたり、後ろを振り向いて雪のように白い尻をぐにゅりと鷲づかみにして鏡を見る災禍。
「少しだけ余分な肉がついたか・・・・・・」
――災禍を思いっきり感じさせたかったんだ。
「ああ・・・若様・・・・・・」
(利発で、優しくて、忍法が使えない体質である事にもくじけず、小さい頃から人知れず努力していた若様。ちょっと前まで小さな子供だった若様。その若様がいつのまにか逞しくなって・・・・・・私にそのような・・・言葉をかけてくるなんて・・・・・・)
思わず熱い吐息が漏れる。自然と指は性器へと向かった。
ピチャ、と淫らな音が鳴る。そこはもう十分過ぎるほどに濡れていた。
バスチェアに座り、鏡に映る顔を見つめながら、災禍は自身の手で性器と乳を嬲る。
「ん! くぅ!」
手の動きが、激しくなる。
「ハァ、ハァ、ああっ、あうぅ!」
震える腰が思わず浮きかける。
(・・・・・・あの時もっと、もっともっと激しくしてくださってもよかったのに)
左手はすでに密壷を掘削していた。
中指と人差し指を挿入し、同時に掌を陰核に強く押しつける。
「んん! っくぅ!」
掻きむしるように動く左手はそのままに、災禍は乳をこねくりまわし、ピンク色の乳首をつねっていた右手を上げる。
右手の指は喉元、口の下にある小さなホクロをなぞり、すっかり上気した頬を撫でる。
――そして、左目を隠している髪をゆっくりとかき上げた。
(久しぶりに
鏡に映る左目は、ふうま一族の血を引く者に備わる邪眼だった。
紅く輝く邪眼を見つめながら自分に言い聞かせるように災禍はつぶやいた。
「若様がお求めならこの災禍、全てを受け入れてみせます。そう、たとえば・・・・・・」
災禍の邪眼は目が合った対象の意識と視界を乗っ取る能力を有している。
意識を乗っ取られた相手はそのことに気づくことすらない。認識が改変され、災禍の作り出す偽りの世界で、自らの意思で動いているように錯覚してしまうのだ。
ならば・・・
災禍は鏡に映る自分の顔を凝視した。
それはふうまの同胞たちも誰も知らない、災禍独自の邪眼の応用術だった。
自らの意識を操り、記憶と認識を一時的にプログラムし直す。
『こことは違う世界』を完璧に作り上げる。
それを自らの意識に叩き込む。
若様と私の関係は・・・・・・そうだ。
『かつては敵同士だった』これだ。
ふうま前頭領、ふうま弾正が対魔忍組織に反旗をひるがえしたあの時――。
(もし私が弾正様と袂を分かたず、お側についたまま仕えていればどうなっていたか。)
もしかしたらこういう展開になるのではないか?
ふうま弾正を差し置き、ふうま家の新当主を僭称する憎き敵、ふうま小太郎と対立。
弾正が死んだ後も抵抗する私。
だが結局小太郎はふうま一派の実権を掌握し、私もそれに恭順せざるを得なくなる。
小太郎はそんな『外様』である私を徹底的に調教・教育し、手込めにしようとする・・・・・・。
とんでもない「たられば話」だ。
かつての主君と現在の主を同時に冒涜する妄想である。
でも、だからこそイイ。
(嗚呼、こんな・・・こんなこと・・・・・・
そう思いながらも、やめられなかった。
「申し訳ありませんッ。若様。災禍は淫らなことばかりを考える、淫蕩な牝でございます。若様、どうか若様、お許しを――」
何度も若様と叫び、謝罪の言葉を口にする。
同時に自分で自分を貶めるような言葉も口にする。
その方が快感が増すからだ。
あえぎ声を発しながらも災禍の脳はシチュエーションを想定し、意識が飛んで邪眼の効力が切れる時間を計算していた。
左目の邪眼が燃えるように、ひときわ紅く輝いた。
――災禍の視界は暗転した。