※この作品はR-18です。

ふうま災禍さん!? 邪眼の使い方間違ってますよそれ!   作:ごきまる

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災禍さんとアサギ校長が酒飲みながら語らってます。
ほんとそれだけです。


12 災禍とアサギ、酒を酌み交わす

対魔忍の里、五車町唯一の居酒屋は盛況だった。

 

店内にいる酔客達はアサギの姿を見て、少し驚く。

堅苦しい空気になる前に、アサギは周囲を見回しながら小さく頷く。

忍はわずかな目配せや体の動きを符号にして、簡単な意思疎通を行うことができる。

客達は“そのままで”というアサギからの合図をくみ取って、アサギの存在には気づいていないかのように振る舞い、店内は元の活気ある雰囲気に戻った。

 

「アサギさん。もうふうま災禍さんは来てますよ。奥の座敷にお通ししてますぜ」

「ありがとう」

店長の上月佐那に案内される最中、カウンターの隅っこに座って日本酒を飲んでいる対魔忍スーツ姿のくノ一を見て、アサギはふと足を止めた。

「こんばんは。志賀さん」

「・・・お疲れ様です。総隊長」

 

(青みがかった頭髪が以前見たよりも黒くなり、顔の輪郭や体格がますます自分に似てきている・・・・・・)

 

志賀あさつきだった。

魔科医・桐生の独断治療でアサギの細胞を移植され、瀕死の重傷から生還した対魔忍。

 

「体の調子はどう? なにかあったらすぐに――桐生に言いにくいことなら――私にでもいいから言ってちょうだいね」

「はい、ありがとうございます。でも特に問題はありません」

「そう・・・」

 

なにやら佐那があさつきに目配せし、あさつきがそれに対してかぶりを振っているが、気づかないふりをしてアサギは災禍の待つ奥の座敷へ上がった。

 

――――

―――

――

―

 

軽い乾杯から始まり、災禍とアサギは先の原田菫の一件や他愛ない世間話等々を語らっていた。

 

客に酒や料理を運んだりしながら、上月佐那は興味津々で座敷の二人の会話にそば耳を立てていた。

佐那だけではない。

あさつきを含め、店内の全員が災禍とアサギが何を話しているのか気になっているようであった。

 

数ヶ月前、二車骸佐がアサギの命を真っ先に狙ったのは、先代ふうま頭領の仇を討つことで新生ふうま忍軍の正当性を高めようとしたことからだ。

忍達の間では、反乱を起こしたふうま前頭領・弾正はアサギに討たれたとされている。

 

五車側についたとはいえ、災禍は弾正の秘書であったわけで・・・・・・。

災禍とアサギが酒を酌み交わしている状況は、当時を知る者としては時の移ろいを感じさせるものでもあり、現在の対魔忍の有り様を象徴するものでもあった。

 

 

「それでは――少し質問してもいいですか」

話を切り出したのは災禍だった。

「何なりと。今夜は無礼講。上下関係なんて気にしなくていいわよ♪」

「ではその、まだ学生の身分の若様――小太郎様を実働部隊の隊長に任命した件ですが、何か理由がおありなのですか?」

アサギはグラスに注がれた冷酒をクイッと飲み干すと微笑を浮かべた。

「同じ学び舎に通う学生同士が、突如殺し合うという混乱した状況下での、迅速かつ正確な判断力と観察眼。仲間の忍法を最大限に活用できる知識と指揮力を評価した・・・・・・と、いうのだけじゃ、ダメ?」

 

そんなことは分かっている、と災禍は心の中で呟く。

小太郎は単に記憶力がいいだけではない。得た知識をすぐに活用できる器用さがある。

否、器用だとか頭の回転がはやいといった言葉では説明足らぬ底知れなさがある、と災禍は考えている。

決して身内贔屓なわけではない。

そもそも、本で得た知識をすぐさま実用できる、というのがおかしい。

 

この不可思議な才能を最も評価しているのが今は政府機関に出向しているふうま天音(あまね)だ。

元ふうまの執事としてふうまの反乱が失敗した後も、故・弾正の熱烈な信奉者だった天音。

 

米連に降りながら五車と敵対し続けていた彼女が一変して、小太郎の支持者になったきっかけは、まだ幼かった小太郎が発揮した機知と勇気を目の当たりにして感銘を受けたからだ。

 

残党――ふうま抜け忍衆を仕切っていた鉄華院(てっかいん)卍鉄(ばんてつ)と反目し、卍鉄とその手勢に粛正されかけた時。

当時十二歳の小太郎は傷を負っていた天音を手当てし、忍道具を用いて敵勢を幻惑し、混乱に陥れたという。

そして、卍鉄を返り討ちにできたのも、小太郎の助けがあったおかげだと、後に天音から聞いている。

 

そう、傷の手当てや忍道具の使用にしてもそうだ。

ただ本を読んで記憶するだけではなく、具体的な状況を想定して必死に習得したのだろうと天音は述べていたが、はたしてそれだけだろうか。

学園に通う前の幼児の頃から小太郎を見守ってきた災禍には、小太郎の利発さが、

“新しい事を覚える”というよりはまるで、“以前に知悉していた事を思い出している”かのように感じることさえあった。

 

「あの子の、ふうま君の長所は私などよりあなたや時子の方がよく把握しているんじゃないかしら」

「それは・・・・・・そうですが、小太郎様は忍法を覚醒させていない御身です。それだけではありません。あの方は対魔忍の・・・・・・」

災禍は言葉を詰まらせる。小太郎の不遇を思うと、災禍はそれを口に出すことすら憚ってしまう。

運命とは残酷なものだ。

なぜなのだ。なぜ、あれだけの才気を持った器が・・・・・・。

「そうね。明確な忍法を目覚めさせていない者なら他にもいる。でも彼は、対魔忍としての力の源・・・・・・対魔粒子そのものが身の内でまったく働いていない」

弾正の嫡子であり、忍の血はこの上なく濃いはずなのにふうま小太郎は対魔粒子を宿していない。これは前例の無いことだった。

 

つまりは、忍法どころか対魔忍としての超人的な身体能力も無く、忍の体術等も全く使えないのである。

 

「で、あるなら戦闘を伴う部隊長の任は・・・・・・」

 

荷が重いのでは? と言いかけて災禍は言葉を詰まらせる。

そうだ、自分は小太郎を危険な目にさらしたくないのだ。

過保護だと笑われてもいい。

でも、せめて学生の身であるうちは、前線に出なくともよいではないか。

 

そんな事を思っている自分を恥じ入るように災禍は目を伏せる。

 

「あの子のこと、大切に思っているのね、災禍さん」

「それは・・・・・・お仕えする主ですから」

「でもね、彼は前に進んだのよ。誰よりも疾く戦場と化した学園内を突っ切って、反乱者達の頭目、二車骸佐の前に立った。それは、私を守るためじゃないわ」

災禍は顔を上げた。アサギはいつの間にか三本目の徳利を空にしている。

「彼はまだ骸佐君のことを諦めてないのよ。連れ戻したいと思っている。だから私は彼に骸佐一党の件を任せた」

アサギは空になっていた災禍のグラスに冷酒を注ぐ。

慌てて災禍は盃を受ける。

「それが独立遊撃部隊の隊長に任命した理由よ」

「でも、多数の学生や教師に死傷者がでているのですよ?」

「それらも含めて、ふうま一門をまとめ上げて事に当たれと命じている。どう処断するかは彼次第。ふうま小太郎は断らなかったわ。なら私は、彼の行動。彼が下した決断。そして、その結果に対して、総隊長として全力でバックアップするつもりだし、責任を持つつもりよ」

災禍はグラスを見つめながら「ふぅ」と息を吐いた。

「私は・・・・・・知らぬ間に随分平和ボケしてたみたいです・・・・・・」

「手を差し伸べ続ければ、手厚く庇護し続ければそれだけ若手の成長は遅れる。でも厳しくしすぎると、必要の無い犠牲を、命を散らせてしまう。難しいわよね。忍の後進育成って」

不安はつきない。どうあっても、対魔忍の運命は過酷なものだ。

だが、この井河アサギのことは信じていい。対魔忍・小太郎を任せてもいい。災禍はそう思った。

「確かに」

 

災禍が時子より一歩身を引いた形で小太郎に仕えているのには、自分が小太郎に対して甘すぎるという自覚があるが故でもある。

だが、それが時子に負担をかけてしまっていたのではないか、という考えがふと災禍の頭をよぎった。

 

「今のご時世、少なからず忍達はみんな甘くなっているわ。それは多分、私にも責任があると思う」

「・・・一昔前なら、対魔忍を引退なんてのも許されませんでしたものね」

「あら、言うじゃない」

「今宵は無礼講――でしょう? アサギさん」

二人とも酒が入り、気持ちが綻んだのか次第に口調もくだけたものになっていった。

「私ね、今もそうだけど、若い頃は対魔忍のそういう古い因習や掟でがんじがらめになってるところ、大嫌いだったの」

「知ってます」

「対魔忍だってもっと自由に生きていいんじゃないかって、そう思ってこれまでやってきたんだけど・・・・・・でもね、今日の会議でとんでもない問題が浮上してきちゃって――」

「おっ、なんかいい感じに盛り上がってますね。アタシらも混ざっちゃっていいすか?」

「いいわよ」

「やた!」

手にチューハイ缶を持ち、もう片方の手で嫌がっている志賀あさつきを引っ張りながら、佐那が座敷に上がってきた。

「ちょうどいいわ。世代の違うくノ一の意見も聞きたかったのよ」

「お、おい上月っ。私はいいって――」

「まぁまぁ! いいからいいからッ」

 

アサギの隣に佐那。災禍の隣にあさつきが座る。

「し、志賀あさつきです。横を失礼します。ふうま――災禍さん?」

「どうぞ」

「でも佐那、お店の仕事はいいの?」

「あー、みんな常連さんだし、アタシが深酔いモードになるといつもみんな好き勝手に酒とか自分で用意してるんで、問題ないっす! でもみんなアサギさんと災禍さんの話に聞き耳立ててますけど、いいんすか?」

「災禍さんも私も気配で分かってたわ。別にいいわよ。今から話す事って対魔忍全員に関わることだから」

「対魔忍全員?」

災禍はあさつきのグラスに酒を注ぎながら怪訝な表情をする。

「そう、そして対魔忍という組織の未来に関わる事よ――」

 

ズゥーン・・・・・・っと暗い顔になったアサギに三人のくノ一は顔を見合わせて肩をすくめた。

 

こうして、井河アサギは酒の勢いに任せて、桐生佐馬斗に言われたことを皆にぶちまけ――もとい相談する運びとなったのである・・・・・・。

 

 

 




アサギ「でもねぇ、恋愛とか、結婚とか、家族を作るとかぁ、子供を授かるとかぁぁ、こればっかりは縁があるかないかでしょぉぉ??(酔)」

あさつき「そ、そうですね・・・・・・」

災禍「・・・・・・縁が無いなら強引にでもその縁を作り出すのが忍の流儀では?」

佐那「どういう意味スか?」

災禍「え? 古来よりお家が決める縁組以外の忍の色恋なんて、一歩間違えば殺し合いに転じるような命懸けのものでしょう?」

ア・あ・佐「えっ、なに、それは(ふうまの忍、怖っ)」

桐生「申し訳ないが逆に人口が減りそうな施策はNG」

紫「こいつがマトモな事をいうとは・・・・・・」


次回、災禍とアサギの会談によって、封印されていた臥者(ガチャ)の裏ルールが解放される!(かも)



まだいつのことになるか分からないけど天音を登場させたいな~
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