ふうま災禍さん!? 邪眼の使い方間違ってますよそれ! 作:ごきまる
今回よりエロなしの場合は前書きでその旨を明記することをルール化します。
今回の更新は今まで以上につまんない話かもしれません。
それでもお付き合いいただける方は本編へおすすみください。
関係を持った女達と時折時間を作って情事に耽る。
それはふうま小太郎の裏の日常だった。
『何人もの女と肉の交わりを持っていること』は・・・・・・知られていないはずである。
一応、表向きは。
“フフ、まあいいけどね”
(さっきの凜花先輩の言葉からして、もう結構バレバレだよな。つーかキスマーク見られたし)
――臥者。
対魔忍の人材登用制度であり、任務達成のために五車の忍のみならず外部の人間や時に魔族をも協力者として起用することが出来るルールに則り、小太郎は様々な者と関わってきた。
出会った者達と時には交流を深め、時にはしたたかに利用した。
そういった中で数々の女と肉体関係を持ってきた。
性交渉もまた事を有利に運ぶ手段というわけである。
だが自分の場合は、その手段がしばしば目的になってしまっていることを小太郎は自覚していた。
正直、こればかりは相手あってのこと。
それなのに自分は欲望のままに相手の隙を見つけ、油断を誘い、策を弄してまで女を籠絡している。
時には逆に自分が手痛い目にあったこともあるが、幸い死ぬような危険に晒されたことはない。
・・・・・・今のところは。
まだ、手を出してはいないがアサギあたりにはおそらく知られているのだろうと小太郎は推察した。
(まだってなんだ俺。まだって・・・・・・アサギ隊長にまで手を出すつもりか?)
そう自分に突っ込んでみる。
ふと時子のことを思い出す。
(時子は最近知ったんだろうな。最初の時に俺の記憶を奪ったのは・・・・・・)
主と執事。ふうま当主のお目付役。この関係と立場を壊すまいとしてのことだろう。
最初、記憶を封じられていたことに小太郎は怒りさえ感じていた。
昨日詰問しても最初はなかなか認めようとしない時子だったが、ついに根負けしてセックスしたこと、自分がその時まで処女だったこと、記憶封じを行ったことを白状した時の、彼女の泣き崩れた顔は多分一生忘れないだろう。
そもそも散々、数多の女を抱いている自分に怒る資格など無い。
あの時子が自分に想いを寄せていてくれたことはなんというか、面映ゆい事この上ない。
この上なく嬉しいが、同時に気まずくもある。
災禍の時は学園生活や任務にかまけて、時間をおいて災禍への気持ちの整理をつけたが時子の場合はそうはいかない。同じ屋根の下で暮らしているのだから・・・・・・。
――――
―――
――
―
「・・・・・・災禍」
「落ち着いて時子。できるだけあなたの正直な気持ちを話して。あとはいつも通りに振る舞えばいいのです」
時子は“自分の与り知る処ではない”とそっけなかった災禍と一緒だった。
側にいてくれと頼み込んだのである。
時子は災禍を連れてふうま屋敷へ帰ってきた。
午前中は頭が回らず、まともに講義をこなせたのが不思議なくらいだ。
今日一日、小太郎のクラスの授業を担当していなかったことを忍の神・
「おかえり、時子。災禍も」
リビングでばったりと先に帰宅していた小太郎と居合わせ、時子はつとめて――努めて冷静に口を開いた。
「ただいま戻りましたお館様――あの、お疲れでなかったらお話があるのですが・・・・・・」
「ああ、わかってる」
屋敷内で一番広い畳部屋にて上座の小太郎に対し、時子と災禍が向かい合って座る。
気まずい沈黙が流れる。
(・・・時子)
(わ、わかっています、災禍)
時子は臣下の礼を取って深々と頭を垂れた。
「お館様。昨晩――いえ今朝方は、申し訳ありませんでした。お館様を差し置き眠り落ち、ましてや閨の後始末をさせるなどふうま宗家の執事としてあるまじき失態です」
「そんな気にする事じゃ――」
「いいえ。私はお館様のことを一人前の対魔忍、ふうまの男と言っておきながら、災禍やさくらちゃんに嫉妬し、あのような振る舞いでお館様と肌を合わせて――」
「あ、あのな、時子」
小太郎が手を挙げて時子の話を中断させる。
「い、いいよそういう堅苦しいのは。今まで通りっていうわけにはいかないか?」
「・・・・・・・・・・・・今まで通り、ですか」
「ああ。昨日のことは、俺は嬉しかったよ。でも他の何かを変えたいってわけじゃ無いんだ。俺は前と変わらない、学校の授業もサボり気味で忍法も使えない未熟なふうま当主。時子と災禍は完璧な邪眼使いのくノ一のふうまの従者。いつも通り俺を厳しく叱りつけたり、たしなめたりしてさ。それでも俺は言うこと聞かずに悪知恵働かせて、時子を怒らせたり災禍を呆れさせたり・・・・・・そういうのを、なんつーか変えたくないんだ。無茶苦茶なこと言ってるのは自分でもわかってる。でも・・・・・・だめか?」
そう言われて時子は小太郎を見つめ、それから視線をそらした後、俯いた。
「さ、災禍は? どうかな」
「若様のお望みのままに。時子は、どうですか」
時子が顔を上げる。わずかに頬に朱がさしていた。
「し・・・・・・承知しました。でもお館様。おひとつだけ」
「ん?」
「先ほど申し上げたことです。ふうま一族の男・・・・・・ましてや宗家当主とあらば女人の官能を御し、自在に従え
おずおずとそう確認するふうまの執事。
小太郎は昨晩の“奥の奥に来て欲しい”とねだってきた時子の表情を連想し、思わず体が浮きかける。
「もちろんだ」
「っ――は、はいっ」
嬉しさと羞恥が入り交じった顔で時子はうなずいた。
そのまま“ふつつか者ですがよろしくお願いします”とでも言いそうな様子の時子と、照れて頭を掻く小太郎を交互に見ながら災禍は思わず苦笑し、直後に思い出したように口を挟んだ。
「でも若様。他のくノ一や外部の魔の者、異能者を相手取っている時は充分にお気をつけください。異世界から来た別人でしたっけ。井河さくらはあの様子だと大丈夫でしょうが、事を仕掛けた後で相手側に“意のそぐわぬ関係を強要された”“陥れられた”と最後まで思われてしまえば怨恨を生みだし、身を滅ぼしかねません。忍の流儀を仕掛けられた側が仕返すのもまた有りなのですから」
「ああその辺は大丈夫だと思う。忍法は使えないけど、なんとなくそういうのには抜かりが無いんだ、俺」
「それなら良いのですが」
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・え?」
「へっ?」
「・・・時子?」
時子、小太郎、災禍、三者三様の声が漏れる。
「ん・・・んん? もしかして、お館様。さくらちゃんと災禍だけではなく・・・・・・まだ他にも密通を交わしている女性がいらっしゃるのですか?」
なにやら場の空気がおかしくなった気がして小太郎は焦った。
(不味いんじゃねこれ・・・・・・災禍は分かってるようだし当然時子もそうだと思ってたんだけど・・・・・・もしかして認識にズレがあったのかこれ?)
「・・・・・・あの、時子さん? なんか怒ってる?」
「いえいえっ。怒ってないですよッ。先ほど言ったことは変わりません。ただ、私は執事としてお館様の交流関係は把握しておく義務がございますからっ。それで、一体他に誰と誰と誰なんでしょう?」
つとめて声を張って微笑む時子。
その笑顔の裏に有無を言わせぬ迫力感があり、小太郎は身を縮こまらせた。
「え、あ、はい。えっと、まずは・・・・・・」
「“まずは”とか言えちゃうほど多いのですね・・・・・・」
「ゴホン! えーっと! まずは、さくら先生」
「!?」
いきなりのビッグネームが飛び出してきて時子は思わず咳き込んだ。
災禍も時子ほどでは無いが驚いたようだった。
「コホッ!ゴッホッ!――こっちの世界のさくら先生ともヤッてるんですか!!??」
「うん。いやほら、さくら先生は自分の陵辱体験も実にあっけらかんと話すしさ。魔族に捕らえられた時の対処法や気構えなんかを話してる時に“このさくら先生を調略しようという猛者男子がいるならいいよぉ~? どーんと仕掛けてきなさい!”とかいうからこっそり挑戦してみたんだ」
「そーいうのはぁ! 少し盛って話してるというかぁ、ジョークとは思わなかったんですか!?」
「まあ、実際はこっちが仕掛けた罠に上手くかかった――ように見せかけられて、さくら先生に見事に翻弄されちまってな。でも、今まで本気で手籠めにして籠絡しようとした男子なんかいなかったらしくて、気に入られてさ・・・・・・結果オーライ、みたいな感じ?」
「さ、さくら先生~~~~~~~ッ」
“あの人なに考えてんの!”と言いたげに拳を握りしめ畳を叩こうとして叩きつけないまま、わなわなと腕を振るわせる時子。
災禍は半ば呆れ、半ば感心といった様子で様子を見守っていた。
「災禍は何でそんな平気な顔していられるんですかっ?」
「まあ私は薄々知っていましたから」
「んぐぐっ」
「それから遊撃隊の隊長に任命された直後、半分見学みたいな形で別隊の任務に参加したり、遊撃隊を補佐して貰った時に時に知り合った
如月は棒術使いで『金剛の対魔忍』と二つ名で呼ばれている対魔忍。
あさつきは井河アサギと同じ忍法を使える対魔忍。
いずれも単純な戦闘力では小太郎では絶対にかなわない強者だ。
「んんっっお館様・・・・・・本当に大丈夫なんですよね? 恨み買ったりしてませんよね?」
「それはない。あさつきさんは自分から誘ってきたし、如月さんは言い寄った時に拒否られたけど強引にグイグイいったら本気で抗ってはいないのが分かったんでそのまま勢いでいけた」
・・・・・・これまで秘密にしていた反動か。あるいは災禍はもとより、時子が今の自分の有り様を認めてくれた安堵感と解放感からか――時子は想定外のひどい数の多さにもんどり打ってるが――小太郎は堰を切ったように告白を続けた。
「あとは任務で一緒になった流れで――てのが多いかな。
「ちょっと待ってください。まだいるんですか・・・・・・って、炎遁使いの逸材とあの弓使いの名家の颯さん!?」
「あと紫藤凜花先輩」
「――ッ」
その名前を聞いてそれまではまだリアクションで紛らわすだけの余裕があった時子の顔色が変わった。胸の鳩尾辺りを抑えて、不安げにふうまの主を見つめた。
「若様・・・・・・紫藤凜花様は紫藤家の嫡子であることはもちろんご存じですよね?」
災禍も時子の背中をさすりながらいつになく厳しい顔で確認する。
「そりゃ知ってるさ」
ふうま一門の中で宗家に次ぐ頭領筋。かつてはふうま八将の一つに数えられた一族だ。
過去の反乱の際には中立を保ち、五車内でも強い影響力を残している。
その紫藤家と争いにでもなったら事態は深刻となる。
「そのように冷静であられるご様子から察するに、凜花様とも良好な関係が続いていると考えてよろしいのですね?」
「ああ、問題ない」
その凜花とついさっき青姦をキメてきたばかりなことは黙っておくことにした。
(それに他にもまだいるんだが、これも今は黙っておこう)
さすがに喋りすぎたかと小太郎は妙なテンションになった自分を抑えようと気持ちを切り替えることにした。
「差し出がましいようですが若様――」
「待って災禍。それは私に言わせてください」
何とか立ち直った時子が災禍の言葉を継ぐ。
「お館様、いま挙げられた忍達、誰もが個としての忍の技量・武力が突出している者ばかりです」
「はっきり言えよ。まともに戦ったら俺は彼女達には絶対勝てない」
「ならなぜ命の危険を冒してまで彼女たちを自分の女にしようとしたのです?」
「・・・・・・出来ると思ったからとしか言い様がない。たとえば思い詰めるようなタイプの奴には近づいてすらいないし・・・・・・説明が難しいな。彼女たちの油断や隙がわかるんだよ」
「もしやそれは何かの忍法なのでは――」
「いやそれはない。定期的な身体検査でも俺の体に対魔粒子が働いている形跡は無かった」
「お館様。たしかにふうまの忍は敵を誘惑魅了し、時には捕らえて調教することで味方に引き入れてきた歴史があります」
「ああ。だから俺は――」
「でも今は時代が違います」
ぴしゃりと言い放つ時子。
「時子が言ったんじゃないか。臥者・・・対魔忍の人材登用法には忍同士の交流に性交渉も含まれると」
「私が? 私はそのようなことは――」
「いやいや、あらゆる手を使って忍と忍ならぬ異能の者どもを従え操り、万全に統べることで――」
突如バチンと小太郎の視界に火花が散った。
――万全に統べること叶わば、
視界が暗くなっていく。
――実体を持たぬ隠形の身をもつ忍の神・摩利支天の如く、
闇の中で炎が巻き上がる。
――五行自在の通力を有して異界の空を駆ける・・・・・・
炎と瘴気の中、誰かがいた。凄まじい殺気を放ちながらも興味深げに笑っている、誰かが。
「お館様?」
ハッとして小太郎は左目を瞬かせた。
「あれ、どうした――どこまで話したっけ?」
「大丈夫ですか若様。突然ぼうっとされたまま何も仰らないので・・・・・・」
心配げにこちらに寄ってきた災禍と時子の顔を見て、小太郎はつとめて明るい声を出した。
「ああ、なんでもない。ちょっと疲れてるんだ。時子、わかったよ。今後は自重するからそれでいいだろ?」
「・・・・・・ご納得いただけたのならいいのですが」
――――
―――
――
―
(今日は疲れたな。それに何だったんだろう。さっきの白昼夢は)
早めに就寝についた小太郎はベッドの上で薄暗い自室の天井を見つめていた。
普段、言うことを聞かず五車学園でも授業をサボって時子を困らせる小太郎だが、本気で心配させたくはない。
先ほど見た白昼夢のことは黙っていた。
(もう寝よう)
ベッドライト消そうとしたその時、布団の内側からもぞもぞとした気配を感じて小太郎は目を剥いた。
「ふーまくん♪ あっそびましょ♡」
ふうま屋敷に居候している井河さくら(若)だった
「またいつぞやの時みたいに男の布団の中に忍び込んで、ナニして遊ぶ気なんですかね・・・」
「もお! 皆まで言わせるなぁ♪」
「オコトワリシマス」
「え?」
「オコトワリシマス。シヌホド疲れてイルンデス」
「ちょ、うっそでしょ!? 結局昨日は朝まで時子さんとニャンニャンしてたくせに!」
「だからこそ今日はゆっくり体を休めたいんだよ。そのくらい察して・・・」
「いやいやいや! 私もろくに寝てないから! 昨日は一晩中時子さんのニャンニャン声を聞かされてどーにかなりそうだったんだから! ふうま君責任取ってよ!」
「いやもう今日はマジで勘弁してくれ・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・ホントにヤなの?」
「ヤダ」
「もう――私のこと、飽きちゃったの?」
いきなりの震える涙声。
小太郎は仰天した。
「おま・・・・・・」
ちらりとさくらの顔を見ると、悲しげな表情で瞳を潤ませていた。
つぅ・・・っとその頬を一筋の涙が伝う。
一瞬、小太郎の気持ちが揺れた。しかし――。
(いやぁ、コイツがそういうキャラかぁ?)
疲労している頭をフル回転させ、さくらの顔を観察した後、いぶかしげにジーーーっと見つめる。
見つめ合うこと十数秒。
「・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・・ブフっ」
「・・・・・・その顔は何だ。その目は何だ。その涙は何だッ。んでもってほんの数十秒ももたずに“ブフっ”って吹き出すのは何だ!?」
「あ~~~~ん、引っかからなかったぁ!」
「そんな演技で男をたぶらかせると思うなよッ」
「う~~~~~~」
「添い寝ならいいぞ」
「えっ」
「セックスはまた今度な。一緒に寝るのなら許可する」
「もう~しょうがないにゃあ――てっ、キャ♪」
さくらの双乳に顔を埋めるようにして目を閉じる小太郎。
「・・・・・・ふうま君、どうかしたの? なんだか不安そう」
「どうもしねえよ」
それっきり小太郎が言葉を発することは無かった。
「・・・・・・」
いつもかしましく快活なさくらも何かを察したように無言のまま小太郎の背に手を回す。
小太郎はさくらの甘い香りをかぎながら、たちどころに眠りについた。
サブタイの○○○○に入る言葉は『えいとん(影遁)』です。
あともしかしたら別のワードも該当するかもしれません。
(宇宙神話的なアレではないです。多分)