ふうま災禍さん!? 邪眼の使い方間違ってますよそれ! 作:ごきまる
配布SR【抱擁バレンタイン・ふうま災禍】の回想のネタバレを含みます。
ご注意ください。
24 ふうまの隠し湯 前
時子に小太郎の数多の女性関係が発覚してから一年と数ヶ月の時が過ぎた。
年が明けてからというもの、ふうま天音が屋敷に来訪する事が多くなり、時子と顔を合わせれば何かといがみ合っている。
そんな一月が過ぎ、二月も下旬にさしかかった頃。
災禍と小太郎は山中にある温泉に来ていた。
五車町周辺の山には大小様々な温泉が湧いている。
その中には五車の住人なら誰でも知っているような大温泉もあれば、知る人ぞ知る秘湯、さらには誰も知らない野湯なども存在する。
「若様、ここはもう何年も手付かずだったはず。湯船などはご自分で作られたのですか?」
「ああ。といってもスコップで積もってた石や砂を掘り起こして、元からのものを整えただけだけどな」
「言ってくだされば私もお手伝いいたしましたのに」
「いやいや、普段から災禍には世話になってるしさ・・・・・・そのお返しだと思ってくれよ」
隠し湯。
そこはかつてふうま家の当主が独占的に利用していたという秘密の温泉だった。
ふうまの書庫を有する別邸の山奥にあるという話を災禍から聞いた小太郎が、今度一緒に行ってみようと誘ったのである。
周辺には雪がすっぽりと積もっていて、傾斜のなだらかな小さい滝があり、その滝壺が熱い源泉の湧き出しだ。
少し離れたところに湯溜まりがあり、石を積み上げて作られた湯船になっている。
小太郎は湯煙が漂う湯船に近づくと、上流のぬるい水を引き込みながら温度を調節して大きく頷いた。
「よーしっ。じゃあ、入ろうか」
「はい」
二人は防寒性能もある対魔忍スーツでやって来ていた。
今は夜。満天の星空の元、二人はスーツを脱いでゆく。
“雪明かり”とはよく言ったもので、月光が雪を反射し、夜だというのにとても明るい。
胸をはだけさせ、腰をかがめながらスーツを下へずらし、全裸になっていく災禍を小太郎はじっと見つめる。
衣擦れの音と共に、長い黒髪がサラサラと垂れて災禍の顔を隠す。
青白い光の中で見る災禍の裸体は不思議な幻影を見ているように美しく、小太郎は唾を飲み込むのも忘れて見とれていた。
髪を掻き上げながら顔を上げた災禍と目が合う。
「若様・・・あ、あらたまってそんなに見られると恥ずかしいです・・・・・・」
「すまんすまん」
脱いだ対魔スーツをきれいに折り畳みながらそわそわと周囲を見回す災禍。
「どうした?」
「あ、いえ、ふうま宗家の限られた者しか知らない場所とはいえ、外で裸になるのは少し気恥ずかしくて」
「・・・・・・」
小太郎は思わず“前にここを使ったことはないのか”と聞きそうになって、やめる。
ふうま災禍は先代に仕えていた秘書で、ここはふうま当主用の隠し湯である。
もし災禍が以前この湯に浸かったことがあるとすれば、それは亡き父・ふうま弾正と一緒にいたということであり、それが何を意味するかといえば当然――。
と、そこで思考を無理くり途絶させて別のことを口走る。
「なーに言ってんだよ。一昨年のバレンタインの時のことを忘れたのか?」
手桶で何度も掛け湯して、湯船に浸かりながら少し意地悪く言ってみる。
「あ、あれは屋敷の敷地内で、し、茂みに隠れていましたしっ」
そう言いながら掛け湯してから小太郎の後に続いてササッと湯船に入る災禍。
湯が大きく揺れ、男女二人分の体積でざぁーっと湯船からお湯がこぼれていく。
心地よさそうな吐息が災禍の口から漏れた。
「ああ、あたたかい」
湯船にはちょうど枕のように頭を預けられるなめらかな岩肌が二つあり、隣り合いながら脚を伸ばして寝湯ができる趣向になっていた。
肩まで湯に浸かりながら、しばらく一言も喋らずに星空を眺める。
小太郎はちらっと横目で災禍を見た。
災禍の濡れた横顔が雪明かりでよく見えた。
「来てよかったか?」
「ええ、とっても」
「以前だったら冬に野山奥の温泉なんて絶対に行こうとは思わなかったが、災禍がそう言うなら誘ってよかった」
「どういうことです? 以前はお嫌だったのですか?」
「なんつーか、今は多少なりとも体が丈夫になったからなぁ」
「若様・・・・・・」
ふうま小太郎は人をゾンビに変えてしまうウィルスガスを使っての二車骸佐の凶行を防ごうとして失敗し、さらには危うく死にかけた。
否、実際に一度死んだ。
二車上忍、八百比丘尼と交戦状態になった際に、骸佐の奇襲を受けて、太刀で胸を刺し貫かれたのである。
完全に心臓を破壊され、絶命したはずの小太郎だったが謎の力で蘇生をはたし、現在にいたる。
「なんで魔性の力が俺に宿ったのかはわからんが、前より体はよく動くようになったからな」
「・・・・・・」
「真冬の水練授業もサボらなくて済むようになったし、夜目も利くようになった。おかげで今の災禍の姿もよく見え――」
「若様」
スッと災禍の手が伸び、小太郎の胸に触れた。
「本当にお体の具合は、あれからお変わりないのですか? 何か異変は?」
「ないよっ。ないない」
すこしうんざりした様子で小太郎はかぶりを振る。
骸佐に瀕死の重傷を負わされたのはもう一年以上も前のことだ。
それなのに災禍や時子、天音達は今でも時々、こうやって心配そうに身体の調子を伺ってくるのだ。
小太郎が奇跡の蘇生生還をはたした当初、時子も災禍も気が気でない状態が数日間続いた。
普段は政府機関に出向していて、いつも五車にいるわけではない天音も血相を変えて一時ふうま屋敷に帰還した。
小太郎の部隊に参加したことのある仲間達も総じて殺気立ち、小太郎が号令をかけさえすれば骸佐一味殲滅すべしという流れにでもなりそうな勢いだった。
もし、そうなれば災禍は真っ先に先陣をきるつもりであった。
だが結局は当の小太郎本人が周囲に頭を下げる勢いで押し止めたため、決起には至らなかった。
あれから大分時が過ぎた。
「・・・・・・俺は、問題を先延ばしにしているだけなのかもな」
そういって小太郎は自分の胸に触れていた災禍の手を取り、身を寄せる。
「若様。あ、あぁ♪」
最近は二人きりの時に、子供のように自分に甘えてくるようになった小太郎をギュッと抱きしめる。
ふと、絡めた災禍の脚の無骨な感触に小太郎は素朴な疑問を口にした。
「そういえば、今日も戦闘用のサイボーグレッグのままなんだよな。災禍は」
「はい。せっかくのお誘いいただいた野湯なのに無風流で申し訳ございません。ですが、ここは里から離れた野外ですし、万が一の時には若様をお守りしなければいけませんから」
「そうか」
小太郎は災禍の腰に手を回してしばらくじっとしていたが、おもむろに災禍の腹に片手を滑らせ、やんわりと手に力を込めた。
「ん・・・・・・」
湯の中で抱く災禍の身体はいつにも増してなめらかで柔らかく感じた。
「温泉に浸かってるせいかな。災禍の身体、いつもより柔らかくて、タプタプしてる」
“タプタプ”という表現を聞いて災禍は肩をすくませ、ほんのりと苦い笑みを浮かべた。
「それは・・・・・・齢を取って余分な肉がついたから・・・ですかね」
「こんなくびれた腰と、腹筋がうっすら割れてるすっげえカラダしといてそれはないだろう?」
そういいながらしきりに腹部を撫でさする。
「で、でも・・・どんなに鍛えてても筋肉を弛緩させた時のたるみは・・・若い娘に比べると、あるでしょう?」
「ん~、どうかな。じゃあもっと色んなところ触って確かめていいか?」
「ん・・・若様の、お好きに」
腹部を撫でさする手はそのままに、もう片方の手が災禍の全身を這い滑る。
だが決して乳首や性器といったわかりやすい性感帯は触らない。
優しい刺激にゾクリと身体が震えるがそれ以上の快楽の波は来ない――と、災禍は思っていた。
だが下腹部をクイ、クイ、と指で押され、手の平で揉みしだかれるうちに・・・・・・。
背筋が粟立ち、下腹部が熱くなっていくのが分かった。
「んんぅぅッ、あ、あぁ・・・・・・それ、わ、若様」
「ん? どうした災禍」
災禍の胸元に頭を預けたまま、素知らぬ風情で災禍の下腹を揺さぶるように押し、撫で回し続ける小太郎。
「ア・・・はぁっ」
(こ、これは・・・・・・)
甘い声を漏らしながら災禍は察した。
今宵、小太郎は自分からは求めないつもりなのだ。
媚薬などは使わない。わかりやすい勘所も責めないし、強引に迫らない。
そうしながら、明確に――災禍の方からはっきりと、“抱いて”と。
おそらく言わせたいのだ。
いや多分、絶対そうだ。
それも淫らに、はしたなく――懇願してくるのを、狙っている。
災禍の方から誘うという似たような事は一昨年のバレンタインの時にもあった。
米連特務機関『G』のサイボーグ、メイジャーに襲撃されるという一幕もあったあの時。
・・・・・・小太郎が肉交を結んでいる女達が任務で五車町を出払っていたり、『それはそれ。これはこれ』ということなのか。複数人の女と関係をもっている事へのお灸を据える意味もあったのか。真相は分からないが、本当に誰からもチョコレートをもらえなかったらしい小太郎に唯一人、チョコを渡した災禍が慰めるようにセックスした時のことだ。
(しかしあの時は・・・・・・)
あくまでも“傷心の若様を慰め、奉仕する”という建前があった。
しかし、今の状況は違う。
身体を、さわさわと触られるだけで肉悦のお情けを自ら請うのは女として、対魔忍として・・・・・・というよりふうまの従者としての挟持が許せなかった。
でも・・・・・・。
「わ、若さまぁ・・・・・・そ、それ、すごいです、ね・・・」
それとなく聞いてみる。
「何が?」
「お腹・・・私のお腹にしてる・・・・・・それっ」
「軽くマッサージしてるだけだぞ」
(嘘っ・・・・・・)
面と向かってなじることはできず、切なげに眉根を寄せて災禍は身をよじる。
蕩けだした頭と、疼き出した
腹を撫でられているのではない。
下腹部の肌と肉の奥にあるもの・・・・・・子宮だ。
さっきから子宮を捏ねられ、責められているのだ。
そもそも、とっくの昔に災禍の子宮は目の前の愛しい男に墜とされている。
小太郎から与えられるこの上なくもどかしい優しい刺激は災禍の“牝”をじわじわとねぶるように、嬲り尽くす所行ともいえた。
(あ、ああ・・・・・・わ、わかさま・・・・・・)
さらに、刺激に小刻みに揺らす振動が加わった――。
(ふぁ!? あああッ・・・・・・!)
数ヶ月前、時子に羽交い締めされて宙に浮いた尻に男の腰がぶつかってきた時のことを思い出す。
子宮口にズメリ込んできた小太郎の肉棒を想起した瞬間、災禍の全身が軽い痙攣を繰り返した。
「あ!? くぁ――ふぐぅぅぅ!!!」
膣や陰唇、クリトリスには触られてもいないのに、災禍は自分のマンコがグズグズにほぐれ弛んでいくのを自覚した。
膣口からゴポリと濃厚な愛液の塊が湯の中に吐き出された。
いつの間にか開きっぱなしだった口からも涎が流れ落ちる。
「ハァ、ハァ・・・・・・」
「どうした災禍」
「あ、うう・・・その、若様にお腹をさすられるのが気持ちよすぎて――」
「気持ちよすぎて?」
「恥ずかしながら・・・・・・イッて、しまいました」
「嫌だったか?」
スッと小太郎の手が離れる。
「あっ」
思わず物足りなげな声を発してしまい、災禍は羞恥を感じながら首を横に振る。
「そ、そんなことはありません。ただ、私だけ高ぶって、感じてしまって・・・・・・なんだか申し訳なくて」
「そうか。今日はバレンタインのお礼だからな。災禍のしたいこと、して欲しいことだけをするぞ」
「そ、そんな」
「言ってくれよ。災禍の望みを」
先ほどから全身が敏感になっている。快楽の波がおさまらない。
今すぐにでも
挿れてほしいというのが本音ではあったが――。
「でしたら・・・・・・若様のオチンチンにご奉仕させてください」
(若様にも、快楽をっ。私で、気持ちよくなって欲しいっ。そして――)
「・・・む、わかった」
予想していた求めとちがっていたのか、小太郎は少し驚いたようだった。
湯船の縁に腰掛ける小太郎。
温泉特有の硫化水素の匂いと掛け流しの湯のせせらぎの中、災禍の奉仕が始まる。
小太郎と災禍の夜は、まだ始まったばかりだ――。
更新期間が想像以上に間隔空いちゃったので、とりあえず更新。