ふうま災禍さん!? 邪眼の使い方間違ってますよそれ! 作:ごきまる
「バカな・・・・・・」
夢幻五車町の五車学園の校舎は木造の四階建てだ。
その屋根に上がり、眼下に広がる街並みを這うように飛行している群れを見て、やれ男は思わず呟いていた。
「ありえん。ここは限られた対魔忍の意識しか入ってこれないはずだ」
「そうとは限らないんじゃないですか? シアリーのように――」
「いや
「コウモリのような翼に可愛らしい尻尾と頭に生えた角・・・・・・淫魔とも呼ばれる魔界の夢魔族・サキュバスですね。ここからでも数十体は確認できます」
「・・・・・・・・・・・・あー、そうか。そういえばいたな。対魔忍でありながら淫魔の力を持った女が。アイツが夢幻の境界を越えさせる呼び水になったか。ったくめんどくせーな!」
「あっ、待ってください」
やれ男は身を翻して災禍と小太郎の処へ戻った。
「どうだ? 話し合いは進んでるか?」
医務室の扉を開けながら、やれ男は開口一番に問いただす。
「い、いや・・・まだ災禍が何も言ってくれなくて」
「チッ、おい。緊急事態だ。サキュバスの大群がこっちに押し寄せてる」
「は!?」
「ありえないんだがな。夢魔族は他者の夢に入り込めるが、自分自身で夢を見ることは出来ない。誰か個人の夢というわけでもないこの夢幻世界にそいつらが転移してきたということは、相当やばい奴が絡んでるって事だ――取りあえずシェルターに行くぞ」
「シェ、シェルターなんてあんのかよ」
「あるに決まってるだろ。別世界とはいえ忍達の意識が造り出した五車町の中枢だぞ」
「あ、シアリーもシェルターの場所、知っています」
「じゃあ災禍を連れて先導してくれ」
「私は、若様のお側を離れるわけには・・・・・・」
真顔で災禍を見つめたやれ男は急にふざけた乙女チックな仕草で、願い事をするように指を組み合わせながら女声を発する。
「“あぁ~。今宵だけ他の全てを忘れて~♪ 私だけのものに~~♪”」
「うわああああああああああああああ!!!!!!」
猛然と災禍はやれ男に突っかかり、その胸ぐらを掴んだ。
「さ、災禍? どうした」
こんなにも動揺した災禍はかつて見たことがない。小太郎は目を丸くした。
「お前ッッ! だだ、黙れ!!!」
「これ以上は言わんよ。だが災禍、お前はそろそろ気づいてるんじゃないか? お前が邪眼術で願ったことが事態を深刻にさせていることに」
「そ、それは」
「おれは小太郎と話がある――お前のことはお前自身が後で話せ。さあ――行け」
うむを言わせぬ口調だった。
さっきのおふざけとはうって変わり、傲然と睨めつけるその態度には支配者の貫禄すらあった。
災禍は思わず引き下がり、従ってしまう。
シアリーと共に先を行きながら、何度も後ろを振り返る災禍。
二人の小太郎は何やら小声で話し込んでいる。
(あいつは本当に若様の意識の片割れなのか? 一体・・・・・・)
「・・・・・・で? どうなんだよ?」
前を行く二人より歩みを緩めながら、やれ男は小太郎の肩に手を回して囁いた。
「は? 何がだよ」
嫌そうに身をよじりながら小太郎は顔を背ける。
「災禍のことだ。惚れてんのか?」
「はあ!?」
「本気なのかって聞いてんだ」
「な、なんでそんなことを聞く?」
「お前の災禍への入れ込み様はハンパじゃないだろ。何故だ? 他にも女はいるじゃないか・・・・・・・・・・・・・・・・・・時子とかどうすんだよ」
「・・・・・・アンタ、本当は何者なんだ?」
小太郎は半分答えをはぐらかすため、もう半分は目の前にいる自分そっくりの男の正体を知りたくて、質問に質問で返した。
「あ?」
「俺は知らない、『夢魔は自分の夢を見ない』なんて知識は持ってない。俺の知らないことをなぜ俺の意識の一部だというアンタが知ってるんだ」
「今それは重要じゃねえ」
「重要だろッ。誰とも知れない自分そっくりの怪しい奴と一緒に行動したくねえ」
「・・・・・・やっぱりお前も俺だな。猜疑心が強い――――――異世界のさくら」
「なに?」
「異世界から来た井河さくらと同じようなもんだ。俺は別次元のふうま小太郎」
「えっ、な」
あっさりと答えられて小太郎は何かを言おうとして言葉を詰まらせた。
「い、いやでも、じゃあなんで記憶を共有してるんだよ」
「この夢幻五車町は複数の世界と繋がっている。俺はここを介して意識の一部をお前に憑依させていた」
「なんでッ。なんでそんなことを!?」
「目抜けのお前に知識と力を分けようとしたんだ。何度も言うがお前から意思決定の主導権を奪ったことはないぞ」
「でもッ。影響は受けてきた!」
「お前な、悪い点ばかり見てくれるなよ・・・・・・この夢幻五車町に来てから、どんどん体が俊敏に動くようになってるの気づいてるか?」
「・・・・・・」
「書物で読んだことあるだろ。邪眼の真髄を思い出せ小太郎。邪眼とは精神に働きかけるもの。物理的な現象すらその作用に引っ張られる。それこそが邪眼の本質だ。俺の意識が干渉すれば右目の開かないお前にも、残った左眼に俺の能力の一部が覚醒する可能性があった。昨晩のテントの中でお前は寝ていたが俺は目覚めていた。あの時すでにお前と災禍は肉体ごとこの夢幻世界に転移していた。そして実際にお前の左眼に銀色の光が宿りかけていた。タイミングが最悪だったがな」
小太郎は頭を掻きむしった。
「待て、待ってくれ・・・・・・情報量が多すぎる・・・・・・」
「質問したのはお前だぜ? さてと」
やれ男は肩をすくめた。
「じゃあ今度は俺の質問に答えろ」
「うっ」
「どう想ってるんだよ。災禍のことを」
「どうって言われても」
「アイツはいつだってお前に寄り添ってる。お前の求めには何でも応じるだろう。だがアイツ自身の本当の願いは何だと思う?」
「・・・・・・・・・・・・何だよ?」
はぁぁ、とやれ男は大きなため息をついて小太郎から離れた。
「さっきの俺と災禍のやりとり聞いて、ピンとか来ないのか。とんだニブチンだな。しかしまあ、ふうま災禍か。いい女だってのは
「なんだと――ッ!?」
やれ男はブランデーグラスを持つように手首を捻りながら片手を上げた。
その手に小さな稲妻のスパークが起こる――まるで、水城ゆきかぜのように。
(雷遁!? な!?)
小太郎の視界でやれ男はピアノの鍵盤を叩くように指を踊らせる。稲妻の次には炎が巻き起こり、掌を下に向けたかと思うと今度は凍気を帯びた霜が地面まで降りていく。
(炎遁? 氷遁!? なんだコイツの力は)
「これからもお前に力を貸してやる。どうだ? その代わりと言っちゃあなんだが災禍を俺に――」
「断る」
小太郎は即答した。
「力が欲しくないのか?」
「貴様、
決然とした表情で小太郎は陽炎のように揺らめくやれ男を睨み付けていた。
やれ男はその視線を平然と受け流しながら――唐突に、破顔した。
「ククク、じゃあその気持ちを災禍に言ってやれ。女はここぞという時に男に言って欲しい言葉がある・・・・・・らしいぜ。そうすりゃお前と災禍は必ず元の世界に戻れるさ」
やれ男は踵を返して逆方向を歩き出した。
「待て、何処へ行く?」
「夢魔どもを処理してくる」
「大群っていってたよな? やばい奴もいるって・・・・・・独りでどうにかする気かよ!?」
やれ男は歩みを止め、空を見上げるように顎を上げた。
陽炎のように霞んでいた姿が明瞭になり実体感を増していく。
そして背を向けたまま首を右に振り、見せつけるように横顔を小太郎に向けた。
「あっ」
やれ男の右目は開眼していた。
「任せろ」
不敵な笑みを浮かべると同時に光の泡が男の身を包む。
泡が収縮した時には、両目を開いたやれ男の姿は小太郎の前から消え去っていた。
邪眼使いは精神属性(´・ω・`)
前回アンケートの協力してくれた方、ありがとうございます。
アンケートの結果を踏まえ、若様と災禍のイチャラブもやり、やれ男の活躍もやり、不知火さんとやれ男を絡ませる方向性でいきます。
ここまで読んでくださった方、本当にありがとうございます。
夢幻五車町に来襲した不知火はどうなると思う?
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やれ男がギリギリで不知火を撃退する
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やれ男が不知火を手籠めにしちゃう
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淫魔王介入するもやれ男と不可侵協定を結ぶ
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どうでもいい。災禍と若様のイチャラブやれ
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やれ男が淫魔王の寝首をかけとささやく
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何でもいいからやれ男のチート無双がみたい