ふうま災禍さん!? 邪眼の使い方間違ってますよそれ! 作:ごきまる
次回はあると思います。
RPGの五車ユニット【幻影不知火】や決戦アリーナ、RPGストーリーのネタバレを一部含みます。
水城不知火は夢幻五車町に降り立っていた。
先ほどまで淫魔王からもたらされていた法悦によって狂わされていた肉体は、静まりかけていたがまだまだ熾火のように熱を孕ませている。
「・・・・・・」
不知火が今立っている場所。
娘のゆきかぜを産んで間もない頃の五車の目抜き通りによく似ている。
ここがどんな世界なのか不知火はなんとなく理解できていた。
覚醒した現実の世界で久々に淫魔王と交わった不知火。
だが睡眠中はいつも――。
十数年前、まだ自分が五車町にいて対魔忍をしていた頃から淫魔族の幹部になった今日まで、眠っている間はずっと夢の中で淫魔王に犯され続けてきた。
その間、眠りによる真の休息を得たことはないのである。
記憶してはしていなくても、心と魂が延々と嬲られていたのだという事実。
それが分かったのは自らが淫魔としての力を得てからだ。
数年前、任務中に失踪するよりも以前からずっと、自分はすでに淫魔王の虜囚となっていたのだと知った時、どんな感情を抱いたか・・・・・・もう思い出すことも出来ない。
だが、最近になってこの夢幻の世界に意識を転移させるようになり、誰の夢でもないこの夢幻世界にいるときだけは精神が淫魔王の呪縛から解き放たれていることに気づいていた。
・・・・・・虚しかった。
この精神世界にいるときだけは自分は自由。
だが解放の歓喜も、安堵感もない。ただただ虚しさだけがあった。
「んっ・・・・・・くふぅ」
そして肉体はこの有様だ。
膣肉は燃えるように熱く、淫魔王の巨根を包み込みたくてたまらないと訴えながら、濡れている。
顔は赤く火照り、不知火は思わず手と指で乳首と秘所を弄くろうとした。
――対魔忍を見つけたら籠絡せよ。
脳に、精神に、直接擦り込まれた命令がその指を止める。
・・・・・・見たことはある。幽霊のように夢幻の世界を漂泊する忍達の精神。中には実体と見まごうばかりの意識体もいた。見知った姿もあった。
自分の妄想でも、夢の産物でもない。この世界に転移してきた魂たち。
彼等を捕らえて、堕とすのか。淫魔王が自分にしたように。
それが成功すれば、五車対魔忍を文字通り内側から崩すことになるだろう。
そして、対魔忍と淫魔のハイブリッドが生まれればいずれは・・・・・・。
不知火自身はまだ孕んではいない。
淫魔王に犯される度に魔性の仔を孕めと迫られるが、承諾したことはない。
あの男は心の底からの屈服と承諾を望んでいるようで、どういう絡繰りになっているのか不知火には分からなかったが、犯されて犯されて、どれだけ胎内に精を巻き散らかされても、未だ淫魔の子を懐妊したことはなかった。
「つくづく、イヤな男。好きに種付けすればいいじゃない・・・・・・」
不知火は投げやりにそう呟いた。
否・・・・・・いいのかそれで。
淫魔王に股を開いているとき以外、自由を与えられているのに。
何故逃げないのだ。
何故命令を受ければそれに従い、魔の先兵として働いているのだ。
変わっているのが分かる。なんども交合を重ねていく度にあの男を受け入れていく自分に。
与えられる快楽を、何よりも優先してしまう牝豚に堕とされて始めて気づくのだ。
調教されるとはそういうことなのだと――。
力がみなぎっている。
どこからともなく取り出した獲物の薙刀を振るう。
不知火の周囲の空間が歪み、角と翼をもった白い肌の少女達が次々と現れる。
意識体が集うことが多い五車学園を目指し、不知火は彼女たちを率いて進軍を開始した。
空間転移の光泡が現れ、中からやれ男が姿を現した。
充分に距離をとり、建物の影からサキュバスの群れを観察する。
やれ男の左眼が銀色に光り輝いた。
(全員本物のようだが単一の思念しか感じない・・・・・・いた。やはりあの女か・・・・・・水城不知火)
サキュバスの群れを率いる女――対魔忍スーツ姿の不知火の姿を確認した直後に頭痛がし始めてやれ男は顔をしかめた。
左眼の光が消える。
「処理が追いつかん。シアリーの能力は複雑すぎるな」
頭を振った後、やれ男は作戦を練る。
「転移してきたのは不知火だけ。あとは幻影だったか・・・・・・・・・・・・よし、行くか」
十数秒の思案の後、やれ男は建物の影から躍り出た。
「あなたは、いつかの坊や?」
通りに躍り出た一人の忍の姿を見て不知火は呟いた。
スラム街の廃墟の中にあった手付かずの魔界の門を占拠しようとして失敗した時。
あの時に対魔忍の部隊を指揮していた少年・・・・・・。
(いや、違う!!??)
男の右眼が黄金色に輝く。
名乗りを上げることもなく、男――やれ男は不知火の不意を突いた。
手を掲げ「パチン」と指を鳴らすと同時に忍法をしかける。
『
やれ男の右眼から黄金の光がほとばしり、三つの人影が生み出された。
不知火を動揺させ、油断を誘うために、形成されていく三体の名前をやれ男は敢えて口にする。
「【最強の対魔忍】井河アサギ」
「【不死覚醒】八津紫」
そして――。
「【雷撃の対魔忍】水城ゆきかぜ」
本物そっくりの三人のくノ一。
薙刀を構えていた不知火の目が、突如現れた愛娘そっくりの姿を見て大きく見開く。
一瞬の硬直。
その隙を見逃さず、やれ男は「行け」とまずアサギの幻影に命じる。
瞬間、不知火の視界に無数のアサギが忍者刀の白刃をきらめかせ、殺到するのが見えた。
(嘘ッ、これは――!)
数十、数百の斬撃がサキュバス達を、驚愕した不知火を切り刻んでいく。
ザシュ!
肉を断ち切るような音と共にサキュバス達は霧散し、不知火は血みどろになって地面に倒れ込んだ。無数に分身したアサギの幻影は一つに収束して消失した。
「やはりこの手応え、夢幻世界で淫魔の幻術は実体を為すか」
やれ男がそう独りごちるのと、血みどろの不知火の身体が液状化し、パシャリと水音をたてて散るのは同時だった。
「まあ、そうなるよなぁ」
水飛沫がやれ男の四方から湧き起こり、今度はいくつもの水城不知火の分身が現れて取り囲む。
(この男ッ、完璧に再現した! あのアサギの忍法・殺人華をッ。しかも幻影で!)
紫、ゆきかぜの幻影も同様ならば、男の力は計り知れない。
ならば真っ先に術者本体を倒すしかない。
即座にそう判断した不知火は一気に勝負を決めようと動いた。
「水遁の術・幻影乱舞!」
「真・魔門。来い紫」
八津紫の幻影が黄金の右眼に吸い込まれていく。
幻影不知火の薙刀が男を滅多切りにするが、その時には男そのものが紫の姿に変化していた。
「グッッ、ガハッ!」
肉を切られ骨を断たれる苦痛に紫の顔が歪み、苦鳴を上げる。
だが、頬を歪めながら凄絶な笑みが浮かんでもいた。
八津紫の忍法・不死覚醒の力を宿しているなら、心臓と脳を同時に破壊されない限り絶命せずに再生する。
(なんて男。でもまだ勝負は・・・・・・え?)
淫魔の幻術と水遁術を駆使し、充分に間合いをとって姿を隠していた不知火はゆきかぜの幻影と目が合った。
(ゆきか、ぜ・・・・・・)
すでに凄まじい放電を発生している――。
(見破られてる! 何故?)
遮る物は何もない。幻影のゆきかぜは力を制御する雷銃を持っていなかった。
「・・・・・・」
諦めがついたかのように水城不知火は目を閉じた。
虚空から生み出される無数の雷が蜘蛛の糸のように広がり、広範囲にわたって空間を埋め尽くし、不知火の全身を打った。
「がっっ」
何もないように見えた空間から現れた不知火の身体がビクンと跳ね、握っていた薙刀を取り落とす。そして、糸の切れた人形のように倒れ込み、動かなくなった。
「はぁッ、はぁ、はぁ・・・・・・あ~~~しんどい」
ゆきかぜの幻影が消え、肉体の再生が完了すると紫に変化していたやれ男の姿も元に戻る。
衣服はボロボロで、特に上着は原形をとどめていない。
やれ男は気息を整えながらそろりそろりと、不知火に近づいた。
つま先でちょんちょんと身体をつつき、死んではいないが気を失っているのを確認する。
「夢の世界で寝てるとはまた・・・・・・お前も肉体ごと転移してるのかよ・・・・・・さてさて、どうしたものか」
やれ男はニヤリと笑いながら気を失った不知火の顔を見下ろした。
やれ男の能力を解説(決戦アリーナ最終盤よりパワーアップしているという設定)
○『邪眼・魔門』
触れた対象の能力を奪い封じた上でその能力を使いこなすことが出来る。
前世含めて今まで奪ってきた能力を通常、三つ同時に再現できる。
○『魔門・イリュージョン』
奪ったことのある能力、その本来の能力者の幻影を三体召喚する技。
消耗が激しい。強力な能力を再現した場合、三体同時召喚の持続はそう長く出来ない。
○『真・魔門』
対象を右目から取り込むことでその相手に変化する。
魔門イリュージョンで生み出した幻影を取り込むことも可能。
・・・・・・こんだけ能力盛ってるなら、他にもっとスマートなやり方あるだろうと思うし、書いてる最中実際いくつか考えたけど書き進めることを優先しました。
決アリの御館様って割りととごり押しな時あったし、十数秒で考えた作戦ってことで勘弁してください(;´Д`)