ふうま災禍さん!? 邪眼の使い方間違ってますよそれ! 作:ごきまる
37 エンディングとエピローグ
「・・・・・・・・・・・・」
ふうま小太郎はテントの中で敷き布団のように展開した寝袋の上でゆっくりと目を開けた。
「う・・・・・・」
体がだるい。頭の中もまだ霞がかかったようにボーッとしている。
いつも夜更かし気味な小太郎にとっていつものことであった。意識もまだ夢と現の狭間だ。
奇妙な夢だった。五車町に模した奇妙な世界での出来事・・・・・・。
焼失していたふうま別邸と書庫。木造仕立ての五車学園校舎。アンドロイドのシアリーが現れ、凛花先輩が襲ってきてそれから・・・・・・。
右眼を開眼していたもう一人の自分。
「あっ」
小太郎は体を起こし大きく息を吸った。
濃密な臭気がテントの中に充満していた。
汗と、甘酸っぱい女の香り。それから男と女の――否、牡と牝の体液の臭いだ・・・・・・。
そして、彼女がいた。
太ももを擦り合わせるように両膝を折り曲げ、ふうま災禍は仰向けに寝ていた。
いついかなる時も髪で隠している左眼も露わに、半開きの両目の中にある紅い瞳は虚ろで、何を見ているわけでもないようだ。
災禍は身体はしとどに濡れていた。
顔も、首も。剥き出しの肩や乳房、腹,腰・・・・・・とにかく全身だ。
付けっぱなしになっていたLEDランタンの光でローションを塗りたくったようにヌメヌメと照り光っている。
時間が経過して透明だが、彼女を濡らしているのは間違いなく・・・・・・。
「やっぱり夢じゃないよな・・・災禍・・・・・・おい、災禍――うお」
膝が笑い、腰砕けになって小太郎は災禍に追い被さるようにつんのめる。
すんでの所で床に手をついてぶつかるのは回避したが、その物音にぴくりと災禍は反応した。
「ぁっ」
「起きたか。災禍、温泉に行こう。体、洗おうぜ」
「・・・・・・」
無言のまま、体を起こそうとするがフラフラと上体が揺れたかと思うと、災禍はへたり込んでしまった。
「力が・・・入らない・・・・・・」
「だ、大丈夫?」
「まるで、体の芯が抜けたよう・・・・・・」
自分以上に疲弊している災禍を見て小太郎はいつかの、長湯でのぼせたという災禍を介抱しながら流れに任せて一晩中一緒にいた日のことを思い出す。
夢の世界・・・・・・いや、精神世界だというあの夢幻五車町で経験したことが事実なら災禍は一晩中邪眼を使用していたことになる。疲労も当然といえた。
「俺もだよ。さ、一緒に行こう」
「はい・・・・・・」
小太郎と災禍はお互いの身体を支え合いながら隠し湯へと向かった。
朝靄と湯気が立ち上るふうまの隠し湯。
二人は掛け湯で身体を洗い流し、湯船に浸かって温まる。
「体、洗ってあげるからそこに座って」
「・・・・・・」
普段なら絶対に「若様にそんなことはさせられません」「自分で洗えます」などと災禍は言うだろうが、今は無言で言われるままに小太郎に従った。
テントから持ってきたタオルにボディソープを付けてまずは背中から洗おうとする。
災禍は手櫛で後ろ髪を斜めにとって二つにわけ、前に垂らした。
緩慢な動作だった。それだけでも疲れ切っているのが分かる。
背中を洗いながら、小太郎は露わになった細くて白い災禍のうなじを見てドキリとした。
乳房や秘所などを見慣れているはずなのに、小太郎は顔を赤らめながら災禍のうなじと、そこにけぶる細い髪に見とれながら二の腕や腰を洗い――。
「こっち向いて・・・・・・前を、洗うから」
「・・・・・・」
胸元、そして乳房の頂きにタオルが当たると災禍は声を漏らす。
「・・・あ」
下乳を根元から持ち上げるようにして小太郎は勝手が分からないまま、震える手で洗っていった。
「そうして・・・・・・」
「どうした?」
「そうしておっぱい支えられると、少し肩が楽になったみたい・・・・・・」
「そっか。なんか洗い方が変なら言ってくれよ?」
「だい、じょうぶです」
「・・・・・・じゃあ足・・・開いて。ここもきれいにしないと」
「あ・・・あっ・・・・・・」
ボディタオルでやんわりと股間をなぞり上げられ、羞恥と刺激でピクンと災禍の上半身が震えた。
思わず目を閉じ、洗滌が終わるのを待つのだった。
「――か、さい・・・・・・」
「・・・・・・・・・・・・」
「さいか――起きて災禍」
「ん、え・・・寝てましたか? 私」
「ほんのわずかな間さ。最後にもう一回、湯に浸かって温まっていこう」
「はい。あっ、わ、若様」
小太郎の男根が勃起してそそり立っているのを見て災禍は目を丸くする。
「こ、これは気にすんな。災禍の裸見てたらどうしたってこうなるさ。さ、風呂だ風呂」
なめらかな岩肌に頭を預け、二人は隣り合って脚を伸ばしながら湯船に浸かっていた。
「あの、若様」
「ん?」
「どうしましょう、これから」
「どうするって?」
「夢幻の、五車町でのことです」
「よかった。覚えていたんだな。じゃあ、誓い合ったあのことも覚えてる、よな?」
「――ええ」
不安そうな男の声に災禍はごく自然を装って相づちをうったが、全身が軽くなったような感覚に陥った。
安堵している。そして喜んでいる。体と心が一体になった幸福感。嬉しくて涙が出そうになる。
「災禍、だったら俺は、これからはお前を、お前だけを――」
「それは、いけません若様」
小太郎は横を向いて災禍を見つめた。
「どういうことだ?」
「
「う、うん」
「でも、今もこれからも、何かを変える必要はないのです。あなたはふうまの当主。臥者で雄を為す対魔忍なのですから。今まで通り、私以外のふうまの女と五車のくノ一・・・・・・いいえ、その他にも婚がった全ての女達に、求められれば応じてください。災禍は、いつでもあなたを待っていますから・・・・・・」
「い、いいのかそれで・・・・・・」
――そうよ、本当にいいの? ふうま災禍。
もう一人の自分の声がする。
ふと、災禍は思った。稀に湧き起こるこの声は、もしや別のふうま災禍なのではないかと。
夢幻五車町でもう一人のふうま小太郎が存在したのだ。あり得ないことではない。
昨夜、小太郎に邪眼を仕掛けたのも自分以外の意識が介入した結果なのでは、と。
しかし、そんなことはどうでも良かった。災禍は余裕たっぷりに心内で呟く。
(バカね。いいにきまってる)
「はいっ。でないと・・・あなた? 下手をすると戦争になっちゃいますよ?」
「せ――」
絶句する小太郎。
「ふふふ。ですから、そのようなことにならぬよう、これまで通り、私を含めた全ての女達を
「そ、そんな風に言われるとなんだか自信が・・・・・・」
「できますよ。災禍にはわかります」
立ち上がった災禍は小太郎の前にやってくる。小太郎は女体の脇腹を両手で包み込むように抱き取った。そのまま体を重ね合わせる。
「あっ・・・あなたぁッ」
乳房に顔を埋めた小太郎の唇が乳首を探り当て、前歯で甘噛みしてくる。
途端に若き当主のお目付役であり、姉のようでもあり、母のようでもあったふうまの従者の顔が女の顔に戻っていく。
乳房はいつも以上に柔らかく。肌も瑞々しい。心なしか顔つきも幼くなったような災禍の心身が蕩けていく。
・・・・・・結局、その日のうちに下山するはずが、もう一泊してしまう二人だった。
□エピローグ
数年後。
ふうま小太郎は任務を終え、久しぶりの休日を寛いで過ごすため、山道を急ぎ足で登っていた。
ふうまの書庫がある別宅からのびる山道は最近になって整備されたものだ。
道はふうま宗家の隠し湯がある場所まで続いている。
――あれから様々なことがあった。
五車図書館の地下にあった古代の祭殿。そこでの図書館の幽霊――天宮紫水との出会い。
そして、
闇との邂逅・・・・・・開かない右目の秘密に因する吸血鬼の始祖との遭遇。
異界に存在する夢幻五車町にもあれから何度か行くことになったり・・・・・・。
さらには何年も行方不明だった水城ゆきかぜの母であり、対魔忍頭領アサギの右腕でもあった水城不知火が突如、五車町に現れたり・・・・・・とにかく大変な毎日が続いている。
これから先も様々なことが起こるだろう。
だが今は――ふうま小太郎は帰るべき“もう一つの家”となった場所へと急いでいた。
山中の温泉のほとりに今では別荘が建っている。
ふうま屋敷ほどの大きさではないが、外観のデザインに凝った瀟洒なコテージだ。
入り口へと続く木製の階段を登る間も小太郎の心は逸る。
扉を開けると、愛しい女性が出迎えてくれた。
「お帰りなさいませっ、あなた。一週間のおつとめ、本当にお疲れ様でございました。さぁ♪ お上がりになってくださいませ――」
fin
以上、脳内妄想による対魔忍RPGX:災禍ルートシナリオでした。
おつかれさまでした。
四章まではRPGXのストーリーの裏でこんなことあったら・・・・・・みたいな、いくつかの回想を繋げる形を(一応)取っていましたが、第五章からは完全オリジナル展開ですすんだため、エピローグでこんなイベントが発生するかもというのを示唆しています。
姫はじめの最後で災禍の処へ行くことで災禍ルートに完全にルート固定され温泉イベントが始まるという脳内設定です。
つまり誰と温泉に行くかでエンディングが変わるということですよっ!
(他のルート、誰か書いて)
最後は公式リリスグッズ、『ふうま災禍 甘々災禍と恋人気分ドラマCD』へと続く仕様になっております。
もしよかったら感想や評価を付けてくれよな!