ふうま災禍さん!? 邪眼の使い方間違ってますよそれ! 作:ごきまる
――秋山凜子を籠絡する。
さてどうするかと考えた時、小太郎はふと思い至って、この数日間、ある場所に行っていた。
今日も就寝前に自室でストレッチをして体をほぐした後、深い呼吸を続けながらベッドに仰向けになって寝た。
瞑目すること数十秒。体は弛緩し深い睡眠状態に。
そして意識は、精神異世界『夢幻五車町』へと転移していった。
夢幻五車町は地上世界とも魔界とも異なる、宇宙を超えた超空間『異界』に存在する世界である。
対魔忍達が夢の中で無意識に造り上げた精神世界であり、幾つものパラレルワールド――平行世界とも繋がっている。
睡眠中、夢を見るような感覚でこの世界に入ってきた者は自分が経験したことのない記憶が頭の中に刻み込まれたりもする。
別世界の自分の意識が混ざり込んでしまうためだ。
以前、小太郎と災禍は肉体ごとこの世界に転移してきて、元の世界に帰れなくなるという危機に瀕したことがあるが、今では他者の精神を観測することが出来るアンドロイド、シアリーのレクチャーに従ってマインドトレーニングをすれば睡眠中に行き来することが可能となっていた。
ただし全ての対魔忍が自由自在に往来できるというわけではない。
多くの場合はそれこそ“夢を見ている”時と同じように意識が混濁し、現実のように自由に動き回ることが出来ないし思考も行動も支離滅裂になったりする。
なので、現在五車にて調査中の夢幻五車町の存在を知るものは小太郎、災禍、紫藤凜花、シアリー、そして報告を受けたアサギの他、調査に研究している数名しか知らされていない。
だが、小太郎や災禍は体ごと夢幻五車町に転移し、長時間滞在したせいなのか、現実と変わらないレベルの精神状態で転移することが可能であり、離脱することも容易だった。
この数日間、小太郎はこの夢幻世界にて『もう一人の自分』に相談を持ちかけていた。
「秋山凜子を籠絡する? そっかー、お前もようやく、いい子ちゃんでいることを辞めるのか」
なぜかウキウキして、しかも感慨深げに言うので小太郎はかつて自分の意識の中に潜伏していたもう一人の自分に向かって顔をしかめた。
別世界のふうま小太郎――通称やれ男。
彼は右眼を開眼せず、ふうま一族特有の邪眼を持たない小太郎と違い、両目に邪眼を有する謎めいた男であった。
相手の能力を奪って己の者とすることができる邪眼『魔門』をもつやれ男はお世辞にも聖人君子とは言えず、悪辣な性情を持つ危険な男だ。
お遊びなのか、はたまた何か企んでいたのか・・・・・・小太郎は自分の激しい性欲と女を御したい
という支配欲はこの男が憑依していたのが元凶だと思っている。
やれ男はというと“全てを俺のせいにするな”と嘯くばかりでそれを認めようとしない。
それでいて、
「お前な、俺の影響が無かったらお前なんて未だに誰とも付き合っていない童貞のままだぞ絶対。むしろ感謝して欲しいね」
・・・・・・などと言い出す始末である。
「はぁぁ!? いくら何でもそんなわけねぇねえだろッ! ・・・・・・え、もしかしてそういう世界も存在するのか?」
「さて、どうだか・・・・・・」
終始こんな感じのやれ男ではあるが、小太郎や災禍を害するという意思はないようで、夢幻五車町に閉じ込められた時は守ってくれたし、現実世界に帰還する手助けをしてくれた。
ちなみに、小太郎に警戒心が芽生えたのか、あるいは夢幻世界で一度分離したのが原因か・・・・・・定かではないがある種の精神防御が働いて、今はもう小太郎の精神にやれ男の意識は憑依していない。
やれ男はそのことを残念がっている節があり、小太郎はというと清々した気分ではあったが、時折妙な不安感や喪失感に陥ることがあるのだった。
小太郎の話を聞いていたやれ男は「やれやれ・・・」と大げさに肩をすくめた。
「あの女剣士はどの世界でも、奴隷娼婦に堕とされたりセクシー女優としてアダルティなビデオに出演したりといつも面白いことになるからなぁ。そして今度は房中術を学んでからの潜入任務か。お前んとこの凜子もややこしいことになってんな」
「どれい――!? アダルトビデオ??? い、いや、もういちいちツッコまない。とにかく、どうすればいいと思う?」
「そもそもなんでお前はこんなことを俺に相談する? 俺が危険な男だって分かってんだろうが」
「自分で言うかそれ。いや、あんたは絶対こういうことが俺よりも上手だろうから、何とか穏便に事を運ぶ手を考えてくれないものかなぁ、と」
「女を手籠めにしようってのに穏便もクソもあるかバカタレ。だが、まあそうだな。秋山凜子はどの次元においても井河アサギ並に“陵辱される”という因果を招き寄せる傾向があるからな。そうなる前に男を知っておくのは、確かに悲惨な結末を回避する予防策になるかもしれん」
凜子本人がいないところで好き放題な物言いである。
小太郎はふとやれ男が口にした言葉が気にかかった。
「因果?」
「そうだ。無数に分化した平行世界には新しく生まれる存在もあれば消える存在もある。秋山凜子はまあ大体どの世界にも存在している。そしてさっき言ったように、どの世界においても結構ハードな目に遭う」
「なんだそれ・・・・・・呪われてるかどうかしてんのかよ凜子先輩は」
やれ男は瞠目して小太郎を見つめた後、ふと顔を逸らす。
「お前ほどじゃねえだろ・・・・・・」
「え?」
「なんでもない。とにかく、これからお前のやろうとしていることは凜子の任務にも干渉することだ。だからアサギに話をつける方が一番手っ取り早い」
「いやだから・・・・・・昨日も言ったけど絶対無理だよ! アサギ隊長は学園の校長でもあるんだぞ!?」
「本当にそう思うか? アサギは確かに甘いところもあるがそれでも五車対魔忍の頭領だぞ? 例えば自ら志願しようとしている凜子を頑なに押し止めようとするかな?」
「それは・・・・・・」
それは紫藤凜花が危惧していたことでもある。対魔忍は常に人手不足だし、何より今でも命懸けの潜入任務やその他にも公に出来ないような荒事に従事しているはずである。“まだ学生だから”とか“適性がないから”といって凜子の申し出を却下するとは限らない。
「井河アサギはその戦闘力や精神力の強さでゴリ押しする印象が高いが、存外冷静な女だ。冷酷な判断だってできる。そして多分、自分の後継者になり得る忍が出てきて欲しいと思ってる。その候補に挙がっているような若手には試練も兼ねて、あらゆる状況を経験させようとするかも知れないぞ」
「後継なら、紫先生がいるだろう」
「候補は一人だけいればいいってもんじゃない。対魔忍なんていつ死ぬか分からんだろうが。本来なら、組織の長や幹部連中が教師や前線任務なんてやってる暇があるのかと俺なら言いたいね」
まるで、やれ男も大組織の采配を取っているかのような物言いだ。
(いや実際そうなのかも。魔門なんていうとんでもない邪眼持ちなら、こいつの世界のふうま一門は反乱があった後も離反者もなく、かなりの勢力を誇っているのかもな・・・・・・)
「お前が閨房の手ほどきを仕込むってんなら、反対はしないと思うぞ。百パーセントの保証はしかねるが」
「うーん・・・・・・」
「お前が臥者の掟やらその他なんやかんやを利用して、色んな女に手を出しているのをアサギが知らないとでも思ってるのか」
「何となく、勘付かれてるとは思ってるけど」
「だろ? なのにお咎めがないって事はお前のやっていることは内務省の公的機関としては認められないが忍としては認められているということだ」
「分かったよ。それとなくアサギ隊長に切り出してみる」
「うむ・・・・・・ところで小太郎よ。俺のアドバイスを利用するっていうんなら。例の約束を果たしてもらうぞ」
「う・・・・・・」
この相談を持ちかけた時に言われたことである。
助言する代わりに一ついうことを聞くという契約だ。
「何をさせるつもりだ」
「まあそう身構えるな♪ お前に一ついい経験をさせようと思ってな。親心ってやつだ♪」
お前は俺の分身だろう。何が親だ――と内心ツッコみつつ小太郎は仏頂面になる。
「まあ、アレだ。目抜けの小太郎よ。お前の男の器ってやつを一つ試させてもらおうと思ってな」
「そういうの間に合ってるんですけど」
「そうかぁ? お前、凜花の嬢ちゃんに凜子の件を頼まれた時さ。少しは考えただろ」
「・・・・・・何を?」
「もし凜子ともねんごろになったら、凜花と一緒に抱いてみたいとか思ってるだろ?」
「なっ!!!???」
小太郎の顔が真っ赤になる。
「ククク、図星みたいだな。しかしなぁ・・・・・・俺ならいざ知らずお前に出来るかね。心配なんだよ。俺の意識の一部がお前から剥離している状況で、そんな立ち回りが出来るのかどうかってね。お前最近、災禍以外の関係を持った女達とちゃんとヤルことヤッてんのか?」
「いらぬお世話だよ!」
「ま、一種の修錬だと思えばいい。明日の夜、またこの医務室に来い。いやなら来なくていいけどな。多分この機を逃したら一生出来ない経験だぞ♪」
そう言ってやれ男は口角をつり上げてニヤリと笑った。
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―――
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―
小太郎は次の日の夜も夢幻五車町に転移した。
意識が分離した今もやれ男の掌の上で自分の行動を操られているようで癪だが、好奇心の方が勝ってしまったのである。
医務室に入った小太郎は目を丸くした。
「さ、災禍っ!?」
「お待ちしておりました若様・・・・・・やれ男から二凜の件は聞き及んでおります」
対魔忍スーツ姿の災禍はそう言って一礼する。まさか災禍がいるとは思わず小太郎はしどろもどろになる。
災禍は小太郎が他のくノ一達と肉交を持つことを容認している。ふうま一門の頭領ならそれもやむなし。閨房の経験を山ほど積んで然るべきというスタンスだ。
だが小太郎は知っている。ふうま災禍も一人の女だ。情が深く、独占欲もある。
戸惑う小太郎に災禍は歩み寄る。その瞳はいつになく無機質だ。
「災禍、やれ男になにを言われたか知らないが――んぉ」
「んふ・・・ちゅっ・・・・・・ぁむ・・・・・・わかひゃま・・・・・・え"むぅ・・・・・・ジュル・・・・・・」
災禍の方から唇を重ねてきた。
熱い感触を味わうように擦り合う口づけ。
やがて、舌を伸ばし絡ませ合う深いものになってゆく。
「んぅ・・・・・・ふふっ。若様・・・・・・不肖、ふうま災禍。僭越ながらこれより二人のくノ一を同時に愛で、その官能を繰る技を磨くお手伝いをさせていただきます・・・・・・」
「・・・・・・本気か?」
「はい・・・・・・後ほど、房術に長けた女人がもう一人やってきます。今宵はその者と私とで性技・房術の手ほどきのほどを・・・・・・」
そう言って熱の籠もった吐息を漏らしながら、妖艶に微笑む災禍の顔を小太郎はジッと見つめた。
「そいつは凄く魅力的な提案だし、是非お願いしたいところだけど・・・・・・なあ、あなたは“俺の知っているふうま災禍”ではないな?」
わずかに災禍が身を引いた。それでもお互いの鼻が触れあいそうな距離で見つめあう。
「・・・・・・どうしてそう思われるのですか?」
否定も肯定もせずに小太郎の目の前にいる災禍は微かに眉間に皺を寄せた。
対魔忍スーツに左眼を隠した長髪。細い眉に切れ長の目。やや刺々しい美しさを醸し出している容貌・・・・・・キスの感触さえも、すべて小太郎が普段から知っているふうま災禍と寸分違わぬように思える。
だがこの一、二年で小太郎の知る災禍は、小太郎と接している時はもっと穏やかで粛然とした表情の中にも温かみを感じさせる雰囲気があった。
今向かい合っている彼女からはそれがない。さらに言うなら、夢幻五車町での一件以来、契りを交わした災禍は明らかに若返っていた。
だがそれらのことは敢えて言わず、一つだけ相違点を告げる。
「だって、最近の災禍はその、俺と二人っきりの時は“若様”と呼ぶのは稀で、俺のことを“あなた”と呼ぶからさ」
驚きに目を見張る目の前の災禍。
そして、突如別の女性の声がした。
「あらまあ♪ お熱いわねぇ」
「!? あ、あんたは!」
声がした方を振り返ると、そこには見覚えのある女性がいた。
その女の着ている白黒の戦闘スーツは傍らにいる災禍のスーツとよく似ている。
以前、任務の時に遭遇した淫魔族を率いていた『魔女』・・・・・・。
「若様。彼女が今宵あなたのお相手をするもう一人の女性です」
「ど、どういう・・・・・・あ、そうか。あんたたちはやれ男がいる世界の住人なのか?」
あまり考えないようにしていたがやれ男が別世界のふうま小太郎なら、他にも同じ名前と姿をした別人が他にもいるわけで・・・・・・。
「はい若様。私はあなたがやれ男と呼んでいるお方の軍門に属するふうま災禍。彼女はあなたの世界に存在している幻影の魔女ですが、故あってこの夢幻五車町に滞在している者です」
「二人ともやれ男の女ってことか・・・・・・?」
「それは今あなたが気にすることじゃないわ」
怪しげな妖気を放ちながら魔女も小太郎にすり寄ってくる。
(アイツ、まさか本当に俺に3Pの経験を積ませるためだけにこの二人をセッティングしたのか)
訝しく思ったが、想像だにしなかった組み合わせの二人に迫られて小太郎は牡欲に火がつくのを禁じ得ない。すでに股間の肉棒は怒張し始め、全身が興奮で震えていた。
災禍を押し倒すようにベッドに寝かせると、当然のように災禍は背を向け、獣のように四つ這いになって、躊躇いなく対魔スーツの股布を自ら引き裂いた。
露わになった尻を突き出す災禍。双臀に両手を添え、グッと左右に割り開く。
すでに興奮しているのか陰唇も尻穴もヒクヒクと蠕動している。
曝け出された二つの穴は鮮やかできれいな色だが、彼のよく知る災禍のものに比べるとややくすんでいる。肉体的年齢に差があるというのもあるだろうが、経験豊富な小太郎には分かる。
この尻の二穴は、相当使い込んだ代物だと。
(それだけアイツとヤリまくってるってことかっ。)
平行世界の別人と分かっていても、妙な嫉妬心が湧き起こる。
いきり立った小太郎は衣服を脱いで災禍にのし掛かる。
魔女も寄り添うようにその横に寝そべった。
「さあ・・・今この時だけはこの私をあなたの愛するふうま災禍だと思って・・・・・・ま、まずはお好きに動いてください」
災禍の声は既に期待と興奮で震えていた。瑞々しい尻たぶを淫猥に振る。
それを見ただけですっかり小太郎の男根は勃起してしまった。
「フフフ・・・・・・」
魔女はまずは様子見といった風情で小太郎が災禍の尻肉を鷲づかみにするのを眺めている。
「はあんんんっっっ!!」
まだ性器が触れあってもいない。指で触られてすらいないのに甘い悲鳴を上げる災禍。
「ねえ災禍さん、あんまり夢中になってばかりじゃダメよ? 彼に教えることはしっかり教えないと」
「そんなことは分かっている――んぐ!!??」
遠慮も何もない槍の突き込みのような一撃。小太郎は男根を一気に濡れた淫裂に挿入した。
「お"ふおおおおおぉ――――!!!!!」
バチンと腰と尻がぶつかり合う音がし、災禍は獣のような野太いよがり声を上げた。
するといつの間にか背後にまわった魔女が小太郎を抱きしめてくる。感触で胸をはだけているのがわかる。小太郎の動きを阻害しない絶妙の力加減で災禍のを超えるサイズの爆乳を擦りつけてくる。
魔女の片手が睾丸を優しく撫で回してきた。災禍の熱い膣内の感覚を味わいながら、小太郎はすぐには抽挿を開始せず、亀頭と子宮口がキスしたままの状態で身を震わせた。
「あ、あはぁ・・・あっ、あっ」
切なげな喘ぎを漏らす災禍。“あっ、あっ”という声と同時に膣内の肉襞がキュッキュッと愛液をしとどに溢れさせて肉棒に絡みついてくる。
「ふぅ、ふぅ・・・・・・フゥゥゥゥゥ」
小太郎は大きく息を吸いながら、今目の前にいる別次元の災禍を、自分の愛する災禍そのものであるかのように熱情を込めながら腰を振り始めた――。
軽い人物紹介
○アナザー災禍
やれ男の世界にいる別次元のふうま災禍。前世の記憶を色濃く持ち、やれ男が小太郎にしたように、災禍の意識に干渉していた張本人。
ふうま災禍を最愛の人とするバージョンの小太郎に抱かれてみたいとずっと思っていた。やれ男の命令にこれ幸いと乗っかる形でやってきた。
○幻影の魔女
拙作本編に出てきた水城不知火。現在夢幻五車町に潜伏中。