※この作品はR-18です。

転生賢者は「加護なし」ですが、最強でした   作:nerd

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神に関する講義

 我々のいるこの世界にはいくつかの神の系統がある。さらにその神々には主神、その配下に上級、中級、下級というランクがある。主神は上級神を管理し、上級は中級を、中級は下級を管理する。

 それぞれの神はこの世界に生まれ落ちた言葉ある種族に加護を与える。一般に力のある神ほど強大な加護を与える。

 神の系統は、種族・武・火・水・嵐・地・魔となる。

 まずは種族神。ここには4種ある。人、妖精、獣人、竜人の神。彼らはその種族の守護者であり、生活する上での力と保護を与える。

 武神。素手を含む武器を扱うことに関する技能の神。剣士はこの加護を持つことが多いな。

 火神。攻撃魔術に関する神。魔術師はこの加護持ちが多いな。

 水神。回復魔術に関する神。治癒師の加護だ。

 嵐神。身体強化、あるいは身体弱化魔術に関する神。

 地神。防御魔術に関する神。この二つは付与師の加護だ。

 魔神。すべての魔術に関する神。賢者を名乗るものは概ね魔神の加護持ちだ。

 魔神の主神加護持ちと火神の主神加護持ちが攻撃魔法で競ったとき、火神の加護持ちの方が強い魔術を打てる。

 ここまではおそらく常識として習ったはずだ。

 だが、それぞれの最高の使い手は主神の加護持ちであるかというとそうでもない。

 主神の加護を持たねばならないとするならば、ごくごく稀な存在しか英雄になれないことになる。

 ヒトは、生まれ持った才能のみで生きるようにはできていない。努力によって神との連絡路を開くことができる。

 強い加護持ちは、最初から連絡路が太いだけ。ただその太さに甘えて広げることをしないケースが多い。

 あと、神というのは我々が思っているよりもずっとウェットで、私達を愛している。その証拠が、紋章。

 ヒトにねだられると断れないんだよ、彼らは。

 とはいえ際限なく力を与えるわけでもない。努力によって繋がりが強固になる。本来はそういうもの。

 今は時間がないからもともと三人に繋がっていた連絡路を紋章によって強制的に開き、強化したわけだ。この洞窟踏破の間に連絡路を少しでも強く太くすれば、あとは君たち次第、というところだな。

 

 ここでヴィクターは水晶から手を離し、三人をゆっくりと見る。

「以上だ。何か質問は?」

 イェリーナが手を挙げる。

「はい、イェルさん」

「ヴィクターはどこでそんなことを知ったの?」

「僕は加護なしだからね。神との通話は加護がないほうがやりやすい。加護というのはその神の配下に入るということ。代わりにその神以外の意思を知ることは難しくなる。『加護なし』は半成人式まで生き残れない、といわれているのは大量の神の意思に晒された結果、耐えきれなくなるからだと考えてくれればいい」

「じゃあ、種族神の加護ってどういう意味があるのよ⁉」

「それは、彼ら、あるいは彼女らの愛だよ。無数の神の思考を流し込まれて壊れてしまうヒトを見て、自らの創り出した子を守るためのシステムとして作り上げたものだ」

 アイノが手を挙げ、話し出す。

「ヴィクターくん、あなたは『加護なし』で、なぜ壊れない?」

「僕はす(・)で(・)に(・)壊(・)れ(・)て(・)い(・)る(・)。だからこそ、ここにいる」

 ヴィクターはアイノをじっと見つめる。アイノはヴィクターを見つめ返して、そのあとため息をつく。

 マリーが手を挙げる。

「でもね、ヴィクターくんは生きて、今、ここにいる。それでいいんじゃないかしら?」

 ヴィクターはそのマリーの言葉に固まり、そのあとマリーに微笑む。

「そう。僕は今ここにいる。それが何を意味しているのかは後世の人々が決めること。そういうことだ」

 

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