※この作品はR-18です。

転生賢者は「加護なし」ですが、最強でした   作:nerd

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決戦

「それにしても」

 先頭を歩くヴィクターは周囲を警戒しつつ、つぶやく。

「短期間でだいぶいい表情になりましたね、みなさん」

「なあに、それ」

 イェリーナは呆れたように答える。

「少なくとも入り口でプルプルと震えていた子羊はもういない、ということですよ。喜ばしいことです」

「……あとで覚えておきなさいよ?」

「忘れました」

 ヴィクターはさらっとそれだけ言うと前をにらみ、左手を上げて立ち止まり、振り返る。

「現在階層は二十一だっけ?」

「そう」

 アイノが答える。

「どうも、ここがゴールっぽいね。だから他にモンスターがいないんだな。代わりに一体やっばいのがいるけど」

「やっばいの?」

 アイノの疑問にヴィクターは頷き、右手で顎を支えてブツブツと呟く。

「あれは……。小……を通じて感じ……」

「なあに、ヴィクターくん?」

 マリーがヴィクターに近寄る。

「あ、いや、なんでもない。さて、どうしたものか……」

 マリーが首を傾げてヴィクターを見る。ヴィクターは三人を見回してから考え込む。

「やっばいのは私がなんとかしよう。離れて見ていて。手を出して敵対しているとみなされたらちょっとまずい……アレに対抗するには『救国の手』じゃなきゃ無理だ」

「『救国の手』って……もしかして……」

「シリル・カーソンをリーダーとしていた、伝説のパーティだよ」

 ヴィクターは顎に手をやり、ブツブツとつぶやき始める。

「だがしかし、いや……そうだな」

「そんな危ないのが相手なら撤退しようよ!」

 マリーの言葉にヴィクターは首を振る。

「勝てない相手じゃないぞ。というかアレに苦戦しているようだと私はまずい。私は魔王を斃(たお)すものにならなければならない。アダム卿と約束しましたからね」

 

 三人はヴィクターから少し離れて歩いていく。

「そう、それくらい離れていてくれれば……彼がそのように見ていたならばおそらく大丈夫」

「何の話なのよ……」

 イェリーナが小さくつぶやく。アイノは肩をすくめ、マリーは首を振る。

「さて、到着、だ」

 かなり広い空間の真ん中に、虹色に輝くコア。その前には全身黒ずくめ、スラリとした長身で、長い黒髪の青年が立っていた。肌は透き通るような白さ。燃えるような赤い瞳の、美青年。

「ここまでたどり着くとは、なかなかだな」

「そりゃどうも。後ろの三人は見ての通りだから、立会人として扱ってくれると嬉しいな」

「手出しをしないならな。それさえなければあの程度のものと関わり合いたいとは思わん」

 ヴィクターは右手を上げ、人差し指を立てて振る。

「だそうだ。三人は黙って見ているといい」

「そんな!」

 マリーが声を上げると、ヴィクターはそれを遮るように言う。

「いても邪魔だ」

 マリーが飛び出そうとしたところでアイノがその肩を掴む。

「ダメ。私達じゃ勝てない」

「でも!」

 イェリーナがヴィクターに向かって叫ぶ。

「後でお仕置きするから、生きて帰ってきなさいね!」

「はは、それは嫌だが、生きて帰ってくるさ」

 ヴィクターはそう言うと、男に近づく。間合い、3メートル。

「待たせたね。じゃあ、やろうか」

 

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