※この作品はR-18です。

転生賢者は「加護なし」ですが、最強でした   作:nerd

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救国の手

 ヴィクターは立ち上がり虹色のコアに視線を向ける。

『聞こえるかね?』

 コアから声が響く。イェリーナ、マリー、アイノはその声に反応しコアを見る。

「……ああ」

 ヴィクターが返答する。

『コアを破壊するのは勘弁してもらいたいな。これを作るのは大変なんだよ』

「だろうな」

『代わりに、我々の元へ招待しようと思うが、どうだね?』

「うまい茶と菓子が出るなら」

 ヴィクターの返答にコアから一瞬遅れて笑い声が返ってくる。

「承った。では招待しよう」

 4人は紫の光に包まれた。

 

「おめでとう、初の完走者だ」

 コアから響いてきたものと同じ声でエルフの青年が4人を迎え入れる。場所は理事長室。

「小賢者フィル・ブレンダン師ですね」

 ヴィクターの言葉にエルフの男性が頷く。

「それに、剣聖アリス・ブレンダン師、大治癒師マルク・ギルファ師、勇者エルミナ・ソーンダック師。救国の手勢揃いですね」

「ここまで揃うのは珍しいのだがね」

 リザードマンのマルクがしゃがれた声でヴィクターに応じる。

 イェリーナ、マリー、アイノの三人は直立不動で固まっている。

 ドワーフ女性のエルミナはヴィクターに近寄り、くるくると周りを回って観察している。

「なにか?」

 ヴィクターが微笑みかけるとエルミナは笑顔で頷き、元の席に戻る。

 フィルは真顔でヴィクターに問いかける。

「あ(・)れ(・)を倒すのは想定外だった。もっともあ(・)れ(・)は私が見た限りの再現でしかなく、オリジナルとは異なるだろうが……そして、あの魔術、何をした」

「ベースは聖光槍(ホーリーランス)ですが槍ではなく球にして貼り付けました。投げつけるより確実に対象を削ります」

「ふむ……」

 フィルはヴィクターを見つめながら頷く。

「魔術を組み換え、アレンジするとは……我が師のようだな」

「それはどうも」

 微笑むヴィクターを胡散臭そうに見るフィルとアリス。エルミナはニコニコしたままで、マルクは表情が全く読めない。

「ところで」

 ヴィクターが沈黙を破る。

「茶とお菓子はいつ出るのですか?」

「ぶわははははは! フィル、お前の負けだ!」

 マルク・ギルファが呵々大笑する。

「わかった、今持ってこさせよう。そこに座って待っていてくれ」

 フィルは4人にソファーに座るように促し、机の上のベルを鳴らした。

 

 ヴィクターは出された菓子をもぐもぐと咀嚼している。

「……そうしていると7歳児なんだがな……」

 フィルはヴィクターをみて深いため息をつく。

「念の為に全員水晶での再判定をしてもらうが、いいか?」

 フィルの言葉に三人は頷く。ヴィクターは菓子を飲み込んだ後茶を飲んでから答える。

「無駄だと思うけど、いいよ」

 ヴィクターの言葉にマリーが頭を掴んで下げさせる。

「すみませんすみません後できっちり言い聞かせておきます」

 マルクがくっくっと笑って答える。

「お嬢さん、構わんよ。我々の都合に付き合わせているのだ」

 フィルはその間に水晶を机の上に設置する。

「イェリーナ・フェデレシア・クァローリン、こちらへ」

 フィルの呼び出しにソファーから勢いよく立ち上がるイェリーナ。おずおずと水晶に手を乗せる。青く長く光る。

「え?」

 イェリーナは水晶を呆然と見つめる。フィルもまたその水晶を呆然と見つめている。

「種族神上級加護……だと……? 加護が途中で変わるなんて」

 続いてアイノ、マリーが測定し、二人も種族神上級加護判定。この結果にフィルが絶句していると、ヴィクターがスタスタと歩み寄り、水晶に手を置く。

 ヴィクターには相変わらず反応がなかった。

「必要があるから加護が変わったのですよ。それだけです」

「必要があるから……だと?」

 呻くようなフィルの言葉にヴィクターは頷く。

 沈黙が流れる。

 静寂を破ったのはアリスだった。

「とりあえず、今日はここまで、でいいわね? ありがとう。帰っていいわよ」

 ヴィクターたちは丁寧に礼をして理事長室を後にした。

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