ヴィクターは立ち上がり虹色のコアに視線を向ける。
『聞こえるかね?』
コアから声が響く。イェリーナ、マリー、アイノはその声に反応しコアを見る。
「……ああ」
ヴィクターが返答する。
『コアを破壊するのは勘弁してもらいたいな。これを作るのは大変なんだよ』
「だろうな」
『代わりに、我々の元へ招待しようと思うが、どうだね?』
「うまい茶と菓子が出るなら」
ヴィクターの返答にコアから一瞬遅れて笑い声が返ってくる。
「承った。では招待しよう」
4人は紫の光に包まれた。
「おめでとう、初の完走者だ」
コアから響いてきたものと同じ声でエルフの青年が4人を迎え入れる。場所は理事長室。
「小賢者フィル・ブレンダン師ですね」
ヴィクターの言葉にエルフの男性が頷く。
「それに、剣聖アリス・ブレンダン師、大治癒師マルク・ギルファ師、勇者エルミナ・ソーンダック師。救国の手勢揃いですね」
「ここまで揃うのは珍しいのだがね」
リザードマンのマルクがしゃがれた声でヴィクターに応じる。
イェリーナ、マリー、アイノの三人は直立不動で固まっている。
ドワーフ女性のエルミナはヴィクターに近寄り、くるくると周りを回って観察している。
「なにか?」
ヴィクターが微笑みかけるとエルミナは笑顔で頷き、元の席に戻る。
フィルは真顔でヴィクターに問いかける。
「
「ベースは
「ふむ……」
フィルはヴィクターを見つめながら頷く。
「魔術を組み換え、アレンジするとは……我が師のようだな」
「それはどうも」
微笑むヴィクターを胡散臭そうに見るフィルとアリス。エルミナはニコニコしたままで、マルクは表情が全く読めない。
「ところで」
ヴィクターが沈黙を破る。
「茶とお菓子はいつ出るのですか?」
「ぶわははははは! フィル、お前の負けだ!」
マルク・ギルファが呵々大笑する。
「わかった、今持ってこさせよう。そこに座って待っていてくれ」
フィルは4人にソファーに座るように促し、机の上のベルを鳴らした。
ヴィクターは出された菓子をもぐもぐと咀嚼している。
「……そうしていると7歳児なんだがな……」
フィルはヴィクターをみて深いため息をつく。
「念の為に全員水晶での再判定をしてもらうが、いいか?」
フィルの言葉に三人は頷く。ヴィクターは菓子を飲み込んだ後茶を飲んでから答える。
「無駄だと思うけど、いいよ」
ヴィクターの言葉にマリーが頭を掴んで下げさせる。
「すみませんすみません後できっちり言い聞かせておきます」
マルクがくっくっと笑って答える。
「お嬢さん、構わんよ。我々の都合に付き合わせているのだ」
フィルはその間に水晶を机の上に設置する。
「イェリーナ・フェデレシア・クァローリン、こちらへ」
フィルの呼び出しにソファーから勢いよく立ち上がるイェリーナ。おずおずと水晶に手を乗せる。青く長く光る。
「え?」
イェリーナは水晶を呆然と見つめる。フィルもまたその水晶を呆然と見つめている。
「種族神上級加護……だと……? 加護が途中で変わるなんて」
続いてアイノ、マリーが測定し、二人も種族神上級加護判定。この結果にフィルが絶句していると、ヴィクターがスタスタと歩み寄り、水晶に手を置く。
ヴィクターには相変わらず反応がなかった。
「必要があるから加護が変わったのですよ。それだけです」
「必要があるから……だと?」
呻くようなフィルの言葉にヴィクターは頷く。
沈黙が流れる。
静寂を破ったのはアリスだった。
「とりあえず、今日はここまで、でいいわね? ありがとう。帰っていいわよ」
ヴィクターたちは丁寧に礼をして理事長室を後にした。