圧倒的な実力を有した者たちは、欲望の限りを尽くし、人類を蹂躙する 作:黒椿
体感時間でおよそ十五時間。それだけの時間を俺はカレナとのセックスに使った。そんだけぶっ通しでヤり続けてれば、とっくに精も尽きて、下手をしなくても腹上死しかねないレベルだが、生憎とあの世界の俺は無敵だ。たとえ、何千年セックスをしようとも俺の精子が尽きることはない。
ついでに言うと、アレだけ女を乱すことが出来たのも俺の技術ではなく、夢の中で行使できる無敵の力のおかげだ。俺自身の
つまり、最初のカレナの反応のような気を
エロに目覚め、この世界を創ったのが、中一の頃。それから三年経った今も俺の技術は大して成長していやしない。仕方がないっちゃ仕方がないけどよ。何せ、技術がなくてもいくらでも感じさせられんだから。俺自身に女を感じさせる才能がないってのもあるんだろうがな。
さて、じゃあ、そろそろ目覚めの時間だ。あまり異世界ばかりに固執するのもよくない。ものっそい気が進まないが、俺の生きるべき世界へと戻るとしよう。今日も学校はあるしな。
俺は夢の世界から意識を切り離し、現実の方へとゆっくりと意識を移していく。
夢へ向かうのが早いのに、戻るのにこんなに手間をかけるのは単純に大急ぎで戻りたいと思わないからだ。その気になれば、一瞬で戻れるが、そんな気は微塵もない。
だが、それでも十秒足らずで意識が現実へと戻り、目が覚めていく。素晴らしい夢が終わり、再びあの
今は四月。暖かくなってきたとはいえ、まだまだ肌寒さが残る時期だ。布団から出るのも面倒になってくる季節だが、そうも言っていられないので、ゆっくりと重い
「……ん?」
そこで俺は何やらいい匂いがするのを感じる。目を開き、そちらを見ると、白を基調とした長袖のロングワンピースを着た長い黒髪の美少女が立っていた。
「おはよ、ユーキ」
「……」
美少女はこの俺――
「……ったく、毎朝毎朝勝手に入ってくんじゃねえよ。お前は俺のかーちゃんか」
「いいじゃないか。僕らは幼馴染みだ。何か問題でもあるのかい?」
俺はそのセリフにため息をつきたくなるのを堪える。別にこいつが何かおかしなことを言っているわけではない。だからこそ、俺はこの世界が嫌いなんだ。
こいつは
俺は布団から這い出ると、美月の横を通り抜けて、扉の方へと向かう。
「ん? どこ行くの?」
「……トイレ」
「あぁ、行ってらっしゃい」
俺は寝起きでふらつく足取りで、ゆっくりとトイレへと向かう。トイレは部屋のすぐ近くだ。そこまで苦労せずに到着する。
トイレに入る前に手洗い場に設置された鏡を見る。そこには気怠げな顔をした肩まである金髪にエメラルドグリーンの瞳の色をした俺の姿が映されていた。
自分で言うのも何だが、ぶっちゃけ、見た目はかなりいい方だとは思う。だが、女にモテない。いや、モテることはモテるが、違うんだ。
俺の男子力が足りねえのか。それとも、俺の女の扱い方がへたくそなのか……。
「……アホらしい」
益体のないことを考えても仕方がねえ。尿意も高まってきたし、さっさと用を足すか。俺は鏡に背を向け、個室に入って用を足した。
トイレから出て、顔を洗ってから部屋に戻ると美月がベッドに座っていた。それを見て、俺は半眼になる。
「まだ部屋にいたのかよ」
俺は寝間着の上を脱ぎながら、美月を見下ろす。美月は苦笑しながら、口を開く。
「遅刻させるわけにはいかないからね。君のご両親から頼まれてるし、約束はしっかり守るさ」
「別に時間に余裕はあるからいいだろ、お前が早すぎんだよ」
時計を見るとまだ六時半を指していた。起きたのが大体六時二十分過ぎくらいだったはずだ。高校が始まるのが八時なので七時半に出れば充分間に合う。
まだ家を出るまで一時間ある。これで遅刻もへったくれもあるわけがない。別に部活の朝練をやっているわけでもないので、完全に蛇足だ。
「あはは。念には念を、ってやつだよ」
「ちっ、相変わらずよく分かんねー言葉で茶を濁しやがって」
「そう、かっかしない。イクちゃんがいなくて寂しいからって、他人に当たっちゃダメだよ」
「あぁっ!?」
その言葉に俺は思わず食ってかかっていた。なぜ、この場面でアイツが出てくるんだ。
俺の反応を見て、美月はムカつく笑みを浮かべながら、両手を顔の前まで上げて、俺を窘める。
「どうどう。落ち着いて。ほら、さっさとズボンを穿いてしまいなよ」
「……ちっ」
舌打ちしながらも紺のジーンズを穿く。これで今の俺の格好は黒の無地のシャツに紺のジーンズという姿だ。俺の通っている高校は私服登校が認められている、というより、私服でしか登校できない。指定された制服がないからだ。けど、わざわざ毎日着ていく服を考えるのも面倒だし、今日はこんなところでいいだろう。
俺が着替え終わったのを見て、美月は立ち上がり、
「さ、朝ご飯出来てるから、さっさと食べよ」
などと言って部屋を出る。俺は小さくため息をついて、
「おめーが作ったわけじゃねえだろうが」
と憎まれ口を叩いて、その後を追った。
一回に降りて、食堂に向かうと、美月の言う通り、すでに朝食が用意されていた。扉のところには黒い和服の上にエプロンを着た若い女性が立っていた。こいつはここで働く使用人の一人だ。名を
「おはよう、加茂」
「おはようございます。ユウキ様」
俺の挨拶に加茂は折目正しくお辞儀をしながら、挨拶を返してくれる。俺はそれを尻目に椅子に座り、後ろに立つ美月を見る。
「じゃ、さっさと食っちまうから、適当に座って待っててくれ」
「早食いは体によくないよ」
「そんなハイペースで食わねえよ」
そんなやりとりをしながら飯の方に顔を向け、いただきますと両手を合わせながら言って、箸を手に取る。今日の朝飯は白米とじゃがいもと大根の味噌汁、そして、
ちなみに美月の分はない。というより、こいつはとっくに朝食を済ませている。下手すりゃ六時前に済ませてるかもな。
そんなことを考えながら、無言で朝飯を食べていく。美月は俺の正面に座り、俺が食ってるところを黙ってみている。後ろで加茂が控えているところを見ても、何ともシュールな絵面だが、いつものことなので気にはならない。麦茶を飲み、一息つく。あー、美味い。
俺が、今、住んでいるところはそこそこ大きな家だ。高校から一キロほど離れたところに位置する高級住宅街に存在する洋風の豪邸。そこに俺は住んでいる。
つっても、これは別邸だ。本邸は隣町にあたる
俺の生家、行方家はかなりの名家だったらしく、馬鹿でかい本邸の他にこういう豪邸をいくつも持っている。それだけ聞くと、すげえ大金持ちに見えるかもしれねえが、目の前にいる美月も似たようなもんだし、家が生業としていることを考えればそう驚くことでもない。
「ごちそうさまでした」
「お粗末様でした」
そんなことを考えているうちに飯も食い終わり、食後の挨拶をする。加茂の返答を耳に入れてから、立ち上がる。こういうところはうるさかったから、しっかりするようにしてる。あと、一応テーブルマナーとかも癪だが頭の中に残ってはいる。面倒極まりないから、ここでそこまで律儀に食うことなんてほとんどねえけど。
「早いね。急がなくていいと言っただろう?」
俺が立ち上がって、部屋を出ようとしたところで美月がそんなことを言ってくる。俺は振り向き、ジト目で答える。
「別に急いだつもりはねえよ。いつも、これくらいで食ってるだろ?」
「いや、だから、いつものんびり食べろ、って言ってるじゃないか」
「これ以上のんびり食ってたら、時間がいくらあっても足りねえよ」
言いながら時計を確認すると食べ始めてから十五分程度しか経っていなかった。まだ六時五十分前。この後、歯を磨くことを考えてもかなり時間に余裕がある。もうちょいのんびり食っても全然問題はないのだが、今さら、食べる速度を変えるのも億劫だ。まぁ、これでいいだろう。
この後、俺は階段を上がって歯を磨き、自室で美月と軽く雑談をしてから、学校を出た。