その音色は異世界まで響き 作:誰かさん
序章
『俺の命に代えても‥‥お前を倒す。変身っ!!』
「おお‥‥やっぱりカッコいいわ」
俺の名前は紅音也。まだまだガキ臭い13歳だ。今日で14になるが。特撮番組のスーツアクターである父親と技術者の母親との間に生まれたガキである。
俺が今見ているテレビ番組は「仮面ライダーキバ」。父さんが出演していた番組だ。確かスーツアクターだったと思う。
「しっかしこの人がまさかご近所さんだなんてね‥‥ビックリだよ。名前まで貰っちゃったし」
俺の性は紅だ。偶然が必然か、俺がカッコいいと言った人物が演じた人間と同じ名字である。さらに父さんと母さんが大の特撮ファンであり、ご近所さんに俺と同姓同名役を演じた人物が父さんと大の仲良しであったことから「音也」という名前を貰ってしまったのである。
その流れで俺はヴァイオリンをやることになり、そこそこ上達することができた。確か国際コンクールみたいなのには出させてもらったような気がする。どのぐらい凄いのかはサッパリだが。
まあグダグダとなってしまったが‥‥なんだかんだで俺は普通に暮らしている。今日は誕生日で学校も休みなのでノンビリダラダラと仮面ライダーキバを見返していたいところだ。
「やっぱりプロトイクサはカッコいいよなあ‥‥プロトタイプってロマンだと思うんだ」
年が年なので中二病的考えになってしまう。でもプロトタイプって良くない?
「音也。入るわよ」
「なんだい母さん」
コンコンとノックすることもなく、突如母さんが部屋に入ってきた。
「あら、今日も見てるわね」
「最近は生き様がカッコいいなと思い始めたよ」
「貴方も分かるようになったわねえ。そんな音也にプレゼントよ」
「なんだ?」
箱に包まれたナニカを渡された。そこそこの重さがあり、心なしかずっしりとしている。
「どれどれ……」
「ふふふ。きっと気に入るわよ」
「……なあ母さん」
「はいはい」
「俺は夢を見てるのか?」
「そんなことないわよ。全て現実」
「それじゃあ答えてくれよ」
「どんときなさい」
「このベルトはどこからどう見てもイクサベルトとイクサナックルなんだけど」
「そうねえ」
「めちゃくちゃ出来が良いんだけど」
「自慢の一品よ」
「まさか動く?」
「試してみなさい」
そう、俺の目の前に現れたのは素晴らしい出来のイクサベルトとイクサナックルだったのだ。某財団Bのやつよりも遥かに出来が良い。なんだこれ。
「……やってみるか」
シュルっとベルトを慣れた手つきで腰に巻いた。
「おお、なんという滑らかさ」
「散々見たからな」
テレビ本編通りにイクサナックルのマルチエレクトロターミナルらしき場所に掌を触れさせた。すると……。
『レ・ディ・ー』
「おお、すげえ」
「ほら、変身してみなさい」
「しゃあない……やってやる。変身ッ!!」
カチャッという音を立ててイクサナックルがイクサベルトに装着された。
『フィ・ス・ト・オ・ン』
聞きなれた電子音が響き渡る。こいつは……。
「なんか低い……おいまさか」
「そのまさか。でも驚くところはそこじゃないわよ!」
「なんだって?」
「ベルトをよく見なさい」
「ベルトってなんだこりゃあ?!」
なんとイクサナックルからT字型の薄紅色のナニカが回転しながら出てきたのである。しかもそれは形を変えて俺のよく知るイクサスーツへと変貌したのだ!
「ちょちょちょ?! これは聞いてない!」
「大人しくしなさいな。これから装着だから」
「はあ?!」
その間にも半透明のスーツは近づいてくる。逃げられないっ!
「ああもう! 男は度胸!!」
「それでこそ我が息子!」
仕方がないので諦めて装着することにした。母さん恐るべし。
ガチョン! という音を立ててスーツが装着される。どうやら前半分から覆って後から背中側も包み込むらしい。
「おお……」
「念願の夢が叶った感想は?」
「……中々良い着心地だ。快☆感」
「流石ねえ」
マジで着心地抜群だ。重さは感じないし力が溢れてくる。まさか本物なのだろうか。
「母さん。これって本物?」
「当ったり前よ。技術者の腕舐めないで頂戴な」
「どう考えても母さんの技術力はおかしい」
「当然だけど負担はかかるから長時間運用はダメよ」
「何から何まで作りこまれてるな」
正直脱帽である。母さんは世界的にも有名な技術者だったがここまでとは思わなかった。これじゃあ普通にノーベル賞取れる気がする。あまりよろしくないが軍事目的で量産なんかされたら我が国は無敵なんてもんではなくなる。
「母さん……ありがとう。最高の誕生日プレゼントだよ」
取り敢えず嬉しかったので俺は素直にお礼を言うのだった……。
中の人はイクサ大好きです()ながくなるかもですが長い目で見てくれるとありがたいです。
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