その音色は異世界まで響き 作:誰かさん
それと、仮面ライダーイクサのタグが付いた作品はこの作品だけでした。ビックリ()
一分が数分に感じるほど息をつく間もなく現れるフロストゾンビを蹴散らし、少しウンザリしてきたところでようやくハジメから連絡が届いた。
「もうすぐ其処だ。十秒ぐらいで到着する」
「やっとか……」
「そろそろウンザリしてきたとこだよ。まったく、ゴキブリみたいだね」
やがて突入した場所は、東京ドーム並みの広さはありそうな空間だった。ハジメの持つ羅針盤をチェックしたところ、フロストゾンビたちを動かしているはずの魔石の場所はこの部屋だと指し示されていた。正確には、俺たちが入ってきた入口と対面にある氷壁からだ。
「見つけた。あれならマウスで撃ち抜けるだろ?」
「当たり前だ。ここまでくれば俺にも見える」
「……だが、一筋縄ではいかないらしいな」
俺がほんの少しの間黙ってからそんなことを告げる。と、いうのも俺の義眼には大量の魔力反応が映っており、その主たちは天井から降下してきていると明確に示していたからだ。
いや、上からだけではない。魔石の反応がある氷壁からはフロストウルフやフロストキャットが飛び出してきている。先ほどから降下してきている反応はフロストイーグルの物だ。そして、氷壁自体はフロストタートルへと姿を変えていく。
「おい勇者(笑)。お前らパーティーでフロストタートルをぶちのめせ」
「え、は? な、何で、俺?」
「何で? じゃねえよ。お前等、ここに何しに来たんだよ。このまま俺達が一掃したらお前等が付いて来た意味ないだろうが」
「っ……ああ、そうだな。その通りだ!」
「お前が一番近接火力はあるんだから簡単にくたばるなよ。後の三人はサポートしつつ、何とかして魔石を破壊してこい。それまでこの雑魚は俺たちが引き受ける。腑抜けやがったら俺がさくっと殺っちまうからな?」
ファンガイアスレイヤーとファンガイアバスターを駆使して特攻してくるフロストイーグルを撃墜しながら光輝に発破をかける。
「大丈夫だ。俺だってやれる! 絶対に倒して見せる!」
「その意気だぜ光輝! 俺も手伝うからな!」
「防御は任せて! 全部、防いでみせるよ!」
「暑苦しいねえ……ま、たまには悪くないけど」
前衛に光輝と龍太郎。中衛に恵理。後衛に鈴。比較的安定した布陣である。光輝は聖剣を構え、龍太郎は口角を二っと上げながら拳を握る。恵里は拳銃をこめかみに突きつけ、鈴はハジメからもらったであろう鉄扇を正眼に構えた。
ドパンッ! バリン!!
「来たれ “アルテミス”!」
恵里が拳銃の引き金を引いたと同時に上げた叫び声を合図にして光輝と龍太郎が突貫する。目の前に立ち塞がった魔物を一刀一拳によって地に沈め、一気にフロストタートルへと接近した。
直後、フロストタートルの赤黒い双眸がギラギラと輝き始めた。すると、光輝達の通った後の道を埋めていくように、魔物達が再生し始める。
「させるか! お前の相手は俺だ! 〝天翔閃・震〟!!」
「おっと、どこ見てやがる。お前の相手は一人だけじゃないぜ!」
曲線を描く光の斬撃が、凄絶な衝撃波を撒き散らしながら砲撃のように飛び、不気味な輝きを見せるフロストタートルの眼に直撃する。斬撃が片目を切り裂き、その傷口を抉るように衝撃波が襲いかかる。さらに集中強化された拳がフロストタートルの分厚い甲羅を軽く打ち砕き、オマケとばかりに蹴り飛ばして体勢を崩してしまった。
怒り狂うフロストタートルは大口を開けて絶対零度の吹雪を吐き出してきた。直撃すれば防寒用アーティファクトを身に着けていたとしても一瞬で氷漬けになってしまうだろう。しかしそんな未来は鈴が許さない。
「流れる水の如く、廻る風の如く――〝聖絶・散〟!!」
エネルギーを散らす性質を持った聖絶を展開する鈴。輝く障壁が全面に展開され、直後、衝撃と共に絶対零度の吹雪が衝突した。ゴゥ!! と凄まじい衝撃を奔らせる吹雪だったが、波紋を広げる聖絶を前に、そのエネルギーを分散させられてしまい突破することは叶わない。
「射貫け、アルテミス。〝月矢・連〟!」
カウンターとばかりに恵里が召喚した月の女神アルテミスが金色の矢を発射した。矢は途中で拡散し、それぞれが意思を持っているかのようにフロストイーグルや俺の目の前にいたフロストウルフを撃ち抜いていく。一発一発がハジメの扱うドンナー並みの破壊力を誇っており、しかも再生能力を遅らせる効果を付与したらしく、撃ち抜いて崩れ落ちた魔物の山が出来上がっている。
「光輝、最大威力の〝神威〟をお願いするよ」
「最大威力の〝神威〟か……三十秒はかかるぞ」
「そのぐらいの時間稼ぎなら余裕だから、喋っていないで早くしなよ……全く。アルテミス、やれ。〝聖月・絶〟」
「うわ、恵里の結界えげつなくない? 結界師の鈴はいらない子なんじゃないかと思ってしまうよ」
あきれ果てたとばかりに大げさに肩をすくめる鈴。それもそのはず、恵理が展開した結界は超広範囲に渡って空間を包み込むドームと化しており、しかもその堅さは鈴の展開する物と遜色ないレベルである。ちなみに鈴の意見は俺の意見を代弁していたりする。何度も再生する魔物をファンガイアスレイヤーで胴体ごと粉砕するかファンガイアバスターで頭蓋骨を撃ち抜きながら恵里の成長度合いに驚いた。
それにしても恵里が召喚する魂。この前は解放者だったが、今回は俺たちの世界でよく知られている神を召喚している。
「なあ恵里。この世界の神ってのは俺たちのよく知る神様なのか?」
「なんかそうみたい。同姓同名の別人っぽいけど、使える能力は恐らく同じだよ。ただ不思議なのは、誰一人としてエヒトとやらの名前を出さないんだよね」
「へえ、成程な。そうなるとエヒトって何なんだろうな」
呑気に会話をしながら魔物を蹴散らしていく。雫たちも特に表情を変えずに対処しており、少し飽きてきたのか魅せプレイを始めている者も何人か見受けられる。
既に一人千匹ずつは粉砕したであろう時間が経過した頃、ようやく光輝の詠唱が完了したらしい。彼の聖剣は、螺旋を描いて集束する恒星の如き莫大な光を纏っていた。
「龍太郎! 下がれ! 行くぞ、化け物! ――〝神威〟!!」
燦然と輝く光そのものと表現すべき聖剣をググッと突きの形で後方へ引き絞った光輝は、最後の詠唱と同時に、〝空力〟で踏みしめた空中の足場を粉砕する勢いで踏み込み、眼下のフロストタートルを討滅せんと光の剣を突き出した。
ドォオオオオオオオオッ!!
見た目だけならティオのブレスにも匹敵する勢いでフロストタートルへ直撃する、光輝が持てる全ての力を振り絞った〝神威〟。ハジメのアーティファクトを使用していることもあり、破壊力は十分である。
一瞬にしてフロストタートルの障壁を貫通した純白の砲撃は、狙い違わずフロストタートルの魔石へと直撃した。ビキビキ! と嫌な音を立ててヒビが入っていく魔石の音を聞いた俺は、とりあえずこの試練は問題ないだろうと確信した。
「クワァアアアアアアアアアアアアアアアアンッ!!!!」
「このまま消えてくれぇ!! 俺は、俺にはっ! 力が必要なんだぁああああ!!!」
「力みすぎだよ、光輝くん。〝月矢・集〟」
ダメ押しとばかりに光輝の繰り出す純白の砲撃を突き抜けて恵理の発射した金色の矢がフロストタートルの魔石に突き刺さった。バキッ! とより一層大きなヒビを作ったことによって力が抜けたフロストタートル。生まれた莫大な隙を、光輝であっても見逃すことはなかった。
ドパァアアアアアアアアアアアアッ!!!
純白の砲撃が完全にフロストタートルを呑み込み、周囲の地面や壁ごと粉砕して奥へと突き抜けていった。魔石の反応はなく、完全に撃退に成功したらしい。
その証拠として、この広い空間を満たしていたおびただしい数の魔物たちが一斉にその姿を崩していった。部屋全体に、ガラガラと唯の氷塊となった魔物たちの崩壊する音が響き渡る。
「や、やった…はぁはぁ……倒した…俺が……」
「光輝くん! 大丈夫?」
「鈴……すまない、肩を貸してくれ。まだ警戒しないといけないだろ?」
「香織、早いところ回復させてやれ」
「気は進まないけど……分かったよ。〝聖典〟」
気乗りしない顔で光輝のことを癒した香織。そういえば彼女も光輝のことは見限っていたことをすっかり忘れていた。しかし嫌な顔はしながらも、しっかりと体力や魔力は回復させる香織。
そんな様子を見ながらも俺は周囲を見渡す。どうやら先ほどまで魔石が刺さってた場所にいつの間にか人が数十人は通れるぐらいの空間が出来ており、その奥にはさらに通路が続いているらしい。
「少し休んだら先進むか。まだまだ先は長そうだからな」
「そ、そうか。しかし……あの魔物を俺が倒しても良かったのか? 紅たちが大迷宮に認められないかもしれないだろ?」
「ああ、そこは大丈夫だ。コンセプト的に重要視されてないであろう試練だったし、念の為千匹ずつは粉砕しているからな」
あっけらかんと答える。そんな俺の様子に何故か光輝の表情が暗くなったのだが、別に興味をこれ以上持つこともないのでサクッと無視をした。
もっとも、そんな俺の態度を彼が許すかどうかはまた別の問題である。
火曜から木曜まで中間テストですので、更新が少し滞る可能性が高いです。息抜き程度に執筆はしますが、四日の間にこの作品かもう一方の作品が一話更新されていたら良い方だと思って頂けると幸いです。
恵里の処遇はどうする?
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勇者バカ之河の被害者だから救おう
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消せ(無慈悲)