その音色は異世界まで響き 作:誰かさん
テストも折り返し地点ですが、小説は書きます。息抜きのつもりで書いてたらいつの間にか完成してるっていう()
ふわふわ。ぽわぽわ。この場を表す擬音があるとすれば、これしか思い浮かばない。
「うむ、やっぱり美味いな。シアの作る料理は相変わらず別品だ」
「えへへ、ありがとうございますぅ!」
「ほら音也、あ~ん」
「あむ……んん。しかし炬燵で食べる鍋は格別に美味い。こうして大人数で囲むなら尚更な」
「今度はこっち。音也、あ~ん」
「うむ……んぐ。ありがとうユエ。しかし最近は全員に独占欲が出てきたなあ。雫やユエ、露葉さんは勿論のこと。ティオにだって独占欲を持ってしまうよ」
「そ、それは本当かの!?」
「ああ。どうやら俺は最低な野郎らしいが……残念なことにあれもこれもと欲しがってしまうらしい。罪な人間になっちまったよ」
複雑そうな心境の光輝たちを尻目に、俺は存分に自分の嫁たちとイチャつきまくる。それはハジメも同じであり、香織とシアの両方を膝枕してやっている。
「最近のハジメさんは優しくて嬉しいですぅ。あ、ウサ耳もっと触ってください!」
「ふふ、仲間には激甘だもんね。でもそんなところが大好きだよ?」
「最大級の褒め言葉をどうも。俺も音也ほどではないが多くの物を一度に欲しがってしまう心になってしまったがな」
「ハジメくんとなら何番目だとしても私は大丈夫。一緒に居られるならそれで……ね?」
「……ありがとよ」
照れたのか、プイッとそっぽを向いて先ほど飛ばして鍵の回収に向かわせた九九艦爆の操作に集中するハジメ。しかし心の音楽は歓喜を示しており、それに気がついた俺は目を伏せて軽く微笑んだ。
対照的に光輝たちの表情は暗い。視線を逸らしながら黙々と鍋をつつくことでスルーしている光輝たちだが、いい加減、鬱陶しいのか何かを堪えるようにぷるぷると小刻みに箸が震えている。
「光輝……こういう光景は慣れたつもりだったんだけどよぉ」
「言うな、龍太郎。色々と複雑なんだ。俺の心境が……」
「一昔前の君だよ。客観的に見れて良かったね」
「え、恵理なんか怒ってる?」
「怒ってない。違うから」
四人の中でも特に機嫌が悪い恵理。客観的に見せつけられては心に来る物があるのだろう。頭を撃ち抜く用の拳銃を手にして頬杖をつき、不機嫌そうに拳銃を机にコツコツと打ち付けている。
その姿が何処となく愛らしく思える。まあ、恋愛的な感情ではなく娘を見るような感情を抱いてしまっているが。
あまり長いしては四人が爆発しかねないため、腹が膨れた俺は立ち上がってハジメに目配せ。艦爆を回収するように頼んで部屋の外へ出るのだった。
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四つの鍵をはめ込んで開いた封印の扉の先は、案の定、本格的なミラーハウスの様相を呈していた。氷というより完全に鏡だ。光を向ければ何処までも乱反射し、両サイドの壁には、まるで合わせ鏡のように無数の俺たち自身が映っている。
上空を覆う雪煙以外は、まさに無限回廊といった様子だ。透明度が高い等というレベルではないので唯の氷壁ではないのだろう。冷気を発していなければ、そもそも氷だと気がつかないかもしれない。
光は勿論なのだが、音でさえも吸い込まれてしまいそうに感じた。
「……ん?」
羅針盤のおかげで止まることなく進んでいた俺たちだが、不意に光輝がキョロキョロと周囲を見渡し始めた。
訝しく思ったので何があったのかを尋ねる。
「どうかしたのか?」
「あ、いや、今、何か聞こえなかったか? 人の声みたいな。こう囁く感じで……」
「ふむ……俺には聞こえなかった。ちなみになんて言われたんだ?」
「〝このままでいいのか?〟って……」
彼の言葉で何となく何が起こったのか把握した。今のところ声が聞こえたのは光輝一人。しかし彼が言うには自分が聞いたことのある声で囁かれたという。妙に聞き覚えはあるのだが、誰なのかまでは分からなかったらしい。
他のメンバーが聞こえてないところを考えるに、彼には大迷宮の試練として“心の闇”を聞かされていたのだと俺は推測した。
「なるほど。これは己の心の闇を聞かされているんだな。自分の闇……というか深層心理と向き合えってことじゃないのか?」
「自分の……闇?」
「……うん、俺にも聞こえてきた。〝都合の良い駒だな〟ってな」
俺の言葉を皮切りに、他のメンバーにも声が聞こえてきたらしい。ある者はビクリと跳ね上がり、またある者は剣呑に目を細めている。
俺は更に、〝失わないという根拠はあるのか?〟という声を聞いた。流石にずっと聞き続けるのは心の毒である。すぐさま全員に集合をかけ、なるべく気にしないように指示を出して俺自身は魂魄魔法によって精神のリフレッシュを図る。
そのまま心の奥底へ土足で踏みにじってくるような声を聞きながら進むこと数時間。魔皇力による疲労回復と寝不足を解消しつつも更に歩いて行くと、通路の先に巨大な空間を発見した。
部屋の奥には、先に見た封印の扉によく似ている意匠の凝らされた巨大な門が見えた。封印の扉のように何かをはめ込むような窪みは見えないので、また宝珠を集めるという面倒極まりないことはしなくてよさそうではある。羅針盤を確認してもゴールで間違いはなさそうだ。
「ゴールか……って太陽?」
部屋の中央まで歩くと頭上から太陽な光が射し込んできた。周囲を見渡すと、天空から空を覆う雪煙を貫いて差し込む陽の光が空気中の細氷に反射しているからか、いわゆるダイヤモンドダストを見ることができる。
しかしここは大迷宮。このダイヤモンドダストでさえも信用してはならない。
『レ・ディ・ー』
「変身! 一気に突破するぞ!」
『ラ・イ・ジ・ン・グ』
「音也……そうか、あのダイヤモンドダストは“敵”ってことだな?」
『フィ・ス・ト・オ・ン』
ダブルイクサ降臨。それと同時に俺は走り出し、魔皇力を解放して後から続くメンバーたちをも囲む障壁を展開した。
ダイヤモンドダストはレーザーのような光を放ち始めたが、俺の展開した障壁にことごとく防がれているので問題ない。どうやら突破を試みたのは正解だったらしい。
と、いうのも天井付近からは雪煙が降り注いできており、まごまごしていればハルツィナ樹海並みに視界を閉ざされてしまうからだ。気がつくのが遅ければどうなったか分からない。
出口までは百メートルほど。このまま走り抜けられれば楽……なのだが、大迷宮もそこまで甘くはなかったらしい。
ズドンッ!!
地響きを立てながら上空から迫る雪煙から、大型自動車くらいの大きさの氷塊が複数落ちて来たのだ。かなりの重量があるようで、落ちた衝撃により地面が砕けてクレーターが出来ている。向こう側が透けて見えるほど透明度の高い氷塊で、いわゆる純氷というやつなのかもしれない。胸元には、わかりやすく赤黒い結晶が見えていた。
「本命が来たな……よし、蹴散らすぞ」
直後、氷塊は一気に形を変えて体長五メートル程の人型となった。片手にハルバードを持ち、もう片手にはタワーシールドを持っている。
その数は全部で十三体。ちょうど俺たちとと同じ数だ。ゴーレムのようにずんぐりしていて、横列となって出口を塞いでいる。
ドガアアン!
手始めにイクサキャノンをぶち込んでおく。しかし氷塊は思っている数倍は硬かったらしく、被害は氷塊の一部を欠けさせたに留まった。どうやら、耐久力は今まででの魔物の中で一番らしい。
「だが……問題はねえな」
「その通りですぅ!」
「蹴散らしてくれるのじゃ!」
「行くよ!」
人数分のフロストゴーレム。これは一人一体殺せ、ということだろう。それを察した俺は、雪煙が落ちてくるのも見越して叫んだ。
「一人一体だ! 確実に殺せ!」
『イ・ク・サ・ラ・イ・ザ・ー・ラ・イ・ズ・アッ・プ』
ライザーフエッスルをベルトに放り込んで雪煙の中を跳び上がる。既に視界は白に塗りつぶされており、どういう訳か光輝の飛ばしているであろう攻撃がこちらにやってくる。
しかしそれらは大した問題ではない。軽くイクサキャノンで迎撃しながらイクサライザーはしっかりと標的の心臓部分に照準を合わせている。
「見えてるんだよなあ……攻撃の瞬間に囁き声が聞こえているから、意識誘導してるのかもしれないが、俺には無意味だ」
レーザーが飛び交う中、俺は独楽のように回転しながらフロストゴーレムに接近。銃口をピタリとフロストゴーレムの心臓部分に合わせた。
「グルアアア!?」
「消し飛べ」
カチッと引き金を引いた。途端にイクサライザーから尋常ではない熱波が飛び出し、フロストゴーレムの心臓部分を跡形もなく消し飛ばしてしまった。
あっという間に試練を終わらせた俺は、そのまま真っ直ぐ歩いて出口に向かう。出口付近は洞窟になっており、雪煙やダイヤモンドダストの出すレーザーを完全にシャットダウン出来るらしいので、ここでメンバーを待つことにする。
「さて、雫たちやハジメたちは問題ないだろうがな……勇者パーティーはどうなることやら」
飛来してきた魔法を弾き飛ばしつつ、俺がそんなことを呟くのと雫が雪煙から出てきたのはほぼ同時であった。
現在考えているのは、光輝の処遇をどうするかです。ネタバレになりかねないので答えが出てもお知らせすることはありませんが、なんかしら捻りを入れるとだけ伝えておきます()
恵里の処遇はどうする?
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勇者バカ之河の被害者だから救おう
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消せ(無慈悲)