その音色は異世界まで響き 作:誰かさん
ちなみにですが、光輝はもう“出しません”。私がゼアムさんの意見ほにゃららの奴は、DMに送られてきた意見のことです。光輝は音也によって肉体を消し去られ、さらに魂その物も恵理が消し去ったので登場不可能になります。天国にも地獄にも行かない。行けない結末ということです。
「それじゃあ、始めるとするか」
「ええ。と言っても、戦闘に使える概念なんて何があるかしら」
補給が終わった俺と雫は、早速部屋から出て概念魔法の発現に取りかかることにした。
しかし概念魔法は極限の意思と共に発現する物だ。生半可な気持ちで発現させることは不可能である。
「……とりあえず、一つ思いついた。日本に帰るのと同じぐらいに俺が求めている物がある」
「あら、そうなの?」
「人間が一度は欲しいと願った物だ。そいつを概念化させれば、もしかしたら実現することが出来るかもしれない」
「……その願いというのは?」
「永遠に朽ち果てない命さ。この世にある全ての物質はいつか必ず朽ち果てる。そして人間は、死ぬことを何よりも恐れている。それは俺も同じなんだよ」
“永遠に朽ち果てない命”。あの秦の皇帝も、永遠の命を欲して水銀すらも飲んだという。現代医療ではもちろん、この世界の魔法ですら永遠の命というのは実現できていない。
しかし、それも概念魔法なら可能かもしれない。“永遠に朽ち果てない命”という強い想いさえあるならば、実現だって不可能ではないのだ。
「そういうわけだ。手伝ってくれるか?」
「当たり前よ。音也の願いなら私の願いでもあるから」
「そうか……ありがとうな」
互いに見つめ合って微笑むと、俺たちは手を取り合って“極限の意思”を実現するために集中を開始する。
予てからの願いであったからか、すぐに俺の魔皇力が普段では有り得ない勢いで噴き出した。それに合わせて雫の魔力もブワッと湧き上がる。
大地を揺らすほどの勢いで巻き起こる魔力の嵐は、空中で混ざり合うと純白の魔力へと変換された。
「こいつは……命の輝きだな」
「そうね。勇者(笑)の魔力よりも遥かにクリアで、とても強い力を感じる純白の魔力だわ」
「引き合いに出したら可哀想だろう?」
軽口を叩き合いながら、それでいて思いは揺らがずに強大化していく。力は刻一刻と強さを増していき、遂には部屋全体を“生命の輝き”で満たすことになった。
ドクン! ドクン! と空間その物が鼓動し、さらに輝きを増した魔力が最後は爆発的に住処一体へと広がった。
すると、バタン! と別室の扉を開けてハジメとユエが突入してきた。
「お、おい。二人とも大丈夫か?」
「ものすごい光……これが、二人の概念魔法?」
「問題ない。もうすぐ完成しそうだからな雫、仕上げだ」
「分かった。気を引き締めるわよ」
俺はイクサを装着してから再度集中する。なぜイクサなのかというと、単純に完成した概念魔法をイクサに付与してみようと思ったからである。イクサは無機物なため、生成魔法の準備も怠ることはない。
「行くぞ」
「んっ」
「「〝永遠に朽ち果てない命をここに望む〟」」
刹那、恒星の如き眩い光の奔流が俺たち二人を中心に噴き上がった。一度は落ち着いていた銀河の流れは、まるで超新星爆発でも起したかのように部屋を純白の光一色に染め上げる。
そんな中、俺は生成魔法を発動させて空中に浮かんでいる概念魔法をイクサの中へ取り込んだ。
イクサ内に居た俺の耳に、カチリと何かが繋がった音が聞こえた。しかしそれ以外は何も起こらず、やがて光は収まって視界が元に戻った。
「っ……雫、大丈夫か? ……って、魔力枯渇で寝てるのか」
「逆にお前は大丈夫なのか……相変わらずとんでもないな。俺とユエも魔力枯渇でぶっ倒れたんだぞ」
「俺の場合は魔皇力を使い切っただけだ。魔力はまた別にあるから、片方が枯渇したところで何とでもなるのさ」
雫に魔力を譲渡しながら、俺に魔力枯渇で倒れるという概念は殆どないということを伝える。その事を聞いて、ハジメの顔に張り付いた苦笑いがより一層深まったのは言うまでもない。
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「さて、とりあえず戦闘で使えそうな概念魔法と帰るための概念魔法は完成した。そのための道具も揃った。日本に帰るだけなら出来る状態になったぞ」
「そ、それは本当? 音也くんと雫を追いかけてこの世界に来てから既に半年以上経過しているけど……ようやく帰れるの?」
「帰るだけならな。召喚防止用の概念を作るのは、帰還用の概念を作るのより骨が折れそうだから時間がもう少しかかりそうだが」
意識が回復した雫と共に、俺たちは帰るための一手と戦闘に使える概念魔法が完成したことを報告。途端に鈴や龍太郎が感謝の言葉を述べ、その後に香織もハジメに飛びついた。
露葉もまた、感慨深いといった様子で涙ぐんでいる。やはり思うところがあるのだろう。
「ところで、戦闘に使える概念魔法とはどんな物なのかの?」
「永遠に朽ち果てない命さ。とは言っても俺自身に付与したわけではない。とりあえずはイクサに付与しただけだ」
「なんと……永遠の命とは驚いたのじゃ。永遠に朽ち果てない命、ということは無機物に付与すれば二度と壊れることも廃れることもなくなるということじゃな」
「相変わらず飲み込みが早くて助かる。全人類が想像している永遠の命と同じような物だよ。こいつは有機物にも無機物にも対応しているがな」
単純に壊れることも朽ち果てることもなくなったため、イクサの防御力は恐ろしいことになる。どんなに強力な攻撃でも、それこそ使徒の繰り出す分解魔法だとしても、このイクサは傷一つ付くことはないのだ。打ち破るには、この概念魔法と反対の概念を持つ物をぶつけるしかない。
即ち、“絶対の死を発現させる”概念魔法が必要になるということだ。並大抵の努力ではイクサを破ることは不可能である。
しかし、それでいても闇のキバの鎧の方が性能を上回るのは恐ろしいことだ。鎧自体に概念魔法は込められていないが、イクサの状態で繰り出す攻撃は殆ど効果を成さない。
それに加えて、イクサには相変わらず制限時間が存在する。俺やハジメの体力がそこの見えない化物級であるが故に制限時間を物ともしない行動が出来るだけであり、その辺の人間が何方かを使用するなら闇のキバの鎧を選ぶ方が良いだろう。もっとも、適性がなければ死ぬが……。
「んじゃ、行くか。何時までもここに留まる訳にはいかないからな」
何はともあれ、戦力は揃った。それに帰る手段も出来た。今回の大迷宮攻略は一人の戦死を除いて大成功と言えるだろう。
住処の外へ出ると、入り口の近くにショートカット用と思われる魔法陣が置いてあった。そこへ、シアが予め手に入れておいた大迷宮攻略の証を手にして魔法陣の中へ足を踏み入れる。
すると、ビキビキ! と音を立てて眼前の泉が凍てつき始め、徐々に盛り上がっていく。そうして、巨大な十メートルほどの卵型の氷塊となったそれは、やがて膨張と氷結を止めると、直後、バリンっ! と音を立てて砕け散った。
けた氷卵の奥から現れたのは、氷で出来た竜だった。半透明の、クリスタルで出来たような光沢を放つ壮麗な竜だ。
氷竜は、その長い首をスロープとするように俺の足元へスっと頭を垂れた。どうやら、この氷竜に乗って出るのが【氷雪洞窟】のショートカットらしい。
ここに来て、ようやく見れたファンタジックな光景に俺は軽く感動を覚える。
「……ご褒美?」
「私もユエさんと同意見ですぅ。解放者って男の人の方が性格良いんですかね?」
他のメンツも同じ意見だったらしく、二人の言葉にこれでもかと言うぐらいに頷いている。
それもそのはず、人を苛立たせるエキスパートのような奴とか、ショートカットと言いながら海中に放り出す奴とか、ゴキブリを強制的に好かせる奴とかは全員女性だ。きっと男性は苦労したことだろう。
もしかしたら母さんもはっちゃけていたのかもしれないと思い、こめかみを軽くグリグリしながらも俺は氷竜の背中に跳び乗る。俺に倣って全員が氷竜に跳び乗った途端、氷竜はバサッ! と翼をはためかせると一気に上昇した。天井の氷壁がみるみるうちに迫って来るが、衝突する寸前で溶けるように氷壁に穴が空き、円柱形の通路が出来上がった。
その通路を、氷竜は全く速度を落とさずに突き進んで行く。やがて外に出ると、氷竜は全く止まる気配を見せずに上昇を続け、そのまま【シュネー雪原】の曇天に突っ込み、ボバッ! と音を立てて飛び出すと、太陽が燦々と照りつける雲海の上を優雅に飛翔し始めた。
「マジか……太陽の方向的に、どうやら雪原の境界に向かっているぞ。本当に気が利く解放者なんだな」
「これまでが中々に悪辣だったから、ハジメくんの言いたいことは分かるよ……」
「鈴たちは二つの大迷宮しか経験してないけど……どっちも女性が作った物だよね。鈴は男性解放者たちに労いの言葉をかけてあげたいよ」
「だな。何時の時代でも女は怖いんだなあ」
「龍太郎くん、それはどういう意味なのかな? かな?」
そんなどうでも良いことを聞き流していると、いつの間にか氷竜は高度を下げ始めていた。どうやら雪原の境界が近いらしい。
そして、境界からは目と鼻の先といった場所に氷竜は柔らかく着地した。思わず礼をすると、氷竜は「礼には及ばない」とでも言いたげな雰囲気で背中を向け、そのまま雪原へと姿を消した。
ここから境界を越えれば、すぐ近くには樹海がある。また当分の間はカム立ちの世話になろうか……なんてことを考えながら吹雪の中を歩いていると、俺の耳に何かが引っかかった。
「シア、何か居ないか?」
「……ですね。それもわんさかですぅ」
「ハジメ、分かるか?」
「ああ。クソ面倒だが……しゃあねえな」
気がついたのは俺、ハジメ、シアの三人だ。一匹見たら百匹居ると思え! とでも言いたいぐらいの数が揃っている“敵”の存在にウンザリしたのである。
俺はファンガイアスレイヤーとファンガイアバスターを取り出し、他のメンバーにも「戦闘準備」とだけ伝えた。
全員が武器に手を掛けながら、視界を閉ざす吹雪の向こう側へ出た。
そこには……
「お久しぶりです、イレギュラー。我が主の命令の元、居城への招待の任を果たしに来ました」
優に数百体はいるだろう。視界一面を覆う、おびただしい数の魔物。そして〝真の神の使徒〟ノイントが大量に武器を手に待ち構えていた。
次回は一度キャラクターのステータス紹介を挟みます。と言うのも、私自身が今一度キャラクターのステータスを把握して最終章の執筆に入りたいからです。何個か技能を増やすかもしれないですが……死に設定にならないように頑張ります()
恵里の処遇はどうする?
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勇者バカ之河の被害者だから救おう
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消せ(無慈悲)