※この作品はR-18です。

その音色は異世界まで響き   作:誰かさん

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まだ、大きくは動きません。今回は、ね……()


第一楽章 招待の手土産

「招待だって? それは何かの冗談か?」

「寛容なる我が主と魔人族の王は、貴方等の厚顔無恥な言動にも目を瞑り、居城へと招いて下さっているのです。我等は、その迎えになります。運が良ければエヒト様に拝謁できる可能性があるなど有り得ない幸運です。感動に打ち震えなさい」

「感動もクソもあった物じゃねえな。能無しの神に招かれたところで嬉しいという方がどうかしてる。というか、疑問だらけだぞ。お前らが招待している場所は魔人族の居城だ。この歴史で神の使徒は魔人族の味方をしているのか?」

「ええ。我が主はエヒト様一人ですが……同時に、表向きはアルブヘイトに使えながら愚かな反逆者を抹殺してるのです」

「へえ……まあ、行くつもりは毛頭ないがな。メリットが見当たらない」

 

招待されたところで応じる必要はないと感じた俺は、早いところ大勢控えているノイントをぶっ殺そうと考える。しかし、俺が一歩踏み出す前に目の前には鏡のようなものが差し出された。

 

そこに映し出されたのは、リリアーナや愛子先生、他のクラスメイトである。どうやら神の使徒に抗うことができずに捕らえられてしまったらしい。

 

が、それを見せられても俺の心が揺れることはない。今更クラスメイトや先生が痛めつけられたところで俺には関係ない。死んでしまったとしても後悔はしないだろう。

 

「これが何だっていうんだ? こいつらが殺されたところで何も思わないが」

「……相変わらず貴方は狂っています、イレギュラー。ですが、カードはこれだけではありませんよ」

「ほう?」

 

映像を映し出す鏡の視点がユルリと動く。どうやら、愛子達を捕えている檻の横に、もう一つ檻があったようだ。同じ作りではあるが、かなり小さなサイズであるそれは、人を一、二人捕えるためのもの。

 

そして、そこに囚われている者たちが映った瞬間である。

 

ガシャガシャ ジャキンッ!

 

ファンガイアスレイヤーが何の前触れもなく神の使徒の首を貫いた。誰かが息を呑む音がやけに響き渡る。

 

使徒以外にも屈曲な見た目の魔人族や魔物が居るのだが、あっという間に俺の放つ異様な気配によって意識を失った。

 

「……オーケー、オーケー。よく分かった。俺が今、何をするべきなのかもよく分かったさ」

「っ──っ──あ、あの魚モドキ共がどうなっても、いいのですかっ」

「レミアとミュウのことを魚モドキだと? 余計なことを口走るのも大概にしてもらおうか」

 

カチッと使徒が反応できない速度で引き金を引いて数体の神の使徒の心臓を撃ち抜きながらこれまで殆ど出したことのない“全力の威圧”を繰り出す。

 

鈴や龍太郎は勿論のことだが、あの雫やユエたちですらも軽く頬を引き攣らせるほどの殺意が神の使徒や随伴していた魔人たちが後退るか気絶するのは火を見るより明らかである。

 

「レミアとミュウを人質に取られているなら招待を受けてやろう。だが、魔王城への招待なら手土産の一つや二つは必要だ。魔王様とやらにはこの場に居る全員の首をプレゼントしてやる」

 

首を掻っ切るジェスチャーをしながら嗤う。既にファンガイアバスターは使徒の心臓を正確に狙いを付けており、ファンガイアスレイヤーはいつ飛び出してもおかしくない位置に待機している。

 

使徒は言った。俺とノイントとの戦闘データは解析済みだ。これだけの使徒に俺が敵うはずがないと。それは雫たちも同じだと。

 

それに対して、俺はより一層凶悪な笑みを浮かべた。

 

「苦し紛れの脅しは効果を成さない。そして、限界まで弦を張り詰めている者は誰にも勝つことはできない。勝ち目のある戦いにだって無様に敗れ去るのがオチだ」

「バカにするのも大概にしてほしいわね。数ヶ月前のデータが役に立つほど、私たちは止まってはいないわよ」

「ん……アホ丸出しのバカ。お前らが勝てる未来は存在しない」

「学んでいるつもりで学んでいない。この姿を見るほど無様な物はないわね」

「その通りじゃな。人形というのはここまで無様なのかのぉ」

「当たり前じゃんか。傀儡人形を作った僕なら分かるよ。こいつらは何も学ばない、ただの自己満足で終わるバカだってね」

 

あまりの不遜な物言いに無表情だった神の使徒たちが一気に憤怒の表情を露わにした。これで俺たちの勝ちは確定的である。

 

人形は人形らしくしていればいいものを……バカな奴らだ。

 

「死に晒しなさいっ、イレギュラー!」

「だから、人形は人形らしくしていれば良いんだよ。何も学んじゃいないな」

「黙りなさいっ!」

 

双大剣をクロスさせながら絶叫し、俺に急迫する多数の神の使徒。しかしそれを見ても俺の嘲笑いは止まらない。その理由は簡単だ。

 

ドパアァァァァアン!!!

 

俺に視線が釘付けになっている間に、ハジメが地獄への快速急行電車の切符を手配していることに気がついていなかったからである。

 

「おいおい、俺を忘れてないか? 俺は別に音也ほど強くはないが、お前ら程度なら難なく捻り潰せるぞ?」

「くっ、小癪なっ!」

「で、今度は俺のこと忘れてるだろ?」

 

ハジメを見れば俺が、俺を見ればハジメが丁寧に地獄への切符を手渡ししていく。

 

紅い閃光と銀の凶光が周囲を駆け巡ること数分。あっという間に魔人と魔物は死に絶え、神の使徒も一体を残して首と胴体が永遠の別れを告げていた。

 

最後の一体は気丈にも双大剣を構えているが……明らかにその瞳は揺れている。動揺しているのだ。人形のくせに。

 

「そんな……有り得ませんっ。人間如きが、これだけの数の神の使徒に敗れ去るなど……断じて有り得ません!」

「なら、周りをよく見ろ。何が見える? 同胞の首と胴体だ。お前らは俺たちに勝つことはできないんだよ」

「そんな、ことがっ」

「認めろ。お前らの負けだ。敗者には敗者らしく、主の居城まで案内してもらおう」

 

ファンガイアスレイヤーを首に巻き付け、額にファンガイアバスターを当てて案内するように催促する。悪役はどっちだと言いたい。

 

しかし、この状況で残された神の使徒ができる行動は一つしかない。それは、敗者らしく勝者を主の元へ送り届けることだ。

 

仮に俺の拘束を解いて襲いかかったとしても、暴れる間もなく額をバスターで撃ち抜かれて終わりだ。その射撃を躱したとしてもその頃にはファンガイアスレイヤーが使徒の首を跳ね飛ばしている。

 

進むも地獄、戻るも地獄。逃げ道はもう、全て絶たれたのだ。

 

「………分かり、ました。案内しましょう。我が主の元へ」

「初めからそう言えば良いんだよ、神の傀儡人形。早くしろ」

 

どんな作られた美女とて、顔が歪めばただの醜いガラス細工だ。そんなことを実感しながら、俺は使徒の開いたゲートをくぐるのだった。

 

────────────────────

ゲートで繋がれた先の巨大なテラスは学校の屋上くらいの大きさがあり、俺たち全員が入ったところで埋まる様子は微塵もない。

 

そのまま歩いて行くと、すぐに重厚そうな扉に突き当たった。気配を確認すると、どうやらこの先に捕らえられた者が居るらしい。

 

ハジメに視線を送ると、彼は黙って扉を蹴倒した。その余波で近くに居た魔人族が吹き飛んだが無視して中を見やる。

 

扉の奥は、使徒が魔法で見せた光景が広がっており、レッドカーペットの先には祭壇のような場所と豪奢な玉座が見える。映像通りなら、玉座の脇、巨柱の後ろ側に檻が設置されているはずだ。

 

逸る心を抑え、空の玉座の傍へと近づいていく。そうして見えた映像通りの光景。

 

「パパぁーー!」

「あなた!」

「音也さん!」

 

ミュウとレミア、そしてリリアーナが声を上げる。俺はここまで付き添った使徒の首をファンガイアスレイヤーで刈り取ると、血に濡れながらも三人に向かって微笑んだ。

 

「よお、久しぶり。巻き込んでしまってすまないな。すぐに出してやるから待ってろ」

「パパ……ミュウは大丈夫なの。信じて待ってたの。だから、わるものに負けないで!」

「あらあら、ミュウったら……」

「その“パパ”っていうのが気になりますが……音也さん、私たちなら大丈夫ですから、どうかお気を付けてくださいね」

 

俺の姿を見た途端に表情も心の音楽も穏やかな物になった三人。念の為他の捕らえられた者を確認するが、命に関わる怪我をしている者は居ないようだ。

 

ひとまず安心した俺は、数百にも及ぶ神の使徒の首を玉座の近くに投げ込んだ。そうしているとおもむろに、玉座の奥から穏やかな声が響き渡った。

 

「いつの時代も、いいものだね。親子の絆というものは。私にも経験があるから分かるよ。もっとも、私の場合、姪と叔父という関係だったけれどね」

 

玉座の後ろの壁がスライドして開く。そこから出て来たのは金髪に紅眼の美丈夫だった。年の頃は初老といったところ。漆黒に金の刺繍があしらわれた質のいい衣服とマントを着ており、髪型はオールバックにしている。何筋か前に垂れた金髪や僅かに開いた胸元が妙に色気を漂わせていた。

 

もっとも漂わせているのは色気だけではない。若々しい力強さと老練した重みも感じさせる。見る者を惹きつけて止まないカリスマがあった。十中八九、彼が神を名乗る〝アルヴヘイト〟とやらだ。

 

「お前が、そうか。容赦はしないz――」

「……う、そ……どう、して……」

「まさか、そんな。どうしてお前がっ」

「……ユエ、コウモリモドキ? どうした?」

 

どうしたのか、ユエとキバットが動揺している。少なくとも、俺が声をかけても一切の反応を示さないほどには動揺しているらしい。

 

しかし、再度声をかけようとして俺はあることに気がついた。目の前にいる者の姿形が、妙に見覚えがあることに。

 

「やぁ、アレーティア。そしてキバット。久しぶりだね。相変わらず、君は小さく可愛らしい。キバットも元気にしていたかい?」

 




フリードが結構前に死亡しているのでお迎えは神の使徒と数人の魔人、そして魔物です。

招待されてから戦闘が発生したのは音也お得意の煽りが上手い具合に炸裂したからになります。相手を煽って冷静さを失わせ、直線的になったところを攻撃するのが音也くんです。

恵里の処遇はどうする?

  • 勇者バカ之河の被害者だから救おう
  • 消せ(無慈悲)
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