※この作品はR-18です。

その音色は異世界まで響き   作:誰かさん

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テ ス ト ( 迫 真 )
オマケにテスト最終日に部活の大会へ出発するとかいう超絶ハード日程ですが、息抜きのために小説は書きます()


第十楽章 超越・光を超えて

ガキンッ! ガキンッ!

 

「な、何ですかっ。このアーティファクトは!? 分解能力を付与した双大剣を弾き返すなんて……!」

「お前、錬成師を舐めてるのか? 散々見せてきた能力が何度も通用すると思ったら大間違いだ」

 

最前線に立つ戦車たちが使徒の分解能力や、その他の強力な魔法を何度受けても傷一つ付かないという光景に使徒あるまじきの悲鳴を上げる分隊長のような者に、澄ました顔で“効くわけがない”と返すハジメ。私たちがこれまで移動に使ってきた戦車たちは、ハジメと文音さんが再度錬成をしたことによってフルチャージしたイクサハンマーすらも弾き返せる装甲と、使徒を一撃で撃ち殺す砲を持っている。

 

もっとも、此れ等の戦車は文音さんの付与した概念魔法によって“壊れない”性質を持っているため、使徒や神域で生まれた魔物は勿論、ハジメや私ですらも撃破が不可能なオーパーツへと変貌している。

 

どうにかして砲撃を躱したとしても、今度は要塞側からの一斉掃射が待っている。大量の連装機銃が一斉に火を噴き、大型のロケットランチャー千機が、内蔵されたミサイル数百発をほぼ同時に解き放ち、オレンジの火線が一斉に空を駆け上っていく様は圧巻の一言だ。

 

「ならば、砲撃が届かない高度まで――」

「何処を見てるのかしら? 敵はここにも居るわよ? 戦闘中に余所見とは良い度胸ね」

 

私は空間転移を駆使した“双魚”と“海月”を連続で使用して神の使徒を踏み台にしつつ、かかと落としで頭部を粉砕して数を減らしていく。

 

少し離れた距離に居る使徒には仕込み針を心臓に撃ち込んで撃墜し、逆に近すぎてかかと落としを当てられない場合は極細の糸を使って全身隈無く切り裂いて対応した。

 

「――〝爆炎の術〟――〝吹雪の舞〟。今ここに 咲かせてみせよう 〝乱れ桜吹雪〟」

 

局所的に大爆発が発生し、射程距離内の敵が全て凍り付き、意思を持った花の刃が敵を細切れにしていく。次に一度地上に着地すると、私は一気に地面を踏み抜いて加速することで激烈な風圧をその場に繰り出す。

 

そしてそのまま、敵の群れに突っ込もうとした、その時である。

 

「ボスの姉御ぉ! 露払いはこの〝必滅のバルドフェルド〟らハウリアに任せてくだせぇ!」

「ボスの姉君だけに手柄を立てさせるな! 我ら、闇に生きるハウリア族も続くぞ!」

「ヒャッハー!! モチのロンですぜえ族長!」

「キタコレ! 何もかも木っ端微塵にしてやらあ!!」

「あぁああん、最高よぉ! こんな素晴らしく強い姉君とボスを嫁に持つ音也殿が羨ましいわあ! 音也殿ぉ! 抱いて下さいぃいい! たまんないわぁ!」

 

……何やら訳の分からぬことを叫びながら、猛然と私より先に敵の群れに突撃していくハウリア族。しかし、突撃した途端に見事な気配操作と抜群の連携を駆使して魔物や使徒の首を狩っていく。先ほど〝必滅のバルドフェルド〟と名乗った年端も行かない男の子は、ハジメに匹敵、いや、凌駕するレベルの超精密遠距離狙撃をすることで大軍と大軍の間に隙間を作り出しており、“見事”としか言うことがない。

 

「この赤黒い世界と同じく、お前の血色は薄汚い。使徒の首、この深淵蠢動の闇狩鬼カームバンティス・エルファライト・ローデリア・ハウリアが確かに貰い受けた」

「悪いな。今宵のジュリアは少々大食いなんだ」

「あなたが悪いのよ? もう一人の私を目覚めさせてしまうから……」

「……これが、世界の意思なのね。なら、私はそれに従うだけ……」

「くっ、また勝手にっ、鎮まれ! 俺の左腕っ!」

 

……とても懐かしい光景な気がしたが、今は何も考えないことにした。決して、ハジメや光輝の昔を思い出したわけではない。微笑ましいと思ったわけでもない。ないったらないのだ。

 

気を取り直して私も敵中に突撃し、飛び交う銀色の砲撃を和傘で受け流しながら尚も使徒や魔物を蹴散らしていく。

 

「――〝超神速〟」

「い、イレギュラーは何処へ――」

「遅すぎるのよ、三下。前世からやり直して来なさいな」

「あ、有り得ない。我々に知覚できないほどの速度など――」

「二人目。私を誰だと思ってるのよ」

 

〝縮地〟の最終派生技能〝超神速〟。文字通り神をも超えた速度を出すことができる技能である。音速を超え、神速を超え、更に光速すらも超えることが可能な技能を使用するには、当然膨大な魔力が必要になる。

 

……と、いうのは昔話のことだ。私の仲間がどれだけのチートを犯しているのか知っていれば、私がこの技能を多発させても文句は言えないだろう。

 

「あらあら、珍しい技能じゃない。随分と鍛錬したのね」

「……いきなり現れないでくださいよ、文音さん。というか、要塞の守りは?」

「実体を持つ残像を置いてきたから大丈夫よ。それよりも…… 〝壊劫〟」

 

〝壊劫〟と呟かれた次の瞬間、目の前の地面が消えた。周辺にいた魔物が一気に消え去り、宙を飛んでいた使徒も次々と地面に打ち付けられる。

 

「ミレディ。オトヤ」

「分かってるよお! この美少女戦士ミレディちゃんの出番ってわけだねえ!――〝絶禍〟――〝崩軛〟」

「やれやれ、姿形はもの凄い美女なのに、随分と目が残念なことになってらあ。その目さえマトモなら、デートに誘いたかった所だがなあ、まったく――〝紅壊〟」

 

何処かふざけた様子だが、詠唱の瞬間だけ絶対零度の冷たさを持つ言霊が飛び出すミレディとキバの鎧を纏ったオトヤ。

 

ミレディはブラックホールのような球体に放り込むか、引力を切断してこの星から永遠に追放する。オトヤは触れたが最後、細胞が壊死していく紅い魔力波を放ちつつ、キバの紋章を飛ばしては地面と熱烈なキスを敢行させている。

 

さらに、攻撃からなんとか逃れて反撃に移ろうとした使徒たちの首がポンッと飛んだ。明らかにおかしいのは、順に首を刈られて一瞬の内に絶命していくにもかかわらず、そちらに視線を向けたときには首のない使徒の死体以外、何も、誰もいないのだ。

 

ハウリアがやったわけではない。ハウリアは使徒がギリギリ感知できるぐらいの気配操作を行っている。しかし、使徒すらも気配を感知できないほどの気配操作をするのは私と文音さんぐらいのはずだが……。

 

「くっ、一体どこから攻撃をっ」

「目の前だよ! くそったれ!」

 

……いや、居た。すっかり失念してた。音也から散々聞かされていたというのに、私ときたら綺麗さっぱり忘れてしまっていた。

 

「……ああ、遠藤くん。居たのね」

「酷くないっすか!? 現代のくノ一である雫の姉さんに忘れられるって、俺の影はどうなってるんです!?」

「うん、その……あれよ。気配操作がよっぽど上手だということよ。くノ一ですらも欺けるって誇るべきじゃなくて?」

「嬉しいけど嬉しくないっすよ! 雫の姉さんが言うと無駄に説得力があって何も言えないのが悔しくて仕方ないですけどねえ!」

 

味方にすら「え? そこにいたの!?」みたいな顔をされる切なさと相まって、半ば自棄になりながらではあるが、天職〝暗殺者〟の少年――遠藤浩介は、チート組ではないにも関わらず、負けず劣らずのキルポイントを稼いでいた。

 

あまりに影が薄くて私はすっかり存在を忘れていたのだが、これも彼が気配操作においては達人の域を超えていること他ならない……はず。

 

「お喋りとは随分な余裕ですね、イレギュラー」

「実際余裕だからね。貴女たちは神域に待機している使徒や魔物を使って持久戦をすれば、いずれは勝てると思ってるみたいだけど、それは大きな間違いよ」

「強がりを……」

「忘れたの? 私たちには、最強にして最高の回復術師である堕天使がいるのよ?」

 

制空権を奪われないように、空間の裂け目から飛び降りてくる使徒を尽く叩き潰している香織の存在を仄めかす。使徒はその事に気がついていないのか、あくまでも無表情だが。

 

その香織は、最大限に分解能力と双大剣を振り回して地上に降りてくる使徒の数を半数近くまで減らしており、正に“鬼神の如く”の戦いっぷりを見せている。

 

「どんなに数が居たとしても、貴女たちに勝ち目はない。今から数万の規模で使徒を送り込んだとしても、私たちを倒すことは出来ないわよ」

「人間風情が戯れ言を。貴方たちの力など、たかが知れています」

「その口調だと、私たちがここまで本気で戦ってきたみたいな事を考えてるでしょ。こっちには切り札が山ほど有るというのにね。バカ抜かすんじゃないわよ」

 

ここまで私が使った武器は仕込み針や風を巻き起こす鉄扇と、どれも直接自分の手で攻撃するような物ではない。どれも一定の距離から安全に、かつ堅実に敵を仕留められる方法を強いられる。

 

そのため、私は自慢の足の速さをある程度制御しながら動き回っていた。

 

ならば、全力で動き回るために使うべき武器は何か。それは明確だろう。

 

「数も増えてきたみたいだし、そろそろ本気で動き回ろうと思うのだけど。はたして貴女たちは付いてくることが出来るのかしら?」

 

手には日本刀をそのまま小型にしたかのような短刀。重たい武器は全て投げつけてから自爆させ、身につけた物は僅かに残された忍術のタネだけにした。早い話が、身軽になったのだ。

 

元々、私は鎧等の防具は身につけていない。着ている衣服が多少、受けた衝撃を軽減する程度の紙装甲だ。死の砲撃が飛び交う戦場では相応しくない着物姿になった理由は至極単純である。

 

――リミッターを全て解除し、敵を尽く抹殺するためだ。

 

「行くわよ、神の木偶人形共 ――〝超神速〟――〝神速〟――〝無拍子〟――〝震脚〟――〝重縮地〟――〝爆縮地〟――〝瞬光〟」

 

高速移動と知覚処理能力向上に使用する技能を殆ど発動させる。重複させるのがダメだと決められたわけではないのだ。このぐらい、幾らでもやってやる。

 

大気を推し揺るがして私は一直線に駆けだした。地面が抉れ、ソニックブームを巻き起こしたことによって周囲に集まっていた魔物の首が飛ぶ。油断していた使徒の心臓を止める。そして、遂には光速を突破した。

 

光速を超えたことで全ての時が止まっているように感じる空間に入り込み、私は常に刃が微振動を続ける短刀を次々と使徒の首や心臓に突き立てた。たった一撃だけの必殺技。受けた者は、“必ず殺される技”。神の使徒ですら防御する暇もなく殺されていく姿は、何と悪夢じみた光景だろうか。

 

「――後ろです」

 

そして、くノ一の本領発揮。他の者には認識できない姿で、変声を使って更なる混乱と恐怖を巻き起こす。声をかけた使徒は後回しにして、若干の反応を見せた者を優先的に刺し殺す。

 

逆手に構えた短刀に付着した血糊をビッと払い、その血糊ですらも目潰しに転用して動かない使徒や魔物の首を容赦なく狩っていき、確実に数が減ったところでようやく立ち止まった。

 

すると、ブシャーッ! と彼方此方で血の噴水が生まれた。その身に血を浴びて白磁の肌が凄惨な紅に染まるも、私は目だけを動かして空間の切れ目を睨みつける。

 

まだ、相当数の使徒や魔物が残っているらしく、一度は全滅した使徒と魔物だが補充だとばかりに同じ数だけ送り込まれてきた。しかも今度の魔物は癪気のような物を纏っており、使徒も先ほどより一段階以上は強いと分かった。

 

「おいおい。ここに来て増援か。パルサーグレネードは使い切ったぞ?」

「だから何だって言うのよ。また殺せば良いだけでしょう?」

「その言葉には納得だが、お嬢ちゃんが使う言葉ではないと思うんだけどな。俺は間違っているのか?」

「確かに、女の子が使う言葉じゃないねえ。でも、そんなこと言ってられないよお?」

「ミレディの言う通りよ。あの使徒、私が少しだけ苦戦した使徒を元にしてるみたいだから気をつけてね」

 

文音さんの言葉を受けて、私は再度降りてくる使徒のことを睨みつける。その使徒は、私たちの斜め上で静止すると、“白金”の魔力を噴き出させながら名乗りを上げた。

 

「第一の使徒エーアスト。神敵に断罪を」

「第二の使徒ツヴァイト。神敵に断罪を」

「第三の使徒ドリット。神敵に断罪を」

「第四の使徒フィーアト。神敵に断罪を」

「第五の使徒フィンフト。神敵に断罪を」

 

その言葉を聞き、ハジメがイクサを装着する。オトヤはウェイクアップフエッスルを手にし、ミレディは重力球を、文音さんは莫大な魔力を身から取り出した。

 

私は短刀を左手に構え、腰には雫の残した愛刀を装備した。

 

「露葉ちゃん、ハジメくん。魔物と雑魚使徒は私たちが引き受けるわ。貴方たちは使徒を頼むわね」

「分かりました」

「任せろ」

 

限界まで高まる緊張。張り詰めに張り詰めた弦をギリギリまで引き伸ばし、遂には弦が悲鳴を上げ始めたところで、私が指をパチリと鳴らした。

 

使徒の内の一人が火に包まれ、もう一人の使徒は雷の直撃を身に受ける。

 

まんまと奇襲に成功した私は、すぐに跳び上がって一際強い光を放つ使徒たちに向かっていく。イクサを装着したハジメも後から続く。

 

第二ラウンドの始まりだ。

 




そういえば、改行加筆作業が一応一段落付きました。これ以上治す気力はしばらく起きませんのでご容赦ください()
ちなみに次作のペルソナ3×ありふれの前に、艦これ×逆襲のシャアの構造も浮かんできてワケワカメ状態に陥りました()

恵里の処遇はどうする?

  • 勇者バカ之河の被害者だから救おう
  • 消せ(無慈悲)
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