※この作品はR-18です。

その音色は異世界まで響き   作:誰かさん

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アホ長くなりました()
一応最終決戦ですが、ほぼ一日がかりで書いたので誤字があるかもです……本当に締まらなくて申し訳ない()


終章 その音色は異世界まで響く

光の砲撃が露散する。

 

俺の張った障壁は傷一つ入ることなくエヒトルジュエの砲撃を凌いでしまった。

 

『そんなバカなっ!? 我は神であるぞ! 人間如きに防がれるなど、あってはならないことだ! なのにっ!』

「人間如き、か。舐めるのも大概にしてもらおう。人の強い意志は、神であろうと捻じ曲げることは不可能だ。お前はそんなことも分からないのか? それとも気がつけないか?」

『黙れ黙れ黙れ! 我は神だ! ありとあらゆる物を支配する絶対神なのだぞ!』

「それがどうした?」

 

ヴァイオリンを取り出し、三人に目配せをする。ユエは〝五天龍〟を呼び出し、ティオは〝神龍〟とも言える威圧感を誇る黒竜へ姿を変え、恵里は何も言わずに〝タナトス〟を召喚した。

 

「神など人が作り出した宗教の象徴に過ぎない。神ですらも人によって作り出される。信じていた宗教を司るための象徴でしかないんだ。お前は最初から、人の掌の上を踊らされていたんだよ」

『ふ、ふざけ、きさまっ』

「まだ理解できない。或いはすることを拒むというならば、お前は真正の大バカだ。神なんかじゃない。ただの大バカさ」

 

辛辣な言葉と共にヴァイオリンから溢れ出すメロディ。おどろおどろしさを感じさせるが、それを通り過ぎて勇ましさすら感じされる。ショスタコーヴィチの作曲した「交響曲第5番革命」の音色は、エヒトルジュエがこれまで集めたであろう信仰心を文字通り抹消していった。

 

慌てて戦闘態勢に入ろうとするエヒトルジュエに、雄叫びを上げてタナトスが突進する。迎撃のために振りかざされた〝神剣〟を〝死神〟の特性を活かすことで不意に姿を消して回避し、項に痛烈な剣打を与える。

 

フラついたエヒトルジュエの魂魄に、ティオの漆黒のブレスが素晴らしいタイミングで発射された。ついさっきまで発射していた光の砲撃で相殺しようとするエヒトルジュエだが、相殺するどころか一瞬で押し切られて後ろへ吹き飛ぶ。

 

地面でバウンドしたエヒトルジュエの魂魄の元へ、嫌がらせのようなタイミングで五天龍が殺到した。最早抵抗すらできないエヒトルジュエの魂魄に、容赦なく雷が降り注ぎ、蒼炎が体を包み込み、絶対零度の嵐が皮膚を裂く。そして、トドメと言わんばかりに足下を石化させた。

 

『わ、我は……神でっ──』

 

未だに立ち直れず、また現実を受け止められないエヒトルジュエの元へ光の鎖が殺到する。石化によって動けないエヒトルジュエの手首や足首、胴体などのありとあらゆる場所に鎖が巻き付いた。

 

「チェックメイトだ、三下」

 

鎖に【我、汝の絶対なる死を望む(お前は必ず殺してやる)】が充填されていく。光は刻一刻と増していき、遂にはエヒトルジュエの魂魄が殆ど見えないほどにまで光り輝いた。

 

エヒトルジュエは、今更ながら、焦燥をあらわにして回避を選択するが……

 

「〝動くな〟」

『馬鹿なっ。我はっ、我は神だぞ!! イレギュラァアアアッ!!!』

「お前ら、やっちまえ。〝全てを破壊しろ〟!」

 

三人が動き出した。

 

ユエは〝五天龍〟を一纏めにして巨大な〝神龍〟を作り出す。

 

ティオは口をガパリと開き、最大威力のブレスを吐こうとする。

 

恵里は〝アルテミス〟と〝アポロン〟を召喚し、神弓を引いてエヒトルジュエの心臓を狙う。

 

それぞれが曲の加護を受けたことにより、概念魔法を付与されている。エヒトルジュエからすれば、何れもが滅びの一撃だ。

 

故に、彼は絶叫した。迫る数多の閃光に、顔はなくても分かる。エヒトルジュエが、恐怖の表情を浮かべていることが。今にも発狂してしまいそうなぐらいに、心を揺らされていることが。

 

だが、どんなに絶叫しても。自分が神だとしても。己が絶対だと主張しても。目の前の現実を否定したとしても。

 

人の強い意志に勝つことはできないのだ。

 

それが、現実なのだ。

 

『──ッッッ!!!!!』

 

全ての砲撃が狙い誤ることなくエヒトルジュエの心臓を射貫いた。彼は、胸にポッカリと空いた大穴に手を当てて、言葉にならない悲鳴を上げながら、胸元を掻き毟るように、あるいは必死に塞ごうとしているかのように、哀れみすら感じさせる有様を晒してもがく。

 

今にもその手から離れてしまいそうな“生”を掴もうと、彼は足掻きもがく。その姿は何処か見覚えがあり、また共感できる物だった。

 

俺もかつて、生きるためには何だってしてきたのだ。彼の姿に見覚えがないはずがない。

 

しかし、同情の念までは感じない。これまで彼は、余りにも多くの愚行を犯してきた。人の思いや願いを踏み躙り、そして嘲笑う。苦しむ人々の姿を見ては快感を得ようとする。非道な行いだった。彼は、余りにも非道すぎたのだ。

 

光の鎖がエヒトルジュエの胸に空いた穴に入り込む。穴から全身へ蜘蛛の巣のように鎖を張り巡らせると、内からエヒトルジュエの魂魄を文字通り破壊していった。

 

最後に、エヒトルジュエは「……ありえない」と呟いて、エヒトルジュエだった人型の光は、虚空に溶け込むようにして消滅した。

 

「……一歩。本当に一歩だけ、道を変えるために踏み出せたのなら。お前はここで死ぬこともきっとなかったのにな。常々思うぜ。バカだとな」

 

消えたと思われるエヒトルジュエに対し、憐れみの言葉を投げかけた。ほんの少しだけ、最後に共感したことで思うところがあるのだ。

 

エヒトルジュエは、救われずに一人となった俺やハジメの成れ果てだったのかもしれない。

 

……いや、実際のところは違うだろう。あれにも、きっと想ってくれる人が居た。しかし、差し伸べられた手を彼は振り払った。掴もうとも、見向きもしなかったのだろう。だから、こんな結果になったのだ。きっとそうだ。

 

俺たちとは違う。似ているように見えても、全然違う。俺たちの歩んできた軌跡が全てだ。

 

俺は一つため息をつくと、三人にそれぞれ目を合わせる。

 

「今から、お前たちを地上に戻す」

「「「は?」」」

「これ以上ここに留まっていたら危ない。俺の予感がそう言ってるんだ」

 

いや、予感なんかではない。これは未来予知だ。覚醒した脳が俺に届けた、絶望に塗られかねない未来なのである。

 

「……音也は?」

「残るさ」

「何を言うのじゃ。ここを出るなら全員で……」

「殿をするだけだ。必ず戻る」

「僕たちでは力不足だと言うのかい?」

「いや、そうではないさ。ただ、また失うかもしれない未来にお前たちを残すわけにはいかない」

 

ヴァイオリンを握り締め、俺は彼女たちから目を閉じることで背ける。そして、背を向ける。これ以上、何かを話すことはないという意思を背中で伝える。

 

「もう一度言うぞ。必ず戻る。お前たちの元へ帰ってくる。だから、待っていてくれ」

 

時間がもうない。あと数十秒もすれば、滅びの刻みが始まってしまう。だから、俺はこれ以上何かを彼女たちに伝えることはなく、ただ救うために行動した。

 

「──〝地上へ帰れ。皆の元へ〟」

 

刹那、背中側からの気配が完全に消えた。残されたのは俺独りだけ……ではない、か。

 

俺は一人ではなかった。ずっと、俺の魂と共に存在している最愛の人が居た。だから、この寂しい空間でも独りではない。一人ではあっても、独りではないのだ。

 

「──〝帰ってこい。俺の元へ〟」

 

目の前が白亜の光に包まれ、俺の視界が一時的に潰された。が、俺は迷うことなくその光りの中へ走り込む。

 

腕一杯に広がる柔らかい感触。夢のように見えて、夢ではない。現実の感覚。神にも等しい力を手に入れたからこそ実現した、奇跡の具現化。

 

「……お帰り、雫」

「ええ。ただいま、音也」

 

吸い込まれてしまいそうなぐらいに黒い髪。象徴のポニーテール。優しい瞳。今となっては懐かしさすら感じる匂い。別れる直前までは着ていた、何時もの服装。腰に提げられた長刀。何も、変わらなかった。変わっていなかった。

 

俺の雫(最愛の人)は、確かにこの手の中に帰ってきてくれた。

 

「雫。生き返った直後で悪いが……」

「分かってるわ。 ……来たわね」

 

抱き締めていた腕を放し、互いに同じ方向を見やった。その直後である。この世のものとは思えない奇怪な絶叫が響き渡った。

 

──ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!!

 

不可視の衝撃波が俺たちに迫る。俺は雫のことを抱き寄せると、手を振りかざして障壁を再度張った。

 

周りを確認してみると、空間がグニャリと歪んでいたり亀裂が入っている。どうやら【神域】が不安定になっているらしい。歪みからは様々な世界が見え隠れしている。

 

奇怪な絶叫と凄まじい衝撃波を放った者は一つしかない。

 

「やれやれ。テンプレ過ぎて笑えねえな。実はあと二回変身を残してますよってか?」

「ただの怪物にしか見えないわね。いっそ哀れだわ。神って何だったかしら」

 

この場で“神”という名が出てくる人物は一人しかいない。それはエヒトルジュエだけだ。ただし、目の前で奇怪な絶叫を上げているナニカは“エヒトルジュエだった物”と言った方が正しいかもしれない。

 

原型を殆ど留めておらず、見た目は使徒だの魔物だのを不快な形に掻き混ぜたキマイラのような肉塊へと変貌している。全身には癪気を纏っており、かつて神を名乗った姿は存在しない。見る者が吐き気や憎悪を覚えるような姿としか表現のやりようがない。

 

それでも尚、生き延びようと執念のみで魂魄を維持しているエヒトルジュエはある意味で驚異的とも言える。

 

「……近接戦は任せられるか?」

「もちろんよ。貴方は援護射撃を頼むわね」

「無論だ。完璧に援護してやるさ」

 

俺はヴァイオリンを構えてエヒトルジュエだった何かを睨みつける。雫は抜刀の構えをして目を剣呑に細める。互いに戦闘態勢は万全だ。

 

──ゥ゛ゥ゛ゥ゛、ア゛ア゛、ァ゛ァ゛ッッ!

 

不意に、エヒトルジュエだった何かが唸り声を上げた。俺は未来予知に従ってヴィヴァルディの『四季』を選択してメロディを奏で始めた。

 

雫の目の前で不可視の衝撃波とメロディラインが激突し、互いに相殺する。その間隙を縫って雫が一気に駆け抜けた。

 

「──一ノ型 〝散露〟──二ノ型 〝残切〟」

 

露が弾けるように剣撃が飛来し、斬られた痕は持続効果のある斬撃によってさらに抉られる。復活した直後とは思えない、見事な動きである。

 

雫の背中側から触手が飛来するも、彼女に降りかかろうとする災厄は俺が振り払う。メロディラインが触手を切り刻み、逆に光の鎖を伸ばして肉塊を凄惨に締め上げる。

 

さらに『四季』の特別効果により、炎獄や凍氷が肉塊の体を醜く抉り取り、紅葉と花びらが刃となって触手を封殺した。

 

「──〝疾風迅雷〟──〝桜乱〟」

 

光速を凌駕した雫は桜の花びらと共に刃を繰り出す。露葉の繰り出す〝乱れ桜吹雪〟が如く、俺の発生させた暴風に乗せられて肉塊から血を飛ばす。そこかしこには切り落とされた肉塊の残骸が転がっていた。

 

それでも倒れる気配が見えないエヒトルジュエだった肉塊には敬意を払いたくなる。

 

「変……シンッ!」

 

空間にヴァイオリンを固定して自動演奏に切り換え、俺自身はファンガイアとなって雫に加勢することにする。

 

紅い波動で宙を揺るがし、空間が雪崩の如く滑り落ちたと錯覚する勢いで〝斬羅〟を発動させる。しかし切り落とした傍から使徒だの魔物だのを吸収し、俺と雫の攻撃速度よりも再生を進めているエヒトルジュエには今一攻めあぐねている感じが否めない。

 

戦闘自体がジリ貧になることはまず有り得ないのだが、不安定になり今にも崩壊を始めそうな【神域】に長く留まるという選択肢は取りたくない。出来ることなら早めに決着をつけたいところだ。

 

腕からブーメランのような軌道を描く刃を飛ばしつつ、俺は策を練る。

 

半端な概念魔法は通じないほどエヒトルジュエは巨大な肉塊へと化している。地上へ落としてしまえばその衝撃によって生まれる隙をついて総攻撃することも出来るが、仮に【神域】が崩壊すれば地上が大惨事に見舞われることは想像に難くない。

 

【言霊のままに世界を歪める】で消し去ることも不可能ではないのだが、実はあの力は俺の命を削って発動させている。そのため、そう多くは乱発することが出来ないのが現状だ。脳を無理やり覚醒させている今は尚更無茶できない。

 

俺は生きて帰ると、愛する人たちと約束しているのだ。ここで無茶をやって死ぬわけにもいかない。

 

「……ドウスル」

──ギィィァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!!

「くっそ。想像の数倍はしぶといわねえ! いい加減に楽になりなさいな!」

──ァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ア゛ッ!!!!

「イヤ、待テ。コレナラ、行ケルカ?」

 

雫の援護を九九艦爆に任せ、俺はヴァイオリンを再度手に取って構えた。

 

選曲は「音也のテーマ」。この曲がもたらす効果は“時戻し”だ。しかし、今回発動させる特殊効果は別の物である。それはこの曲が最初から持っていた物だ。素晴らしい楽曲には必ず付与されているありふれた効果。魔法という概念が存在しない俺たちの住む世界でも、まるで“魔法にかけられた”かのような感情を生み出す。

 

その効果はきっと誰もが知っている効果だ。

 

持てる限りの魔皇力を解放して弓を引く。すぐさま音色は【神域】内に響き渡り、紅のメロディラインは白亜の空間を赤く、紅く染めていく。

 

怪物その物となっている俺の醜い腕も紅い魔皇力が優しく包み込む。

 

「音也……」

──ギィィァ゛ァ゛ァ゛ア゛ア゛ッ!!!!

「っ、させないわよっ!」

 

命のやり取りをしている最中には相応しいとは到底思えない音色を聴いた肉塊が触手を伸ばすも、俺のやることを察した雫がすかさず剣撃でカバーをしてくれる。

 

そのことを有り難く思いつつ、俺は一度弦を指で弾いた。ここからもう一度、曲は大きく盛り上がっていく。

 

紅のメロディラインは【神域】に留まらず、空間の亀裂から外へ這い出していく。亀裂から見え隠れする世界はエヒトルジュエが弄んだこの世界や、気配からして俺たちが元々住んでいた世界まである。メロディラインはそれらの世界へ流れ込み、その世界に住む人々の耳まで届いていく。

 

──その音色は異世界まで響き、行く先々で人々の心から感動を引き出す。

 

感動の念は全て俺の元へ届き、体を包み込んでいく。全身を念が包み込んだ。その次の瞬間である。

 

轟ッ!!

 

紅の魔皇力が一気に噴き上がった。白亜の空間を紅色へ鮮やかに染め上げた魔皇力は、少しずつ誰しもが見覚えのある形へと姿を変えていく。そして、ステンドグラスが砕け散る音が鳴り響いた。

 

「音也? その姿、もしかして……!」

「ああ……待たせたな、雫」

 

黒と紅を主とした彩り。深緑色のキングス・ペルソナ(王の仮面)。鋭利に尖った肩当て。胸元に広がる黒い蝙蝠。王の風格を示すかのような威厳を保つ漆黒のマント。相違点があるとすれば腰元にあり、技発動のコールを行う頼もしいコウモリモドキが居ないことだ。

 

人々の感動の念を異世界からかき集めて一つの物にして、音楽の持つ力によって昇華させることによって具現化させた奇跡の代物。

 

その名も闇のキバの鎧。希望や感動から作られたというのに“闇”というのは些か不満ではあるが、時には光を闇が押し退けて平穏をもたらすことだってあるのだからこの際許容することにしよう。

 

俺は噴き出した魔皇力をそのまま剣の形へ変えて手に握った。俺の隣には雫が悠然と佇む。

 

「最後は人々の想いを形に変えてでラスボスを倒す、か。音也もしっかりと主人公をしてるわねえ。それともヒーローかしら?」

「バカ言え。俺は最初から、この世界という物語の主人公でありヒーローさ」

「ふふ、相変わらずのビッグマウス。でも、そんなところが大好きよ」

 

殺伐とした戦闘空間において、およそ相応しくない甘い空気が流れる。神の成れ果てとはいえ、神域の怪物が放置される姿は、はっきり言って哀れであった。

 

──ギィイイイイイイイイイイイイイイイッ!!!

 

それが許せないというように、益々、不快極まりない奇声を発しながら苛烈な攻撃を放つエヒトルジュエ。

 

しかし、それらは全て雫の抜刀術によって難なく斬り伏せられてしまった。どれだけ魔法弾を飛ばしても、触手を伸ばしても、雫の手によって全てが地に落ちていく。

 

「仕上げだ。ウェイクアップと行くぞ!」

「勿論よ。現実を見させるためにも叩き起こしてやらないといけないわね!」

 

剣にウェイクアップ・III相当の破壊エネルギーが集束していく。その紅光は衰えることを知らず、遂にはエヒトルジュエの攻撃を何もせずに相殺するほどの輝きと強さを持った。

 

雫からも濃紺色の魔力が噴出し、俺の“紅”と綺麗に混ざり合う。混ざり合った一つの魔力は更に天高く昇っていく。

 

俺が剣を一振りすれば閃光が迸り、エヒトルジュエの肉体を凄惨に切り裂く。切り裂かれた痕からゴポリと不快な色をした血が流れ出したのを見て、彼は更に荒れ狂った。

 

聴くに堪えない絶叫を上げ、癪気を振り撒き、出鱈目グチャグチャに魔法攻撃を繰り出す姿は、かつて神と呼ばれていたとは誰も信じないだろう。

 

「さて、あのクソ神(バカ野郎)に言いたいことは分かってるな? 雫さんよ」

「当たり前じゃない。でも、きっとこの言葉を言いたいのは私たちだけじゃないわね。これまであの野郎に弄ばれた全ての生きる者が吐き出したいに違いないわよ」

 

漆黒のマントが形を変え、紅い翼が生える。煌々と輝く剣からは神すらも恐れて戦慄を覚える、世界を歪める力が見え隠れしていた。

 

冷たい色。しかし温かい光でもある。その美しく、力強い輝きに、エヒトルジュエの怪物は身悶えるように後退った。まるで、その温かさすら感じる光を嫌っているかのように。

 

すかさず“紋章”を潜り込ませて拘束する。肉塊は逃げようと暴れ狂うも、これまで破られたことは殆どないキバの紋章の拘束を破れるはずがない。暴れるほど強い拘束と苦悶を与えるキバの紋章によってエヒトルジュエは確かに身動きを止められた。

 

俺は雫と一度だけ見つめ合うと、互いに不敵な笑みを浮かべて俺たち二人の重たすぎる愛が生み出した、最初に生まれた概念魔法を口にした。それはこれまで弄ばれた人々の心の内を代弁したものでもある。

 

「「【我、汝の絶対なる死を望む(さっさと死ねこのクソ神がっ)】」」

 

音を立てずに二つの閃光が駆け抜ける。数瞬後には、エヒトルジュエの後ろ側へ佇む俺たちの姿。そして更にその数瞬後に雫の納刀の音が心地よく響き渡った。

 

俺の手にある光の剣がハラハラと露散したその次の瞬間。エヒトルジュエの体に十字架の切り傷が加わった後、その傷からヘドロのように黒く粘性のある不快な物質が溢れ出た。

 

エヒトルジュエだった物は声すら上げない。いや、上げるだけの体力が残っていないのだろうか。何はともあれ、俺たちの後ろに佇んでいた肉塊は断末魔の絶叫すら上げることなく前のめりに倒れ伏せた。彼の体からはドス黒い瘴気が混ざった白銀の魔力が天を衝いた。

 

閃光は空間を粉砕し、見覚えのある世界の赤黒い空へと突き抜けていった。間違いなく、邪神エヒトルジュエの最期だ。

 

あれだけ聴くに堪えない絶叫を上げ続けていただけに、その最期はあまりにも呆気なさすぎて軽く肩透かしを食らった気分になる。

 

「……終わった、のか」

「実に呆気ない最期だったわね。ここまでやる必要あったのかしら? って思うぐらいよ」

「まあ、あのクソ神には丁度良かっただろ。数万年分の苦しみを一気に与えてやったようなもんだからな。それでも雫を奪ったという事実からすれば物足りないけどな」

「あらあら。そんなに寂しかったの?」

 

たとえ神殺しというとんでもない事柄を成したとしても、何時ものと変わらない光景がそこにはあった。何時までも、それこそ万年が経とうとも変わらない光景だろう。

 

ようやく。ようやくこの時になって、俺は最愛の人を取り返すことが出来たのだという嬉しさを噛みしめることが出来た。

 

が、感傷に浸るのはもう少し後にしても良さそうだ。

 

「……主が居なくなったからか、崩壊が始まったようだな」

「そうねえ。どうするのよ?」

 

場の創造主がいなくなったせいか、白い空間が鳴動を始めた。不安定だった空間は、いよいよ荒れ出し、あちこちで崩壊し始めている。

 

変身を解いた俺は苦々しい表情を浮かべた。本当のピンチというのは、エヒトルジュエを殺してからやって来たらしい。

 

と、いうのも俺の残量魔力と魔皇力はそこまで残っていない。無限強化によって俺の魔力回復速度は確かに速くなっているのだが、それよりも空間の崩壊の方が速くて回復が間に合わない。

 

“言霊”を使うにしても俺の命が何処まで削られるか分からない。ここで死亡してしまったら元も子もないのだ。

 

だが……。

 

「なあ、雫」

「あら、どうかしたの?」

「今から【言霊のままに世界を歪める】を使う。俺の命を削ってでもこの空間の崩壊を止め、そして脱出する」

 

命を削るというのは何とも“紅音也”らしい。そんなことを思いながら雫に作戦を伝える。当然、彼女は渋い顔をした。しかし、これ以外に成功する確率の高い作戦を思いつくことが出来なかった。

 

「貴方の命に危険が迫る作戦なんでしょう? とてもじゃないけど、納得しかねるわ」

「お前がそう言うのは分かっている。多分、他の奴らに言っても同じ返しをされることも察してるさ。だが、これしか方法はない。この空間の崩壊をこのまま放置したら下の世界も連鎖崩壊を起こすかもしれないんだ」

「だからって……貴方の命を賭けるなんて許し難いわよ」

 

分かっている。彼女が言いたいことは全て分かっているのだ。もう二度と離れたくない。手放したくない。少しでもその危険があるなら全力で阻止したい。

 

俺だってそうするだろう。愛する人と一度引き離された後に、また離ればなれになるかもしれない事を愛する人がやろうとするなら、俺は全力で止めようとするだろう。

 

彼女の気持ちが痛いほど分かるからこそ、俺の気持ちは揺れてしまいそうになる。しかし、それ以上にこのままでは愛する人たち全員と離ればなれになってしまう可能性が高いのだ。迷う必要性はきっと、何処にもない。

 

「説教なら後から幾らでも聴くさ。だから、今だけは許してくれ。それに俺は、ここで死ぬつもりは毛頭ないからな」

「……そんな強い瞳で射貫かれたら、否定したい事柄も否定できないじゃない」

 

諦めたかのように首を横に振り、苦笑いを浮かべる雫。そんな雫に俺も苦笑いを返しつつ、改めて作戦を伝えた。

 

「今から“言霊”を使って二つの世界から人々の強い想いのみを厳選してヴァイオリンに集束させる。そしてその力をそのままこの世界の崩壊を破壊し尽くすエネルギーへ変える。足りなくなった魔力は雫が魔力譲渡で何とかしてくれ」

「分かったわ。やるからには成功させるわよ」

「当然だ」

 

二つの世界。それは、エヒトルジュエが弄んだこの世界と俺たちが住んでいた世界だ。

 

苦笑いから一転。互いに不敵な笑みを浮かべる。選曲はお互いが一番よく知っており、俺が最も得意とする曲だ。

 

“音也のエチュード”。それが、この世界の崩壊を防ぎ、また救うための一曲だ。

 

エチュードとは練習曲である。音楽家はエチュードを必ず弾いてから本番へと歩んでいく。エチュードを弾き終えた時点では、まだ終わりとは言えないのだ。俺がこの曲を選んだ理由は、この世界がこれで終わることはない。これから始まるんだという想いを持っての選曲なのだ。

 

何時の日かと同じように弾きやすい姿勢に体勢を変更。そこから半目を作り、呼吸を浅く細くする。少しでも音が鳴り響くように。俺から発される無駄な音はできる限り排除していく。

 

俺の耳からは空間が崩壊する喧しい音すらも消え失せた。耳に入るのは、雫が生きているという証の音だけ。彼女の心音のみ。

 

「──〝二つの世に存在する全ての人の強い想いよ、このヴァイオリンに集束せよ〟!」

 

途端に、亀裂の端々から様々な色をした鮮やかな光が飛び出してヴァイオリンへ集束を始めた。

 

光に触れる度に、俺の言霊に引き寄せられた人々の想いが伝わってくる。

 

──無事でいてくれ

 

──彼なら大丈夫さ

 

──きっと、帰ってくる

 

──何年経っても、待ち続けよう

 

──お前なら出来る。俺のやり遂げられなかったことも、絶対にな

 

──全ての運命は、お前の手に懸かっている。頼んだぞ

 

──彼奴ならどんなに凄まじい苦境でも笑い飛ばしてくれるさ

 

──どんなに辛くても、苦しくても、彼は笑って帰ってくるはずだよ

 

──彼が死ぬなんて有り得ませんよお!

 

──死んでも僕は追いかけるからね

 

──彼の手にかかれば“不可能”なんていう言葉はこの世から消えるじゃろう?

 

──私は二度と、彼からは離れない。吸血姫からは逃げられない

 

──パパなら絶対に大丈夫なの!

 

──あなたなら、きっとやれます

 

──私の願いは国民の願いです。どうか、頼みますよ

 

──解放者たちの願いは、君に託したからね

 

──私が成し遂げられなかった仕事、息子である貴方に任せるわ

 

──どんなに離れていても、信じている。貴方が必ず帰ってくることを、私は信じているわよ

 

強く、しかし優しく静かに弓を引く。ヴァイオリンから流れ出す旋律は崩壊していく空間の時を止め、メロディラインが優しく【神域】を包み込んでいった。

 

何処となく哀愁漂うエチュードはこの世界を終わらせまいと崩壊を上回る速度でエネルギーをヴァイオリンに蓄積させていく。

 

途中で何度も俺の心臓が止まるも、その度に雫が魔力譲渡による衝撃で無理やり心臓を動かす。【神域】を壊すだけのエネルギーは、人々の想いだけでは足りないので俺の全エネルギーも注ぎ込んでいるのだから、心臓が何度も止まるのは仕方のないことだ。

 

俺の身体が滅びへ向かいつつあるのと同じく、【神域】もまた滅びへ向かっていく。ヴァイオリンに集束するエネルギーは、まるで新星でも誕生したかのような輝きを放ち、人々の想いが如何に強いのかを一目で知ることが出来る。

 

あと十六小節。俺は魔力枯渇と魔皇力枯渇によって動かなくなりそうな腕を無理やり動かし、何度も心臓が止まったことによって貧血を引き起こしたことによって狭まる視界を強引に目を見開くことで意識を保つ。

 

あと八小節。雫の応急処置も遂には効果を示さず、心臓が一時的にだが完全に停止する。呼吸が出来ず、白黒に明滅する視界が俺の腕を止めそうになる。しかし、それでも俺は血を魔力へ無理やり変成させて腕を動かし、力が本来は入らないはずの足にも力を入れる。

 

ラスト四小節。体の穴という穴から血が噴き出す。視界は完全にブラックアウトし、耳鳴りが酷くなって音すらも聞こえない。これまで何もなかったかのように振る舞っていたか、実際のところは雫たちを奪われてからの連戦で身体はボロボロなのだ。そのツケが遂にここで回ってきた。

 

それでも弓を引く腕は止まらない。音が聞こえなくとも、目が見えなくとも、弓が弦の何処を触れているかさえ分かっていれば演奏は出来る。

 

あと三小節。二小節。そして、一小節。最後に長く高音を一引き。俺は弓を引きながら、そのままの姿勢で真後ろに倒れ込んだ。

 

雫が後ろから俺のことを座り込みながらも支える。冷え切った体に雫の体温が染み渡った。

 

俺は義眼で集束したエネルギーのことを見て、口元をほんの少しだけ釣り上げる。エネルギーはまるで星の寿命を再現するかのように膨張していた。これなら、きっと大丈夫だろう。

 

それを確認した俺は、今度こそ意識を完全に落とした。

──────────────────

 

使徒が何故か機能を停止し、地上へ流星のように堕ちていく。空の裂け目から見える別の世界は、地上から見ても明らかに分かるレベルで崩壊していた。

 

「おいおい、何があったんだ?」

 

突然の出来事にハジメが呟く。その目は空の裂け目へ向いており、そこで戦っているであろう親友の身を案じている。

 

使徒が機能停止したとはいえ魔物は健在なため、片手間に射撃して殺しながらもハジメは何があっても見逃すものかと両目を見開いた。

 

と、その時、ハジメの気配感知に何かが引っかかった。それはシアと香織も同じだったらしく、殆ど同じタイミングで気配があった場所へ飛翔する。そこから数瞬遅れて、三つの人影が空に開いた小さな穴から飛び出した。

 

一人ずつ神業テクニックで衝撃を殺したハジメたちは、それぞれが歓喜の声を上げる。

 

「お前ら……!」

「皆さん、無事だったんですねえ!」

「良かった……!」

 

その三人が誰なのかは言わずもがなだろう。

 

「ん……帰ってきた」

「何とか助かったのじゃ。この通り、ピンピンしておるのじゃ」

「一度殺しかけた人にこうして触れてるって複雑だなあ……」

 

飛び出してきたのは、ハジメたちからすれば死んでしまったとばかり思っていたユエ、ティオ、恵里である。

 

地上に降り立ったハジメたちは、駆けつけた露葉や文音たちも交えてすかさず何があったのかを彼女たちから聞き出す。何よりも、この場に居ない音也のことは切羽詰まる様子で聞き出そうとした。

 

「音也はどうしたんだ? 彼奴が何かしてお前たちを助け出したのは容易に想像できるんだが……まさか死んだなんてことはないよな?」

「音也は、彼処に残ってる。まだやる事があるような言い方をしてた」

「何よそれ。あれだけ言っておいて結局は自分から死に近い道を選ぶって……まあ、彼らしいけど」

「案ずるでない。ご主人様の目は確かに生きておった。確かに心配ではあるが、ご主人様なら絶対に帰ってきてくれるじゃろう」

「だね。なんなら雫も連れてくるんじゃないの?」

「確かに有り得ますねえ。音也さんなら不可能なことも可能にしてしまいそうですし」

「むしろ不可能なことってあるのかな?」

「あるはずないよぉ。だってアザンチウムの装甲を短時間でぶち抜く方法を見つける人だよぉ? 不可能なことなんてないない!」

 

一気に雰囲気が和やかな物となる。それほど、ここに居る全員が音也のことを信用している。それはこれまで彼が歩んできた軌跡が全てを物語っているだろう。

 

と、まるでクラスメイトが雑談しているかのような和やかな雰囲気の中、彼らの耳には突如として流麗な音色が聴こえてきた、更に、文音が唐突に顔を上げる。目線は空を射抜いており、まるで何かを成し遂げたかのように晴れ晴れとした表情へと変わった。

 

彼女の視線の先。そこで紅色と濃紺色の混ざった光の柱が、突如、空間を貫いて天を衝いたのだ。その色は紛れもなく、この場に居る全員が知る者が発した物だと察することができた。

 

「音也! 雫!」

 

露葉の声が戦場に響き渡る。続いて世界中に響き渡った神の流した血や絶叫を耳にしても、露葉や他の皆の様子は音也と雫が無事であったことを喜んだ。最早、神などどうでも良かったのだ。

 

丸一日以上に渡って戦い続けて神に勝利した音也と、雫が無事であったことが何よりも嬉しかったのである。

 

だから、その次に起こった出来事を見ても彼らは一切動じることがなかった。

 

天井にある【神域】から「音也のエチュード」が響き渡り、超新星爆発のような凄まじい爆発が巻き起こって【神域】が跡形もなく消え去ったとしても、だ。

──────────────────

 

落ちている。

 

次に目が覚めたとき、俺はそんなことを感じた。

 

意識を失う直前からすれば随分と体が楽になっていることに少し驚くも、横を見て俺は納得した。

 

「なるほど。魔力を全部俺に譲渡したのか……」

 

俺の横には、スヤスヤと眠りながら落ちていく雫の姿があった。とても気持ち良さそうに寝ているので、ここが空でなければ彼女のことを弄り倒しただろう。こんな状況で言うのもあれだが、とても可愛らしかった。

 

空を見上げれば、【神域】が消滅したからか幻想的なオーロラが一面を彩り、ダイヤモンドダストがキラキラと太陽の優しい光を反射している。

 

下を見て計算すると、今現在俺たちは高度一万メートル付近を降下中らしい。パラシュートなしのため、地上までこのままなら一分ぐらいだろう。無論、その時に付いて回る衝撃はきっと計り知れないだろうが。

 

このまま地面に打ち付けられるのも勘弁してもらいたいので、俺はあの爆発からも耐えきったヴァイオリンを宝物庫に放り込んで雫のことをお姫様抱っこした。

 

雫から譲渡された魔力はそこまで多くない。風系魔法を使えるわけでもない。と、すれば減速する方法はかなり限られてくる。というか、この魔力を使い切ったら俺は間違いなく死ぬだろう。出来るだけ魔力は使わずに減速したいところだ。

 

そうなれば、思いつく方法は一つのみ。イクサナックルの激発を使って減速である。

 

「ん、んう……あら、外かしら?」

「おはよう。早速だがパラシュートなしのスカイダイビングを成功させるぞ。イクサナックルで」

「意味わからないけど了解よ。最後がスカイダイビングなんていうのも悪くないわね」

「だな。とりあえずしっかり掴まっとけよ」

「勿論。絶対に離さないわよ」

 

俺はあと何回、彼女に再度惚れることになるのだろうか。少なくとも百回程度では収まらない。そんな気がしてならない。空中で凄まじい風圧に晒されつつ、少し高鳴った鼓動を極力無視して、俺は雫を抱えたままくるりと反転した。

 

足元目掛けてイクサナックルの銃口を向け、俺は引き金を引く。

 

ズパアン!

 

ほんの一瞬だけ重力を無視して体が浮き上がった。俺は何度も引き金を引き、少しずつだが確実に減速をしていく。時折、バランスが崩れたら魔力の〝衝撃変換〟で態勢を立て直す。

 

とてもマトモとは言えないし、正攻法どころか死にに行くような方法だ。しかし、それでも確実に減速が出来ていることに俺は心の中でイクサを制作した母さんに感謝の言葉を述べた。

 

何度も何度も引き金を引いては減速を繰り返していくうちに、俺の耳には風の轟音だけではなく、地上に居るであろう愛する人たちの声が聴こえてきた。

 

最後に激発と〝衝撃変換〟で後方にクルリと宙返りをし、俺は見事に減速しきって地上に降り立った。

 

とは言っても、流れ出した血は戻ってこないのですぐにパタリと背中から倒れたが。

 

「最後の最後に決まらねえなあ。せめてあいつ等が駆け寄ってくるまでは立っていたかったぜ」

「そんなことないわよ。最高に格好良かったわ」

「そうかい。そりゃ嬉しいね」

「ふふ……音也、ありがとうね。大好きよ」

 

俺からすれば久しく感じられる、熱い口付けを雫から頂いた。舌が絡み合い、戦場だというのにも関わらず唾液の交換を行って二人だけの世界を形成する。このままお布団へGOしたいぐらいだ。

 

が、それはどうやら完全に魔力やら魔皇力が回復してからのようだ。

 

今はとりあえず、風のような速さで抱きついてきた露葉やミュウ、そして後から遅れてやって来た愛する人たちとの甘い時間を味わうことにした。

 

美少女、美女塗れになる中、俺は気が付かれないように空を見上げる。そこには、未だに消えてなかったメロディラインが彗星のように宇宙を駆け抜ける姿があった。やがて空に溶け込んだことを確認した俺は、言いようのない達成感と心地よい疲労感に身を任せて目を閉じるのだった。

 




あと一話、エピローグを書いてこの作品は完結となります。言いたいことは沢山ありますが、それは次回の後書きにでも書かせて頂こうと思います。

ひとまずはこれだけ言わせてください。

ここまでこの作品を読んでいただき、本当にありがとうございます!特に最初期から見ていただき、感想を送ったり高評価をしてくれた皆様には感謝感激です!

恵里の処遇はどうする?

  • 勇者バカ之河の被害者だから救おう
  • 消せ(無慈悲)
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