その音色は異世界まで響き 作:誰かさん
……はい、こんな感じでものすっごく不定期更新です。本音は書けなくなる前になるべく進めておきたいのですがね()
『レ・ディ・ー』
「変身っ!」
『フィ・ス・ト・オ・ン』
「遅い!」
ドパンッドパンッドパンッ!
「ハジメ、右30°!」
「おうよ!」
「キイイ?!」
ドパンッ! パンパンッ!!
ここは迷宮49階層目。俺たちは凄まじい速度で迷宮の階層を下げていった。結局俺たちは上るのではなく下り切ることで脱出することになった。一人なら時間が掛かるかもしれないが二人なら素晴らしい速度で攻略できるので問題はない。
ちなみにこの階層に降りるまでにも様々な魔物を見てきた。例えば石化魔法を使うバジリスクや毒ガスを撒き散らすモス……蛾だったり分裂する百足……思い出しただけでも気持ち悪い。
ちなみに、現状の俺のステータスはこんな感じだ。
==============================
紅音也 16歳 男 レベル:49
天職:ヴァイオリニスト
筋力:1160
体力:2000
耐性:1000
敏捷:1400
魔力:920
魔耐:900
技能:ヴァイオリン演奏技術・共感覚・絶対音感・生命力増強・毒耐性・麻痺耐性・石化耐性・全属性適正・胃酸強化・魔力操作・天歩[+空力][+縮地][+豪脚]・纏雷・風爪・夜目・遠見・気配感知・魔力感知・気配遮断・言語理解
===============================
素の能力がそこそこ高かったのもあってハジメより高めだ。しかしそのハジメも技術でカバーして俺とほぼ同格レベルに戦える。俺とハジメの差はゼロに等しいだろう。
まあ人外になったのは良いのだが……俺たち二人は49階層で少し足踏みをしていた。
というのも、階下への階段は既に発見しているのだが、この五十層には明らかに異質な場所があったのだ。
俺たちはその空間に足を踏み入れた瞬間全身に悪寒が走るのを感じ、これはヤバイと一旦引いたのである。
まあ避けるつもりはゼロだ。ようやく現れた変化であるし、脱出への道を一気に進められるかもしれない。
「ハジメ、どうだ?」
「問題ゼロ。装備の確認もバッチリだ」
「よし……それなら行くか?」
「だな。いつまでもここでレベリングするわけにもいかない」
「そうと決まれば……早速行こう」
変身を解いて階段を下る。ちなみにだがステータスが上がったおかげでイクサに変身していられる時間も延びた。大体二時間は変身維持が可能である。
そのまま歩いて扉の前に立つ。近くで見れば益々、見事な装飾が施されているとわかる。そして、中央に二つの窪みのある魔法陣が描かれているのがわかった。
「なんだこれ」
「ヤベえ……俺もサッパリだわ」
「マジで? あんだけ座学してたお前が分からないってことは……」
「古すぎて現在は消失した式じゃないか?」
「なるほどな。トラップはどうだ?」
「俺には分からんな……」
「まあ、あるとしても見破るまでの技術はないけどな」
「違いない。いつも通り錬成で行くか……」
「頼んだ」
ハジメが右手を扉に触れさせ錬成を開始する。道が塞がっていればハジメの錬成でこれまで突破してきたのだ。なんだかんだでハジメの錬成も有能である。
しかし……。
バチィイ!
「うわっ?!」
扉から赤い放電が走りハジメの手を弾き飛ばした。ハジメの手からは煙が吹き上がっている。
「なんだこりゃ……」
神水(ハジメ命名)という超回復薬を飲み込んで悪態をつくハジメ。直後に異変が起きた。
──オォォオオオオオオ!!
突然、野太い雄叫びが部屋全体に響き渡ったのだ。咄嗟にバックステップで後退し変身。戦闘態勢を取る。雄叫びが響く中、遂に声の正体が動き出した。
「あれ……ベタだな」
「ふっ、テンプレはどこでも通用するな」
筋肉質な巨体。埋め込まれたかのようなギョロリとした一つ目。その手には棍棒。
番人ではお馴染みにも感じるサイクロプスの登場だ。
まあ……その棍棒を振り回させることはないが。
『イ・ク・サ・ナッ・ク・ル・ラ・イ・ズ・アッ・プ』
未だ埋まっている半身を強引に抜き出したサイクロプスの片方に跳びかかる。格好いい登場シーンだったのかもしれないが知らん。
俺は長ったらしい変身を待ってやるほど呑気ではない。え? ブーメラン? 俺は普段そこまで大がかりな動きはしない。
「ちょ、ちょっと待って?」という間抜けな表情をしたサイクロプスに構わず五億ボルトの電磁波を直接叩き込んでやる。もちろん目ん玉に。
目がジュワ~と溶けていき、サイクロプスは哀れにも壁に叩きつけられてしまった。
さらにもう一体のサイクロプスもハジメによって目を撃ち抜かれて死亡している。瞬殺にも程があるが……いや、ツッコんだら負けか。
「なあ。こいつの魔石をそこの穴に……」
「やってみるか。肉は後で食おう」
「賛成」
ファンガイアスレイヤーモドキを使ってサイクロプスの体を切り裂き体内から魔石を取り出す。
「ハジメ、ほら」
「サンキュ」
ポイッと投げ渡す。ハジメは躊躇わず魔石を穴にはめ込んだ。すると久しく見てなかった光が辺りを包み込む。思わず顔を覆うぐらいには眩しい。
警戒しながらも扉を開けてみる。中は、聖教教会の大神殿で見た大理石のように艶やかな石造りで出来ており、幾本もの太い柱が規則正しく奥へ向かって二列に並んでいた。そして部屋の中央付近に巨大な立方体の石が置かれており、部屋に差し込んだ光に反射して、つるりとした光沢を放っている。
そしてその立方体には何かが生えている……。
「……人?」
「まさか」
「いや、人だ。心の音楽が聴こえる……」
もっと近くで確認しようと歩を進める。しかしそれを見計らっていたかのように目の前にある立方体に生えた何かが声を出した。
「……だれ?」
かすれた、弱々しい女の子の声だ。立方体に生えていた何かがユラユラと動く。差し込んだ光がその正体を暴いた。
「マジで……人なのか」
「みたいだな。年は俺たちより下に見えるが……」
上半身から下と両手を立方体の中に埋めたまま顔だけが出ており、長い金髪が某ホラー映画の女幽霊のように垂れ下がっていた。そして、その髪の隙間から低高度の月を思わせる紅眼の瞳が覗いている。
年の頃は十二、三歳くらいだろう。随分やつれているし垂れ下がった髪でわかりづらいが、それでも美しい容姿をしていることがよくわかる。
「……どうする?」
「逃げよう」
「は?」
「え……」
「すみません、間違えました」
「ま、待って! ……お願い! ……助けて……」
「流石に鬼畜すぎるだろハジメェ!」
ドグォ!
「ぶへっ……お、まえ……やりやが……」
鬼畜なハジメを殴って気絶させる。俺の目の前には人ではない何かがいるらしい……とすっとぼける。
俺のお人好しにも程があるが……少なくとも俺は目の前の女の子を無視することはできなかったのだ。
何かあるのは分かっているが……それでも俺は女の子の目の前に歩み寄るのだった。
やっぱり勇者(笑)は嫌われてるねえ……あ、雫ですがあの姿はかなり先の迷宮に出てくる虚像の雫を元にしています。言動は魔王ハジメですけどね()
恵里の処遇はどうする?
-
勇者バカ之河の被害者だから救おう
-
消せ(無慈悲)