※この作品はR-18です。

その音色は異世界まで響き   作:誰かさん

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クラスメイトsideは恐ろしく筆が進む…()
そういえばいつの間にか評価バーに色がついてました!評価してくださった皆様、ありがとうございます!!


クラスメイトside3前編 崖

話は音也とハジメが40~49階層を攻略していた頃まで遡る。

未だ完全に立ち直れてないクラスメイトたちは相変わらずぐうたらな毎日を過ごしていた。

 

志ある者は逆にメキメキと力を上げており、いつの間にか世界でも最強カッコカリ状態にまでなっていたが。

 

そんなわけで強くなれたクラスメイトたちは再び【オルクス大迷宮】へと向かった。参加したのは光輝、龍太郎、香織といったクラスの中心メンバーに力では光輝たちレベルの永山重吾たちのメンバー、檜山たち小悪党組、そして雫である。

 

現在ショートカットなしで60階層。豹変した雫の凄まじい剣技のおかげで30分と掛からずここまで来てしまった。

 

目の前にある吊り橋の下を覗き込む雫と香織。それを見かねてか、光輝が声をかける。

 

「香織、雫。君たちの優しいところ俺は好きだ。でも、クラスメイトの死に、何時までも囚われていちゃいけない! 前へ進むんだ。きっと、紅と南雲もそれを望んでる」

「……」

「こ、光輝くん!」

「いつまでも引きずってたりなんかしてたら前へ進めないだろ? 雫も早く紅のことは……」

「音也のことは、何よ?」

「早く忘れなくてはダメだ。あんな危険な男のことをいつまでも……」

「香織、私のこと抑えてくれるかしら。今すぐにでもこいつを斬り伏せてしまいたいの」

「落ち着いて! 大丈夫……今度は私が雫ちゃんのことを支えるからっ!!」

「……はあ、まあいいわ。行きましょう」

「ダメか……紅、どんだけ強力な洗脳をしたんだ」

「……光輝くん。言って良いことと悪いことがあるのは分かってるのかな? かな?」

「か、香織?」

「好きな人のことを思い続けることの何が悪いの? 光輝くんの言ってることは雫ちゃんにとっては鋭い刺なんだよ?」

「だがいつまでも死人に引きずられるのは良くないだろ? 香織、君だって……」

「あのね光輝くん……」

「香織。このバカに何言っても時間の無駄。早いところあの害獣を倒すわよ」

「う、うん……」

 

感情のこもらない雫の声に促されて一同は65階層まで下っていく。雫の後ろ姿に恐怖するクラスメイトもいる中ではあるが、順調に魔物を撃退していった。

 

しばらく進んでいると、大きな広間に出た。何となく嫌な予感がする一同。嫌な予感というのは的中する。これは世の定理だ。

 

広間に侵入すると同時に、部屋の中央に魔法陣が浮かび上がった。赤黒い脈動する直径十メートル程の魔法陣。それは、とても見覚えのある魔法陣だった。

 

「お出ましね」

「マジかよ、アイツは死んだんじゃなかったのかよ!」

「迷宮の魔物の発生原因は解明されていない。一度倒した魔物と何度も遭遇することも普通にある。気を引き締めろ! 退路の確保を忘れるな!」

「団長」

「なんだしず──」

 

戦慄したかのような表情をするメルド。それもそのはず、雫の佇まいはまるで幽鬼のようだったからだ。

 

「殺りますよ。今の私なら負けません」

「そ、そうですよ。俺たちはもうあの時の俺たちじゃありません。何倍も強くなったんだ! もう負けはしない! 必ず勝ってみせます!」

「……それもそうか。よし、リベンジマッチと行くぞ!」

 

そして、遂に魔法陣が爆発したように輝き、かつての悪夢が再び雫たちの前に現れた。

 

「グゥガァアアア!!!」

 

咆哮を上げ、地を踏み鳴らす異形。ベヒモスが光輝達を壮絶な殺意を宿らせた眼光で睨む。

それを雫は静かな瞳で見つめ返した。その奥に宿っている感情はただ一つ。

 

「……殺す」

 

明確な殺意、それのみ。

 

「至上の一閃 〝絶断〟」

 

無拍子で一気に踏み込んでベヒモスに斬りかかる雫。それに少し遅れて光輝が指示を飛ばした。

 

「よし、龍太郎と永山は雫に続け! 香織、鈴、中山は後衛! 檜山たちは背後に回りこめ!!」

「駆け巡れ 〝迅雷〟」

「万翔羽ばたき 天へと至れ 〝天翔閃〟!」

 

雫の稲妻のような剣閃と光輝の剣線がベヒモスに襲いかかり、がら空きの背中からは檜山たちの魔法が殺到する。さらに正面からは龍太郎と重吾が容赦なく鉄拳を加え、香織たちの魔法でバフを受けながら確実にベヒモスの体力を削っていった。

 

「グゥルガァアア!?」

「断ち切れ 〝電斬〟」

「お、おい……雫はなんて速度で魔法を唱えてるんだ?」

「いつの間に……」

「雫ちゃん! 天恵よ 神秘をここに 〝譲天〟!」

「一ノ型 〝散露〟。二ノ型 〝残切〟」

「おいおい……俺たちいらなくねえか?」

「ひ、ひええ……シズシズが鬼神になってるう……」

「鈴ちゃん、戻ってきて! 雫ちゃんはちゃんと雫ちゃんだからっ!!」

 

詠唱は必要最低限なのに繰り出される技はクラスメイトの誰よりも強力なことに光輝たちの動きが止まってしまう。その姿は正しく鬼神だ。ベヒモスもあまりの猛攻に何もできずに押し出されていく。その後ろには……崖。

 

「貴方がいたから……貴方が……」

 

しかし雫は崖があるのにも構わずに一層激しく攻撃を加えていく。後から追いかけてきた光輝たちが思わず青ざめるぐらいに凄まじい勢いだ。

 

「し、雫ちゃん! それ以上は落ちちゃう!!」

「雫っ!!」

 

香織と光輝の悲痛な声が響き渡る。光輝は縮地を使ってなんとか雫に追いつき、今にも崖から飛び出そうな雫の腕を掴んで……。

 

「邪魔」

「あぐっ?!」

 

迷わず雫は光輝の片腕を斬り伏せた。香織が慌てて光輝の腕を治療する。その間に雫はトドメとばかりに強烈な刺突を繰り出した。ここまで何もできなかったベヒモスが慌てて頭を赤熱化させたが……既に手遅れであった。

 

「グゥルァガァアアアア!!!!」

 

必死に抵抗しようとするベヒモス。そんな悪足掻きも凄惨な覚悟から鬼神と化した雫の前には無意味。

 

「死ね」

 

地面を盛り上げるほどの踏み込みで一押しした雫は……ベヒモスと共に崖の外へ飛び出した。

 

「雫ちゃああああん!!!」

「雫! そんな、なんでっ!!」

「……さようなら。私の苦しみ」

 

悲痛な面持ちのクラスメイトを見ても雫は何も感じない。ただ、無言で返答をして……二度とクラスメイトの顔を見ることはなかった。

 




まさかの雫さん自殺行為です。今後の物語にも勿論変更が出てきますよ!

恵里の処遇はどうする?

  • 勇者バカ之河の被害者だから救おう
  • 消せ(無慈悲)
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