※この作品はR-18です。

その音色は異世界まで響き   作:誰かさん

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今回はネタに走ってます……()


第十五楽章 語録は墓穴

「……ふう」

 

演奏を終えて一息つく。やはり長期演奏は疲れる。

 

「……すごい」

「そりゃどうも」

「やはり……あの男と似ているな」

「お前の言う男ってのもヴァイオリニストだったのか?」

「そうだな……ヴァイオリン職人でもあったが」

「最高傑作の名前は?」

「ブラッディ・ローズだったな……」

「もう確信犯だろ」

「よし……完成した」

「お、どれどれ?」

「対万物砲レールA・A(アハト・アハト)。装弾数は一発だがあのティーガーに搭載されていた砲だ。しかもレールガン化してるから10km先だろうとティーガーの正面を抜ける」

「マジで? まさかとは思うけど徹甲弾と榴弾を用意していたり……」

「する」

「ええ……」

 

俺だって男子。ミリタリー溢れるハジメの装備に心がけ惹かれっぱなしだ。「もうそれを載せた戦車作れよ」「お、ティーガーII行くか?」なんて事を話していると、ユエが拗ねたようにポツリと呟いた。

 

「むう……私には分からない……」

「ユエ、俺もサッパリだから安心しろ……」

 

その後もハジメとミリタリーの話で盛り上がる。最強のガトリング砲GAU-8アヴェンジャーを作れそうだとかロケラン行けるだろとかなんとか。

 

あまりに熱中しすぎてユエが不機嫌になってきた頃になってようやく俺は我に返った。そこで思わず怪訝な顔をする。

 

「……どうしたの?」

「常時展開している気配感知に何かが引っかかったぞ。魔物ではなさそうだが……」

「ホントだ。しかもこれ……女じゃないのか?」

 

この奈落の底に女だなんて……どう考えてもおかしい。好き好んで来れるような場所ではないはずだ。

 

「ちょっと見てくる」

「気をつけろよ」

 

イクサナックルを握って俺は拠点の外へ出る。外は非常に静かだ。しかし気配は消えていない。

 

「……どこだ?」

 

かなり強めの気配なこともあって自然と体が緊張する。強さ的にはハジメより少し弱いぐらいだ。この世界の基準で見たら十分化け物である。オール2000近くあるかもしれない。

 

いつでも攻撃できる態勢を取った……ところで気配も動いた。

 

「どこからでも来い……!」

 

気配を感じる場所目掛けて衝撃波を飛ばそうとする。しかし気配こそ感じるものの俺の目線上には現れない。訝しがって殺意を解いた。その時である。

 

「グエ?!」

 

腹に衝撃があった。別に痛くはないが結構な勢いで突進されたのだろうか。思わず座り込むぐらいには凄い勢いだった。

 

「ああ……ようやく会えた」

「へ?」

「もう離さないんだから……」

 

人語を話した。いや、人間なのは分かってたけどさ……それにしても聞き覚えのある声だ。俺の目には今、真っ白な髪しか見えないんだけど声だけは聞き覚えがある。あ、匂いもかも。

 

「おいおい……マジかよ」

「あら、反応薄め?」

 

髪色が違う。纏う雰囲気が違う。一見気がつくことができないかもしれない。しかし……俺にはすぐに分かった。ずっと思い続けていた人だからかもしれない。俺の中ではとても、とても大きな存在だから……。

 

「……いや、すまないな。あまりに突然すぎて俺の脳が付いてこなかったみたいだ」

「それじゃあ……気がついてくれた?」

「当たり前だ……ホント、久しぶりだな」

「ええ……寂しかったわよ」

 

誰よりも優しく、誰よりも気遣い上手な女の子。俺の知っている女の子の中でも一番強くて乙女な彼女。

 

「……心配かけてすまなかった、雫」

 

────────────────

「おう、戻った音也……って誰だ?」

「貴方は……まさか南雲くん?」

「俺は確かに南雲だが……」

「良かった……きっと香織も喜ぶわ」

「白崎が……? まさか、お前は……」

「八重樫よ、八重樫。必死に訓練して会いに来たの」

「……髪色変わってねえか?」

「努力の証よ」

「……だれ?」

「ふむ、こいつは?」

 

とりあえずハジメが雫だと認識したところでユエも話しかけてきた。どことなくジト目なのがとても気になる。怖いし。というかこれってまさか修羅場? 

 

「私は雫よ。八重樫雫。音也の女」

「……音也、ほんと?」

「そこまで深い関係だったか?」

 

確かに抱き合ってはみたが既成事実はまだなかった……はずだ。自信ないけど。確かあの時俺は雫がどうであっても受け入れるという決意をして抱きしめ、かつ膝枕をしたと思うんだが……まさか。

 

「私はもう身も心も音也の物よ」

「む……」

「貴女はどうなのかしら?」

「……心はもう音也の物。後は既成事実」

「助けてハジメさん」

「やかましいわ」

「ふーん……ユエね。さしずめ貴女はライバル……なのかしら?」

「ん……ライバル。音也に愛されるのはどっちか一人で良い」

「ふふふ……上等よ」

 

案の定目の前が修羅場になっている。こういう時は音也語録を使うべきなのだろうか。いや……事態が悪化しそうだ。

 

ところでキバットさん。なぜ懐かしい物を見たという目で見てんの? 親のような生暖かい目は分かるけど何それ。ねえねえ。

 

「「音也!」」

「は、はい?」

「どっちが良いか」

「……選んで」

「……今すぐ?」

「「今すぐ」」

「どっちかなんて言うなよ……てか俺のために争うな。二人まとめて愛して……あっ」

「聞いたわねユエ?」

「ん……バッチリ。言質も心で取った」

「私を愛してくれるって……」

「雫、それは違う……愛してくれるのは私」

「ヤベえ……悪化した」

 

音也語録恐るべし。折角出発しようとしたのにこれだとは……先が思いやられる。俺は思わず苦笑いをし、未だ言い合いを続けていつの間にかキャットファイトに発展した雫とユエを宥めに行くのだった……。

 




普通なら感動の再会シーンなのにヤンデレ化してるから微妙だと思うのは私だけでしょうか?()

恵里の処遇はどうする?

  • 勇者バカ之河の被害者だから救おう
  • 消せ(無慈悲)
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