その音色は異世界まで響き 作:誰かさん
頭痛が痛くて話がまとまらん…。
「……ん」
背中にある柔らかい感覚によって意識が覚醒していく。随分と久しい、ベッドの感覚だ。最近は固い地面にごろ寝なことも多かったのでかなり心地は良い。
先ほどまで俺はヒュドラと他戦ってたはずなんだが……ここは反逆者の住処なのだろうか。だとしたら雫たちは無事で、わざわざここまで運んでくれたのか?
まだ半分ぐらいは眠っている意識の中でボンヤリと考え事をする。両隣にある柔らかい感覚もあってすぐにでも二度寝をしてしまいそうだ。
(というか何これ。柔らかい……)
マシュマロみたいでいつまでも触っていたい。なんか一カ所だけ出っ張ってるがこれは何だ?
「あっ、ちょ……おと、やあ」
「ん、んぅ~」
「?!!」
両サイドから聞こえるあえぎ声。一気に意識が覚醒し、何が隣にいるのかを確認する。いやまあ、ここで隣にいるのはあいつらしかいないが……。
「……ねえなんで? これって朝チュンだよな。え、何? 俺は憲兵=サンかニンジャ=サンに殺されるんじゃないだろうな?」
混乱を極めるこの状況。あまりに混乱してアイエエエエエエエ! だとかアババー! とでも叫ぶ状況になるんじゃないかと本気で心配してしまう。
そしてその予想はある意味で当たることとなった。
「ドーモ音也=サン」
「アイエエエエ! ハジメ!? ハジメナンデ!?」
「目覚めてそれなら大丈夫だな」
「アッハイ」
「服着とけよ。後で話があるから」
そう言ってハジメは出て行ってしまった。ボーゼンとする俺にフォロー頼む。
「はあ……それで、なぜ俺の腕には裸の雫とユエがくっついてるんだ?」
俺の両サイドにいたのは裸の雫とユエ。俺の手は現在二人の胸のところにピンポイントで触れている。雫は言わずもがな、ユエのも結構あるな……ではなくて。
これは何かの試練なのだろうか。迷宮攻略するための最後の試練……的な。
「据え膳食わぬばって言う諺もあるが……え、良いのこれ。頂いてもよろしくて?」
至極真面目にわりかしえげつないことを考える。このまま食っちまえば既成事実ができて俺の女と大手を振れるが……日本って重婚はアウトだったよな。
いっそのこと二人まとめて愛してしまった方が気が楽?
「……はあ、流石にアウトだし止めだ止め。ほら雫、ユエ。さっさと起きろ」
「ん……んん~」
「あと五分……」
「おいバカ、丸くなるな! ヤバいとこ当たってる……当たってる!」
「ゃあ……もっとぉ……」
「さわってぇ……」
「だあああ! いい加減起きやがれええ!!!」
バリバリバリバリバリバリバリバリ!!!
「「?! アバババババババババアババ!」」
流石に不味いので纏雷を使って強制的に起こす。そして若干濡れてる手を引っこ抜き、置いてあった服を着込んだ。
「……あれ、音也?」
「目が……覚めた?」
「おう、目が覚めた途端にこれだからもう一度気絶するところだったぞ。てかなんで裸なん──」
「「音也!!」」
問い詰めようとしたが思いっきり抱きつかれた。もちろん真っ裸で。息子さんが暴れ出しそうでヤバいので引き離そうとしたが、二人がぐすっと鼻を鳴らしていることに気が付いたので仕方なしに頭を撫でてやる。
「もう……心配した」
「ああ……すまねえな」
「……約束破ったのかと思った」
「見捨ててなくね……って離れたら変わりないか」
「でも……格好よかったわ」
「ん……あそこまで鎧を使いこなしていて凄い」
「負担が頭おかしいけどな。あまり多用したら死にかねないからイクサを強化したい……」
立ち上がってのびーっとする。また何日も寝ていたようでお腹がペコペコだ。
「服、着とけよ。何があっかは知らないし聞かないけど流石にずっと真っ裸はダメだ」
「分かってるわよ……ご馳走様」
「ん……ご馳走様」
「ええ……」
どうやら俺は美味しく頂かれたらしい。合掌。
とりあえず俺は部屋を出て運び込まれた反逆者の住処を探索する。なぜ住処なのが分かるのか? 逆にそれ以外にあるか?
「お、完全にお目覚めか」
「腹減った」
「だろうな。お前は一週間寝続けていたのだぞ」
「マジで?」
道理で腹が減ってるわけだ。
「そうだ、見せたいもんがある」
「あん? 見せたいもの?」
「三階に巨大な魔法陣があってな。そこに入ると一つ、神代魔法を習得できるんだよ」
「ええ、マジかよ」
「まあ来いよ」
ハジメとキバットに連れられて俺は三階に上がる。そこには確かに直径七、八メートルの今まで見たこともないほど精緻で繊細な魔法陣が部屋の中央の床に刻まれていた。さらにその奥には椅子に座った骸骨が一体。黒に金の刺繍が施された見事なローブを羽織っている。
「……一体何を待ち続けてここで朽ち果てたんだ?」
「ああ、それはだな……こいつら、この世界の神をヌッコロそうとしたらしいぞ」
「また物騒な」
「俺も初めて聞いたぞ。昔から反逆者は世界を滅ぼそうとしたと聞いてるが……」
「コウモリモドキでも初耳なのか……」
曰く、反逆者たちは神々の直系の子孫である解放者という集まりだったらしい。
ある日解放者のリーダーは神々の本当の意思を偶然知ったという。
神々は他種族の争いをあくまでも遊戯としてしか見ておらず、むしろ遊戯を盛り上げるためにより多くの人々を死なせていったという。それに激怒した解放者のリーダーが同志を集めて神々を打倒しようとしたらしいが……。
「神々には戦うことなく敗北したそうだ。なんでも神々は解放者たちのことを世界に破滅をもたらそうとする神敵であると人間に話したらしい」
「で、神を妄信しているバカ共が暴走して解放者たちを討ち取って……」
「残った中心メンバーの七人は大迷宮を作って意思を継いでくれる者を待ち続けてるらしい」
「大体分かった。まったく……神はくそったれだと思ってたがまさか本当だとはな」
やれやれとため息をつく。ロクな神なんて存在しないのだろう。
とりあえず俺は魔方陣の中に足を踏み入れる。すると魔法陣が淡く輝き、部屋を神秘的な光で満たした。
直後、何かが頭の中に侵入し、まるで走馬灯のように奈落に落ちてからのことが駆け巡る。俺がこの迷宮で何をしたのかを確認しているのだろう。
やがてそれも終わり、ある程度光が収まると……目の前には骸骨と同じローブを着込んだ男の姿があった。
「試練を乗り越えよくたどり着いた。私の名はオスカー・オルクス。この迷宮を創った者だ。反逆者と言えばわかるかな?」
「……わお」
「ああ、質問は許して欲しい。これはただの記録映像のようなものでね、生憎君の質問には答えられない。だが、この場所にたどり着いた者に世界の真実を知る者として、我々が何のために戦ったのか……メッセージを残したくてね。このような形を取らせてもらった。どうか聞いて欲しい。……我々は反逆者であって反逆者ではないということを」
そこから始まった話は……まあさっきハジメとキバットから聞いたような話だった。
映像越しからでも悲しげな心の音楽が聴こえてきて思わず目を伏せる。オスカー・オルクスの表面上の表情は穏やかだ。しかし……心中は複雑なのだろう。
「……話は以上だ。聞いてくれてありがとう。君のこれからが自由な意志の下にあらんことを」
その言葉を最後にオスカーの姿が消え……代わりに俺の脳内に何かが刷り込まれてくる感覚に襲われた。正く頭痛が痛い状態。まあ痛みにはある程度強くなったので耐えることはできるが。
「いてて……なんやこれ」
「さっき言った神代魔法だ。生成魔方って言って、魔法を鉱物に付加して特殊な性質を持った鉱物を生成出来る魔法らしい」
「錬成を使う人のためにあるような魔法だな」
「そうだな。これでアーティファクトも制作できる」
「……作っちゃうか?」
「あったりまえだろ。シュラーゲン使った戦車な」
「他にも色々作ろうぜ。なんならしばらくここに滞在して……」
ワクワクが止まらなくて自然と頬が緩む。ハジメも楽しみらしく、男二人でミリタリーな話に盛り上がるのだった……。
「相変わらずついて行けん……」
キバットのぼやきが聞こえたような……気のせいか。
────────────────
オマケ
カポーン……
「ふああ……やっぱり風呂は最高だあ」
住処にあった風呂に浸かって緩みきった顔をしながらのびーっとする。俺も日本人。風呂は大好きだ。
「オスカーって凄いんだなあ……当時からしたら未来を先取りしたような物を作りまくってそう」
だら~んとしながらもそんなことを考える。風呂ではどうでも良いことをボンヤリと考えるのが最高なのだ。どんなに疲れていてもボンヤリしてれば疲れはある程度消えていくもんである。
しかし……突如聞こえてきたヒタヒタという音に一気に青ざめることとなった。
「おいおい……一人で入るって念を押したよな。あいつ耳くそでも詰まってるのか?」
中々に失礼なことを言いながらもタプンと音を立てて湯船に入ってきた者の顔を見つめる。
白い髪に怖いぐらいに整ったプロポーション。みんなご存知雫さんである。
「ふう……気持ちいいわね」
「気持ちいいわね、じゃねえよお前。一人で入るって念を押したじゃねえか」
「良いじゃない。減るものじゃないでしょ?」
「俺のSAN値が削られていく」
「そう言わないでよ。寂しかったんだから」
「それ言われると何も言えん」
もう諦めた。文句言っても仕方ないし実質恋人のようなもんだから構わん。
「……えい」
「当たってる」
「当ててるの」
「まあ良いけど……いや良くない。真正面からは流石に恥ずかしいし理性が……」
鋼の意思も長くは継続しない。「いっそのこと本能に身を任せてしまえYO!」という心の声が俺の意思を揺らしていく。
「良いじゃない。いっそのこと理性を消し飛ばしても良くてよ」
「俺の心が許さん」
「……あ、大きくなってる」
「たりめーだ。お前美人だし」
「ねえ……ダメ?」
「ダメでしょ」
「私、もう我慢できない……」
「いや我慢しろよ。大和撫子な雫はどこに行ったんだよ」
「音也となら私は……」
「話を聞いてよ、ねえ」
「……もう無理。音也、ごめんなさい」
「うおっ?! お前どこ触ってんだ!?」
「ふふふ……気持ちよくなりましょうね?」
「……楽しそう。混ぜて」
「アイエエエエエ! ユエ=サン!? ユエ=サンナンデ!?」
……その後、何があっかはご想像にお任せする。
なんかネタを放り込みたくなってドーモryだとかアイエエエエエ!を入れてみました(おい)
恵里の処遇はどうする?
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勇者バカ之河の被害者だから救おう
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消せ(無慈悲)