※この作品はR-18です。

その音色は異世界まで響き   作:誰かさん

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蝉が鳴き始めましたね。そろそろ夏に突入するのでしょうか…暑いのは苦手なんですけどね()




第十楽章 町へ

……ライセン大渓谷を二台のバイクが並走する。なぜ大樹ではなくライセン大渓谷にいるのかというと、大樹には封印が施されており今の俺たちでは解くことができなかったからだ。仕方がないのでライセン大迷宮を探すことにしたのである。

 

ちなみに別れ際にハウリアも俺たちの旅に付いてくると言い出したのだが……雫が却下した。それでも引き下がらないため次回樹海に来たときにレベルが上がってたら部下にするっていう約束を取り付けて、だが。なお量産したイクサをハウリアたちち渡したのだが……狂喜乱舞してた。

 

とはいえこのまま直行すると食糧難に陥る。そんなわけで俺たちはライセン大渓谷を抜けたところにあるという【ブルックの町】を目指して走行中なのである。

 

「……お、あれか?」

 

しばらく走行していると目の前に大きな門が見えてきた。小規模な町ではあるようだが……門番を配置するぐらいには活性化しているようだ。充実した買い物ができそうである。

 

とりあえず町の中までバイクで乗り込むのは不味いのでキキーッ! とブレーキをかけて降りるように促す。

 

「あれ……ハジメ。シアに首輪を付けたのか?」

「まあな。黙ってれば神秘性溢れる美少女だろ? このまま町に入るのはちょっとな」

「なるほどねえ……」

「そ、そんな意図があるなら早く言ってくださいよぉ~」

 

どうも奴隷扱いのように見せかけられたことにプリプリしてたらしいシアがニマニマしながらハジメに抱きつく。それを冷めた目で見つめるハジメさん。そのままスルーして歩き始めた。

 

「ま、待ってください~」となっているシアを俺もスルーして門番の元へと歩く。無論両手に花状態だ。

 

ほどなくして俺たちは門番の目の前に辿り着いた。門番の姿は革鎧に長剣を腰に身につけているだけであり、所謂冒険者の格好に近かった。

 

「止まってくれ。ステータスプレートを。それと町に来た理由は?」

「食料の補給がメインだな。旅の途中なんだ」

「ふ~ん……」

 

ステータスプレートを手渡した……ところで「やべ、隠蔽するの忘れた」となった。ステータスプレートには、ステータスの数値と技能欄を隠蔽する機能があるのだ。冒険者や傭兵においては、戦闘能力の情報漏洩は致命傷になりかねないからである。

 

内心冷や汗を流しながら俺は咄嗟に嘘八百を並べた。

 

「いやあ……少し前に魔物の群団に襲われたんだよ。その時に壊れちまったみたいでな」

「こ、壊れた?」

「そう、壊れたんだ。ステータスプレートを買い直すためって目的もあってな……だってよ。そのステータス値が本当なら俺は指一つで世界を滅ぼす魔王じゃねえか。そうは見えないだろ?」

 

戯けた素振りをしながらいけしゃあしゃあと嘘を付く。そういやキバ本編の音也も演技が上手だった。次郎との体の不自由なおばあちゃんと看護師の演技は凄かった。

 

「は、はは……そうだな。とてもそうは見えないよ。プレートが壊れるだなんて初めて見たが……まあ世の中広いもんな。そっちの三人に関しては……」

「おっとあまり見つめるなよ? 俺の女と友人の女だ。手を出すんじゃあないぜ」

「お、おう……」

「全員紛失した。以上だ」

「そうか……よし、通って良いぞ」

「ああ、どうも。おっと、そうだ。素材の換金場所って何処にある?」

「あん? それなら、中央の道を真っ直ぐ行けば冒険者ギルドがある。店に直接持ち込むなら、ギルドで場所を聞け。簡単な町の地図をくれるから」

「そうか。ありがとうな」

 

聞きたいことは聞き出せたので俺は皆を連れて町に入った。町はそこそこ活気があり、至る所に露店が展開されている。さらには白熱した値切り交渉の喧騒が聞こえてくる。

 

とりあえず俺はヴァイオリンを取り出す。そのついでに宝物庫は必要な物だけ取り出してハジメに手渡し、素材換金を任せた。

 

「んじゃ……やるか」

 

雫とユエが座るための椅子を組み立てて地面に置き、ユエにはブリキ缶を持たせる。

 

少しの間ヴァイオリンの調律を行い、それも数分で終わらせて……チューニング開始。毎日ヴァイオリンを演奏しているものの、こういうところはしっかりやらないとダメなのである。

 

突然現れたと思ったらヴァイオリンを取り出した一人のガキに釘付けになっている人がかなり居る中、俺は練習曲として……日本でも歌うことの多い曲を弾き始めた。

 

「あ、この曲……」

「雫……知ってるの?」

「……そうね。私たちの故郷では有名な曲よ」

「……歌える?」

「もちろんよ」

 

その会話を聞いた俺は雫とアイコンタクトする。どうやらいつでも歌えるようだ。軽くアレンジを入れて前奏らしくして……歌うように促す。

 

「~~♪」

 

ゆっくり、力強く。日本生まれの曲は、特に昔に生まれた曲はそんなイメージがある。

 

そういえば雫が歌ってるのは初めて見たのだが……滅茶苦茶上手だ。そこまで大きい声ではないのだが心の奥までスッと響き渡るような声である。現在は白髪であっても元は大和撫子。和歌を詠ませるのも良いのかもしれないな。

 

「~♩♩」

 

♩♩~ ♩~

 

絡み合うように二つの音色が重なる。ここまでしっくりとシンクロしたのは雫が初めてだ。これまで何回か俺の演奏に合わせて歌うってのをやってきたが……雫とが一番やりやすい。

 

「……ふう」

「雫、上手かったぞ」

「本当? 嬉しいわ」

「音也、雫……見て。こんなにお金貰えた」

「ん? ……おお」

 

ユエの手にあったブリキ缶には溢れんばかりのお金が入れられていた。なんかヴァイオリンケースの中にもたくさん入っている。

 

ちなみにこの世界でのお金の単位は【ルタ】である。こいつは色事で価値が分けられており、青、赤、黄、紫、緑、白、黒、銀、金の種類がある。貨幣価値は左から日本の【円】に準じる。

 

さて、ブリキ缶の中に入ってる物とケースの中にあるやつを合わせると……。

 

「どれどれ……って黒や銀に金しか入ってねえぞ」

「こっちの世界でも演奏一曲につき百万ドルなのかしら?」

「嘘だろお……」

「ふむ……合計百万ルタだな。あの一曲だけでここまで稼げるとは驚いた」

「それマジ?」

「金を数えるのは得意でな。キングの財産を残らず数えてみたりしてたぞ」

「すげえ……」

「ん……そういえばキバットはお父様の金庫によく出入りしてた。金銀財宝に囲まれたキバットの姿をよく見た」

 

金銀財宝に囲まれたキバット……なんかカオスだ。俺が見つけたら間違いなく吹き出す。

 

なんとなく失礼な想像をしていると……ハジメたちが戻ってきた。シアも手をフリフリしている。俺たちはお互いに見つめ合って微笑み、ハジメたちの元へ歩き出すのだった……。

 




さてさて、ライセン大迷宮編は中々迷宮の方に入りませんが…もうしばらくお待ちいただけると嬉しいです。

そういえばユニークアクセスって何なんですかね…私、ハーメルンは初心者で何も分からないんですよね()

恵里の処遇はどうする?

  • 勇者バカ之河の被害者だから救おう
  • 消せ(無慈悲)
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