※この作品はR-18です。

その音色は異世界まで響き   作:誰かさん

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書いてて勇者(笑)にイラついてきた()
リアルでこんな人がいたら男子にはものすっっごく嫌われそうですよね()


クラスメイトside4 それぞれの思い

「なんでだ……くそ!」

「こ、光輝くん……落ち着いてよ」

「落ち着いてられるかよ! 雫も死んだんだぞ! あの紅のせいで洗脳されて……!」

 

……時は音也たちがミレディと激闘を繰り広げている辺りまで巻き戻る。

 

 雫という精神的支柱を失ったクラスメイトたちは動揺と混乱に包まれていた。

 

特に動揺が大きかったのは光輝だ。彼はお得意の自己解釈で音也が雫を洗脳したから彼女は死んだとばかり思い込んでおり、なおかつ日本に居た頃は雫に依存していたので尚更動揺と混乱が大きかったのである。

 

さらに言えば彼のストッパーが一人減ってしまったので前にも増して自分勝手な言葉が飛び出るようになった。

 

次に動揺が大きかったのは香織だ。彼女はこれまで頼り切りだったのを反省して自分が支えようとした矢先に雫が自殺未遂を起こしたのだ。動揺するだろうし混乱もするだろう。

 

しかし彼女に関してはハジメへの思いと雫への思いが大きかったからか、光輝のようにはならずに以前にも増して訓練に勤しむようになった。

 

なおこの時点で音也と雫は絆を確固たる物にしておりさらにはユエという女も増えて毎日がてんやわんやしていることを知ったら……卒倒するに違いない。

 

「光輝……いい加減に現実を見ようぜ。雫が死んでしまったのも受け入れなきゃだろ?」

「龍太郎……くそ、紅の奴……」

 

 微塵も自分のせいだとは思っていない勇者。ある程度乙女心を分かっている香織たち女子の面構えは微妙である。

 

 とはいえ、だ。雫が半ば洗脳に近い形で音也に依存していたのも否定しきれない。音也が優しくしなければ雫は自殺未遂をしなかったかもしれない可能性も拭えないのが難しい所なのである。

 

 一応音也のためにフォローしておくと、彼は下心など一つも持っていない。ただ純粋に雫の心が奏でる音楽が悲愴感溢れる物にならないように守ろうとしているだけだ。

 

決して手中に納めようとして優しくしたわけでない。彼はあくまでも人の心が奏でる音楽を守りたいのであり、本来は特別な感情すらなかったのだ。

 

しかしその態度がかえって雫の豹変の促進になってしまったことを深く反省しており、音也は雫の全てを受け止めることした。ただそれだけのことなのである。

 

「光輝くん、聞いて」

「なんだ香織。悪いけど今は……」

「雫ちゃんは死んでないよ。絶対に。音也くんやハジメくんだって生きている」

「……なにを根拠に」

「そもそも雫ちゃんが奈落の底へ落ちたのは音也くんに会いたかったからだよ。それ以外有り得ない。その音也くんも簡単に死ぬような人ではないと思う」

「まだそんな戯れ言を言ってるのか。香織も見ただろ? どう考えてもあの奈落へ落ちたら助かるわけがない。ましてや無能の紅や南雲なら死ぬのは至極当然だ。あの時紅は体力切れだったし南雲もどういうわけか……」

「あの日」

「え?」

「私たちが全滅しかけた日に、ベヒモスをたった二人で抑えて私たちが逃げる道を作ってくれたのは誰だった? その人たちのことを無能と言える?」

「あれは皆で力を合わせたから逃げられたんじゃないか。彼らだけの功績な訳ないだろ? それにあいつらは真面目に訓練してなかったしこの世界を救おうともしなかった。ある意味自業自得じゃないか?」

「……もういいよ。何を言っても届かないんだね、光輝くんには」

 

それだけ言うと、香織は訓練場に戻ってしまった。その目から涙が流れていたことを知る者は誰一人としていない……。

 

────────────────

 

 一方その頃。人影のない場所にて。

 

「ふふ……どうやら香織は心が不安定らしいね」

 

怪しそうな笑みを浮かべる中村恵里。普段は大人しくいかにも図書委員で大和撫子! な彼女だが……裏にはとんでもない顔を隠していた。

 

そう、彼女はとんでもないヤンデレだったのだ。彼女は光輝に重たい愛情を持っていた。しかし光輝は一応人気者だ。普段は大人しい恵里が近寄る隙なんぞ見当たらなかった。

 

だから彼女は、この異世界で手に入れた心を操る術で光輝を手に入れてしまおうと考えたのだ。勿論障害となる人物は全て消した上で、だ。

 

その計画を進めるために、まず彼女は音也とハジメが奈落の底へ落ちる原因を作った檜山を手中に納めた。

 

なに、簡単なことである。彼女は偶然にも檜山がハジメを狙って火球を撃ったのを見たのでそのことを種に勧誘したのだ。自分を手伝えば白崎香織のことが何れ手に入る、と。逆に手伝わないのならば檜山がハジメを殺したことをバラすと。

 

檜山は一も二もなく従った。彼も香織のことが欲しかったのだ。従う以外に道はなかった。

 

そしてさらに恵里はもう一人勧誘した。その名も近藤礼一。彼は雫が欲しかったのだ。今は死んだと思われているが……恵里からこんなことを言われたのである。

 

「僕には魂が見える。だから雫が落ちた後に魂を見てみたんだ。するとね……居たんだよ。まだ八重樫雫は生きてるんだよ」

 

と。まるで霊を使った詐欺商法みたいだが間違ってはいないのでセーフであろう。

 

何はともあれ近藤も恵里に従うこととなった。欲望には勝てなかったのだ……。

 

「中村」

「なんだい檜山」

「邪魔者ってのは……いつ消すんだ?」

「うん? まさか君は一人ずつ殺すとでも思ってるの? バカだなぁ」

「ならどうやって……」

「簡単だよ。魔人族と協力関係を作れば良いのさ。現に僕は結構強力な魔人と協力関係を結んだからね」

「なんて抜け目のない……」

「焦っても意味ないよ。確実に邪魔者を排除できる時を待つんだ……いいね?」

「……了解した」

「ふふふふ……早いとこ光輝くんに纏わり付くウジ虫どもを抹殺したいなあ……うふふふ」

 

……焦点の定まらない瞳。狂ったような笑い声。知る人は殆どいない恵里の本性はあまりにおぞましく、到底受け止めきれるような物ではなかった。

 

その毒牙はゆっくりと、しかし確実に標的に向かいつつあった。

 

それぞれの思いを胸に、今日もクラスメイトたちは訓練に勤しむのだった。

 




次回からは新章へ突入します。しばらく音也の心に負担がかかる出来事が増えそう()

恵里の処遇はどうする?

  • 勇者バカ之河の被害者だから救おう
  • 消せ(無慈悲)
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