その音色は異世界まで響き 作:誰かさん
第一楽章 依頼
「いらっしゃい……おや、あんたは?」
「音也だ。初めましてだが……ハジメや雫たちが世話になったな」
現在俺は冒険者ギルドにいる。理由は今日出発するからであり、折角だから依頼を受けるついでに世話になったというカウンターのおばちゃんに挨拶しに来たのだ。
「とりあえずは冒険者の登録を頼めるか? ハジメと雫は既に登録したらしいからな」
「任せておいて。料金千ルタ頂くよ」
おばちゃんに隠蔽工作したステータスプレートを渡す。ものの数分でおばちゃんは戻ってきて俺のプレートを手渡してくれた。
「男なら頑張って黒を目指しなよ? あのお嬢ちゃんたちに格好悪いところを見せたダメだからね」
「分かってるさ。あ、それと護衛の依頼を受けたいんだが……フューレン方面に向かうやつで何かあるかい?」
「う~ん、おや。ちょうどいいのがあるよ。商隊の護衛依頼だね。ちょうど空きが後一人分あるよ……どうだい? 受けるかい?」
「連れはオーケーなのかい?」
「あんたらはとんでもない実力者じゃないか。一人分の料金で大勢の強力な助っ人を手にすることが出来るんだ。きっと許容してくれるさ」
「んじゃ、受けるとしよう。それにしてもとんでもない実力者って……」
「間違いではないだろ? ウチの騒がしい連中が世話になったみたいだしね」
「あいつら目が血走ってて怖いんだよな。あんだけ血気盛んだと近づけるのが怖い」
「その仕打ちが股間スマッシュか決闘スマッシュかい? 容赦ないねえ……」
「愛する人を守るためだ。死なせなかっただけマシだと思って頂きたいね」
「ま、それもそうね。愛する人のためにあそこまで強くなれるのは良いことだと思うよ。ただ、あまりやり過ぎないことだね」
「前向きに検討するさ」
ニヤリと笑う。それにおばちゃんも苦笑で返してくれた。そして何かを取り出して手渡してきた。
「これは?」
「あんたたち、色々厄介なもの抱えてそうだからね。町の連中が迷惑かけた詫びのようなものだよ。他の町でギルドと揉めた時は、その手紙をお偉いさんに見せな。少しは役に立つかもしれないからね」
「手紙一つで役に……? あんた何者だよ」
「おや、あまり女性のことを詮索するもんじゃないよ。痛い目に遭いたくなければね」
「やれやれ……ま、しゃあないな。良い女に秘密は付き物、だろ?」
「よく分かってるじゃないか。これならあの娘たちを泣かせることもなさそうだ」
優しい顔つきになったおばちゃん。信頼を勝ち取ることが出来たらしい。世渡り上手ってのは本当に便利だ。
その後俺たちはギルドを後にして宿に戻った。最後の晩ということで豪勢な食事が出され、まるでパーティーのような晩飯を味わった俺たちは疲れ果ててすぐに寝込み、明日に備えるのだった。
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翌日早朝。ブルックの町の正門に集まった商隊の元へ俺たちは向かった。どうやら俺たちが最後に到着した冒険者らしく、既に十四人の冒険者がスタンバイしていた。
途端にザワザワしだす冒険者たちをスルーしてリーダーらしき人に話しかける。
「君たちが最後の護衛かね?」
「ああ。ほれ、依頼書」
「ふむ……了解した。私はモットー・ユンケル。この商隊のリーダーをしている。道中の護衛には期待しているよ」
「期待されたからには裏切らないさ。任せてくれ」
ニヤッと笑いかけて雫たちの元へ戻る。当然視線は美女~ズたちに向けられるわけで……。
「おいおい……なんだ、あの美女軍団は」
「ヤベえ……好みしかいねえよ」
「てか男の方も中々にイケメンじゃね? あれじゃ敵わねえよ」
「あ、あいつってこの前突然現れて素晴らしい演奏をした男とその演奏に合わせて素晴らしい歌声を披露した女じゃないか?」
「「「マジだ!」」」
「いや待てよ? そこの男は確か股間スマッシャーと決闘スマッシャーの異名を持っていなかったか?」
「その通りだ。俺の女と親友の女に手を出そうと言うのならばあの世行きへの速達馬になってや
る。そのぐらいの覚悟をしとけよ?」
「「「「は、はい」」」」
凄まじい威圧感と共に笑顔を向けるキングスマイル。当然のごとく調子に乗った冒険者たちは後ずさりをしながら頭を下げてきた。
「やれやれ……出発までゆっくりしてるか」
「ん……背中」
「すっかり定位置よね。私は隣に……」
「ハジメさ~ん……」
「……しゃあねえ。来い」
ぴょんっとウサギのような動作でハジメに抱きついたシア。その様子は恋人というよりも年の離れた兄妹に見える。
嫉妬を通り越して微笑ましい物を見た! という冒険者たちの様子に苦笑いしつつ、俺は雫とユエの髪を軽く撫でてやるのだった。
数ヶ月に渡って胃が痛いのはどんな理由があるのやら……()
恵里の処遇はどうする?
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勇者バカ之河の被害者だから救おう
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消せ(無慈悲)