※この作品はR-18です。

その音色は異世界まで響き   作:誰かさん

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癒やしが欲しい()


第二楽章 癒し

ブルックの町からフューレンまでは大体徒歩で六日だ。フューレンは中立商業都市でありさらにその奥には【グリューエン大砂漠】が存在する。そこには【グリューエン大火山】という大迷宮が存在する火山があるのだ。

 

俺たちの目的は大火山に行くことだがその前にこの世界の商業都市に行ってみようと思ったのである。なお、【グリューエン大火山】の次は、大砂漠を超えた更に西にある海底に沈む大迷宮【メルジーネ海底遺跡】が目的地だ。

 

さて、護衛開始から既に五日が経過したがここまで非常に穏やかな旅路である。と、いうのもここまで魔物が一切襲撃してきてないからだ。何時もなら多くて二十ほどの魔物が襲撃することはあるらしいが今回はまだない。

 

が……そう簡単に行くもんではなかった。

 

「……ん?」

「音也?」

「……シア、ウサ耳に何か引っかからないか」

「音也さん……はい、確かに。まだ遠いですけどね」

「なあ隊長さんよ。この先魔物が襲撃してくるぞ。数は……百ぐらいか」

「はあ?! 百……だと!? 最近襲われた話を聞かなかったのは勢力を溜め込んでいたからなのか? ったく、街道の異変くらい調査しとけよ!」

「そう慌てるな。俺がやるさ」

「へ?」

「コウモリモドキ、力を貸せ」

「良かろう」

 

とはいえたかが魔物。いくら数が集まろうと問題ではない。キバの鎧さえあれば魔物程度速攻でひねり潰してやれる。

 

「ガブリッ!」

「……雫たちは念の為ここに待機してくれ。大丈夫だとは思うがな」

「分かったわ。早いとこ頼むわね」

「おうよ……変身」

 

なんの気兼ねなく変身。ザワザワしている冒険者や商隊をサクサクッとスルーして俺は紋章を作り出した。

 

さらに作り出した紋章に重力魔法を付与する。言うならば〝絶禍〟だろう。こいつは虚空にミニブラックホールを作り出す魔法だ。そいつを紋章に付与すればあら不思議。安直なネーミングだが紋章ブラックホールの完成である。

 

俺は指をパチンッと鳴らして紋章ブラックホールをまだ遠くにいる魔物たちに向かって飛ばした。その辺の車よりも速い速度で移動していく他、凄まじい引き寄せの重力が発生してるので逃げることなど許すわけがない。あまりに凄まじくて周りの木々や生き物まで吸い込まれてしまっている。

 

効率は……うん、残念ながらかなり悪い。紋章から半径数メートルの範囲しか引き寄せの重力が発生していないようだ。

 

「グギイ!?」

「ギャッ!?」

「ギギギ……!」

「さあどうなるかな……使うのは初めてだが多分これで殲滅してくれる」

 

と、言ってはみたもの保険は掛けとくに過ぎない。

 

「ウェイクアップ・ザンバット!」

 

故に空中に浮かび上がって無数のザンバットを出現させた。もちろん辺りは紅い月の夜闇に包まれる。突然の暗転に冒険者たちのテンションは振り切れた。ある人は「あ、夢か」とボヤき「俺、フューレーンに着いたら結婚するんだ」と盛大な死亡フラグを建てる者もいる。中々に酷い有様だが今はスルーである。

 

俺は指をクイッと魔物の方向を指し示してザンバットを飛来させた。ザンバットたちの役割は紋章へ魔物を押し出すことだ。あるザンバットは魔物をすっ転ばせまたあるザンバットは刃ではなく持ち手の部分でゲシッと一押ししたり……。

 

結果としてものの数分で総勢百の魔物が片付いた。重力魔法の有効範囲がとても短いので鍛錬必須ではあるが……直接ぶつけに行く分には及第点であろう。紋章の拘束力を単純に上げるためだけに簡単な重力魔法を付与するのも有りかもしれない。それなら紋章サンドイッチも強化できそうだ。

 

「ふう……」

 

変身を解く。思ってた以上に重力魔法は体力を使う。魔皇力を使用しているので魔力で発動させるよりは消耗が少ないのだがそれでも疲れる。それを見越していたのか、雫が馬車に座り込んだ俺の隣に寄ってきた。

 

言葉は発さない。ただ優しく微笑んでくるだけだ。だがそれがいい。彼女は全てを分かってくれている……。

 

俺は彼女の掌に自分の手を置いた。彼女は俺の手を優しく包んでくれる。

 

「雫……」

「お疲れ様。ゆっくり休んでね?」

 

周囲から嫉妬と羨望の視線が飛んでくる。主に男から。女はそんな男たちに冷たい視線を飛ばしている。しかし先制攻撃としてユエたちが男たちの目の前に立った。

 

「……ダメ」

「邪魔でもしてみろ。俺がお前らの息の根を止めてやる」

「「「「ハイ」」」」

「恋する乙女を邪魔するのは良くないですよぉ。暴走なんかさせたらそれこそあの世行きですからねぇ」

 

ユエとハジメの冷たい言葉にシアの宥めるような言葉。冒険者たちは一瞬で黙らされた。

 

そんな三人に感謝しつつ、俺は雫の髪を撫でる。雫は目を閉じて身を委ねてくる。念話でとりあえず出発するように伝えて前にも増してイチャイチャする。

 

「音也ぁ……もっとぉ……」

「はいよ」

「んぅ……」

 

まるで小動物のような雫に癒される。俺の知る女の子の中でも一番乙女なのは雫だ。甘えたくもなるだろう。仮に疲れてると分かっても甘えたいんだろう。こうしてしまったのは俺の責任だ。それに疲れていてもこんなに可愛い姿を見せられたら嫌でも癒されるさ。甘えられる事に怒るつもりなんて毛頭ない。

 

俺は目尻を下げ、雫の頭を軽く抱き寄せるのだった……。

 




仕事の空き時間に書くこともあるので支離滅裂なことがたまにありますがよろしくお願いします()

恵里の処遇はどうする?

  • 勇者バカ之河の被害者だから救おう
  • 消せ(無慈悲)
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