※この作品はR-18です。

その音色は異世界まで響き   作:誰かさん

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前回登場した紋章ブラックホールですが…あれはウルトラマンダイナミラクルタイプの当たったら確殺技を参考にしてます。
よくよく考えてみると神代魔法ってチート技ばかりですよね()


第三楽章 許容範囲

存分にイチャコラした俺はその後回復したので護衛に戻った。少しの間とはいえ護衛から外れた事を謝ると全力でご機嫌取りされたのは何故なのだろうか。解せぬ。

 

兎に角俺たちはその後特に襲撃されることもなく商業都市フューレンに辿り着いた。謝礼金を受け取り観光地区として人気のある道を俺たちは歩く。

 

「ほう……流石に活気があるな」

「コウモリモドキは商業都市には行かなかったのか?」

「よく考えてみろ。俺は王族の側近だ。外に出ることなど遠征以外は殆どない」

「マジか……お前の話は聞けば聞くほど面白いし興味深いぜ」

 

肩に乗っかったキバットの話を聞きながら都市を見渡す。道という道に店が展開しておりブルックの町とは比にならない賑やかさである。

 

見れば美女~ズも、特にユエとシアは興味深そうに辺りをキョロキョロ見渡していた。ちなみにその度に視線が合った人間はもれなく鼻血を吹き出して倒れている。最早歩く天災か。

 

「お、あれはカフェじゃないか?」

「あら、本当ね。日本にあるムーンバックスとそっくりだわ」

「あの小洒落たカフェか……あそこのコーヒーは美味いんだよな」

「私はいつも彼処でココアを飲んでたわ。普段は緑茶だからたまには甘い物が飲みたくてね」

「お前らしいな」

 

談笑しながらカフェ……のあるギルドに近づく。ついでにその道中で小耳にはさんだ「案内人」という役職の者を雇った。どうもこの都市は広くて案内人なしではマトモに動けないとかなんだとか。それなので案内人の需要は高く、かなり社会的地位のある職業らしい。

 

俺は「リシー」と名乗った女性の案内人にお金を払ってカフェに入った。

 

「いらっしゃいませ。ご注文はお決まりでしょうか?」

「ブラックコーヒーが一つにココアを二つ。あとスイカジュースを頼む。ハジメとシアは?」

「アイスティーと山菜ブレンド? って奴を頼む」

「かしこまりました」

「なんだ山菜ブレンドって」

「知らねえよ」

「えっと……とりあえず宿をお探しでしたよね?」

「おう。個人的には飯が美味くて、風呂があれば文句はないかな。あとは……警備が厳重なのが好ましい。なんせ連れが目立つからさ」

「ああ……確かにそうですわね。お客様のご要望もごもっともですわ」

「特に立地は気にしてないからそこんとこはよろしくな」

「分かりました……お嬢さん方は何かご要望はありまして?」

「そうね……私は風呂があれば良いかしら」

「……私も。ただし混浴付き」

「えっと、二人か三人で眠れるベッドがあると嬉しいですぅ」

 

さり気なく落とされた爆弾はスルー。少し顔を赤らめたリシーに謝罪して気を見計らったかのように届けられたコーヒーに口を付けた。

 

「うん……美味い。ここは当たりだったな」

 

劇中の音也もコーヒーを飲んでたので俺も自然と飲めるようになった。今ではある程度コーヒーのことを語れる。個人的に好きなのはキリマンジャロコーヒーだ。

 

と、その時である。

 

「……ん?」

「……気持ち悪いわね」

「……ん」

「ひっ……」

 

不意に粘ついていて不潔な視線を感じた。いや、カフェに入ったときから男からの視線は凄かったが……これは気持ち悪すぎる。

 

チラリと視線がした方向を見れば……そこにはブタがいた。体重が軽く百キロは超えていそうな肥えた体に、脂ぎった顔、豚鼻と頭部にちょこんと乗っているベットリした金髪。身なりだけは良いようで、遠目にもわかるいい服を着ている。

 

「ハジメ」

「おう」

 

俺はナックルを、ハジメはドンナーを静かに取り出す。そして雫たちに目配せして手を出さないように伝えた。

 

それを知らないブタ野郎はノシノシと俺たちの方へ向かってきた。営業スマイル全開であったリシーでさえも「げっ!」と情けない声を上げるぐらいには気持ち悪い。

 

まずブタ野郎はシアのことを見た。そして次にはユエのことを見て最後には雫のことをジロジロ。しかし雫が日本刀をチラつかせたのを見て即座に視線をシアとユエにロックオンした。

 

「お、おい、ガキ共。ひゃ、百万ルタずつやる。この兎を、わ、渡せ。それとそっちの金髪はわ、私の妾にしてやる。い、一緒に来い」

 

何とも一方的で傲慢な要求だ。当然聞くつもりはない。

 

ブタ野郎の脳内では既にシアとユエは自分の物になってるらしく、二人に手を伸ばし始めたので……。

 

ズパアン!! 

 

「ひっ!?」

 

……天井に向けて衝撃波を飛ばした。とはいえ天井を壊すのは不味いので発射してすぐに魔法の壁で衝撃波を吸収しているが。

 

そして俺は立ち上がり、後ずさりしたブタ野郎に向けて威圧をぶつける。さらに前髪を払って隠れている義眼を見せる。

 

蒼白く光る義眼。そして豪雨のごとく降り注ぐ凄絶な殺意。あくまで動かない表情。ブタ野郎はその場にへたり込んで股間を濡らし始めた。

 

「……場所を変えるぞ」

 

最後にもう一睨みして俺は全員を引き連れてカフェを後にしようとした。ちなみに嫉妬と羨望の視線を送ってきた男共にも威圧をぶつけている。これはあくまでも「手を出すなよ?」という意思表示だ。

 

しかし店を出ようとした刹那、目の前をブタ野郎とは別の意味で肉に包まれた男に行く手を阻まれた。全身筋肉の塊で腰に長剣を差しており、歴戦の戦士といった風貌だ。

 

「そ、そうだ、レガニド! そのクソガキを殺せ! わ、私を殺そうとしたのだ! 嬲り殺せぇ!」

「坊ちゃん、流石に殺すのはヤバイですぜ。半殺し位にしときましょうや」

「やれぇ! い、いいからやれぇ! お、女は、傷つけるな! 私のだぁ!」

「了解ですぜ。報酬は弾んで下さいよ」

「い、いくらでもやる! さっさとやれぇ!」

 

殺意を見せやがった。それならこいつの運命は決まりである。俺はゆっくりと振り返るとレガニドと呼ばれた男の方向を感情の宿らない瞳で見つめた。

 

「坊主、悪く思うなよ」

 

振りかぶって放たれた男の渾身のストレートが俺の顔面にめり込んだ。別に痛くはないがあくまでも先制を食らったようなフリをする。

 

「…………」

「俺の金のために半殺しになってもらうぜ。お嬢ちゃんたちの方は……諦めるんだな」

「諦める? へえ……そうかそうか」

 

傷一つ付いていない顔を持ち上げる。その様子に男は訝しがっているが……気のせいだと割り切ったのか、再びストレートを繰り出してきた。

 

「変身」

『フィ・ス・ト・オ・ン』

 

バシッ! 

 

「んな!?」

「大したことねえなあ……」

 

軽く拳を受け止める。その拳をギリギリと握り潰して空いた反対側の拳で裏拳を食らわせた。

 

ズバンッ! 

 

「ぐあ!?」

「さあ……かかってくるんだ。俺の女たちと親友の女を奪おうとした罪は深いぜ?」

 

その間にも俺はハジメに指示を飛ばす。

 

(ハジメ、ブタ野郎の捕獲)

(あいよ)

 

すぐに行動を開始したハジメが豚野郎に一撃入れてから錬成を始めたのを尻目に、俺は再度、倒れ伏した男を見やる。

 

「さて、今日は素晴らしい日だなブタ野郎。鳥はさえずり、野花は歌っている。こんな日にお前のような欲望の塊は……死んじまえば良いのさ」

 

某骨のセリフを吐いてブタ野郎に近づくハジメ。すっかりお馴染みとなった指クイクイの挑発をする俺。

 

これはそれぞれの女を守るための戦いだ

 

「この野郎……!」

 

ブンッ! ブンッ! 

 

「おっと……そんな逆上して良いのか? 動きが単調だなあ」

「くそ! 何で当たらねえんだ……!」

「お前が弱いからさ」

 

突き出してきた右腕にナックルを直接ぶつける。その途端、男の右腕はベキッ! と嫌な音を立てておかしな方向に捻じ曲がってしまった。

 

「今楽にしてやる」

『イ・ク・サ・ハ・ン・マ・ー・ラ・イ・ズ・アッ・プ』

 

ナックルをベルトに戻してハンマーを取り出した。蒼い雷がバチバチとイクサハンマーの先端を迸っている。

 

右腕を粉砕されて蹲った男の首根っこを俺は左手で掴んで持ち上げる。男は何とか逃れようと抵抗しているがその程度では召喚前のイクサにすら抵抗不可能だ。

 

ギュルアアアアア……

ズドバアアアアアアアアアアン!!! 

 

迷わず引かれたトリガー。それによって放たれた神速の杭は……狙い違わず男の股間にぶら下がっている大事な一物を撃ち抜いた。

 

気を失った男には興味ない。俺はポイッとその辺に投げ捨ててハジメの方を見た。

 

「ひぃ! は、離せえ! わ、私を誰だと思っている! プーム・ミンだぞ! ミン男爵家に逆らう気かぁ!」

「当たり前だ。俺の女に手を出しやがって……」

「ぷぎゃあああ!?」

「叫べば叫ぶほどこの拘束道具でお前の首を絞めてやる……」

「や、やめ」

 

ドパンッ! 

 

「うぐっ!?」

 

ドパンッ! ドパンッ! ドパンッ! 

 

「こ、股間!? や、やめ――」

 

ドパンッドパンッ! カチカチ……

 

「……どうする?」

「ひっ……」

「二度と、俺たちの目の前に現れるんじゃねえぞ」

 

ハジメの義手が機械的な音を立てる。そのままハジメは思いっきり前に踏み込んで空手のような正拳突をブタ野郎に食らわせた。

 

ガシュン! とハジメの義手のギミック音が鳴り響く。恐らくハジメは義手内に組み込まれているショットガンを使ったのだろう。内蔵されたショットシェルの激発の反動を利用して推進力にすることができるのでそれを使った正拳に違いない。

 

「……このぐらいにしてやるか。これ以上は全身バラバラになって死ぬし」

「お疲れ。さて案内人さん。場所を移して話の続きをしようか」

「は、はひ! あの、私……何というか」

「怖がらせてすまない。だが人の女に手を出したらどうなるかを思い知らせたくてなあ……」

 

愛する人のためなら何でもする。それが俺のポリシーだ。とりあえずリシーの腕を掴んでカフェを再度出ようとすると……。

 

「あの、申し訳ありませんが、あちらで事情聴取にご協力願います」

「事情聴取? そんなんブタ野郎が俺と親友の女に手を出してきたから返り討ちにしたまでだ。話すことなんて何もない」

「ですがギルド内での争いは当事者双方の言い分を……」

「あいつが目を覚ますまで待ってろってか? 面倒だな……いっそ連れ出してトドメ刺してしまうか? それかバラバラにして海に捨てちまうか……」

 

いつぞやの日のヤクザが発していたことを思い出しながらボソリボソリ。が、ここで目を付けられるのも面倒なので俺たちは職員に連れられて場を移動するのだった……。

 




時間があるときではありますが過去の話の文字に色を付けたり文をちょこちょこ変えたりしてます。もしも気が向いたら、ですが読んでくれると嬉しいです。

恵里の処遇はどうする?

  • 勇者バカ之河の被害者だから救おう
  • 消せ(無慈悲)
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