その音色は異世界まで響き 作:誰かさん
さてさて、今回からグイグイ動きますよ。え、何がって?色々です()
そういえばユニークアクセスが60000を超えてました!どんどん増えていくのを見ると嬉しい限りです……本当にありがとうございます!
「ふむ……なるほど」
……俺たちは現在、フューレン支部のギルド内にある応接間のような場所に通されていた。俺はとりあえずあったことを包み隠さずに伝えたのだが……ドットと呼ばれた秘書のような男は少し怪訝そうな顔をしている。
それもそのはず、俺が股間を潰した男のランクは「黒」なのだ。どうもこの世界の冒険者にはランクがあるらしく、以前話した金の単位と同じ色の階級があるらしい。最低は青で最高は金だ。
で、俺たちは青だから不思議なのだろう。
「ところでそちらのお嬢さん方のステータスプレートは?」
「紛失してな。ほら、高いだろ?」
「しかし身元ははっきりさせないといけない決まりなんです。貴方たちはトラブル気質のようですし今後も問題を起こすのであれば加害者・被害者のどちらかに関係なくブラックリストに載せることになりますからね」
「しかし……あ、そうだ」
そこで俺はオバチャンから受け取った手紙を思い出した。ギルドで何か揉め事を引き起こしたらお偉いさんに渡せ……だったか?
「身分証明になるかは分からないんだが……知り合いのギルド職員から手紙を預かっているんだ。何かギルドであったらお偉いさんに渡せって言われてな」
「手紙ですか? 拝見しますね……」
「ハジメ、あのオバチャンの名前は何だったか?」
「キャサリン……だったな」
「だ、そうだ。キャサリンって人から受け取った手紙だよ」
「そう……でしたか。この手紙の内容が本当ならば確かに身分証明となりますが……私一人の一存では決めかねる物です。支部長に連絡を取ってもよろしいでしょうか?」
「構わないよ。ここで待ってる」
「なに、五分十分で戻りますよ。それでは失礼いたします」
颯爽と部屋から退出したドット。俺はそれを見やって雫とユエの隣に移動した。
「……あの男、気持ち悪かったわ」
「キモかった……」
「そう言ってやるな……キモかったけど」
「でも格好良かったわよ?」
「……シアのためにも怒ってた」
「え、音也さん……そうなんですか?」
「親友の女だぞ。俺の目が黒いうちは誰にも手出しはさせないさ」
「ハジメさんの、女……」
「おい音也。流石にそれは……」
「あながち間違いではないだろ? お前だって俺の女だと口走ってたじゃん」
「そ、それは……あれだ。お前に便乗した形だ」
「へえ……ま、そういうことにしとくか」
「勘弁してくれ」
仲良く会話する。ちなみにあの時シアのことをハジメの女だと俺が発したのは……半ば無意識だったりする。気がつけばそう発していたのだ。自然とそう感じてたのだろうか。
ま、ハジメも自分で俺の女と言ってたし問題ないだろう。おあいこだ。
そのまま待つこと十分。扉をコンコンと叩く音が響き渡った。そのままガチャリと扉を開けて入ってきたのは……金髪をオールバックにした目つきの鋭い中年男性とドットだった。
「初めまして、冒険者ギルド、フューレン支部支部長イルワ・チャングだ。オトヤ君、ハジメ君、シズク君、ユエ君、シア君、キバット君……でいいかな?」
「構わない。名前は手紙にあったのか……それとキバットのことも知ってるのかキャサリンは」
「……私が話した」
「なるほどね。んで、身分証明はあれで良かったか?」
「そうだね。先生の手紙から問題ない人物と書いてあったよ。先生の人を見る目は確かだからね。あの手紙を身分証明とさせて頂くよ」
「そうかい。ならもう行っていいか?」
「いや、少し待ってくれ。君たちの腕を見込んで依頼をしたいんだ」
「ほう? まあ……急ぐ旅ではないから構わないが」
「今回の依頼内容だが、この依頼書に書いてある通り行方不明者の捜索だ。北の山脈地帯の調査依頼を受けた冒険者一行が予定を過ぎても戻ってこなかったため、冒険者の一人の実家が捜索願を出した、というものだ」
「人捜しか?」
「そうだね。行方不明になった冒険者の一人……ウィルって言うんだけどね。彼と僕は家族ぐるみの付き合いをしていたんだ。ウィルは冒険者に憧れていた」
「だが、資質はなかった……だな?」
「……これは驚いた。君は読心術が使えるのかい?」
「いや、何となくだ。それよりも、どうやら後悔をしてると見た。俺は誰であろうと暗い顔をしているのを見るのは好きじゃないからな。その依頼、引き受けさせてもらう」
「ほ、本当かい!?」
「ただ……条件を付けさせてくれ。一つはユエとシアのステータスプレートを用意して欲しい。ただしその内容については一切の口外をしないでくれ。後は今後俺たちが問題を起こした時に後ろ盾になってくれると助かるんだが……」
かなり無茶な提示だ。俺もそれを分かった上で交渉をしている。
彼の後ろ盾が何処まで機能するかは分からないが、ないよりある方が間違いなく良いだろう。後ろ盾があるというだけで心の負担はかなり減る。
「そのぐらいなら……彼の行方が分かるのなら、お安いご用さ」
「そうかい。それなら時間は無駄に出来ない。すぐにでも出発するよ」
「だな。行方不明ってなら時間との戦いだ。一刻も早く見つけないとな」
俺とハジメは席を立つ。それを見て雫たちも立ち上がった。日本に居た頃聞いたことがある。行方不明者を捜すのなら時間制限が付き物だと。行方不明になった場所が山脈だと言うのなら時間制限はどんなに延ばしても三日だろう。
「頼んだよ。ただ今から北の山脈に行っても夜になってしまう。今日は北の山脈の近くにある【湖畔の町ウル】で宿泊してくれ」
「宿の手配はしてくれるのか?」
「もちろんだ。かなり評判の良い宿だから安心してくれ」
「分かった。とりあえずウィル本人か遺品を持ってくれば良いんだな?」
「そうだね……何としてでも彼の痕跡を見つけてくれ」
「あいよ」
「任せな」
軽く答える。もう話すことはないので俺たちはギルドの外へ出た。そして流れでイクサリオンを取り出す。
確か湖畔の町ウルはフューレンから徒歩で数日の所だ。全力疾走のイクサリオンなら三十分で到着出来るだろう。
「ハジメ、俺の後ろに付いてきてくれ」
「おう。速度は……全開で行けるな」
「イクサリオンの最高速度は一応753kmhだぞ。魔力の流しすぎに注意しろよな」
「阻害する要因がないから何とかするさ」
それだけ言うとハジメは二輪に跨がった。その後ろにシアが飛び乗る。
俺もイクサリオンに跨がる。そしていつものポジションに雫とユエを乗せてイクサリオンに魔力を流し始めた。
爆音上げて……というわけでもなく静かに二台のバイクは走り出す。ちなみに俺たちのバイクにはユエが「風向調節」なる魔法が付与しているためどんなに速度を出そうと感じる風は比較的少ない。心地よい風程度には感じるが。
「ふみゅう……」
「あれ、雫さんおねむですか」
「おと……やあ……」
「……心地よいから眠くもなる」
「そうか……だがあまり熟睡されてもなあ。落ちたら助けられん」
「……雫はガッチリと音也のことを抱きしめてるから落ちないと思う」
「安心したけどこっぱずかしいな」
「おとやあ……そこだめぇ……」
「「……」」
アノ雫サン。セナカニアタッテルヤワラカイモノハナンデショウ。
「ん、音也も元気」
「るせ!」
「……宿に付いたら沢山抜いてあげる」
「だからうるせえ!」
これ以上関わると面倒なことになりかねないので俺はより一層魔力を流し込んでイクサリオンのスピードを上げるのだった……。
────────────────
三十分後。夕方。
「よし、到着したぞ……ほら雫、目え覚ませ」
「ん、んう……あら、到着したのね」
「もの凄く精神的に悪かった」
「え?」
「……無自覚」
「天然って恐ろしいなあ……」
予定の宿に辿り着いたのでイクサリオンを宝物庫に放り込む。雫は何故かキョトンとしている。クソ、可愛いじゃねえか。
ハジメも到着したので俺は宿の戸を開け放つ。名前は……〝水妖精の宿〟だ。そういえば湖畔の町ウルは稲作で有名だった。まだクラスメイトたちと一緒だった頃にウルへ行けば米が食べられるという話を聞いたことがある。
「ハジメ、ここの宿なら米料理を食えるかもしれないぞ」
「マジで? 楽しみになってきたぞ」
「米なんて久しぶりね。私も楽しみだわ」
「米……?」
「米って何ですか?」
「米ってのは俺たちが住んでた世界での主食だ。俺たちは米が大好きなんだよ」
「そうなんですかあ。ハジメさんの故郷の主食とくれば私も楽しみですぅ!」
「ん、私も。音也とハジメと雫の故郷の故郷の食べ物には興味がある」
「俺もだな。米はこの世界に来てから滅多に食べることができなかったから楽しみだ」
カラコロと音を立てながら扉を開ける。そこまでぶ厚い扉をではなかったのでスッと開いた。内部は小洒落たレストランのようになっており、年季の入った木の壁も相まって実に素晴らしい空間になっている。
「どこに座るか……ハジメ、お前はシアと二人で良いか?」
「音也お前なあ……相変わらず調子の良い奴。まあ良いけどよ。お前は雫たちと座るってことだな?」
「だな」
適当に席を決めて座ろうとした……その次の瞬間である。
シャァァァ!!
奥にあったカーテンが突然大きな音を立てて引かれた。思わずギョッとしてカーテンがある場所を見つめる。
「南雲君! 紅君! 八重樫さん!」
「あ?」
「……ん?」
「え?」
三者三様。しかし思うところは大体同じだろう。故に俺たちは三人でハモって口にした。
「「「先生?」」」
梅雨中々明けませんねえ……ジメジメは少し苦手です。雨は好きなんですけどね()
恵里の処遇はどうする?
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勇者バカ之河の被害者だから救おう
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消せ(無慈悲)